「2012年アメリカ在外公館襲撃事件」の版間の差分

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}}
'''2012年アメリカ在外公館襲撃事件'''(2012ねんアメリカざいがいこうかんしゅうげきじけん)は、[[アメリカ合衆国]]で作成された映画"'''Innocence of Muslims'''"([[イノセンス・オブ・ムスリム]])が[[イスラム教]]を侮辱するものとして、これに抗議するため[[エジプト]]や[[リビア]]などアラブ諸国のアメリカの[[在外公館]]が[[2012年]][[9月11日]]以降、次々に襲撃された事件である。一連の襲撃事件で、在リビアのアメリカ領事館では[[クリストファー・スティーブンス]]駐リビア大使ら4人が殺害された。公務中のアメリカ大使が殺害されるのは、1979年に駐[[アフガニスタン]]大使だった{{仮リンク|アドルフ・ダブス|en|Adolph Dubs}}が殺害されて以来のことであった<ref name=mds12091301080000>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120913011527/http://sankei.jp.msn.com/world/news/120913/mds12091301080000-n1.htm
|title=リビアとの絆は不変 「犯人に裁き」とオバマ米大統領
|work=MSN産経ニュース
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エジプト、リビアを発端とした反米デモは他のイスラム諸国にも波及することとなった。また[[スーダン]]では、批判の対象はアメリカだけではなく、[[イギリス]]や[[ドイツ]]などといったヨーロッパ諸国にも向けられた<ref name=OYT1T01243>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120917010518/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120914-OYT1T01243.htm
|title=米大使館襲撃が拡大、スーダンでは英独も標的
|work=YOMIURI ONLINE
48行目:
|accessdate=2012-09-15
|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120917010518/www.yomiuri.co.jp/world/news/20120914-OYT1T01243.htm|archivedate=2012-09-17}}</ref>。各国の治安部隊が在外公館への侵入を許したことは、2010年末からの[[アラブの春]]により強権体制が崩壊した影響で、治安維持能力が低下したことを浮き彫りにした<ref>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120912224020/http://sankei.jp.msn.com/world/news/120913/amr12091301210000-n1.htm
|title=駐リビア米大使殺害 「アラブの春」で治安能力低下
|work=MSN産経ニュース
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== 背景 ==
2011年、アメリカにおいて[[イノセンス・オブ・ムスリム]]という映画が作成される。この映画のうち約14分間の動画が2012年7月、[[YoutubeYouTube]]に投稿され、その中では預言者[[ムハンマド]]が残酷な殺人者であり、また子どもに性的ないたずらを行う、女性関係が派手な好色な人物であると描写されていたほか、ムハンマドを嘘つきとする場面も含まれていた<ref name=TKY201209120499>{{Cite news
|url=http://www.asahi.com/international/update/0912/TKY201209120499.html
|title=駐リビア米大使ら4人死亡 領事館襲撃
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|archivedate=2013-05-23
}}</ref>。当初、アメリカ国内では話題にならなかったが<ref name=cnn35021814>{{Cite news
|url=httphttps://www.cnn.co.jp/world/35021814.html
|title=反イスラム映画の製作者を任意聴取 「非常に協力的」と米当局
|work=CNN.co.jp
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=== 映画を作成した人物 ===
イノセンス・オブ・ムスリムはアメリカ在住のエジプト人のキリスト教系[[コプト正教会|コプト教徒]]や、2010年にイスラム教の聖典である[[クルアーン]]を燃やすなど過激な行動で知られるフロリダ州の{{仮リンク|テリー・ジョーンズ (牧師)|en|Terry Jones (pastor)|label=テリー・ジョーンズ}}牧師らによって作成され<ref>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120913091059/http://mainichi.jp/select/news/20120912k0000e030150000c.html
|title=リビア:短編映画がムハンマド侮辱…米領事館員襲われ死亡
|work=毎日.jp
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|accessdate=2012-09-13
|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120913091059/mainichi.jp/select/news/20120912k0000e030150000c.html|archivedate=2012-09-13}}</ref>、カリフォルニア州で約3ヶ月をかけて撮影された<ref name=mds12091220520003>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120913010501/http://sankei.jp.msn.com/world/news/120912/mds12091220520003-n1.htm
|title=「預言者侮辱」に抗議 領事館襲撃で駐リビア大使ら4人死亡
|work=MSN産経ニュース
104行目:
|accessdate=2012-09-13
}}</ref>。当初はアメリカと[[イスラエル]]の[[二重国籍]]を持つ実業家サム・バシルが[[ユダヤ人]]から500万[[アメリカ合衆国ドル|USドル]](約3億9000万円)の寄付金を募りプロデュースしたとされていたが、のちに[[カリフォルニア州]][[ロサンゼルス]]在住の[[コプト正教会|コプト教徒]]{{仮リンク|ナクラ・バスリ・ナクラ|en|Nakoula Basseley Nakoula}}が製作者であり、バシルとはナクラが使っていた偽名である可能性が高いとされている<ref>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120918070555/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120915-OYT1T00761.htm
|title=「無邪気なイスラム教徒」製作者、任意聴取か
|work=YOMIURI ONLINE
111行目:
|accessdate=2012-09-17
|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120918070555/www.yomiuri.co.jp/world/news/20120915-OYT1T00761.htm|archivedate=2012-09-18}}</ref>。9月15日未明には連邦保護観察当局の任意聴取を求められ、協力的に応じていると報道された<ref name=cnn35021814 />。アメリカ国内の法律では、襲撃事件を起こした件についてナクラや協力者の罪は問えないとされている<ref>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120915235041/http://sankei.jp.msn.com/world/news/120915/amr12091523250010-n1.htm
|title=コプト教徒の映画制作者、任意聴取応じる
|work=MSN産経ニュース
135行目:
|accessdate=2012-09-13
}}</ref>。大使館の壁面に反米スローガンがスプレーで書かれたほか、数十人の若者が壁をよじ登り敷地内に侵入。掲げられていた星条旗を引きずり下ろして火をつけ燃やし、代わりにイスラム系武装組織の旗に似ている黒い旗が掲げられた<ref name=afpbb9504170>{{Cite news
|url=httphttps://www.afpbb.com/articlearticles/politics-/2900361/?pid=9504170
|title=リビア・ベンガジの米領事館が襲撃受ける、カイロの米大使館でも
|work=AFPBB News
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エジプトは[[エジプト革命 (2011年)|2011年の革命]]を経て2012年に民政移管を果たしており、[[表現の自由]]と民主主義という概念にどう対応していくのか問われる事件ともなった<ref name=wsj510579 />。この点に関して、エジプトの[[ムハンマド・ムルシー]]大統領は、「表現の自由、抗議の自由、意見表明は保障されるが、私有・公有の財産や外国の外交使節・公館を攻撃することは許されない」と述べ、大使館に対する攻撃について批判している<ref>{{cite news|url=http://article.wn.com/view/WNATfed7329da7d42f2a07efd2dec72c8d2f/|title=エジプト:モルシ大統領、平和的な抗議行動呼びかけ|date=2012-09-13|author=花岡洋二|newspaper=毎日新聞|publisher=World News Network}}</ref>。
 
