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[[画像:Ipod_5th_Generation_white.jpg|thumb|right|200px|第五世代の[[iPod]]]]
'''デジタルオーディオプレーヤー''' (digital audio player, '''DAP''') は、[[デジタル]]音楽ファイルを再生可能なオーディオプレイヤーで、特に[[携帯機器|携帯]]が可能なものをさす。[[携帯音楽プレーヤー]]の一種。
 
旧来は[[MP3]]のみ再生可能、あるいはMP3の再生に対応したプレーヤーとして'''MP3プレーヤー'''と呼ばれていた。20112023年現在、一部の[[廉価版|低価格帯]]製品を除き、複数の[[音声ファイルフォーマット]]形式に対応する製品が一般的である(後述)。なお機能を拡張し[[動画]]など[[マルチメディア]]に対応した機器は'''[[デジタルメディアプレーヤー]]'''と呼ばれる。
 
== 概要 ==
デジタルオーディオプレーヤーはデジタル方式の音楽ファイルを再生する[[音響機器]]で、[[携帯電話]]会社の音楽配信サービスや[[インターネット]]の音楽販売サイトから購入したり、[[コンパクトディスク|CD]]などから直接取り込んだ音楽ファイルを再生するのに用いられる。1990年代末には、駆動部を持たないため振動に強く、再生デバイスとして有力視された<ref>{{Cite book|和書|title=電撃王 通巻100号 表紙 [[田中麗奈]]|date=2000年1月1日|year=2000|publisher=メディアワークス|pages=156,157,}}</ref>
 
デジタルオーディオプレーヤーという言葉は、広義には1980年代に登場した[[コンパクトディスク|CDプレーヤー]]や1990年代に登場した[[ミニディスク|MD(ミニディスク)]]プレーヤーなども含まれるが、通常は、2000年代に本格的に普及しはじめた[[電子媒体|記録媒体]]に[[フラッシュメモリ]]や[[ハードディスクドライブ|小型ハードディスク]]を使用した音楽プレーヤーを指す。デジタルオーディオプレーヤーという用語が広く使用され始めたのは2000年代半ばからであった
 
[[2000年代]]前半までは音楽ファイルの[[MPEG]]による[[データ圧縮|音声圧縮形式]]方式として[[MP3|MP3ファイル]]が使用されることが多く、'''MP3プレーヤー'''という呼称が広く用いられたジャンルであるが、[[著作権]]保護などの観点から[[暗号]]化技術が進み、MP3以外の[[音声ファイルフォーマット|形式]]の採用が進んだ。MP3以外の圧縮形式として、[[Windows Media Audio|WMA]]、[[AAC]]、[[Adaptive TRansform Acoustic Coding|ATRAC]]、[[Vorbis]]などの[[コーデック]]を使用する機種が出現し、2000年代半ば頃からデジタルオーディオプレーヤーという呼称が用いられるようになった。一方、近年はCDプレーヤーやMDプレーヤーにも、CDやMD本来のコーデックのほかにMP3を使えるものが現れている
 
=== 製品ごとの特色 ===
メーカーごとに様々な製品が発売され、機能にはいくつかのバリエーションがあり、単に音声ファイルの再生だけでなく、多機能化機種もあった。例として、[[ラジオ]]受信機能、ラジオの録音や[[ICレコーダー]]機能<ref group="注">以上の機能は、アナログ分野での[[ラジカセ]]や[[ミニディスク]]搭載型ラジオ(ラジMD)に相当する。</ref>、[[USBメモリ]]としても利用できる機能、語学学習などに用いる再生速度調整機能、[[FMトランスミッター]]機能などが挙げられるも存在した
 
[[スマートフォン]]を含む[[携帯電話]]の普及とともに、携帯電話等をオーディオプレーヤーとして利用する事も一般的となっている。デジタルオーディオプレーヤー以外にも、やや大型の[[液晶ディスプレイ]]を搭載し、音楽再生に加えて、フォトビューワー([[デジタル写真]]の閲覧)や映像ファイルの再生を行うなど、より多機能化したプレーヤーもあり、こちらは[[デジタルメディアプレーヤー]]と呼ばれていた。
また、類似の製品として[[ICレコーダー]]がある。ICレコーダーは主に会議や講演などの音声の録音を目的とし、再生面では余り音質は重視しないものが中心であり音楽用途には合わないモノラル機器も多い。もっとも、ICレコーダーの中にも本格的な音響機器として生録音や再生を重視したものもある。反対に、専用のデジタルオーディオプレーヤー製品の多くは、簡易なICレコーダー機能を兼ね備えている。
 
[[スマートフォン]]を含む[[携帯電話]]の普及とともに、携帯電話等をオーディオプレーヤーとして利用する事も一般的となっている。一部の簡易的な仕様の機種を除き、ほとんどの携帯電話等は高度な音楽再生機能を備えている。
 
デジタルオーディオプレーヤー以外にも、やや大型の[[液晶ディスプレイ]]を搭載し、音楽再生に加えて、フォトビューワー([[デジタル写真]]の閲覧)や映像ファイルの再生を行うなど、より多機能化したプレーヤーもあり、こちらは[[デジタルメディアプレーヤー]]と呼ばれる。
 
== 仕組み ==
デジタルオーディオプレーヤーは、音楽ファイルを記録する[[電子媒体]]、複数のファイルを管理する[[ファイルシステム]]、音楽ファイルを再生([[エンコード|デコード]])するデコーダー、音声を出力する[[アンプ (音響機器)|アンプ]]、操作ボタンなどの操作系、[[電池|バッテリ]]により構成される。
 
ほとんどの機種では[[液晶ディスプレイ|液晶パネル]]などの[[ディスプレイ (コンピュータ)|表示装置]]を搭載しており、再生中の楽曲タイトルやアルバム名などの情報を表示することができる。低価格機種の中には表示装置を持たないものもあった
 
記録媒体には[[フラッシュメモリ]]または[[ハードディスクドライブ]]を使用する。フラッシュメモリを使用する機器では、プレーヤーにメモリを内蔵するタイプと、[[SDメモリーカード|SDカード]]などの[[メモリカード]]または両方を使用するタイプがある(プレーヤーにメモリを内蔵しつつメモリカードも使用可能な機種もある)。ハードディスクではごく一部<!--東芝GIGABEAT MEG50JSは差し替え可能の為-->を除いて機器に内蔵するタイプとなる。2011年1月時点でフラッシュメモリ内蔵タイプは主に小容量(~64GB)、ハードディスク内蔵タイプは主に大容量(80GB~)を中心に展開されてい
 
音楽ファイルを管理する[[ファイルシステム]]では、古くは独自のファイルシステムを使用し、データの書き込みに専用[[アプリケーションソフトウェア]]を利用するものが多かった。近年では特定の環境(OS、管理アプリケーション)に依存せずに使える[[ユニバーサル・シリアル・バス|USB]]マスストレージクラスに対応し、[[File Allocation Table|FAT16]]や[[File Allocation Table#FAT32|FAT32]]等のパソコンで広く利用される汎用ファイルシステムを採用する機種が一般的である。デジタルオーディオプレーヤーでは、PCを用い専用のアプリが必要なもの、汎用アプリを使用し専用のアプリが必要ないものがあった
 
現在のデジタルオーディオプレーヤーでは、音楽ファイルの転送方法により
#専用の転送ソフトでのみ転送可能なもの
#専用ソフトを必要とせず、[[Windows Explorer|エクスプローラ]]などのファイル管理ツールからファイルが転送できるもの(マスストレージ型と呼ばれる)
の大きく2種類に分けられる。<!-- WP:NOTMANUAL的な記述→別のMANUAL的でない表現に換言求む。
 
操作性に大きく影響する部分であり、仕組みの違いにより混乱しやすい部分である。 -->
 
=== 専用プレーヤー ===
[[iPod]]、[[ウォークマン]]、[[SD-Audio]]、[[Gigabeat]]などは前者に属し専用アプリが必要で(Gigabeat Uや近年のウォークマンは後者の仕組みも併せ持つ)、著作権保護([[デジタル著作権管理|DRM]])のため転送したファイルには暗号化などの保護処理が行われていた。このタイプのプレーヤーは、特定のパソコン用アプリケーション(たとえば[[iTunes]]など)専用の周辺機器に相当する。よって、使用には必ずパソコンと専用ソフトの使用が必須であった。また、DRMの関係上、通常はプレーヤーから音声ファイルを取り出せないためパソコン側の音楽ファイルはバックアップとして保管が求められるていた。暗号化するため転送に時間がかかりやすく、転送ソフトの負荷が大きかった
 
