「ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ」の版間の差分

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'''ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ'''は、[[銀河英雄伝説]]の登場人物。
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'''ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ'''(Wilibard Joachim von Merkatz{{sfn|銀河英雄伝説事典|2018|loc=人名事典}})は、[[田中芳樹]]のSF小説(スペース・オペラ)『[[銀河英雄伝説]]』の登場人物。自由惑星同盟側の主要人物(物語序盤は銀河帝国に属する)。
==概要==
元々は旧銀河帝国(ゴールデンバウム王朝)の宿将。その後は亡命して[[銀河英雄伝説の用語一覧#ヤン艦隊|ヤン艦隊]]の客員提督(ゲスト・アドミラル,Gueset Admiral)になるなど流転の人生を歩んだ。乗艦は帝国軍時代は[[ネルトリンゲン]]、ヤン艦隊時は[[シヴァ]]→[[ヒューベリオン]](PCゲーム「銀河英雄伝説IV」での旗艦はユリシーズ)。
 
作中での呼称は「メルカッツ」あるいは「メルカッツ提督」。
==略歴==
銀河帝国の貴族の出身。帝国暦487年、58歳の時に[[銀河英雄伝説の戦役一覧#アスターテ会戦|アスターテ会戦]]に大将/分艦隊司令官として参加。翌年上級大将となり、ブラウンシュヴァイク公爵の要請(実際は脅迫)によって[[銀河英雄伝説の用語一覧#リップシュタット盟約|リップシュタット連合軍]]の戦闘指揮官に就任。[[銀河英雄伝説#ガイエスブルク要塞|ガイエスブルク要塞]]陥落時に副官のシュナイダーの勧めで同盟に亡命。中将の階級でヤン艦隊の客員提督に就任する。時系列上の初登場は、駆逐艦ハーメルンIIが脱出した後、メルカッツ艦隊の哨戒宙域に無事到達した時になる。(メルカッツは登場せず彼の名前だけ登場。)
 
== 概要 ==
宇宙暦798年/帝国暦489年8月、銀河帝国正統政府の軍務尚書に(勝手に)指名され、一時ヤン艦隊から離れるが、翌年の[[銀河英雄伝説の戦役一覧#ラグナロック(神々の黄昏)作戦|ラグナロック作戦]]で一旦ハイネセンに帰着したヤン艦隊に再び合流。5月の[[銀河英雄伝説の戦役一覧#バーミリオン会戦|バーミリオン会戦]]の終盤に同盟が降伏した為、ヤンに要請されて「[[銀河英雄伝説の用語一覧#動くシャーウッドの森|動くシャーウッドの森]]」の司令官に就任。7月16日にレサヴィク星域に於いて破壊される予定だった戦艦や空母を強奪し、同時に4,000人の「お調子もの(と呼ばれた同盟軍兵士)」を新たに配下に加えた。
本伝第2巻当時59歳。物語序盤は帝国軍の宿将で、後に同盟に亡命し、ヤン艦隊の客将として活躍する。貴族出身ながら物事を俯瞰してみる公明正大で実直な人物であり、軍事面ではロイエンタールから俺に勝てる数少ない将帥の一人と評されるなど、ゴールデンバウム朝では最終的に上級大将にまで出世した。リップシュタット戦役において脅迫される形で実戦総司令官に担ぎ上げられ、敗戦後は同盟に亡命し、中将待遇の客員提督(ゲスト・アドミラル)としてヤン艦隊において司令官顧問に就任する<ref group="注釈">亡命時の階級は上級大将であったが同盟軍にはもともと上級大将という階級が無く、軍制服組のトップでも大将であったための措置。石黒版OVAでは亡命後も上級大将の階級章を佩用し続けた。</ref>元敵の提督という出自ながら、その人柄から「ヤン艦隊唯一の紳士」と評されて厚く信頼され、ヤン亡き後も、物語最後の戦いとなるシヴァ星域の会戦で戦死するまで同盟側の主要人物として活躍する。
 
本伝中での初登場は開始冒頭の戦いであるアスターテ会戦から(第1巻)。時系列上の初登場は外伝3巻『千億の星、千億の光』における第6次イゼルローン要塞攻防戦である(ただし、OVAでは時系列上先行するオリジナル作品『叛乱者』で名前のみ登場している)。上記の通り、物語最序盤から登場し、作中最後の戦いであるシヴァ星域会戦まで物語全編にわたって重要エピソードに関わっている。
11月の[[銀河英雄伝説の戦役一覧#第2次ラグナロック作戦|第2次ラグナロック作戦]]開始前に、ハイネセンを脱出したヤン一行と合流。12月にはヤンと供にエル・ファシル独立政府の元に赴き、革命予備軍参謀長に就任。[[銀河英雄伝説の戦役一覧#イゼルローン再占領作戦(第10次イゼルローン攻防戦)|イゼルローン再占領作戦]]では艦隊指揮を執り、再奪回に貢献。
 
