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{{Otheruses|装置のレーダー}}
[[File:VW Rotating marine radar - rotating waveguide antenna.gif|thumb|
'''レーダー'''({{lang-en|radar}})とは、[[電波]]を対象物に向けて発射し、その反射波を測定することにより、対象物までの距離や方向を測る装置である{{Sfn|吉田|1996|p=1}}{{Sfn|Adamy|2014|p=35}}。
現在の日本語では通常「レーダー」とカタカナで表記する<ref>[https://www.mlit.go.jp/koku/content/001358864.pdf 国土交通省]</ref><ref>[https://www.furuno.com/jp/products/radar FURUNO]</ref><ref>[https://www.jrc.co.jp/product/jma1030 JRC]</ref>。(旧・日本軍では漢字表記を用いていた([[#漢字訳]]参照))
==
[[File:Radarops.gif|thumb|250px|レーダーの基本原理。]]
'''Radar'''という単語は定着した[[頭字語|アクロニム]]であり、[[英語]]の'''<span style="text-decoration:underline">ra</span>dio <span style="text-decoration:underline">d</span>etecting <span style="text-decoration:underline">a</span>nd <span style="text-decoration:underline">r</span>anging'''(電波探知測距) からきている。これは[[アメリカ合衆国|アメリカ]]人による命名であり、当初[[イギリス]]では'''radio locator'''(電波標定機)と呼んでいた<ref>{{Cite web|和書|author=
レーダーは様々に分類され、製品タイプによる分類としては パルスレーダー / 連続波レーダー /その他、またプラットフォームによる分類としては 船舶 / 航空 / 地上 / 宇宙と分けられる<ref name="prtimes" />。アプリケーション(用途)による分類では[[航空管制]] / [[リモートセンシング]] / 地上交通管制 / 宇宙での航行・制御 / [[地中レーダー探査]]、またエンドユーザーによる分類では 自動車 / 航空 / 産業 / [[気象観測]] / 防衛(つまり[[軍隊]])/ その他 と分けられる<ref name="prtimes" />。電波機器なので当然[[電波の周波数による分類]]で分類される。末尾関連項目の[[一次レーダー]]・[[二次レーダー]]という分類もある。似た用語に、1次元レーダー(電波式[[近接信管]]・[[電波高度計]]などのように、距離だけを専ら測るレーダー)、[[2次元レーダー]]、[[3次元レーダー]]もある。
レーダーは[[#送信機|送信機]]、[[#アンテナ|アンテナ]]、[[#受信機|受信機]]など、様々なコンポーネントによって構成される<ref name="GVR">{{Cite web|title=Grand View Research, Radar Market Size, Share & Trends Analysis Report By Component (Antenna, Transmitter, Receiver), By Service, By Platform, By Frequency Band, By Range, By End Use, By Region, And Segment Forecasts, 2020 - 2025|url=https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/radar-market|publisher=Grand View Research|accessdate=2023/03/09}}</ref>。原理的に最も基本的なレーダーは[[#パルスレーダー|パルスレーダー]]で、これは原理的には送・受の各[[アンテナ]]と[[送信機]]・[[受信機]]および指示器から構成されるが、実用機では右図のように送・受アンテナは共用されるのが一般的である{{Sfn|吉田|1996|p=2}}。それに対して[[バイスタティック・レーダー]]のように、送信機・受信機を大きく離隔して設置するシステムもある。一方、2019年時点で、レーダー業界の最大の収益を占めたのは[[#連続波レーダー|連続波レーダー]]であった<ref name="prtimes">{{Cite news|和書|title=レーダー市場は2028年に443億5000万ドルに達すると予測される|date=2021年7月15日|author=Report Ocean|newspaper=PRTimes|url=https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002257.000067400.html|publisher=[[PR TIMES]]}}</ref>{{Efn2|つまりレーダーで最もメジャーである。}}。
2000年代以後、自動車[[衝突被害軽減ブレーキ]]用[[ミリ波]]レーダーの実用化普及に伴い、以前とは桁の違う数の大量生産が行われつつある。自動車衝突被害軽減ブレーキは多くの先進国で実装義務化されつつある(手段はミリ波レーダーに限らない)。
レーダーを保護する外装を[[レドーム]]と呼ぶ。
== 構成 ==
=== 送信機 ===
送信機の性能は、送信[[周波数]]、送信出力、送信パルス幅、パルス繰返し周波数などの諸元によって決定される{{Sfn|吉田|1996|pp=152-156}}。
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=== アンテナ ===
==== リフレクタアンテナ ====
[[File:Airport Surveillance Radar.jpg|thumb|
その名の通り、1次放射器({{Lang|en|primary feed}})から放射された電波を反射鏡(リフレクタ)に当ててビームを成形するものである。マイクロ波の領域で高い利得および狭いビーム幅を得ることができ、しかも、アレイアンテナと比して安価である{{Sfn|吉田|1996|pp=104-117}}。
