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{{Redirectlist|信号旗|モータースポーツで情報伝達に使われる旗|レース旗}}
{{色}}
[[File:J M W Turner-La bataile de Trafalgar.JPG|thumb|200px|[[ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー|ターナー]]の絵[[トラファルガーの海戦 (ターナー)|トラファルガーの戦い]]』より<br/>「[[英国は各員がその義務を尽くすことを期待する]]」の後ろの部分を意味する。]]
'''国際信号旗'''(こくさいしんごうき、international maritime signal flags)は、海上において船舶間での[[通信]]に利用される世界共通の旗である。その使い方は[[{{仮リンク|国際信号書]]|en|International Code of Signals}}(こくさいしんごうしょ、[[:en:International Code of Signals|International Code; of Signals]]、INTERCO)によって定められており、国際信号旗による信号を'''旗旒信号'''(きりゅうしんごう、Flag Signalling)と呼ぶ。
 
== 概要 ==
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中世ヨーロッパでは、船舶間の通信に旗を用いることが行われてきていた。[[18世紀]]にはイギリスの[[リチャード・ハウ]]が主に数字を意味する複数の信号旗を用い、その数字を符号として単語に置き換え、旗の掲揚を繰り返すことで、文章も含めた通信を行なう方法を考案した。これはホーム・リッグス・ポップハムによって改良され、[[トラファルガーの海戦]]でも通信に使用された。これらが発展し、[[1857年]]に国際信号書として、国際信号旗が定められた。
 
旗旒信号は、1つの旗が一つの[[アルファベット]]、[[数字]](または[[ひらがな]])に対応している。さらに符字として、1つの旗にある特定の意味をもたせており、例としては、[[潜水|ダイビング]]支援船は“A旗”を掲げて、自船が現在潜水作業を実施している旨を他船に知らせる。このほか、[[ヨット]]や[[ディンギー]]競走においては特別なコードが用いられる。例としてP旗は「準備せよ」、S旗は「コースの短縮」を意味している。また、[[砕氷船]]と被援助船の通信においても、特別なコードが用いられる。例として砕氷船によるA旗は「前進せよ(氷間水路を進行せよ)」、被援助船によるA旗は「本船は前進し(ようとし)ている、本船は氷間水路を進行し(ようとし)ている」を意味している。日本では、U旗を津波を知らせる[[津波フラッグ]]としても使用している。
 
取り出しやすいように通常は甲板上に専用のラックを設けている。
 
[[北大西洋条約機構|NATO]]では別途、専用のコード用意している。
 
== 文字旗 ==
=== 1字信号 ===
本来通常ならばA,B,C(エー、ビー、シー)と読むが、『B』や『D』(ビーやディー)などの誤解を招くため、このフォネティックコードが使われている。尚、このコードは[[航空無線]]にも利用されている。<ref>{{Cite book|title=航空無線ハンドブック2018|date=2018年9月1日|year=|publisher=イカロス出版}}</ref>
{| class="wikitable"
!style="white-space:nowrap"|文字!!style="white-space:nowrap"|[[NATOフォネティックコード|フォネティックコード]]<br />による発音!!旗!!意味
|-
|A||アルファ (''Alfa'') ||[[File:ICS_Alpha.svg|50px]]||本船で潜水夫が活動中。徐速して通過せよ。
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|I||インディア (''India'') ||[[File:ICS_India.svg|50px]]||本船は左に針路変更中。
|-
|J||ジュリエット (''Juliett'') ||[[File:ICS_JulietICS Juliett.svg|50px]]||本船を十分に避けよ。本船は火災中で、積荷に危険物がある、または危険物を流出させている。
|-
|K||キロ (''Kilo'') ||[[File:ICS_Kilo.svg|50px]]||本船は貴船との通信を求める。
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1字信号には、以下のように数字を伴って使用する補足的な用法がある<ref>社団法人日本海員掖済会 『和英対訳 国際信号書(International Code of Signals)』 社団法人日本海員掖済会([[1969年]]初版)、[[1990年]] 第8版、40頁。</ref>。
{| class="wikitable"
!文字!!NATOフォネティックコードによる発音!!直後に置かれる数字!!意味
|-
|A||アルファ (''Alfa'') ||rowspan="2"|3桁||方位角または方位
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ただし、発音のイントネーションは通常の英単語でのものとは大きく異なる。
 