帝国軍での旗艦は、 OVA版の長篇『新たなる戦いの序曲』と藤崎竜の漫画版では「ネルトリンゲン」({{lang|de|Nördlingen}}) 。ノイエ版では「ミネルヴァ」(Minerv)。
宇宙暦800年の[[銀河英雄伝説の戦役一覧#回廊の戦い|回廊の戦い]]では右翼艦隊を指揮し、[[アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト|ファーレンハイト]]艦隊を追い詰める等の功績を挙げた。同年、ヤンが死んだ後も[[銀河英雄伝説#イゼルローン要塞|イゼルローン要塞]]に残り、翌801年の[[銀河英雄伝説の戦役一覧#帝国軍対イゼルローン革命軍による回廊の戦い(第11次イゼルローン攻防戦)|帝国軍対イゼルローン革命軍による回廊の戦い]]では伏兵として[[アウグスト・ザムエル・ワーレン|ワーレン]]艦隊を急襲し、[[ユリアン・ミンツ|ユリアン]]の初めての作戦/指揮を成功に導いた。
 
== 略歴 ==
同年6月1日、[[銀河英雄伝説の戦役一覧#シヴァ星域会戦|シヴァ星域会戦]]でユリアン達がブリュンヒルトに突入した後[[フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト|ビッテンフェルト]]艦隊の猛攻を受け、乗艦のヒューベリオンが被弾。副官のシュナイダーに看取られながら息を引き取った。享年63。
銀河帝国の下級貴族の出身。
 
上記の通り、時系列上の初登場は宇宙暦794年/帝国暦485年、第6次イゼルローン要塞攻防戦であり、駐留艦隊に所属する指揮官として功績を挙げている{{sfn|外伝|loc=第3巻8章}}<ref group="注釈">石黒監督版OVAでの時系列的な初登場はこれより早く、帝国暦482年、[[銀河英雄伝説の戦役#ハーメルンIIの戦闘と艦内での騒乱|駆逐艦ハーメルンIIが脱出]](OVAオリジナルエピソード)した後、メルカッツ艦隊の哨戒宙域に無事到達した時に名前だけ登場する。</ref>。
==能力==
艦隊指揮官の能力はヤンやラインハルト、或いは帝国軍の双璧に比類する(回廊の戦い直前に、ロイエンタールとミッターマイヤーが会話の中でこの見解を披露している)。リップシュタット戦役ではロイエンタール艦隊と戦って戦況を有利に展開させ、さらにミッターマイヤーの挑発に乗って出陣したブラウンシュヴァイクやフレーゲルが危機に陥った時には救援として出陣して双璧の艦隊に損害を与えている。回廊の戦いやシヴァ星域会戦でも常に一定の戦果を上げており、ヤンからも地味だが堅実かつケレンの無い用兵をすると評価されている。ロイエンタールからは「全宇宙で俺に勝てる数少ない将帥の一人」と言わしめた(他は[[ラインハルト・フォン・ローエングラム|ラインハルト]]、[[ヤン・ウェンリー|ヤン]]、[[ウォルフガング・ミッターマイヤー|ミッターマイヤー]])。(この時点でキルヒアイスは亡くなっている。)
 
宇宙暦796年/帝国暦487年初頭、58歳の時に[[銀河英雄伝説の戦役#アスターテ会戦|アスターテ会戦]]に大将/分艦隊司令官として参加{{sfn|本伝|loc=第1巻1章}}。戦後に上級大将となり、翌年のリップシュタット戦役ではブラウンシュヴァイク公爵の要請(実際は家族の安全を人質に行われた脅迫)によって[[銀河英雄伝説の用語#リップシュタット盟約|リップシュタット連合軍]]の実戦総司令官に就任{{sfn|本伝|loc=第2巻2章}}。旧王朝の終焉を知りながら、少しでも命脈を伸ばすために奮戦する。[[銀河英雄伝説の舞台#ガイエスブルク要塞|ガイエスブルク要塞]]周辺での戦いのすえに敗北を悟り、自決を試みるが副官のシュナイダーに制止され、彼の勧めで同盟に亡命{{sfn|本伝|loc=第2巻8章}}。同盟軍にて中将待遇<ref group="注釈">亡命当時の同盟軍には元帥がおらず、上級大将という階級が軍制になく、軍の最高位者の統合作戦本部長でも大将にとどまっていたため。</ref>の客員提督としてイゼルローン駐留艦隊(ヤン艦隊)の司令官顧問に就任する{{sfn|本伝|loc=第2巻9章}}。
==人柄==
指揮能力と同様、地味だが堅実な人柄を有している。下級貴族の出であるが以前は他の貴族同様の思想の持ち主だったが、若い下級兵士達との交流を通じて自分の間違いに気がついた…とシュナイダーに告白している。アスターテ会戦の時も、当初はラインハルトの能力に懐疑的だったが第4艦隊を全滅させた頃からその才覚に気がついている。こういった事例から、状況を客観的に把握し自分の間違いをすぐに直す事が出来る気質だと評されている。だがその一方で、亡命後も旧帝国の軍服を着用し続けるなど、ある種のこだわりを持っていると思われる。
 
