「漫画」の版間の差分
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{{
{{Redirect2|マンガ|コミック}}
'''漫画'''(まんが、{{Lang-en|comic}}
[[日本]]では[[明治]]時代に輸入された"comic"、"cartoon"<ref group="注">[[日本漫画家協会]]の英称はTHE JAPAN CARTOONISTS ASSOCIATIONであり、[[マンガ大賞]]の英称もCartoon grand prizeである。</ref>の[[日本語]]訳として「'''漫画'''」という言葉を[[北澤楽天]]や[[今泉一瓢]]が使用したことに始まって以後、漫画はcomicと同義として扱われる
== 漫画の形式 ==
[[ファイル:Petit Sammy éternue.jpg|thumb|alt=Little Sammy Sneeze strip|270px|right|<span style="font-size:90%;">[[ウィンザー・マッケイ]] 『Little Sammy Sneeze』([[1905年]])</span>]]
漫画は、現時性と線上性とが複合した一連の[[絵]]である。現時性とは「その
漫画は、'''簡略化'''と事象の'''抽象化'''が特徴とされる。現代漫画は、[[映画]]などの影響を受けて[[20世紀]]に世界的に発展した、ストーリーのある「[[コマ (映画・漫画)|コマ]]割り漫画」の
=== 定義 ===
# [[視覚]]情報を絵として提示する(文章による説明ではない)。
# 絵は話の展開を動的に描写し、情報の本質部分を占める([[挿絵]]とは異なる)。
# 聴覚情報は人物のセリフは文字として、音が擬音として表現される。ただし、音楽は擬音ではなく絵や[[コマ (映画・漫画)|コマ]]の行間のようなもので表現される場合が多い。
# [[
漫画では情景や人物の動作などは情報伝達の際に、その絵を提示する
本記事においては漫画と表記されているが、「'''マンガ'''」や「'''まんが'''」と表記される場合、これらの表記は意図的に用いられている場合もある。ただし個々の[[評論家]]や[[研究者]]によって定義は異なる。
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|絵を提示|| style="white-space:nowrap;" |声は読み手の発声<br/>音は読み手の発声による文章表現か擬音||静的・挿絵的
|-
! 絵画・イラスト
|絵を提示||なし||静的
|}
=== 語源 ===
{{Wiktionary|漫画}}
{{Main|[[日本の漫画#語源|日本の漫画]]}}
「漫画」という言葉は、字義的には「気の向くままに漫然と描いた画」という意味である。語源は
明治時代になると、[[今泉一瓢]]が"caricature"や"cartoon"の訳語として「漫画」を用いた。[[北澤楽天]]は"comic"の訳語として「漫画」を使用し、以降はこの意味が「漫画」の
==== 各言語における漫画の呼び名 ====
[[英語]]でコマ割り漫画を意味する
英語の
一方、漫画に対して英語の
[[フィンランド語]]の
[[スペイン語]]では、アメリカンコミックのようなストーリー性のあるものはそのまま
*'''tebeo'''
[[イタリア語]]では漫画は
[[中国語]]圏や[[韓国語]]圏では、日本から輸出された「漫画」の表記のそれぞれの現地発音による「'''{{lang|zh|漫画}}'''」(台湾と香港では「'''{{lang|zh|漫畫}}'''」)([[中国の漫画|マンホア]])や
[[エスペラント語]]では漫画一般を指す言葉として、bildo(画像)とliteraturo(文学)を組み合わせた言葉
日本では、一般に「漫画」「マンガ」「まんが」「コミック」などと呼称されている。古い呼び方としては、日本初の漫画雑誌[[ジャパン・パンチ]]に由来する「ポンチ」という名が[[明治]]から[[大正]]年間にかけて使用されていた<ref>「マンガ文化 55のキーワード」(世界文化シリーズ別巻2)p4-7 竹内オサム・西原麻里編著 ミネルヴァ書房 2016年2月25日初版第1刷発行</ref>。その名残で、出版業などビジネス界では、漫画絵のことを「ポンチ絵」とも呼称している(製造業ではポンチ絵はラフ(簡単な絵の概略構想図)の
== 歴史 ==
漫画発祥の時期と場所については、
=== 古代と中世 ===
戯画的漫画・落書きは、その大衆的性格から(また時に体制批判的な内容から)、[[美術]]が権力者や[[宗教]]に従事していた古代や中世には、積極的に残される努力はされなかった。それ
また、宗教において写本画のごくごく目立たない部分に落書きがあったり、後期中世を通じて大量に流布していた木版画には、民衆的ユーモアを確認することができる。日本の仏典の端には、写学生の気晴らしと思われる漫画などが
=== 近世 ===
[[ルネサンス美術]]は、
[[ファイル:The Rake's Progress 8.jpg|thumb|200px|ウィリアム・ホガースによる連作『The Rake's Progress(道楽者のなりゆき)』([[1733年]])の最後の一枚]]
「コミック・アートの歴史」を著したR.
