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[[ファイル:Liberian flag on Mol Pride.jpg|サムネイル|リベリアで登録されている商船三井のMOL PRIDE]]
'''便宜置籍船'''(べんぎちせきせん、{{lang-en-short|flag of convenience ship
== 概要 ==
船主は所有船を国家に登録しなければならない([[船籍]])。船主の国籍が所在する国家に船籍登録するのが本来である。しかし、外国国籍の船主による船籍登録を認めている国家(オープン・レジストリー)があり、そのような国に便宜的に船籍登録するのが便宜置籍船である。外国の船主が船籍国へ直接に船籍登録する単純な方式のほか、実質的な船主が出資して、船を所有するためだけの実態を持たない[[ペーパーカンパニー]]を置籍国に設立して名目上の船主とする方式が広く用いられる。船舶の所有・置籍に課す
便宜置籍船の歴史は、[[1910年代]]に[[スペイン]]や[[アメリカ合衆国]]の商船が、本国の課税や法規制を逃れるために[[パナマ]]に船籍登録したことに始まる。パナマ政府も便宜置籍船による外国船誘致に着目し、[[1925年]]に外国船主による船籍登録を広く認めた。第二次世界大戦後に[[リベリア]]もパナマと同様に外国船籍誘致政策を執り、[[1949年]]に[[ギリシャ]]系の船主が最初のリベリア船籍の便宜置籍船を登録した。
日本では、[[ニクソンショック]]以降の[[1970年代]]、大手
'''便宜置籍国'''・'''便宜置籍船国'''としては、パナマやリベリアの他に、[[バハマ]]、[[マルタ]]、[[キプロス]]などの小国が同様の政策を執り、利用されている。加えて[[アンティグア・バーブーダ]]、[[カンボジア]]、[[キリバス]]、[[ジョージア (国)|ジョージア]]、[[セントビンセント・グレナディーン]]、[[ツバル]]、[[モンゴル国]]、[[ベリーズ]]、[[ホンジュラス]]、[[ボリビア]]、[[シエラレオネ]]なども便宜置籍国である<ref>[http://www.itfglobal.org/flags-convenience/flags-convenien-183.cfm FOC Countries International Transport Workers' Federation] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20100718210353/http://www.itfglobal.org/flags-convenience/flags-convenien-183.cfm |date=2010年7月18日 }}</ref>。[[モンゴル国]]と[[ボリビア]]は、海岸線を領土に持たない[[内陸国]]である。
便宜置籍船国は
パナマについては、[[マヌエル・ノリエガ|ノリエガ将軍]]が[[アメリカ合衆国|米国]]と対立した際、パナマ籍船にも何らかの制裁が課されるのでは、との思惑から、船主がその支配船の籍を他の国に移す動きもあった。
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== 問題点 ==
[[旗国主義]]との関係で、実質的な船主の国の法規制が便宜置籍船には原則として及ばない。そのため、一部の船主がこの制度を悪用して、乗組員の処遇を他の国と比較して極端に低く抑えたりすることが国際的に問題となっている。先進国の船主が便宜置籍船を利用して自国の法規制を逃れて商船の運用コストを抑えているところ<ref>{{Cite web|和書|url=http://globalnewsview.org/archives/6772|title=「船の墓場:南アジア」|accessdate=2018-05-03|publisher=Global News View (GNV)}}</ref>、自国海運の育成を図る発展途上国は、船籍国の資本参加や船籍国民の乗船を船籍登録の要件として便宜置籍船の規制を強化することで先進国の国際競争力を削ごうとしたが、[[#国際法上の位置付け]]で前述のとおり、1986年に採択された船舶登録要件に関する国際連合条約では現状が追認された<ref name="kariyaku" />。
管理・監督が甘い便宜置籍船国
| url = http://krorma.com/20131129-2/
| archiveurl = https://web.archive.org/web/20131229140049/http://krorma.com/20131129-2/
| title = カンボジアニュース―欧州、カンボジア水産物輸入禁止
| publisher=カンボジア クロマーマガジン
| date = 2013-11-29
| accessdate = 2013-12-28
| archivedate = 2013-12-29
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}}</ref>などさまざまな問題が起きている。ブラック・リストの便宜置籍船国 ([[旗国]])に登録された船は[[サブスタンダード船]]である比率が非常に高い。結果として国際条約を順守していない[[サブスタンダード船]]として[[ポートステートコントロール]]から出港停止命令を受ける船が多い。
便宜置籍船は主に外航海運で注目されているが、漁業においても国際漁業協定に加盟していない国に船籍を置くことによって<ref>{{Cite news|url=http://www.oprt.or.jp/news_0524.html |title=不買指導対象の前歴FOC中国船名等を公表 前歴カンボジア、フィリピンの2隻=水産庁 前歴FOCのパナマ船、ICCATで問題に |date=2013-05-24 |publisher=日刊かつお・まぐろ通信}}</ref>、捕獲規制対象になっている魚種を捕獲している便宜置籍船が存在しており、国際的な問題になっている<ref>{{Cite news|url=http://www.cambodiadaily.com/news/eu-fish-ban-blamed-on-cambodian-flagged-vessels-48065/ |title=EU Fish Ban Blamed on Cambodian-Flagged Vessels Hruby, Denise |date=2013-11-28|language=en |publisher=The Cambodia Daily}}</ref>。
経済制裁を回避する手段に用いられている問題もある。[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]が登録料や税金を安く設定し、外国船舶に北朝鮮船籍を認めるビジネスを行っており、元手要らずで毎年更新料という定期的な外貨稼ぎが見込めるため、[[国際連合]]の[[経済制裁]]下で外貨収入が先細る北朝鮮が好んでいる。また、北朝鮮が[[タンザニア]]など逆に外国の船籍を取得して、複数の便宜置籍船舶を運用し、国連制裁で禁止されている密漁や貿易を隠すのに用いていることも判明している<ref>{{Cite news|url=
== 関連書籍 ==
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