宇宙暦798年/帝国暦489年4月、ヤンがハイネセンでの査問会に召喚され不在の際に行われた第8次イゼルローン要塞攻防戦では、自ら申し出てイゼルローン駐留艦隊の指揮権を一時預かり、[[カール・グスタフ・ケンプ|ケンプ]]と[[ナイトハルト・ミュラー|ミュラー]]の攻勢を阻止するのに貢献する{{sfn|本伝|loc=第3巻7章}}。
物語の最初であるアスターテ会戦でラインハルトの配下に配属されたのを初め、リップシュタット連合軍、同盟、銀河帝国正統政府…など、常に自分の意思とは無関係な力によって生き方を決められてきたが、回廊の戦い以後は明確に自分で選択肢を選ぶ様になり、最期はラインハルトとの戦いで死ぬ事に満足していた様子が伺える。帝国軍首脳には、有能だが部下として使いづらいと評されている。
 
宇宙暦798年/帝国暦489年8月、本人の承諾なしに「銀河帝国正統政府の軍務尚書に(勝手に)指名され{{sfn|本伝|loc=第4巻4章}}、一時ヤン艦隊から離れる{{sfn|本伝|loc=第4巻5章}}が、翌年4月の[[銀河英雄伝説の戦役一覧#ラグナロック(神々の黄昏)作バーミリオン星域会戦|ラグナロック作バーミリオン会戦]]で一旦ハイネセン直前帰着したヤン艦隊に再び合流。5月の[[銀河英雄{{sfn|本説の戦役一覧#バーミリオン会戦|loc=第5巻7章}}。バーミリオン会戦]]の終盤に同盟が降伏した為すると、ヤンに要請されて「[[銀河英雄伝説の用語一覧#動くシャーウッドの森|動くシャーウ」と表現された潜伏隊(メルカツ独立艦隊)森]]」の司令指揮官に就任{{sfn|本伝|loc=第5巻9章}}。7月16日にレサヴィク星域に於いて破壊される予定だった戦艦や宇宙を強奪、同時に4,000人の「お調子もの(と呼ばれた同盟軍志願士)」を新たに指揮下に加えた{{sfn|本伝|loc=第6巻5章}}
==家族==
物語には登場しないが、帝国に家族がいる。ブラウンシュヴァイク公爵との会話の中で、少なくとも宗教的儀式のいけにえに供する事が出来る年齢と容姿の娘がいる事が判明している。彼の死後、それを伝えるためシュナイダーがメルカッツの遺族のもとに旅立っている。旧帝国時代ならば反逆者の家族のため処刑されるところだが、ラインハルトによって処刑、流刑にされてはいない模様。
 
11月の同年、[[銀河英雄伝説の戦役一覧#第2次ラグナロック作戦大親征|第2次ラグナロック作戦大親征]]開始前に、ハイネセンを脱出したヤン一行と合流{{sfn|本伝|loc=第7巻2章}}。12月にはヤンのも供にエル・ファシル独立政府の元赴き参加し、革命予備軍参謀長に就任{{sfn|本伝|loc=第7巻4章}}。[[銀河英雄伝説の戦役一覧#イゼルローン再占領奪取作戦(第10次イゼルローン攻防戦)|イゼルローン再占領奪取作戦]]では艦隊指揮を執り、再奪回に貢献った{{sfn|本伝|loc=第7巻5章}}
==声優==
アニメにおいて声を担当した[[声優]]は[[納谷悟郎]]。
 