専用プレーヤーの内にも、後述の汎用プレーヤーのようにUSBストレージとして使用できる物もあるが、DRM処理されてない一般の音楽ファイルを汎用プレーヤーのように転送しても、プレーヤーが認識せず再生できない場合がある。
 
それゆえ、複数の種別の専用プレーヤーを利用する場合は、それぞれのプレーヤー種別毎に音楽ファイルを多重管理する必要がある。また、専用プレーヤー間で機器を乗り換えする場合、DRMの掛かったファイルを乗換え先に持ち出せない可能性が高い<ref>(フリーソフトをいくつか併用すれば可能な場合もある)。</ref>。
 
=== 汎用プレーヤー ===
後者のタイプのプレーヤーでは、[[デジタル著作権管理|DRM]]で著作権保護の掛かっていないMP3や[[Windows Media Audio|WMA]]などの音声ファイルを、[[ユニバーサル・シリアル・バス|USB]]ストレージに直接データファイルとして保存する。前述の専用タイプとは異なり、FAT/FAT32[[ファイルシステム]]を扱えるのであれば、パソコンさえも必要としない。またプレーヤー自身を、USBホスト機能を持つ[[アンプ (音響機器)|アンプ]]、[[ミニコンポ]]、[[ラジオカセットレコーダー|ラジカセ]]、[[メディアプレーヤー]]、[[DVDプレーヤー|ポータブルDVDプレーヤー]]などの機器に接続して、ストレージ内の音楽ファイルを再生(機種によっては録音)可能である
 
またプレーヤー自身を、USBホスト機能を持つ[[アンプ]]、[[ミニコンポ]]、[[ラジオカセットレコーダー|ラジカセ]]、[[メディアプレーヤー]]、[[DVDプレーヤー|ポータブルDVDプレーヤー]]などの機器に接続して、ストレージ内の音楽ファイルを再生(機種によっては録音)可能である。
 
DRMの掛かった音楽ファイルは、通常の汎用プレーヤーでは再生できないが、一部にはDRMの掛かった物を再生可能な汎用プレーヤーも存在する。DRMの掛かったファイルのみ[[Windows Media Player|WMP]]などのソフトを使用してプレーヤーに転送する。国内メーカーの製品では[[シャープ]]、[[日本ビクター|Victor]](現・[[JVCケンウッド]])、[[ケンウッド]](現・JVCケンウッド)、[[三洋電機|SANYO]]、ウォークマン、Giganeatなどのプレーヤーの一部の機種がこれに当たる。
 
プレーヤーとしてではなく、単なる[[USBフラッシュドライブ|USBメモリ]]としての利用も可能ではある。
 
DRMで著作権保護の掛かった音楽ファイルは、通常の汎用プレーヤーでは再生できないが、一部にはDRMの掛かった物を再生可能な汎用プレーヤーも存在した。著作権保護の掛かったファイルのみ[[Windows Media Player Legacy|WMP]]などのソフトを使用してプレーヤーに転送する。国内メーカーの製品では[[シャープ]]、[[日本ビクター]](現・[[JVCケンウッド]])、[[ケンウッド]](現・JVCケンウッド)、[[三洋電機|SANYO]]、ウォークマン、Giganeatなどのプレーヤーの一部の機種がそうであった。またプレーヤーとしてではなく、単なる[[USBフラッシュドライブ|USBメモリ]]としての利用も可能である。
DRMが掛かっていないため、複数のプレーヤーや、プレーヤー間での機器乗り換え作業は比較的容易である。
 
== 利用方法 ==
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音声入力をもたない[[カーオーディオ]]機器などでデジタルオーディオプレーヤーの音楽を聴けるように、FMトランスミッターを内蔵するプレーヤーもある。また、外付け用のFMトランスミッターも多く発売されている。これは、再生音声をFMラジオの電波で飛ばすもので、FMラジオをもつカーオーディオや[[ラジオカセットレコーダー|ラジカセ]]・[[ミニコンポ]]で受信して聴くことができる。室内でも、手元にプレーヤーを置き、わずらわしいケーブル配線などをせずにワイヤレスで室内の離れたところに設置された音響機器で再生するといった使い方ができる。ただし電池の持ちに関しては構造上あまり芳しいとは言いにくいため充電しながらの利用になることも多い。
 
また[[カーオーディオ]]分野にも、デジタルオーディオ対応プレーヤーの増加が見られる。古くはCD-Rに焼き付けたMP3再生にのみ対応していたが、次第に各種フォーマットにも対応してきた。さらに、近年のDVD普及により、音楽ファイルを焼き付けたDVD-R等を再生できる機種も、[[日本ビクター|JVC]](現・JVCケンウッド)から登場したほか、音楽CDを自動的にリッピングして内蔵[[ハードディスクドライブ|ハードディスク]]に保存する機能を持つものもある。また、USBメモリ用のコネクタ付きモデル、iPod専用コネクタ付きモデルも登場。年々対応機種は増加している。なお、いずれの機種も年々価格が下落しており、自動車の標準装備となる日も近いとする意見もある。
 
さらに近年では、[[Bluetooth]]に対応したデジタルオーディオプレーヤーも登場した。Bluetooth対応のヘッドホンやオーディオ機器と組み合わせて、ワイヤレスで音楽等を楽しむことができる。Bluetoothを内蔵するプレーヤーは少数であるが、外付け用のBluetoothトランスミッターも多く発売されており、トランスミッターを介することでBluetoothに対応できる機種は数多く発売されている。
 
<gallery>
File:ACアダプタ アップル純正品(Firewire) アプライド発売アダプタ(USB).JPG|[[アップル (企業)|アップルApple]]ACアダプタと多目的型ACアダプタ([[アプライド]])。近年ではアップルもiPodに付属させていない機種も多い。
</gallery>
 
== 歴史 ==
=== 初期 ===
<!--[[ドイツ]]のFraunhofer Gesellschaft社がMP3の圧縮アルゴリズムを開発し特許を取ったのが1989年、圧縮効率のよさからMP3フォーマットは少しづつ世界に普及していった(この機械は最初にMP3ありきなので、MP3の普及に関する記述をすこしでも載せておきたいのですが、中々うまく書けません)。-->
<!--書いてみたけれどMPEG Audio Layer3の導入のきっかけがいまいち記憶に無いので不十分かも-->
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同じ頃、不揮発性メモリの本命となった[[フラッシュメモリ]]が実用化され普及が始まっていた。当初はMPEGオーディオ[[コーデック]]と組み合わせ、放送機器など業務用のオーディオ記録再生装置に使用されていたが、1995年ころから「シリコンオーディオ」「ソリッドオーディオ」などの名称で携帯型の試作品が発表された。[[集積回路|LSI]]の高密度化によって、コンシューマ製品に導入されるのは目前に迫っていた。
 
1996年に米国でListen up playerというmp3を初めて作った。
 
そんな中、[[日本]]では[[大韓民国|韓国]][[サムスングループ|サムスン]]系のセハン情報システムズ社<!--現在は[[iriver]](アイリバー)に買収されている-->が[[1998年]][[2月]]に世界で初めて発売した「[[mpman]]」の輸入販売がMP3プレーヤーの嚆矢となる。日本メーカーなどが著作権の問題などでインターネットでの音楽配信を躊躇い、CDからMDに録音するというスタイルを延命させようとする中での発売だった。当時、内蔵メモリー64 MBモデルの価格が53,000円で、特許ライセンスの関係で[[コーデック#音声圧縮|MP3エンコーダー]]は付属しておらず、自前で用意する必要があった。この機器は多くの好事家の興味を引き、雑誌などで盛んに紹介されたものの、高価格と入手難、マイナーメーカーの製品であること、なによりも当時すでに問題になっていた[[海賊版|違法コピー]]のイメージから来る胡散臭さとあいまって、広く知られるまでには至らなかった。
 