9月15日、エジプトの[[ヒシャーム・カンディール]]首相は、エジプトの抗議運動参加者のうち何人かが報酬を受け取ってデモに参加していたと供述していることを明らかにした。また、エジプトの大使館に対する抗議運動は警官隊の出動により15日には沈静化した<ref>{{cite news|url=httphttps://www.cnn.co.jp/usa/35021818.html|title=反米デモ参加者の一部が「報酬受け取る」 エジプト首相|publisher=CNN.co.jp|date=2012-09-16|accessdate=2012-09-18}}</ref>。
 
=== リビア ===
2012年9月11日、リビアの東部ベンガジにあるアメリカ領事館にイスラム厳格派「{{仮リンク|サラフィスト|en|Salafi}}」などを中心とした2000人が押し寄せ、反米スローガンを展開したそして同日午後10時頃、武装した集団が領事館への攻撃を開始し、ロケット弾や自動小銃を乱射しながら大使領事館を囲むコンクリート壁によじ登り、空に向け発砲るなどた後に敷地内に侵入。放火や略奪を行い、ロケット弾を領事館に撃ちこんだ。また領事館の近くにある農場からも携行式ロケット弾が発射された<ref name=afpbb9504170 />。このとき地元の治安当局が領事館の警備を行っていたが、わずか15分で突破され建物内への侵入を許した<ref name="OYT1T01055">{{Cite news|title=駐リビア米大使ら4人殺害される…領事館襲撃で|newspaper=[[読売新聞]]|date=2012-09-12|url=https://web.archive.org/web/20120915031103/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120912-OYT1T01055.htm|accessdate=2012-09-13|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120915040137/www.yomiuri.co.jp/world/news/20120912-OYT1T01055.htm|archivedate=2012-09-15|work=YOMIURI ONLINE}}</ref><ref name=TKY201209130222>{{Cite news
|url=http://www.asahi.com/international/update/0913/TKY201209130222.html
|title=駐リビア米大使殺害、テロの可能性 抗議デモは各地へ
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}}</ref>。
 