宇宙暦800年の[[銀河英雄伝説の戦役一覧#回廊の戦い|回廊の戦い]]前哨戦では右翼ヤン艦隊右翼を指揮し、かつての同僚[[アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト|ファーレンハイト]]艦隊を追いめる等の功績{{sfn|本伝|loc=第8巻3章}}。本戦挙げた。同年経て、ヤンんだ後も[[銀河英雄伝説の舞台#イゼルローン要塞・軍事基地|イゼルローン要塞]]に残り、翌801年[[銀河英雄伝説の戦役一覧#帝国軍対イゼルローン革命軍による回廊の戦い(第11次イゼルローン攻防戦|帝国軍対イゼルローン革命で生じた帝国による回廊の戦い]]では伏兵として[[アウグスト・ザムエル・ワーレン|ワーレン]]艦隊を急襲し、[[ユリアン・ミンツ|ユリアン]]の初めての作戦指揮を成功に導いた{{sfn|本伝|loc=第10巻2章}}
[[Category:銀河英雄伝説の登場人物|ういりはるとよあひむふおんめるかつつ]]
 
同年6月1日、[[銀河英雄伝説の戦役一覧#シヴァ星域会戦|シヴァ星域会戦]]でも部隊を指揮するが、ユリアン達がブリュンヒルトに突入した後すると[[フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト|ビッテンフェルト]]艦隊の猛攻を受け、乗艦のヒューベリオンが被弾副官のシュナイダーに看取られながら息を引き取った{{sfn|本伝|loc=第10巻8章}}享年63歳没
 
== 能力 ==
歴戦によって培われた老練の手腕を持ち、艦隊指揮能力は当時でも随一の存在で、ヤン・ウェンリーは帝国軍の名将と認めている。その戦術は「堅実にして隙なく、常に理にかなう」と評され、ラインハルトやヤンのような派手さはないものの、後世の一般的な軍人達の範となり、戦術の教本にもしばしば取り上げられたとされる<ref group="注釈">ラインハルトやヤンを真似る者は少なく、いても真似出来るものではなかった、という後世の見解が記述されている。</ref>。外伝においては、宇宙艦隊司令長官[[銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国#ゴールデンバウム朝の軍人|グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー]]よりメルカッツの能力と実績を高く評価する声もあったという{{sfn|外伝|loc=第3巻8章}}。
 
リップシュタット戦役ではシャンタウ星域で[[オスカー・フォン・ロイエンタール|ロイエンタール]]艦隊と戦って戦況を有利に展開させ、さらに[[ウォルフガング・ミッターマイヤー|ミッターマイヤー]]の挑発に乗って出陣したブラウンシュヴァイクやフレーゲルが危機に陥った時には救援として出陣して「[[銀河英雄伝説の用語|双璧]]」の艦隊に損害を与えている{{sfn|本伝|loc=第2巻6章}}。回廊の戦いやシヴァ星域の会戦でも常に一定の戦果を上げており、ヤンからも地味だが堅実かつ外連味の無い用兵をすると評価され、ロイエンタールからはラインハルト、ヤン、ミッターマイヤーと並べて「全宇宙でおれに勝ちうる用兵家」と称賛されている{{sfn|本伝|loc=第8巻4章}}。リップシュタット戦役以降、終生ラインハルトと敵対する道を選んだが、[[ラインハルト・フォン・ローエングラム|ラインハルト]]自身はメルカッツを逃したことを残念がっており、ラインハルト麾下の諸将からも、メルカッツが帝国に残っていればラインハルト陣営に重鎮として迎えられていただろうと言われている{{sfn|本伝|loc=第10巻3章}}。
 
== 人柄 ==
寡黙で実直な人柄。「ヤン艦隊唯一の紳士」と称される。下級貴族出身であり、軍で下級兵士に接してはじめて貴族の特権意識による腐敗の問題に気づいたという{{sfn|本伝|loc=第2巻2章}}。アスターテ会戦の時も、当初はラインハルトの能力に懐疑的だったものの、第4艦隊を全滅させた頃からラインハルトにも分かる程度に態度を変えており{{sfn|本伝|loc=第1巻2章}}、帝国軍中でも最も早くからラインハルトを認めていたひとりである{{sfn|本伝|loc=第2巻2章}}。しかしゴールデンバウム朝の宿将として、帝政を壟断するラインハルトに与するのを良しとしなかった。当初ラインハルトと敵対しようとは考えておらず、リップシュタット戦役では中立の立場を取ろうとしていたが、ブラウンシュヴァイク公より家族(娘)暗殺を示唆され、貴族連合軍の総司令官を受けざるを得なかった{{sfn|本伝|loc=第2巻2章}}。
 