同年5月には、[[SolidAudio]]という携帯プレーヤーを[[日本電信電話|NTT]]と[[神戸製鋼所]]が共同で開発中であると発表された。このSolidAudioは[[TwinVQ]]というNTTが開発した独自の圧縮フォーマットを採用しており、[[著作権]]の管理機構と専用の販売ルートを持つ、今日の[[ITunes Music Store]]に似たコンセプトの機器だった。しかしTwinVQにのみ対応するSolidAudioは、その利便性の悪さ等が原因となり、あまり普及せずに終わっている。こうした状況を受け、その後、[[日立マクセル]](現・[[マクセル]])や[[富士フイルム]][[AXIA]]ブランド)等から次々とTwinVQ以外のMP3やWMAといった、広く使われている圧縮形式にも対応する後期SolidAudio(AXIA [[ZeroCORE]]等)が発売され、現在のMP3プレーヤーの先駆けとなった。
 
そして、後述の裁判の影響で発売が伸び、1998年のボーナス商戦にかろうじて間に合った[[ダイヤモンドマルチメディア]]社の[[Rio (オーディオ)|Rio]] PMP300が発売される事となる。容量は内蔵32MBに加え、[[スマートメディア]]で増設が可能だった。当時[[オープン価格]]で発売されたが、各店舗の実質的な販売価格は2万7800円だった。
 
この時期は[[Microsoft Windows 98|Windows98Windows 98]]および[[MMX Pentium|MMX ペンティアム]]の普及拡大期と重なる。しかしエンコードには未だ再生時間の数倍の時間がかかっていた。<!--P55C世代のPCは既にUSBホストアダプタは標準装備されていた:また、[[アップル (企業)|アップルコンピュータ]]の[[iMac]]を除いて、[[ユニバーサル・シリアル・バス|USB]]はまだ普及しておらず、-->当時の市場では[[ユニバーサル・シリアル・バス|USB]]は標準装備され普及していたものの、まだ技術的に十分成熟しておらず一般的なインターフェイスではなかったため、この時期のプレーヤーの内蔵メモリーへのデータ転送には[[パラレルポート]]を用いるものが一般的だった。<!--LPT経由の転送速度はECPで最大2Mbps、実効帯域はその6〜7掛け程度。当時としても殊更に高速とは呼べないが、いくら何でも9.6kbpsは大嘘。シリアルポートと混同か?(それでも誤りだが):経由(9,600 bps)だった。-->
 
<!--この段落は英語版記事を参考に一部加筆している-->[[アメリカ合衆国|アメリカ]]では、Eiger Labs F10という容量32 MBの製品が1998年夏ごろ登場しているが、普及には至っていない。同年9月にDiamond Multimedia社は、買収した韓国DIGITALCAST社(mpmanの共同開発企業)の製品を元にしたRio PMP300を発表したが、[[アメリカレコード協会]] (RIAA) から違法コピーを助長するとして販売差し止め請求が裁判所に提訴された。結果的にこの請求は米連邦地裁によって却下され、RIOはクリスマス商戦に間に合うように発売され (199US$)、大きな成功を収める。PMP300にはCDからのリッピングとエンコードを行うJukebox MP3というソフトウェアが付属していた。
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=== 容量増大への模索 ===
2000年代に入り国内パソコンメーカーが発売するパソコンの多くにCD-RWドライブが標準で搭載されるようになりCD-Rレコーダーが普及すると、これにMP3ファイルを焼きつけてプレーヤーで再生する製品が発売される様になった。当時のフラッシュメモリのMP3プレーヤー製品は、内蔵メモリーの容量として64MB~128MBの物が多く、また外部インターフェースを持つ製品では、当時の低容量かつ高価な[[メモリーカード]]を買い足す事で増量が可能という製品が多かった。したがって安価なCD-Rメディアで640MB~700MBという容量は概ね十時間超の音楽を録音できる計算となり、フラッシュメモリ製品に対して十分なアドバンテージを持っていた。メディアのサイズによってプレーヤーの大きさが決められてしまうため、フラッシュメモリ製品のような小型化や省電力化はできないが、大容量と携帯CDプレーヤーとしても使用できる点をアピールして、[[アイ・オー・データ機器|I・Oデータ]]、ケンウッド、[[アイワ]](初代法人、現・[[ソニーマーケティング]])、Rio<!--OEM元はReignCom([[iriver]])-->など、各社から製品が発売され、のちにパナソニックやソニーなどポータブルオーディオの大所からも発売された。
 
MP3プレーヤーのストレージにハードディスクドライブ(HDD)を用いる試みは、早くも1999年には製品化にこぎつけられている。[[コンパック]]が開発し、ライセンス供与を受け製造・販売された韓国のHanGo Electronics(現:Remote Solutions)のThe Personal Jukebox (PJB-100)は、ノートPC用の2.5インチHDDを搭載したMP3プレーヤーで、容量は4.8GBだった。20005月には韓国HanGo Electronics社から4.8GBのHDDを搭載したPersonal JukeBoxが発売され、同2000109月にはCreative Labs社から6GBのHDDを搭載したNOMAD Jukeboxが発売された。NOMAD Jukeboxは携帯CDプレーヤー大で、それらをもっと厚くしたような外観をしていた。また、同年12月にはフランスの[[Archos]]より6GBのHDDを搭載したJukebox 6000が発売された。
 
これらの製品はMP3プレーヤーとしてメガバイトからの脱却を達成した画期的な製品である。ただし、大きく重いうえ、動作中はHDDからの震動が身体に伝わってくる重厚な製品で、基本的には持ち運びが可能な据え置きMP3プレーヤーというべき製品だった。
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=== 日本メーカーの動向 ===
一方の日本国内の家電メーカーは、レコード会社を併設している所が多く、著作権的に問題があるとしてMP3プレーヤーには消極的だった。また当時はPCやインターネットの普及率の低さもあって、音楽の複製はアナログカセットやMDに行うスタイルが主流でありまたそれらを外へ持ち出すためのプレーヤーも安価となっている最中だったため家電販売店側もMP3プレーヤーの販売には消極的だった。その結果、製品の多くがPCに関連したメーカーかPC部品の輸入代理店からの発売となり、一般の家電販売店よりはむしろPC関連機器の販売店でMP3プレーヤーが売られている事が多かった。このためにMP3プレーヤーは、家電量販店ではマイナーな電気製品として、売場の隅で一部有名メーカーの製品のみがひっそりと売られる状態が続くこととなった。
 
ケンウッドは、後述のDCP-MP727の失敗により、この市場から遠ざかることとなる。後の再参入でも、他の日本メーカーよりも出遅れることとなる。
 
=== ソニーのATRAC3方式による参入 ===
[[1999年]]12月に[[ソニー]](初代法人、現・[[ソニーグループ]])は「'''メモリースティックウォークマン NW-MS7'''」を日本で発売し、デジタルオーディオプレイヤー市場に本格参入した。記録媒体として同時発売した「マジックゲート[[メモリースティック]]」を用いて、記録フォーマットは[[ミニディスク#MDLP|MDLP]]に採用されていた[[ATRAC|ATRAC3]]方式を採用し、漢字表示対応のEL液晶を備えたボディは100円ライターの二回り大きくした程のサイズで、[[ウォークマン]]発売開始20周年の節目を飾るモデルの一つとなった。
 
NW-MS7の開発に際し、ソニーは著作権保護に[[SDMI]]に準拠する二つの暗号化技術([[OpenMG]]/[[MagicGate]])を採用したことでクリアした。例えば[[エクスプローラ]]でファイルコピーをしたり、[[インターネット]]上へアップロードした場合は複製ファイルの再生は不可能となる。
 
また、[[ソニーグループ]]の[[ソニー・ミュージックエンタテインメント (日本)|SMEJソニー・ミュージックエンタテインメント]](音楽ビジネス事業部、現・[[ソニー・ミュージックソリューションズ]])が同月中にOpenMGとATRAC3を採用した音楽配信サイト[[Bitmusic]]<!--[[mora]]の源流-->の事業開始にこぎ着けた。
 
[[2000年]]1月には、シリコンオーディオプレイヤーの「[[VAIO]] music clip MC-P10」を発売した。この機種は64MBの内蔵メモリのみ搭載し、大きさは軸が太めのボールペンと同等となり、NW-MS7よりも大幅に小型化した。
 