事件当時、領事館には{{仮リンク|ショーン・スミス (外交官)|en|Sean Smith (diplomat)|label=ショーン・スミス}}外交官と保安職員1、それにたまたま首都[[トリポリ]]にある大使館から出張で現場に居合わせた[[クリストファー・スティーブンス]]米大使<ref name=CN2012091201001508>{{Cite news
|url=http://www.47news.jp/CN/201209/CN2012091201001508.html
|title=領事館襲撃で駐リビア米大使死亡 「非道」と米大統領
166行目:
|date=2012-09-13
|accessdate=2012-09-13
}}</ref>の3人がおり、いた。領事館内に設けられは緊急時に備えいた鉄製の格子で守られたセーフルームが設けられており、3人は咄嗟にセーフルームに逃げ込んだが群衆により建物放火したことで煙に巻かる事態となった。
 
一方、領事館から約1マイル離れた[[中央情報局|CIA]]施設には、施設の警備等を担たっする[[GRS]](Global Response Staff)6名が駐在しいた6人の保安職員(いずれも元軍人)おり、GRS領事館に閉じ込められた3人の救出に向かい、保安職員1名とった。そしてスミス外交官と保安職員を館内から救出したが、スミス外交官はすでに煙により窒息死していた<ref name=":0">[{{Cite news|url=https://www.washingtonpost.com/world/national-security/timeline-how-the-benghazi-attack-played-out/2014/06/17/a5c34e90-f62c-11e3-a3a5-42be35962a52_story.html?utm_term|newspaper=.503cf3ffe14f]ワシントンポスト紙:|title= Timeline: How the Benghazi attacks played out|language=|date=}}</ref>。またスティーブンス大使は発見できなかった。その後、リビア市民によって意識を失っているスティーブンス大使の姿が撮影されている<ref>{{Cite news
|url=httphttps://www.afpbb.com/articlearticles/war-unrest/2900513/9508967
|title=炎上する領事館内に取り残された駐リビア米国大使、死の真相は
|work=AFPBB News
175行目:
|date=2012-09-13
|accessdate=2012-09-14
}}</ref>。市民によりスティーブンス大使は市民により病院に運ばれたが医師により死亡が確認された。因は煙い込んだことによる窒息死と報告されている<ref name=":0" />
 
その後、GRSは救出作戦により救出された保安職員1名スミス外交官の遺体を乗せた救出チームはすぐ領事館から約1マイル離れたCIA施設に避難したが、武装勢力が正確はCIA施設その場所対しても大規模な襲撃砲撃しかけた。これにより、応戦に当たっていた保安職員2名(前述したGRS救出チーム1名在[[トリポリ]]米大使館から駆けつけた増援より各1名)が武装勢力の砲撃により死亡。救出チームし、GRSの1名が腕に重傷を負傷。なお13日、[[アメリカ合衆国国務長官|アメリカ国務省長官]][[ヒラリー・クリントン]]は、死亡した2名の保安職員は、米海軍特殊部隊[[Navy SEALs]]の元隊員であるタイロン・ウッズ(Tyrone Woods)とグレン・ドハティ(Glen Doherty)であると公に認めた。この事件は[[アルカーイダ]]などの関与が疑われるなど<ref>{{Cite news
 