重厚で生真面目な性格のため、宮廷での社交活動にも興味を示さず、孤高を保ち、面白味の無い人物と思われていた。しかし同時に陥れられる事もなく地位を保ち、軍人のみならず貴族間での人望も高かった。物語の最初であるアスターテ会戦でラインハルトの配下に配属されたのをはじめ、門閥貴族連合、自由惑星同盟、銀河帝国正統政府など、常に運命によって翻弄され自分の意思とは無関係に立場を規定されてきた。ヤン艦隊にあっては、階級上はヤンに次ぐ高さであったにもかかわらず、銀河帝国から自由惑星同盟に亡命してきたという自分の立場を十分にわきまえ、常に一線を引いた態度を保ち、自らの分を超えず、それでいて的確な助言を与えて艦隊首脳陣からの信頼を得ていた。ヤンの死後(イゼルローン共和政府成立後)においては、もはや亡命者という立場でもなくなり、戦略の立案や別働隊を率いるなど積極的な活躍が見られるが、後継者たるユリアンの良き支えに徹して決して自ら前に出ることはなかった。
 
同盟軍亡命後は、各自が好きなように振舞う雰囲気の強いヤン艦隊にあって実に規則正しい生活を送り、「イゼルローンの各部署は彼の姿を見て時計の針を合わせる」などと言われていた{{sfn|本伝|loc=第10巻2章}}。また、亡命後も旧帝国の軍服を着用し続けるなど、ある種の矜持を示すと共に「亡命者」である自らの立場を正しくわきまえていた<ref>この軍服の件はヤンも認めている。</ref>。ヤン艦隊と接するようになって以来それまでは関心を示さなかったユーモアにも反応を示すようになったことが、副官シュナイダーの観察として描かれている。また、政争の具にされた[[銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国#皇帝・皇族|エルウィン・ヨーゼフ2世]]の消息を気にかけたり{{sfn|本伝|loc=第6巻8章}}、回廊の戦いでかつて僚友として共に戦ったファーレンハイトが戦死した際に喪に服し、会議を欠席したこともある{{sfn|本伝|loc=第8巻4章}}。
 
== 家族 ==
作中には全く登場しない。リップシュタット戦役においてブラウンシュヴァイク公による招聘を固辞した際に、家族の命を盾に脅迫され、やむなく翻意・受諾した事のみが記述されている{{sfn|本伝|loc=第2巻2章}}。亡命時にも帯同しなかった{{sfn|本伝|loc=第2巻9章}}が、彼の死後、その戦死を伝えるためシュナイダーがメルカッツの遺族のもとに旅立っている{{sfn|本伝|loc=第10巻9章}}。
 
OVA版では、ブラウンシュヴァイク公による脅迫内容から娘の存在が明らかになっている。一方、藤崎版では同じシーンで妻子のイメージが描かれている。
 
== 演じた人物 ==
;アニメ
:* [[納谷悟朗]](OVA版)
:* [[石塚運昇]]<ref>{{Cite web|和書|url=https://anime.eiga.com/news/106086/|title=「銀河英雄伝説 Die Neue These」艦隊戦を収めたPV第2弾 メルカッツ、パエッタらの声も初披露|publisher=アニメハック|date=2018-04-01|accessdate=2022-03-25}}</ref>→[[山路和弘]]<ref>{{Cite web|url=https://gineiden-anime.com/character-fpdf.html|title=登場人物 自由惑星同盟|work=アニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These」公式サイト|date=2022-03-25|accessdate=2022-03-25}}</ref><ref>石塚の急逝による。</ref>([[銀河英雄伝説#アニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These』(2018-)|『Die Neue These』]])
 
;舞台
:*[[ジェームス小野田]] - 『銀河英雄伝説 第一章 銀河帝国編』(2011年1月7日 - 16日、青山劇場)<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1285825215|title=日本が誇るスペースオペラの金字塔が舞台化!2011年1月公演決定――舞台“『銀河英雄伝説』=第一章 銀河帝国編=”製作発表会見をスペシャル動画レポート|publisher=アニメイトタイムズ|date=2010-09-30|accessdate=2019-02-05}}</ref>
 
== 脚注 ==
===注釈===
<references group=注釈/>
 
===出典===
<references/>
 
== 関連項目 ==
* [[銀河英雄伝説の登場人物]]
* [[銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国]]
* [[銀河英雄伝説の登場人物・自由惑星同盟]]
 
{{銀河英雄伝説}}
 
{{DEFAULTSORT:めるかつつ ういりはるとよあひむふおん}}
[[Category:銀河英雄伝説の登場人物|ういりはるとよあひむふおんめるかつつ]]
[[Category:架空の軍人]]