続いて同年秋には携帯電話に音楽再生機能を持たせた、[[au (携帯電話)|エーユー]](旧:[[日本移動通信|IDO]]・[[DDIセルラーグループ]][[連合]]、現:[[KDDI]])・[[沖縄セルラー電話]]連合(各[[Au (携帯電話)|auブランド]])向け'''[[C404S|C404S DIVA]]'''と[[NTTドコモ]]向け'''Docomo by SONY [[SO502iWM]]'''を相次いで発売している。これらの機種はスティックリモコンとMGメモリースティックスロットを搭載し、付属のOpenMG JukeBoxから音楽データをチェックイン/アウトする機能を備えた所から、「メモリースティックウォークマン」を一体化した感が強かった。また、[[S/PDIF|光ミニジャック]]を備えてダイレクトエンコーディングにも対応した。しかし、それなりの評価を得た一方で、厚みのある本体で音楽再生は電池の持ちが余り良くなく、有る程度複雑な操作を憶えなければいけない事で当時は万人受けしなかった点から、2004年頃に<!--iPodの爆発的ヒットを受けて-->携帯電話業界が音楽再生機能に注力するようになるまで同様の後継機が出ることは無かった。SO502iWMは2001年末頃まで市販されていた。
 
2001年にはデジタルオーディオプレイヤーのブランドを「ネットワークウォークマン」に統一し、さらにPCにリッピングしたATRAC3ファイルの転送媒体をメモリではなく[[ミニディスク]]にした[[ミニディスク#Net MD|Net MD]]規格・2004年に[[ミニディスク#Hi-MD|Hi-MD]]規格を発表した。
 
なお、NW-MS7発売当初から2004年上半期頃までは、付属ソフトの「OpenMG Juke Box(1999年~2001年)」「Sonic Stage」によって、リッピング・[[WAV]]/MP3のATRAC3へのコーデック・[[EMD]]サイトで購入したATRAC3方式のファイルを、記録媒体の「マジックゲート[[メモリースティック]]」・「シリコンメモリー」「Net MD」へ'''チェックイン'''操作(任意のマジックゲート対応の1媒体へのみコピーが可能)で音楽ファイルを転送し、その転送先で不要になった音楽ファイルはチェックイン操作をした同じPCのソフト上で'''チェックアウト'''操作をする事でコピーしたデータが削除され再びソフト上でチェックインが可能となる方式だった。この強固な著作権保護技術によって、当初は著作権の私的範囲内でもOpen MGで暗号化されたATRAC3ファイルのバックアップが一切不可能など制約が多かった。これは、後にアップグレードによって改善・弾力化された。
 
=== MP3以外のフォーマットへの対応 ===
デジタルオーディオプレーヤーの再生フォーマットは、当初はMP3のみであり、後に[[TwinVQ]]、[[ATRAC3]]、[[AAC]] といったフォーマットも登場した。しかし前述のとおり、著作権保護を重視するあまり、使い勝手の悪いものとなってしまい普及するにはいたらなかった。そのようなMP3の一人勝ちの状況にあって、対抗しうるフォーマットとして Microsoft が開発した [[Windows Media Audio]] (WMA) が登場した。MP3と比べても圧縮率・音質に遜色なく、[[Windows Media Player Legacy|Windows Media Player]] (WMP) にエンコーダーが標準搭載されているため、普及が期待できた。そして、ポータブルプレーヤー市場でもWMAに対応したものの登場が望まれた。
 
WMAフォーマット対応の製品としては、[[2000年]]8月発売の[[ダイアモンド・マルチメディア・システムズ]]の「Rio 600」が最初のものとなった。内蔵メモリと増設バックパック併用タイプだが、バックパックの容量は限られ(発売されたのは32/64MB)、筐体はまだまだ大きかった。本格的な普及は、後述のケンウッドとアイリバーのCDプレーヤータイプの登場を期に一気に加速することとなる。メモリータイプに関しては、[[2001年]]4月発売のMPIO「AD-DMGシリーズ」や同年11月発売の[[パナソニック|Panasonic]]「SV-SD80」の登場で小型化・高機能化が一段と進められることとなる。
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前述のように、フォーマットやメモリーカード、著作権保護技術の種類の増加により、日本では規格の乱立が起こった。
 
日立マクセルや富士フイルムAXIA、[[東芝デジタルフロンティア]](現・[[東芝エルイートレーディング]]、以下東芝)、[[ハギワラシスコム]]が採用するSolidAudio、パナソニックや日本ビクター、東芝が採用するSD-Audio、ソニー、シャープが採用する[[メモリースティックオーディオ]]([[ATRAC Audio Device|ATRAC AD]])、サンヨー[[三洋電機]]や[[TDK]](コンシューマー事業部、後のTDKマーケティング → [[イメーション]] TDK <small>Life on Record</small>ブランド)が採用するLiquid Audioなどが存在していたが、わずか数年でソニー以外のメーカーはほぼ全て撤退した。
 
その後、2002年に、東芝が独自の著作権保護機能を有したデジタルオーディオプレイヤー「gigabeat」を発売。また、ケンウッドも2005年に、東芝の著作権保護機能をベースにしたものを用いたデジタルオーディオプレイヤーを発売するが、どちらもMTP対応プレイヤーへと移行していった。
 
[[松下電器産業]](後の[[パナソニック]]〈初代法人〉 → [[パナソニックホールディングス]]、以下パナソニック)も2005年にSD-Audioプレイヤーに再参入し、国内シェア3位に位置するも、2008年には市場シェアが1%台に落ち込み<ref>[http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20081031/1020523/ 【緊急寄稿】iPodに白旗! パナソニックが携帯音楽プレーヤー事業の終息を検討]</ref>事実上撤退した。
 
ソニーは2007年8月30日に「WALKMAN goes OPEN」を掲げ、海外市場向けの商品はATRAC ADからMTP対応のプレイヤーに移行した<ref>[httphttps://av.watch.impress.co.jp/docs/20070831/ifa01.htm IFA 2007【ソニー編】新ウォークマンは「Goes OPEN」-欧州向けに発売。899/599ユーロのBDプレーヤーも]</ref>。一方、日本国内では現在でその後も採用を続けており、日本向けモデルではATRAC ADとMTPの兼用プレイヤーも存在するしたが、2019年発売モデルからはATRAC ADに対応しなくなった。また、パナソニックもD-snapブランドの終了によりデジタルオーディオプレイヤーからは事実上撤退したが、SD-Audioの規格自体はD-snapブランドの事実上の後継シリーズのワンセグテレビやデジタルメディアプレイヤーで従来機種からの互換性維持のために継続して用いられている。
 
==== アップルラジオなどへ挑戦と躍進対応 ====
低価格化、小型化も進み、[[FMラジオ]]が聞けるMP3プレーヤーや、[[ボイスレコーダー]]搭載などの多機能製品も出回った。ただし[[FMラジオ]]チューナーが基本的で、[[振幅変調#放送|AMラジオ]]は、[[ノイズ]]が乗りやすく、プレーヤーに内蔵するとラジオ側がプレイヤー側のプロセッサなどが発するデジタルノイズの影響を受けやすいことや、[[バーアンテナ|アンテナ部分]]の小型化がネックとなるために搭載するのが難しい。このためAMラジオ搭載は一部の商品に限られた<ref group="注">[[サン電子]]の[http://talkmaster.jp/ トークマスターシリーズ]や、MP3プレーヤーとしては筐体の大きい[[シャープ]]の[[ミュージックキャリー]]をはじめとする[[ラジオカセットレコーダー|ラジカセ]]タイプ(ステレオ[[スピーカー]]内蔵)の製品など、AMラジオが搭載されているものもある。ラジカセタイプだとAMは外部アンテナがほとんどであるため実現できたといえる。これらラジオ内蔵タイプでは放送録音機能を持つものが多く、語学放送教育番組の録音に特化して時間指定で特定放送局の録音が可能だったり、あるいは、外部マイクや[[ライン (コンピュータ)|ライン]]入力からの本格的な[[録音|生録]]が[[PCM|非圧縮]]で行える製品も見られる。これは[[ICレコーダー]]色の強い製品に多い。そうした製品は、『デジタルオーディオ'''レコーダー'''』とも呼ばれる。<!--、[[ソニー]]製[http://www.sony.jp/products/Consumer/linearpcm-rec/index.html リニアPCMレコーダー]、[[ケンウッド]]製「[http://www.kenwood.co.jp/j/products/home_audio/personal/mgr_a7/ MGR-A7]」、[[三洋電機]]製「[http://www.sanyo-audio.com/icr/ps390rm/index_ps390rm.html ICR-PS390RM]」、[[ローランド]]製「[http://www.roland.co.jp/products/jp/R-09HR/index.html R-09HR]」などが例として挙げられる。--></ref>。
[[iPod]]は[[アップル (企業)|アップルコンピュータ]]から2001年10月24日に発売された。新開発の東芝製小型HDDを搭載し、容量は5GB。後に10GB、20GBの製品も発売された。発売当初は高価なことが指摘されたが、容量あたりの価格は業界でも安い方の製品だった。他社のHDD搭載プレーヤーは大きく重く再生時間が短いため、実際には携帯に不向きだったのに対し、iPodはこれらの欠点を克服した最初の製品となった。
 