=== 2字信号の例 ===
* “C”“B”の順に並べて掲げると「至急救援を求める」の意になる<ref name="ICOSbook">[https://web.archive.org/web/20130921055336/http://www.dr-belair.com/dic/Defence/Sea-Forces/Sea-flags/ICOSbook.pdf INTERNATIONAL CODE OF SIGNALS FOR VISUAL, SOUND, AND RADIO COMMUNICATIONS UNITED STATES EDITION 1969 Edition (Revised 2003)]",NATIONAL IMAGERY AND MAPPING AGENCY。2013年7月22日閲覧。</ref>。
* “M”“J”の順に並べて掲げると「貴船の医師の派遣を求む」の意になる<ref>[http://blog.livedoor.jp/genneigennjitu2005/archives/51882419.html 水戸丸 日本郵船]</ref>。
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* “S”“N”の順に並べて掲げると即時停船要求。航行を続けたり「R」旗を掲げないなど、無視した場合は攻撃を受ける<ref name="ICOSbook" />。
 
=== 3字信号の例 ===
* 信号「UW」に“1”を追加して掲げると「協力に感謝する。御安航を (Thank your cooperation, bon voyage)」<ref name="ICOSbook" />の意に。“2”を追加して掲げると「ようこそ (Welcome)」、"3"を追加して掲げると「お帰りなさい (Welcome home)」となるが、この2つは1990年前後の改訂で追加されている。
* 救難信号「CB」に“4”を追加して掲げると原因が座礁<ref name="ICOSbook" />、“6”を追加して掲げると原因が火災の意になる<ref name="ICOSbook" />。
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|-
|EMERG(緊急)
|}
 
=== 派生した旗 ===
{| class="wikitable"
!style="white-space:nowrap"|旗!!style="white-space:nowrap"|文字!!用途
|-
|[[File:Flag of Germany (1946-1949).svg|border|150px]]
|[[C]]
|[[連合軍軍政期 (ドイツ)|連合軍軍政期のドイツ]]の[[商船旗]]
|-
|[[File:Civil ensign of the Ryukyu Islands (1952–1967).svg|border|150px]]
|[[D]]
|[[アメリカ合衆国による沖縄統治|アメリカ統治下の沖縄]]の商船旗
|-
|[[File:Flag of Allied Occupied Japan.svg|border|150px]]
|[[E]]
|[[SCAJAP]]旗
|-
|[[File:SCAJAPの外航就航船旗.svg|border|150px]]
|[[O]]
|アメリカ所有船の旗
|-
|[[File:保安庁警備隊の代用旗.svg|border|150px]]
|[[7]]
|[[警備隊 (保安庁)|警備隊]]で暫定的に使用された旗
|}
 
== 脚注 ==
{{Reflist|2}}
 
== 関連項目 ==
{{Commonscat|International Code of Signals}}
* [[満艦飾]] - 信号旗を装飾として利用する。
* [[Z旗]] - [[日本海海戦]]の際、[[東郷平八郎]]が「皇國ノ興廢此ノ一戰ニ在リ、各員一層奮勵努力セヨ」の意で掲揚
* [[Z旗]]
* [[英国は各員がその義務を尽くすことを期待する]] (England expects that every man will do his duty)
* [[NATOフォネティックコード]]<!-- NATO phonetic alphabet -->
203 ⟶ 228行目:
* [[回光通信機]]
* [[モールス符号]]
* [[船旗]] - [[船首旗]]・[[商船旗]]・[[軍艦旗]]・[[戦闘旗]]
* [[船旗]]
** [[船首旗]]
** [[商船旗]]
** [[軍艦旗]]
** [[戦闘旗]]
* [[船印]]
* [[汽笛合図]]
214 ⟶ 235行目:
* [[エルトゥールル号遭難事件]] - 助かった水夫と救助にあたった村人との間で言葉が通じないため国際信号旗を使って意思疎通を図った。
* [[津波フラッグ]] - U旗と同様のデザイン。[[気象庁]]が定めている。
* [[信号灯]]
 
== 外部リンク ==
227 ⟶ 249行目:
{{デフォルトソート:こくさいしんこうき}}
[[Category:旗]]
[[Category:通信]]
[[Category:水運]]
[[Category:船舶機器]]