|url=http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MA8M1K6TTDSM01.html
この事件について、9月13日、[[アメリカ合衆国国務長官|アメリカ国務省長官]][[ヒラリー・クリントン]]は、死亡した2名が米海軍特殊部隊[[Navy SEALs]]の元隊員である{{仮リンク|タイロン・S・ウッズとグレン・ドハティ|en|American_fatalities_and_injuries_of_the_2012_Benghazi_attack#Glen Doherty|Glen Anthony Doherty}}であると公式に認めた。また、9月13日にはリビア当局により容疑者数人を逮捕したことが発表され<ref>{{Cite news
|title=アルカイダ関与の可能性との指摘も-リビアでの米領事館襲撃
|work=bloomberg.co.jp
|publisher=[[ブルームバーグ (企業)|ブルームバーグ]]
|date=2012-09-13
|accessdate=2012-09-14
}}</ref>、計画されていたテロ事件であったとの見方が事件直後からなされた。9月13日にはリビア当局により容疑者数人が逮捕されたことが発表された<ref>{{Cite news
|url=http://news.yahoo.co.jp/pickup/6057210
|title=米領事館襲撃で数人逮捕=リビア
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|date=2012-09-13
|accessdate=2012-09-14
}}</ref>。その後、9月16日までに逮捕者は50人にのぼった<ref>{{Cite news
|url=httphttps://www.cnn.co.jp/world/35021824.html
|title=米領事館襲撃で50人逮捕、「計画的犯行」とリビア暫定大統領
|work=CNN.co.jp
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|date=2012-09-17
|accessdate=2012-09-17
}}</ref>。この事件は事件直後から[[アルカーイダ]]などの関与が疑われるなど<ref>{{Cite news
}}</ref>。
|url=http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MA8M1K6TTDSM01.html
|title=アルカイダ関与の可能性との指摘も-リビアでの米領事館襲撃
|work=bloomberg.co.jp
|publisher=[[ブルームバーグ (企業)|ブルームバーグ]]
|date=2012-09-13
|accessdate=2012-09-14
}}</ref>、計画されていたテロ事件であったとの見方がある。
 
なお、ショーン・スミス外交官はオンラインゲーム[[EVE_ONLINE|EVE Online]]では知られたプレーヤーだった。事件当夜もゲーム仲間とチャット中で、「…今夜、僕らが死ななければの話だけど。領事館を警備する『警察』の1人が写真を撮っているのを見かけた」と送信したという。「GUNFIRE(銃声だ)」というメッセージを最後にオフラインとなり、それきり戻ってこなかったという
<ref>{{Cite news
|url=httphttps://www.afpbb.com/articlearticles/war-unrest/2900589/9508232
|title=「今夜死ぬかも」、領事館襲撃で死亡の米外交官 ゲーム仲間へ最期のメッセージ
|accessdate=2012-09-15
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|publisher=AFPBB News
}}</ref>。
 
また在トリポリ米大使館からの増援には、[[デルタフォース]]隊員のDavid R. Halbrunerが参加。その功績により[[殊勲十字章 (アメリカ合衆国)|殊勲十字章]]を受勲された。
 