また中国などアジア大陸・東南アジア産([[DEGEN]]、[[TECSUN]]など)に散見される[[短波放送]]を受信可能な「マルチバンドレシーバー」タイプのプレイヤーも登場した。
 
MP3や[[Windows Media Audio|WMA]]フォーマットの音楽ファイルをパソコンに溜め込む人の増加や、音楽CDを一々プレーヤーから出し入れするのが面倒といった需要もあって、BGMの連続再生などを行える、大容量の記憶媒体を搭載した据え置き型の機器や、[[無線LAN]]を経由してパソコンの内部の音楽・動画ファイルを再生できる機器も登場した。
 
=== アップルiPodの挑戦と躍進 ===
[[iPod]]は[[Apple|Apple Computer]]から2001年10月24日に発売された。新開発の東芝製小型HDDを搭載し、容量は5GB。後に10GB、20GBの製品も発売された。発売当初は高価なことが指摘されたが、容量あたりの価格は業界でも安い方の製品だった。他社のHDD搭載プレーヤーは大きく重く再生時間が短いため、実際には携帯に不向きだったのに対し、iPodはこれらの欠点を克服した最初の製品となった。
 
またそれまでのMP3プレーヤーの多くは容量の少なさから、所有者の音楽コレクションのうち、厳選された一部を持ち歩くという使われ方が主流だった。一方、当時のiPodでは5GB~20GBという容量により、ほとんどの使用者にとって自分の音楽コレクションの全部又は大部分を持ち歩くことが可能となった。これはつまり使用者が日頃あまり聞かないような音楽ファイルをも持ち歩くことになる。これら膨大な音楽ファイルの再生に一貫性を持たせるためには、M3Uファイルのような再生リストを作成して、使用者の好みに合わせた演奏の順番を決める必要があった。それまで再生リストの作成は手作業だったが、容量の少なさ=ファイル数の少なさに直結していたため、多くの使用者にとってさほど負担になる作業では無く、特に問題とはならなかった。
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その後[[iPod nano]]とムービー再生機能を搭載した第5世代iPodが発売される。鮮やかなカラー液晶を搭載し、nanoに関しては一部を除きHDDタイプと機能的に劣ることなく、最大4GB(当時)のメモリが搭載され、更に小型化されたこともあって爆発的ヒットとなった。これによりiPod miniは発売終了となった。初代nanoについては画面に傷が付きやすいという問題がユーザの間で話題となり、その後保護ケースを同梱するなどの対策がとられた。
 
=== 携帯電話とHDD方式融合欠点 ===
2000前半から中盤にかけてのデジタルオーディオプレーヤーは、[[フラッシュメモリ]]に記録するタイプと[[ハードディスクドライブ]] (HDD) に記録するタイプに大きく分けられた。
携帯電話機は高機能化により音楽再生機能の搭載が一般的になり、[[ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ]]の音楽再生機能付き携帯電話「ウォークマン携帯」などは2007年1-3月期だけで1890万台(世界)を販売するなど、台数ベースでは単独デジタルオーディオプレーヤーを大きく上回る状態になっている。
 
フラッシュメモリのタイプの特徴としては、小型で軽量、振動に対して音飛びが発生しない、回転部がないために電池の持ちが比較的良いために低電圧の汎用[[乾電池]]で動作する物が多い、などが挙げられる。その一方、メモリそのものの記憶単価が高いことから、メモリ容量は2000年代前半で128MB~4GB程度と小さく、またギガバイトを超える容量の製品は高価になっていた。そのため、デジタルオーディオプレーヤーも2004年頃まではメモリ容量がおおむね64MB~256MB程度にとどまっていた。しかし、フラッシュメモリの大容量・低価格化は急ピッチで進み、デジタルオーディオプレーヤーの分野でも2005年には急激な大容量化が見られた。2005年に登場した[[iPod nano]]は従来の「半導体メモリ=高価」という常識を覆し、当時通常の実売価格が4万~5万円といわれた4GBのフラッシュメモリを用いたモデルを27,800円で発表し、話題をさらった。アップルは[[サムスン電子|サムスン]]から市場価格を大きく下回る価格でフラッシュメモリを仕入れたと言われている。その後もメモリの大容量化は進んだ。
その後は高機能化が更に進み、[[スマートフォン]]への発展や動画再生機能、WEB検索や[[ワンセグ]]など別の附加機能もクローズアップされ、音楽再生機能に特化した[[音楽携帯]]というカテゴリ自体は縮小している。新規に発売されるほとんどの携帯電話の機種が音楽ファイルをダウンロード・再生する機能を備えている。アップルもスマートフォンである[[iPhone]]や(iPhoneから電話機能を省いた)[[iPod touch]]の占める割合が増大している。
 
HDDのタイプは、2000年前後には大型の2.5インチハードディスクを使用するものがあったが、こちらは携帯というよりはポータブルに近いものだった。2000年代前半には[[マイクロドライブ]]など1.0インチ以下のハードディスクを使用するタイプと5GB~60GBの[[PCカード]]大の1.8インチハードディスクを使うタイプが登場した。大容量だがやや大きくて重くなるという特徴を持つ。また震動やショックに対して損傷の可能性があり、電源負荷が大きいため乾電池での駆動は難しく、専用の[[リチウムイオン二次電池]]と充電器構成を取る。また、USBバスパワーからの充電が可能な製品も多い。2004年~2005年頃で1.0インチ以下で1GB~6GB程度の容量、1.8インチで5GB~60GB程度の容量となっている。
=== その後 ===
2000年代を通してデジタルオーディオプレーヤーは動画再生などの機能を拡張した[[デジタルメディアプレーヤー]]と共に利用され続けていたが、2010年代に入って一般的に利用されるようになっていった[[スマートフォン]]や2011年より流行を見せている[[タブレット (コンピュータ)|タブレットコンピュータ]]に置き換えられるようにして、[[YouTube Music]]のアップロード機能<ref>[https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2003/10/news084.html YouTube Music、ようやく音楽アップロードが可能に(もうすぐさよならGoogle Play Music)]ITmedia 2020年3月10日</ref>・[[Google Play Music]]のロッカー機能などのクラウドサービス、一般のユーザーが耳を楽しませる役割を他の機器に譲っている。
 
2000年代前半は各社とも両方のタイプをラインアップしていたが、2006年以降はフラッシュメモリの大容量化により、各社のラインアップのほとんどがフラッシュメモリタイプとなっていった。2007年時点ではフラッシュメモリを使用するプレーヤーが世界の出荷台数の9割程度を占めた。
これらの機器は音楽再生はもちろんデジタルメディアプレーヤーのように動画再生が可能なだけではなく、さまざまな[[アプリケーションソフトウェア|アプリ]]をユーザーの目的に沿って導入することが出来、[[携帯ゲーム機]]のように利用したり、[[電子手帳]]([[携帯情報端末]])から[[電子辞書]]のような機能や[[電子書籍]]を閲覧するための[[電子ブックリーダー]]として、またインターネット上の[[クラウドコンピューティング]]を利用する[[端末]]としてなど、様々な機能が集約されたものとなっている。
 
その他、MP3を納めたフォルダを[[CD-R]]に焼きつけ、そのCDを再生することができるCDプレーヤーもあった。
しかしその一方で廉価なデジタルオーディオプレーヤーは[[コモディティ化]]し依然として販売されているほか、また[[PND|携帯型ナビゲーションシステム]]や[[デジタルフォトフレーム]]など何等かの機器の付加機能として組み込まれていたりしており、他方では熱狂的に優れた音響機器を欲する[[オーディオマニア]]向けの[[ハイレゾリューションオーディオ]]に対応した高価なデジタルオーディオプレーヤーも依然として新製品が市場に投入され続けている。近年ではAndroidを搭載したウォークマンなども投入されている。
 