漫画の形式を備えていると
それらの中でも、当時の政治を風刺したローランドソンの1784年の作品『The loves of the fox and the badger, or the coalition wedding』は、キャプション、フキダシ、きちんと展開するコマ形式を備えた
=== 19世紀 ===
[[ファイル:Jabot 1833 p 27.jpg|thumb|200px|[[ロドルフ・テプフェール]]による絵物語『Histoire de monsieur Jabot(ジャボ氏物語)』([[1833年]])]]
[[スイス]]の[[ロドルフ・テプフェール]]は、19世紀前半の漫画史における重要人物である。コマ絵とその下に添えられた文から
1845年に、テプフェールは著書『Essai de Physiognomonie(
美術史家[[エルンスト・ゴンブリッチ]]は、テプフェールを新たな絵画言語の発明者として認識している。これは読者自身の想像力によって補われる、省略された表現形式であった。
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デイヴィド・カンズル(アメリカ)やティエリ・グルンステン(フランス)などの漫画史の研究者によれば、テプフェールは現代的な意味でのコマ漫画([[コミック・ストリップ]]、[[バンド・デシネ]])という表現形式を事実上発明した人として評価され、「コマ漫画の父」とも呼ばれている。
[[ファイル:SubstanceandShadow.jpg|thumb|200px|
19世紀には、新聞紙上での風刺漫画が人気を博した。1841年、イギリスで風刺漫画雑誌『[[パンチ (雑誌)|パンチ]]』が創刊された。1843年に、『パンチ』は当時フレスコ画の下絵(カートゥーン)展示会を行っていたイギリスの国会議事堂を揶揄して、誌上に掲載された[[風刺漫画]]を「[[カートゥーン]]
1865年に、ドイツでヴィルヘルム・ブッシュによる『[[マックスとモーリッツ]]』が新聞紙上で発表された。この絵物語は漫画の重要な先駆作品であると考えられている。この頃から[[中国]]では漫画の形式が整い始め、1927年には完成した。
1884年にイギリスで雑誌形式により出版された『アリー・スローパーの半休日』は、特定の主人公(アリー・スローパー)による最初の連載漫画として評価されている。1890年には、イギリスで
一般的な基準による、特定の登場人物が登場する最初の成功した連載漫画は、アメリカのリチャード・F・アウトコールトによる連載一コマ漫画『[[ホーガンズ・アレイ]]』(1896年)か、ドイツ系アメリカ移民のルドルフ・ダークスによる連載コマ漫画『カッツェンジャマー・キッズ』(1897年)であった<ref>「アメリカン・コミックス大全」p12 小野耕世 晶文社 2005年11月20日初版</ref>。『ホーガンズ・アレイ』の主人公であるイエロー・キッドの人気は連載された新聞の売り上げ拡大に貢献し、その
=== 20世紀 ===
アメリカ合衆国において漫画を示す用語である「コミックス
1929年に、アクション漫画である『バック・ロジャーズ』と『[[ターザン]]』の連載開始により、コミックはその分野を拡大し始めた。
その
現在のアメリカン・コミックス形式で出版された最初の漫画は、日曜版のタブロイド判サイズを半分にした判型による
1935年までの漫画は、主に当時の[[パルプ・マガジン|パルプ雑誌]]に影響された独自の素材を利用していたが、この
アメリカでは1938年に、『[[アクション・コミックス]]』第1号で[[スーパーマン]]が初登場し、[[アメリカン・コミックス]]の黄金時代と呼ばれる期間が到来した<ref>「アメリカン・コミックス大全」p15 小野耕世 晶文社 2005年11月20日初版</ref>。また同年にベルギーでは、[[バンド・デシネ]]の特徴である週刊形式の漫画雑誌『[[スピルー]]』が創刊された<ref name="#1"/>。しかし[[第二次世界大戦]]後に俗悪コミックへの反対運動が激化し、これを受けて1954年に[[コミックス倫理規定委員会]]が設立されて「トータルデザスター(総破壊)」と呼ばれる厳しい規制が導入された結果、アメリカの漫画産業は
アメリカでは、第二次世界大戦期以降、高等教育を受けておらず社会経験が少ない新兵向けの副読本として、任務中の注意点や生活規範などを解説した漫画が軍主導で多数企画され、[[ウィル・アイズナー]]などのコミック作家が請け負っていた(英語版記事「[[:en:PS, The Preventive Maintenance Monthly|PS]]」参照)<ref group="注">
日本では、第二次世界大戦後の漫画の表現技法が