=== イエメン ===
エジプトとリビアでの事件から2日後の9月13日、イエメンの首都[[サナア]]にあるアメリカ大使館に、映画の内容に抗議する数百人のデモ隊が突撃。大使館の警備室の窓ガラスをいくつか割り、正面から敷地内に侵入した<ref>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20180605222607/http://www.asahi.com/international/reuters/RTR201209130122.html
|title=イエメンで米大使館襲撃、「ムハンマド冒涜映像」に抗議=目撃者
|work=asahi.com
218 ⟶ 222行目:
|accessdate=2012-09-15
}}</ref><ref name=OYT1T01269>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120915065430/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120913-OYT1T01269.htm
|title=反米デモ、イスラム圏全域で…イエメンでも暴徒化
|work=YOMIURI ONLINE
225 ⟶ 229行目:
|accessdate=2012-09-15
|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120915065430/www.yomiuri.co.jp/world/news/20120913-OYT1T01269.htm|archivedate=2012-09-15}}</ref>。外交車両に次々と放火し、治安部隊による放水と威嚇射撃によって排除され<ref>{{Cite news
|url=httphttps://www.afpbb.com/articlearticles/war-unrest/2900629/?pid=9513148
|title=イエメン・サヌアの米大使館にデモ隊押し入る
|work=AFPBB News
232 ⟶ 236行目:
|accessdate=2012-09-13
}}</ref>大使館から100メートル後方の地点まで後退したが再び侵入を試み、警官隊も発砲や催涙弾で応戦した<ref name=afpbb9515155>{{Cite news
|url=httphttps://www.afpbb.com/articlearticles/war-unrest/2900670/?pid=9515155
|title=イエメンの米大使館襲撃で警官が発砲、4人死亡
|work=AFPBB News
246 ⟶ 250行目:
|accessdate=2012-09-15
}}</ref>。この結果、最初の襲撃でデモ参加者1人が治安部隊の発砲により射殺されるなど<ref name=jiji2012091300796>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20150427014426/http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2012091300796
|title=米大使館襲撃、イエメンで1人死亡=「預言者侮辱」、抗議拡大-エジプトでも衝突
|work=時事ドットコム
256 ⟶ 260行目:
=== スーダン ===
首都[[ハルツーム]]では9月14日、ドイツの大使館がイスラム主義組織のメンバーら約5000人に襲撃される。映画批判に加え、ドイツで8月にムハンマドの風刺画を使った極右勢力によるデモが当局に許可されたことへの抗議も含まれていた。大使館は放火され、治安部隊との衝突でデモ隊1人など少なくとも2人が死亡した<ref name=OYT1T01243 /><ref name=OYT1T00340>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120916115556/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120915-OYT1T00340.htm
|title=反米デモ、インドにも拡大…3か国で5人死亡
|work=YOMIURI ONLINE
270 ⟶ 274行目:
* {{JOR}} - 9月14日に反米デモが発生<ref name=OYT1T01243 />。
* {{KWT}} - 9月13日、首都[[クウェート]]のアメリカ米大使館近くに約500人のデモ隊が集まり、米大使追放などを訴える<ref name=OYT1T00377>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120915104529/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120914-OYT1T00377.htm
|title=中東反米デモ、クウェートやレバノンにも拡大
|work=YOMIURI ONLINE
278 ⟶ 282行目:
|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120915104529/www.yomiuri.co.jp/world/news/20120914-OYT1T00377.htm|archivedate=2012-09-15}}</ref>。
* {{LEB}} - 9月13日、北部トリポリにデモ隊約200人が集結し、反米スローガンを訴え星条旗を燃やす<ref name=OYT1T00377 />。9月14日にはアメリカ系ファーストフード店が襲撃を受けた<ref name=OYT1T01243 />。
* {{SYRSYR1980}} - 9月14日、[[ダマスカス]]で閉鎖されたシリア駐在米大使館付近で反米抗議活動<ref>{{Cite news
|url=http://japanese.cri.cn/881/2012/09/15/161s198337.htm
|title=イスラム教冒涜の米映画、多くの国で抗議を招く
285 ⟶ 289行目:
|publisher=[[中国国際放送]]
}}</ref>。
* {{TUN}} - 9月12日に首都[[チュニス]]にあるアメリカ大使館に50人が集まり星条旗を燃やす<ref name="OYT1T00620">{{Cite news|title=反米抗議デモ、イスラム圏全域へ拡大の様相|newspaper=[[読売新聞]]|date=2012-09-13|url=https://web.archive.org/web/20120915065420/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120913-OYT1T00620.htm|accessdate=2012-09-14|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120915065420/www.yomiuri.co.jp/world/news/20120913-OYT1T00620.htm|archivedate=2012-09-15|work=YOMIURI ONLINE}}</ref>。9月14日には再び大使館に侵入され、星条旗が燃やされ<ref name=OYT1T01243 />、治安部隊と衝突しデモ隊2人が死亡<ref name=OYT1T00340 />。
* {{TUR}} - 9月16日、米大使館前でデモ隊が星条旗を燃やす<ref name=idJPTYE88G00P20120917>{{Cite news
|url=httphttps://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE88G00P20120917
|title=「ムハンマド侮辱映像」めぐり欧米は警戒態勢、各地でデモ継続
|accessdate=2012-09-17
296 ⟶ 300行目:
==== アジア ====
* {{AFG2004}} - 9月14日に反米デモが発生。東部ナンガハル州で民衆がデモ行進<ref name=OYT1T00312>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120916115550/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120915-OYT1T00312.htm
|title=「米国に死を」アフガンで行進…各国大使館厳戒
|work=YOMIURI ONLINE
306 ⟶ 310行目:
* {{IDN}} - 9月14日に反米デモが発生<ref name=OYT1T01243 />。
* {{IND}} - 9月14日、北部[[ジャンムー・カシミール州]]で1万5000人以上による反米デモが発生。南部[[チェンナイ]]にある米領事館は投石により窓ガラスが破壊される<ref name=OYT1T00340>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120916115556/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120915-OYT1T00340.htm
|title=反米デモ、インドにも拡大…3か国で5人死亡
|work=YOMIURI ONLINE
334 ⟶ 338行目:
}}</ref>。
* {{FRA}} - 9月15日夕、[[パリ]]の米大使館近くや[[フランス内務省]]付近で反米デモ。デモの届出が無かったとして約100人を拘束<ref>{{Cite news
|url=httphttps://b.hatena.ne.jp/entry/www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220916006.html
|title=パリで反米デモ イスラム教預言者冒涜?米映画問題
|accessdate=2012-09-16
353 ⟶ 357行目:
|accessdate=2012-09-15
}}</ref>。]]事件を受け、アメリカの[[バラク・オバマ]]大統領は各国に駐在するアメリカ外交官らの警備を強化するよう指示<ref name=TKY201209120499 />。またリビアにおいてスティーブンス大使らが殺害された事件について、常軌を逸していると非難する声明を発表した<ref name=OYT1T01055 />。リビアとの関係は変わらないとする一方、リビア政府とともに犯人に裁きを下すと宣言した<ref name=mds12091301080000 />。9月12日にはワシントンにある[[アメリカ合衆国国務省|国務省]]の南庭で追悼集会が行われ、オバマ大統領や[[ヒラリー・クリントン]]国務長官、同省の職員数百人が参加した<ref>{{Cite news
|url=httphttps://www.afpbb.com/articlearticles/politics-/2900528/?pid=9510150
|title=沈痛、オバマ大統領とクリントン長官 米国務省で追悼式
|work=AFPBB News
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|accessdate=2012-09-14
}}</ref><ref>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120914012502/http://sankei.jp.msn.com/world/news/120913/amr12091315230005-n1.htm
|title=襲撃めぐりオバマ氏とロムニー氏が舌戦
|work=MSN産経ニュース
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9月12日には[[アメリカ海兵隊]]が対テロ部隊約50人をヨーロッパからリビアに移動させ、アメリカ在外公館の安全強化を図った<ref name=CN2012091201001508 />。[[北大西洋条約機構]](NATO)の[[アナス・フォー・ラスムセン]]事務総長もこうした暴力は正当化されないとして事件を非難した<ref>{{Cite news
|url=https://web.archive.org/web/20120915075411/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120912-OYT1T01103.htm
|title=駐リビア米大使ら4人死亡 領事館襲撃
|work=asahi.com
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|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120915075411/www.yomiuri.co.jp/world/news/20120912-OYT1T01103.htm|archivedate=2012-09-15}}</ref>。
 