=== 市場ソニー動向方針転換 ===
ソニーは2001年にはデジタルオーディオプレイヤーのブランドを「ネットワークウォークマン」に統一し、さらにPCにリッピングしたATRAC3ファイルの転送媒体をメモリではなく[[ミニディスク]]にした[[ミニディスク#Net MD|Net MD]]規格・2004年に[[ミニディスク#Hi-MD|Hi-MD]]規格を発表した。
デジタルオーディオプレーヤーは、[[フラッシュメモリ]]に記録するタイプと[[ハードディスクドライブ]] (HDD) に記録するタイプに大きく分けられる。2007年現在ではフラッシュメモリを使用するプレーヤーが世界の出荷台数の9割程度を占める。
 
なお、NW-MS7発売当初から2004年上半期頃までは、付属ソフトの「OpenMG Juke Box(1999年~2001年)」「Sonic Stage」によって、リッピング・[[WAV]]/MP3のATRAC3へのコーデック・[[EMD]]サイトで購入したATRAC3方式のファイルを、記録媒体の「マジックゲート[[メモリースティック]]」・「シリコンメモリー」「Net MD」へ'''チェックイン'''操作(任意のマジックゲート対応の1媒体へのみコピーが可能)で音楽ファイルを転送し、その転送先で不要になった音楽ファイルはチェックイン操作をした同じPCのソフト上で'''チェックアウト'''操作をする事でコピーしたデータが削除され再びソフト上でチェックインが可能となる方式だった。この強固な著作権保護技術によって、当初は著作権の私的範囲内でもOpen MGで暗号化されたATRAC3ファイルのバックアップが一切不可能など制約が多かった。これは、後にアップグレードによって改善・弾力化された。
近年、HDDの低価格化などから大容量のMP3プレーヤーが増えてきており、また、じわじわと市民権を得た事もあって、国内外で、特に[[ミニディスク|MD]]が利用されていない地域で多く利用されている。また、低価格化、小型化も進み、最近は[[ラジオ#FM放送(超短波放送)|FMラジオ]]が聞けるMP3プレーヤーや、[[ボイスレコーダー]]搭載などの多機能製品も出回っている。
 
[[エイベックス]]や[[ソニー・ミュージックエンタテインメント (日本)|ソニー・ミュージックエンタテインメント]](音楽レーベル事業部、現・[[ソニー・ミュージックレーベルズ]])などのレコード会社は、ネットによる[[海賊版|違法コピー]]対策として[[コピーコントロールCD]](CCCD)を開発し、パソコンに曲をコピーできない仕様の[[コンパクトディスク|CD]]を販売してきたが、MP3プレーヤーに曲を取り込めないという弊害もあり、特に[[ソニーBMG製CD XCP問題]]は世界中で不評を招いた。その後は、各社ともMP3プレーヤーの普及に合わせてコピーコントロールCDから撤退していった。
*[[ラジオ#AM放送(中波放送)|AMラジオ]]は、[[ノイズ]]が乗りやすく、プレーヤーに内蔵するとラジオ側がプレイヤー側のプロセッサなどが発するデジタルノイズの影響を受けやすいことや、[[バーアンテナ|アンテナ部分]]の小型化がネックとなるために搭載するのが難しい。しかし、[[トーク番組]]や[[バラエティ番組]]、[[プロ野球]]や[[大相撲]]、[[競馬]]などの[[スポーツ中継]]などは、ほとんどがAM放送であり、それらをよく聴く[[リスナー]]にとっては、AMラジオが搭載されていないことに対して不満の声もある<ref>2014年より[[FM補完中継局|FM補完放送]]が開始されたものの、内蔵チューナーが90.1MHz~94.9MHz帯に対応していることが必要であることや(一部の局を除く)、[[NHKラジオ第1放送]]及び[[NHKラジオ第2放送]]は一部の地域を除いてFM補完放送が実施されていないなどの問題もある。</ref>。<br />なお、デジタルオーディオプレーヤーの中には、[[サン電子]]の[http://talkmaster.jp/ トークマスターシリーズ]や、MP3プレーヤーとしては筐体の大きい[[シャープ]]の[[ミュージックキャリー]]をはじめとする[[ラジオカセットレコーダー|ラジカセ]]タイプ(ステレオ[[スピーカー]]内蔵)の製品など、AMラジオが搭載されているものもある。ラジカセタイプだとAMは外部アンテナがほとんどであるため実現できたといえる。これらラジオ内蔵タイプでは放送録音機能を持つものが多く、語学放送教育番組の録音に特化して時間指定で特定放送局の録音が可能だったり、あるいは、外部マイクや[[ライン (コンピュータ)|ライン]]入力からの本格的な[[録音|生録]]が[[PCM|非圧縮]]で行える製品も見られる。これは[[ICレコーダー]]色の強い製品に多い。そうした製品は、『デジタルオーディオ'''レコーダー'''』とも呼ばれる。<!--、[[ソニー]]製[http://www.sony.jp/products/Consumer/linearpcm-rec/index.html リニアPCMレコーダー]、[[ケンウッド]]製「[http://www.kenwood.co.jp/j/products/home_audio/personal/mgr_a7/ MGR-A7]」、[[三洋電機]]製「[http://www.sanyo-audio.com/icr/ps390rm/index_ps390rm.html ICR-PS390RM]」、[[ローランド]]製「[http://www.roland.co.jp/products/jp/R-09HR/index.html R-09HR]」などが例として挙げられる。-->このほか、[[Android (オペレーティングシステム)|Android]]や[[iOS (アップル)|iOS]]等を搭載してスマートフォンから電話機能を省いた形式のデジタルオーディオプレーヤーもあり、その場合ネット環境([[Wi-Fi]]や[[テザリング]]等)さえあれば[[radiko]]や[[NHKネットラジオ らじる★らじる|らじる★らじる]]のアプリを導入することでAM/FMラジオを聞ける製品もある。また中国などアジア大陸・東南アジア産([[DEGEN]]、[[TECSUN]]など)のメーカーの銘柄によっては、短波放送を受信可能な「マルチバンドレシーバー」タイプのプレイヤーもある。
 
[[ソニー]]は元々独自規格の[[ATRAC3]]専用機を開発・販売し、汎用的なMP3対応機は販売していなかったが、2004年10月に方針転換し、MP3再生に対応する機器の販売を開始した。しかし、2007年頃までは北米・欧州のポータブルプレーヤー市場でのシェアはiPodの6割に対してソニーは1割弱だった。
フラッシュメモリのタイプの特徴としては、小型で軽量、振動に対して音飛びが発生しない、回転部がないために電池の持ちが比較的良いために低電圧の汎用[[乾電池]]で動作する物が多い、などが挙げられる。その一方、メモリそのものの記憶単価が高いことから、メモリ容量は2000年代前半で128MB~4GB程度と小さく、またギガバイトを超える容量の製品は高価になっていた。そのため、デジタルオーディオプレーヤーも2004年頃まではメモリ容量がおおむね64MB~256MB程度にとどまっていた。しかし、フラッシュメモリの大容量・低価格化は急ピッチで進み、デジタルオーディオプレーヤーの分野でも2005年には急激な大容量化が見られた。2005年に登場した[[iPod nano]]は従来の「半導体メモリ=高価」という常識を覆し、当時通常の実売価格が4万~5万円といわれた4GBのフラッシュメモリを用いたモデルを27,800円で発表し、話題をさらった。アップルは[[サムスン電子|サムスン]]から市場価格を大きく下回る価格でフラッシュメモリを仕入れたと言われている。その後もメモリの大容量化は進み、2009年現在では64GBのフラッシュメモリを用いたモデルも登場している。
 
=== 携帯電話・スマートフォンとの融合 ===
HDDのタイプは、2000年前後には大型の2.5インチハードディスクを使用するものがあったが、こちらは携帯というよりはポータブルに近いものだった。2000年代前半には[[マイクロドライブ]]など1.0インチ以下のハードディスクを使用するタイプと5GB~60GBの[[PCカード]]大の1.8インチハードディスクを使うタイプが登場した。
2000年代を通してデジタルオーディオプレーヤーは動画再生などの機能を拡張した[[デジタルメディアプレーヤー]]と共に利用され続けていたが、日本の携帯電話([[フィーチャーフォン]]、俗にいうガラケー)は高機能化により音楽再生機能の搭載が一般的になり、[[ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ]]の音楽再生機能付き携帯電話「ウォークマン携帯」などは2007年1-3月期だけで1890万台(世界)を販売するなど、台数ベースでは単独デジタルオーディオプレーヤーを大きく上回る状態になっていた。新規に発売されるほとんどの日本の携帯電話機種が音楽ファイルをダウンロード・再生する機能を備えるようになったため、その後音楽再生機能に特化した[[音楽携帯]]というカテゴリ自体は縮小し、動画再生機能、WEB検索や[[ワンセグ]]など別の附加機能がクローズアップされるようになった。
 