▲アメリカでは、第二次世界大戦期以降、高等教育を受けておらず社会経験が少ない新兵向けの副読本として、任務中の注意点などを解説した漫画が軍主導で多数企画され、[[ウィル・アイズナー]]などのコミック作家が請け負っていた(英語版記事「[[:en:PS, The Preventive Maintenance Monthly|PS]]」参照)<ref group="注">なお、同様にアニメーション業界でも銃器の取り扱いを学ぶ学習アニメなどが多数制作された。これらは終戦後には廃れており、幼児教育向けのみが残っている。</ref>。
▲日本では、戦後の漫画の表現技法が後の漫画家たちに大きな影響を与え、現在まで日本の漫画の表現技法として定着している<ref>日本の漫画と西洋漫画の違いを[[山藤章二]]は『ヘタウマ文化論』([[岩波新書]])p.159で“日本漫画のそれは、筆の運びが持つ「徘味」と「描いてないところを想像させる空間の面白さ」と言った、いわば「落語の間(ま)に通ずる空気感があるのです。/西洋漫画のそれは、「面白い所(アイデア)は描く」のです。描かないで読者の想像力にまかせる、ということはほとんどない、文化の違いでしょう。”と書いている。</ref>。日本の漫画の歴史については、「[[日本の漫画]]」「[[日本の漫画の歴史]]」項を参照。
== 各国の漫画 ==
世界各国で漫画は発行されているが、なかでも[[日本]]・[[アメリカ]]・[[フランス]]の3
[[アメリカン・コミックス]]は、新聞漫画である[[コミック・ストリップ]]と、大手出版社から[[コミック・ブック]]形式で発行されるメインストリーム・コミック、そして独立系出版社の[[オルタナティヴ・コミック]]とに分かれる<ref
フランスの漫画は[[バンド・デシネ]]と総称され、これにはフランスのみならず、[[ベルギー漫画]]などフランス語圏諸国のものが含まれる<ref>「はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド」 (玄光社MOOK) p18 原正人監修 玄光社 2013年7月7日初版発行</ref>。フランスでは「第9の芸術」と呼ばれることもあり、エンターテイメント性の高いものが中心ではあるが、技巧や芸術性の高いものも存在する<ref>「はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド」 (玄光社MOOK) p15 原正人監修 玄光社 2013年7月7日初版発行</ref>。
世界的にはカラーが主流であるが、[[日本の漫画]]は
その
== 産業 ==
産業としての漫画の市場規模は、日本が突出して大きく、他国の数倍以上の規模を持っている。アメコミ・マンガ・バンドデシネなどすべての漫画を含めた2008年度の漫画の売り上げは、日本が
漫画は単体のみならず、[[アニメ]]や[[映画]]のコンテンツ供給源としても重要である<ref
日本では漫画家1人か作画とシナリオの2人に[[アシスタント (漫画)|アシスタント]]が補助するスタイルで制作され、作家個人の才能に依存するという意識が強いが、近年では[[アニメ制作会社|アニメーション制作]]や[[アメリカン・コミックス]]のようにプロット、シナリオ、ネーム、下書き、背景、彩色などを分業化したスタジオ形式で制作される例もある<ref>{{Cite web|和書|title=あのDMMがWebtoon事業に参入、本気の資本と戦略ではじまるGIGATOON!代表取締役とCOOインタビュー |url=https://natalie.mu/comic/pp/gigatoon |website=コミックナタリー |accessdate=2023-03-03 |language=ja |author=三木美波 |date=2022-03-15}}</ref>。
== 脚注 ==
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{{ウィキポータルリンク|漫画}}
{{ウィキプロジェクトリンク|漫画}}
{{wikt|漫画|en:comic}}
* [[漫画作品一覧]]
* [[漫画家一覧]](世界の漫画家)
* [[日本の漫画家一覧]]
* [[漫画家]]
* [[漫画原作]]
* [[漫画雑誌]]
* [[漫画情報誌]]
180行目:
* [[図像資料]]
* [[オルタナティヴ・コミック]]
* [[つけペン]]
* [[マンガ・アニメミュージアム]]
* [[マンガサミット]]
* [[漫画喫茶]]
* {{prefix}}
* {{prefix|まんが}}
* {{prefix|マンガ}}
* {{prefix|コミック}}
* {{prefix|comic}}
== 外部リンク ==
* {{Kotobank}}
* [https://rnavi.ndl.go.jp/jp/guides/post_900.html マンガについて調べる] - 調べ方案内([[国立国会図書館]])
{{イラストレーション}}
{{美術}} {{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:まんか}}
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