リビア制憲議会議長で元首格の{{仮リンク|ムハンマド・ユースフ・エル=マガリエフ|en|Mohamed Yousef el-Magariaf}}はアメリカに対し事件について謝罪<ref name="DGXNASGM1206A">{{Cite news|title=リビア議長が謝罪表明 駐リビア米大使、襲撃で死亡|newspaper=[[日本経済新聞]]|date=2012-09-12|url=httphttps://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1206A_S2A910C1FF2000/|accessdate=2012-09-13|work=日経電子版}}</ref>。リビアの[[ムスタファー・アブーシャーグール]]副首相は、[[Twitter]]でアメリカ、リビア、そして全ての自由な人々に対する攻撃を非難するとの声明を発表<ref>{{Cite news
|url=httphttps://www.afpbb.com/articlearticles/politics-/2900485/?pid=9508158
|title=リビアの米領事館襲撃で米大使死亡
|work=AFPBB News
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映画作成に関わったジョーンズ牧師は、映画はイスラム教徒を攻撃する目的で作成したのではなく、イスラム教の破壊的なイデオロギーを明らかにするためだったとの声明を発表した<ref name=mds12091220520003 />。また映画をプロデュースしたバシルはこれは宗教映画ではなく、イスラム教の偽善を明らかにするための映画と主張、イスラムは癌であるとの持論を展開した<ref name=mainichi030098000c />。
 