2000年代後半以降、アップルの[[iPhone]]をはじめとするスマートフォンが急速に普及していき、[[スマートフォン]]や[[スマートウォッチ]]などに置き換えられるようになっていく。これらの機器は音楽再生はもちろんデジタルメディアプレーヤーのように動画再生が可能なだけではなく、さまざまな[[アプリケーションソフトウェア|アプリ]]をユーザーの目的に沿って導入することができることから、デジタルオーディオプレーヤーは一般のユーザーが耳を楽しませる役割を他の機器に譲っていった。
前者のタイプは容量が少ない代わりに比較的小型軽量で、後者のタイプは大容量だがやや大きくて重くなるという特徴を持つ。また震動やショックに対して損傷の可能性があり、電源負荷が大きいため乾電池での駆動は難しく、専用の[[リチウムイオン二次電池]]と充電器構成を取る。また、USBバスパワーからの充電が可能な製品も多い。2004年~2005年頃で1.0インチ以下で1GB~6GB程度の容量、1.8インチで5GB~60GB程度の容量となっている。2000年代前半は各社ともHDDタイプもラインアップされていたが、2006年以降はフラッシュメモリの大容量化により、各社のラインアップのほとんどがフラッシュメモリタイプとなっている。その他、MP3を納めたフォルダを[[CD-R]]に焼きつけ、そのCDを再生することができるCDプレーヤーもある。
 
スマートフォン向けに[[YouTube Music]]のアップロード機能<ref>[https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2003/10/news084.html YouTube Music、ようやく音楽アップロードが可能に(もうすぐさよならGoogle Play Music)]ITmedia 2020年3月10日</ref>・[[Google Play Music]]のロッカー機能などのクラウドサービスも登場した。
最近では、[[携帯電話]]などでもMP3が再生出来る機器が標準化されており、ハードディスクや大容量フラッシュメモリーを内蔵させ、MP3再生を主にした携帯電話も出てきており、これら携帯電話がMP3プレーヤーとしてのシェアを上げてきている。
 
[[スマートフォン]]自体に音楽機能が備わっているため、音質や電池消費などの使い分ける理由が無い限り、画面が小さくレスポンスの悪い事が多いオーディオプレーヤーはニッチジャンルとなった。また[[iPod touch]]など「電話のできないスマートフォン」型のものも登場した。スマートフォンの発展を追い風に、2010年代になると、半導体などが安価、高速、小型、低発熱になり、例えば[[Android (オペレーティングシステム)|Android]]など高機能なOSを搭載することが可能となった。これらの高機能なプレーヤーは[[無線LAN]]でインターネットに接続してブラウジングしたり、音楽をダウンロードしたり、各種アプリケーションを追加して機能を増やすことが可能となっているものが多い。Android搭載のウォークマンは、音楽や動画のストリーミングサービスを高音質で利用できることがアピールされた。これらプレーヤーとスマートフォンの異なる点としては、[[W-CDMA|WCDMA]]や[[Long Term Evolution|LTE]]などの[[無線アクセス|無線WAN]]機能をオーディオプレーヤーは持っておらず、外出先ではインターネットに接続できなかったり、スマートフォンのように電話をかけたりすることはできない。
従来は「振動に強い」や「音飛びしにくい」との理由からポータブル型の機器が好まれたが、MP3や[[Windows Media Audio|WMA]]フォーマットの音楽ファイルをパソコンに溜め込む人の増加や、音楽CDを一々プレーヤーから出し入れするのが面倒といった需要もあって、BGMの連続再生などを行える、大容量の記憶媒体を搭載した据え置き型の機器や、[[無線LAN]]を経由してパソコンの内部の音楽・動画ファイルを再生できる機器も登場している。
 
また[[Android (オペレーティングシステム)|Android]]や[[iOS]]等を搭載しているため、ネット環境([[Wi-Fi]]や[[テザリング]]等)さえあれば[[radiko]]や[[NHKネットラジオ らじる★らじる|らじる★らじる]]のアプリを導入することでAM/FMラジオを聴くことができる。
[[エイベックス・グループ|エイベックス]]や[[ソニー・ミュージックエンタテインメント (日本)|ソニー・ミュージックエンタテインメント]]などのレコード会社は、ネットによる[[海賊版|違法コピー]]対策として[[コピーコントロールCD]]を開発し、パソコンに曲をコピーできない仕様の[[コンパクトディスク|CD]]を販売してきたが、MP3プレーヤーに曲を取り込めないという弊害もあり、特に[[ソニーBMG製CD XCP問題]]は世界中で不評を招いた。その後は、各社ともMP3プレーヤーの普及に合わせてコピーコントロールCDから撤退していった。
 
デジタル機器の所有傾向の変化によりパソコンなしでの音楽取り込みのニーズが高まり、パソコンを介さずにCD取り込みを行えるCDドライブや、レコードやカセットなどのアナログ音源を取り込めるケーブルも発売されている。
[[ソニー]]は元々独自規格の[[ATRAC3]]専用機を開発・販売し、汎用的なMP3対応機は販売していなかったが、2004年10月に方針転換し、MP3再生に対応する機器の販売を開始した。しかし、2007年頃までは北米・欧州のポータブルプレーヤー市場でのシェアはiPodの6割に対してソニーは1割弱だった。
 
アップルは2017年のshuffle、nanoの販売終了に続き、2022年の[[iPod touch]]の販売終了を最後にiPodの歴史に幕を下ろした<ref>{{Cite web|和書|url=https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1408206.html|title=約20年におよぶ「iPod」の歴史に幕。iPod touchが在庫限りで販売終了|publisher=PC Watch|date=2022-05-11|accessdate=2022-05-11}}</ref>。
近年でも米・欧州では依然iPodシリーズが市場を席巻しているが、日本国内に限ればソニーが再びシェアを拡大する傾向も見られ、2010年12月~2011年上半期(1月~6月)はウォークマンの台数シェアが5割を超えている。また中国や韓国等のアジア市場ではMP3プレーヤーの普及初期から[[アイリバー]]、[[COWON|コウォン]]、[[アイゴー]]などの地場メーカーのシェアが圧倒的に高い。
 
=== コモディティ化 ===
スマートフォン普及の一方で廉価なデジタルオーディオプレーヤーは[[コモディティ化]]し依然として販売されているほか、また[[PND|携帯型ナビゲーションシステム]]や[[デジタルフォトフレーム]]など何等かの機器の付加機能として組み込まれていたりしており、他方では熱狂的に優れた音響機器を欲する[[オーディオマニア]]向けの[[ハイレゾリューションオーディオ]]に対応した高価なデジタルオーディオプレーヤーも依然として新製品が市場に投入され続けている。
 
2018年頃からは、[[ハイレゾリューションオーディオ|ハイレゾ]]対応を謳った音楽プレーヤーも安価に登場し始め、一例を上げればウォークマンでは最も安いグレードを除いてハイレゾ対応するといった実態になっている。しかしハイレゾとそれ以外の違いがわからないというユーザーも多かった。
 
== 市場の動向 ==
=== 日本の市場動向 ===
[[日本における携帯電話|日本の携帯電話]]は2000年代時点で多機能化が進み、MP3が再生出来る機器が増加し、これら携帯電話がMP3プレーヤーとしても利用された。MP3再生を主にした[[音楽携帯]]も存在した。
日本では、2002年8月から2010年7月まで、8年間にわたって[[アップル (企業)|アップル]]の[[iPod]]が月間販売台数シェアの1位を独占していた<ref>[http://bcnranking.jp/news/1009/100921_18179p1.html]</ref>。しかし2010年後半以降ウォークマンのシェアも拡大しつつあり、[[GfK|GfK Japan]]の2010年の年間台数シェア調査によると、日本のデジタルオーディオプレーヤー市場はアップルのiPodが約55%、[[ソニー]]の[[ウォークマン]]が約40%を占めていた<ref>参考:[http://www.gfkjpn.co.jp/news/update/GfKJapanCertified2010/detail_rank/home_electronics.html GfK Japan Certified]</ref>。このように日本市場では両社が大部分のシェアを占めている。かつては[[ケンウッド]]の[[Media Keg]]シリーズなどの競合製品も展開されていた。
 
日本では、2002年8月から2010年7月まで、8年間にわたって[[Apple]]の[[iPod]]が月間販売台数シェアの1位を独占していた<ref>[https://www.bcnretail.com/news/detail/100921_18179p1.html 携帯オーディオ、2010年8月の月間トップはソニー、新iPod登場の9月は?]</ref>。ウォークマンがそれに続き、その他の国内メーカーでは[[ケンウッド]]の[[Media Keg]]シリーズなどの競合製品も展開されていた。
 
2014年頃から「格安スマホ」として日本でも[[SIM]]フリースマートフォンが普及。[[Amazon.com|Amazon]]などのオンラインショッピングでいわゆる[[SIMフリー]]スマートフォンがこれらのオーディオプレーヤーとほぼ互角の価格で販売されるようになった。
 
AppleのiPhoneへの注力に伴い、ウォークマンのシェアも復調。[[GfK|GfK Japan]]の2010年の年間台数シェア調査によると、日本のデジタルオーディオプレーヤー市場はアップルのiPodが約55%、[[ソニー]]の[[ウォークマン]]が約40%を占めていた<ref>参考:[http://www.gfkjpn.co.jp/news/update/GfKJapanCertified2010/detail_rank/home_electronics.html GfK Japan Certified]</ref>。
<!--
しかし、[[トーク番組]]や[[バラエティ番組]]、[[プロ野球]]や[[大相撲]]、[[競馬]]などの[[スポーツ中継]]などは、ほとんどがAM放送であり、それらをよく聴く[[リスナー]]にとっては、AMラジオが搭載されていないことに対して不満の声もある<ref group="注">2014年より[[FM補完中継局|FM補完放送]]が開始されたものの、内蔵チューナーが90.1MHz~94.9MHz帯に対応していることが必要であることや(一部の局を除く)、[[NHKラジオ第1放送]]及び[[NHKラジオ第2放送]]は一部の地域を除いてFM補完放送が実施されていないなどの問題もある。</ref>。
 
近年、HDDの低価格化などから大容量のMP3プレーヤーが増えてきており、また、じわじわと市民権を得た事もあって、国内外で、特に[[ミニディスク|MD]]が利用されていない地域で多く利用されている。
 
2009年現在では64GBのフラッシュメモリを用いたモデルも登場している。
 
近年でも米・欧州では依然iPodシリーズが市場を席巻しているが、日本国内に限ればソニーが再びシェアを拡大する傾向も見られ、2010年12月~2011年上半期(1月~6月)はウォークマンの台数シェアが5割を超えている。また中国や韓国等のアジア市場ではMP3プレーヤーの普及初期から[[アイリバー]]、[[COWON|コウォン]]、[[アイゴー]]などの地場メーカーのシェアが圧倒的に高い。-->
 
=== 韓国の市場動向 ===
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デジタル音楽の再生機能は、単体プレーヤー以外にも、旧来のPDAや携帯電話にも搭載されつつある。携帯電話の世界的大手である[[ノキア]]は2006年4-6月期だけで、1,000万台を超える音楽対応デバイスを販売しているほか、[[ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ]]は2007年1-3月期だけで1890万台を世界市場で販売した。
 
旧来の[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]と[[インターネット]]を使った音楽購入とデジタル音楽プレーヤーによる視聴以外に、携帯電話を用いた音楽の販売と視聴も、[[コンパクトディスク|CD]]の販売額を徐々に落ち込ませるほどに広がりつつある。<ref>{{Cite web|和書|title=CDの売上不況によるCDショップ衰退、減少の行方はどうなるのか|url=https://landgather.com/cdshop|website=Landgather|date=2017-09-08|accessdate=2021-07-01|language=ja}}</ref>これはスマートフォンで[[モバイルブロードバンド]]の利用が容易になり、音楽の保存に使えるデータ領域も多くなり、更には近年人気の高い各種[[ストリーミング]]サービスなどが各社より数多く展開されているということ、および音楽プレーヤーには[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]が必要であり、パソコンの不要なプレーヤーは価格が高く普及していないことが背景にある。
 
== 主なメーカー ==
251 ⟶ 255行目:
代表製品シリーズのみを掲載する。
 
*[[アップル (企業)|アップル]] - [[iPod shuffle]]、[[iPod nano]]、[[IPod|iPod classic]]、[[iPod touch]]
*[[ソニー]] - [[ウォークマン]] Wシリーズ、Eシリーズ、Sシリーズ、Aシリーズ、Fシリーズ、Zシリーズ、NWシリーズ
*[[アイリバー]] - [[Astell&Kern]] KANN、AK70 MK II、SP1000、SE100、SR15など
*[[パイオニア]]([[オンキヨー&パイオニア|オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン]]) - Private XDP-30R、XDP300R、XDP-20など
*[[オンキヨー]](オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン) - rubato DP-S1、DP-X1Aなど
*[[ティアック]] - HA-P90SD
*[[Cowon]]([[iAUDIO]]) - PLENUEシリーズなど
267 ⟶ 268行目:
 
=== 事業撤退 ===
*[[Apple]] - [[iPod shuffle]]、[[iPod nano]]、[[IPod|iPod classic]]、[[iPod touch]]
*[[日本ビクター]] - [[alneo]](サポートはJVCケンウッドが継続)
*[[東芝]](家電事業部、現・[[東芝ライフスタイル]]) - [[gigabeat]] Uシリーズ、Tシリーズ、Vシリーズ(サポートのみ継続)
*[[シャープ]] - MPシリーズ、イーミューゼ
*[[SIREN (企業)|SIREN]](サポートはアイリバーが継続)
276 ⟶ 278行目:
*[[Rio (オーディオ)|リオ・ジャパン]]
*[[アドテック]](mpioジャパンに事業移管)
*[[アイワ]](サポートは初代法人、現・ソニーが継続マーケティング
*[[バーテックスリンク]](COWONジャパンに事業移管)
*[[NHJ]] Che-ez R.A.P.,V@MP(サポートはシーグランドが継続)
*[[シーグランド]] - [[X-CUTE]](破産)
*[[パナソニックホールディングス|松下電器産業]] →[[パナソニック]](初代法人) - [[D-snap]]([[VIERA#VIERAワンセグ|ビエラ・ワンセグ]]がD-snapの機能を持つため事実上の後継となる)
*[[オリンパス]](現・[[OMデジタルソリューションズ]]) - m:robe([[ICレコーダー]]の[[オリンパス・ボイストレックシリーズ|Voice-Trek → OM SYSTEM WSシリーズ]]、および[[リニアPCMレコーダー]]のLSシリーズ → OM SYSTEM LSシリーズに機能統合)
*[[富士通パーソナルズ]] - CuPlay
*[[アイ・オー・データ機器]] - Hyper-Hyde
287 ⟶ 289行目:
*[[Archos]] - Jukeboxシリーズ、Ondioシリーズ等
*[[ソースネクスト]] - ミュージック速DISK
*[[日立マクセル]](コンシューマー事業部、現・[[電響社]] [[マクセル|マクセル事業本部]])
*[[日立マクセル]]
*[[TDK]](TDKマーケティング) - MOJO
*[[AXIA|富士フイルムアクシア]] - [[ZeroCORE]]
*NAPA - MCD380,DAV315
*NextWave - TW-Fシリーズ
302 ⟶ 304行目:
*[[アプライド]] - MBMP-7
*アイ・テック - CDS-U2 (QTEC)
*[[パイオニア]]([[オンキヨー&パイオニア|オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン]] → [[オンキヨーホームエンターテイメント]]) - Private XDP-30R、XDP300R、XDP-20など
*[[オンキヨー]](オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン → オンキヨーホームエンターテイメント) - rubato DP-S1、DP-X1Aなど
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist2}}
=== 出典 ===
<references />
 
318 ⟶ 325行目:
{{Computer sizes}}
 
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:てしたるおおていおふれいやあ}}
[[Category:デジタルオーディオプレーヤー|*]]
[[Category:デジタルオーディオ]]
[[Category:携帯型プレーヤー|*]]
[[Category:パソコンの周辺機器]]