イスラム世界ではエジプトのイスラーム原理主義組織[[ムスリム同胞団]]が金曜礼拝の行われる9月14日に「平和的なデモ」を行うよう呼びかけ<ref>{{Cite news|url=httphttps://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1405T_U2A910C1FF2000/
|title=反米デモ暴徒化、アジアにも飛び火 イスラム中傷映像
|publisher=[[日本経済新聞]]
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9月12日、[[YouTube]]は問題の映像を[[リビア]]と[[エジプト]]で一時的にアクセス制限したと発表した
<ref>{{Cite news
|url=httphttps://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE88C03820120913
|title=「ムハンマド侮辱」映像、リビアとエジプトではアクセス遮断
|accessdate=2012-09-13
423 ⟶ 427行目:
}}</ref>。
 
[[2013年]]4月、アメリカ海兵隊は中東地域の米国在外公館や在外米国人の保護を担う[[危機対応特別目的海兵空地任務部隊 (中央軍)|SPMAGTF-CR-CC]]を創設。
[[2013年]]5月2日には米[[連邦捜査局]]が本事件に関わった可能性のある、襲撃当時現場にいてその後立ち去った身元の分からない男3人の写真を「情報を求める」として公開した
 
<ref>{{cite web|url=http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324082304578457631858116970.html |title=米FBI、リビア領事館襲撃で男3人の写真公開 |publisher=[[ウォール・ストリート・ジャーナル]] |date=2013-05-02 |accessdate=2014-03-07 }}</ref>。[[2014年]]1月アメリカ上院情報特別委員会は、事件に対して、既に分かっていた治安対策不足に対応していれば回避できたとする報告を行い、未然の事件予防の欠如を指摘した<ref>{{Cite news |title= リビアの米領事館襲撃は「回避できた」、米上院報告書|url= http://www.afpbb.com/articles/-/3006647|accessdate= 2014-06-18|agency=AFP|publisher= AFPBB News}}</ref>。6月には、[[アメリカ国防総省]]の報道官が、特殊部隊と[[FBI]]による作戦でベンガジ近郊において事件の首謀者と目されている[[アンサール・アル=シャリーア]]主導者のアハメド・アブカタラを拘束したと発表された<ref>{{Cite news |title= 米国、リビア・ベンガジ領事館襲撃の容疑者を拘束|newspaper= [[The Wall Street Journal]]|date= 2014-06-18|url= http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303838604579630792690496218|accessdate= 2014-06-18}}</ref>。
[[2013]]5月2日には米[[連邦捜査局]]が本事件に関わった可能性のある、襲撃当時現場にいてその後立ち去った身元の分からない男3人の写真を「情報を求める」として公開した
<ref>{{citeCite web|和書|url=http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324082304578457631858116970.html |title=米FBI、リビア領事館襲撃で男3人の写真公開 |publisher=[[ウォール・ストリート・ジャーナル]] |date=2013-05-02 |accessdate=2014-03-07 }}</ref>。[[2014年]]1月アメリカ上院情報特別委員会は、事件に対して、既に分かっていた治安対策不足に対応していれば回避できたとする報告を行い、未然の事件予防の欠如を指摘した<ref>{{Cite news |title= リビアの米領事館襲撃は「回避できた」、米上院報告書|url= httphttps://www.afpbb.com/articles/-/3006647|accessdate= 2014-06-18|agency=AFP|publisher= AFPBB News}}</ref>。6月には、[[アメリカ国防総省]]の報道官が、特殊部隊と[[FBI]]による作戦でベンガジ近郊において事件の首謀者と目されている[[アンサール・アル=シャリーア]]主導者のアハメド・アブカタラを拘束したと発表された<ref>{{Cite news |title= 米国、リビア・ベンガジ領事館襲撃の容疑者を拘束|newspaper= [[The Wall Street Journal]]|date= 2014-06-18|url= http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303838604579630792690496218|accessdate= 2014-06-18}}</ref>。
 
== 出典 ==
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[[Category:アメリカ合衆国・リビア関係]]
[[Category:2012年9月]]
[[Category:アメリカ合衆国の在外公館]]
[[Category:在イエメン外国公館]]
[[Category:在エジプト外国公館]]
[[Category:在リビア外国公館]]
[[Category:反米感情]]
[[Category:2012年の国際関係]]