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Radar tower airport Frankfurt - Radarturm Flughafen Frankfurt - 01b.jpg|フランクフルト空港のレーダーのリニアアレイアンテナ。
Radar-hatzerim-1-1.jpg|[[イスラエル軍]]の[[早期警戒レーダー|対空捜索レーダー]]のリフレクタアンテナ。
Usaf.e3sentry.750pix.jpg|[[早期警戒管制機]](AWACS)。機体の上部に中身の[[パッシブ・フェーズドアレイ・アンテナ]]ごと回転
Ishigakijima meteorological radar 01.png|[[気象レーダー]]のレドーム([[石垣島]])
Ishigakijima meteorological radar 02.png|レドームの内部(石垣島)
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: 検波後の出力を微分して物標を際立たせる。雨や雪などの反射波によって物標の識別が困難なときに用いる<ref>第一級陸上特殊無線技士無線工学試験 JZ12B</ref>。
===
{{main|{{仮リンク|レーダー・ディスプレイ|en|Radar display}}}}
レーダーの指示方式は、[[アナログ信号処理]]方式、[[デジタル信号処理]]表示方式、両者の合成表示方式の3つに大別される{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。[[ディスプレイ (コンピュータ)|ディスプレイ]]は「指示器」や「表示部」とも称され、アナログ表示の時代には、[[#PPIスコープ|PPIスコープ]]方式の[[ブラウン管]](CRT)が主流であった{{Sfn|吉田|1996|p=9}}{{Sfn|吉田|1996|p=192-201}}。現代は多くでデジタル方式で、[[液晶ディスプレイ]](LCD)が用いられ<ref name="YAMAHA">{{Cite web|和書|title=ヤマハ、レーダーの基礎知識|url=https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/life/technique/navigation/radar.html|accessdate=2023-03-09}}</ref>、その画面サイズなどの呼び方(「○○インチ」等)も他の機器と変わらない<ref name="YAMAHA" />。
====
アナログビデオの表示は、その画面表示の更新がアンテナの動きおよび電波の発射と同期して行われるため、画像繰り返し速度([[リフレッシュレート]])が低くなり、CRTの残光性への依存が大きく、明るい場所で画像を見ることが困難になるという問題があった{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
; <span id="PPIスコープ">PPIスコープ</span>
: PPIスコープ(Plan Position Indicator scope、Pスコープとも)は、レーダーの位置を基点として、アンテナビームの回転に同期させて放射状に掃引を行なって、受信した信号を表示するものである{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。すなわち、レーダーの位置を中心として、レーダーで捉えられた目標が鳥瞰的に表示されることから、(下で説明するAスコープ、Bスコープ、Eスコープなどと比べて)直感的に理解しやすいという大きなメリットがあった{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
: PRIスコープでは、レーダー波の波長が長いと近接した複数の対象物が同一の光点として表示されてしまうため、多数の目標を捕捉する際の分解能を高めるためには、レーダー波長の短波化が必須。{{Efn2|波長の短波化と送信出力の強化の両立には高度な電子技術が要求されたため、[[枢軸国]]では専ら送信出力を強化しやすい長波レーダーの開発に終始し、PPIスコープの採用までには漕ぎ着けなかった。
: [[連合国 (第二次世界大戦)|連合軍]]で運用されたPPIスコープを用いる初期のレーダーシステムでは、アンテナの回転角度に[[日本軍]]と同様の理由で一定の制約が存在したが、やがてマイクロ波レーダーと高利得のパラボラアンテナなどが主体のシステムに発展すると、アンテナは360度自動的に回転し続けるようになった。PPIスコープ上で目標物として表示される光点は、Aスコープでいうところの波形のピークに当たる部分である。日本軍の場合、各電測兵がAスコープの波形情報を、経験と技術によって二次元図として変換し認識していたのが、PPIスコープでは完全に自動化されるようになったので、連合国のレーダー担当員の負担は大幅に軽減され、測的の精度も飛躍的に高まることとなった。}}
; <span id="Aスコープ">Aスコープ</span>
: 縦軸に受信信号強度、横軸に距離を取って波形を表示するものである([[心電図]]のようなイメージ)。開発初期から用いられてきたが、現在でも受信信号強度の測定や信号の弁別のための[[オシロスコープ]]表示として用いられている{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
: ある一定距離の目標物にアンテナを向ける場合、アンテナの角度が目標物に近づくにつれ、波形の山が大きくなっていき、方向が完全に一致すると波形が極大値(ピーク)を表示する。Aスコープでは、レーダー送信機のアンテナの方向は別に表示されるため、他方向に多数の対象物が存在する場合、測定結果を一覧できない。{{Efn2|Aスコープ方式を採用していた旧日本軍の長波レーダーの運用を例に取ると、送信・受信の各アンテナは兵士が手動または電動で動かし、受信機を操作する電測兵は伝令兵や有線電話からもたらされるアンテナの角度情報と、受信機のAスコープの波形から、どの方向のどの距離にどのような対象物が存在するかを頭の中で二次元図として描き出すことで把握する必要があり、多数の敵の同時測的には大変な熟練が要求された。機器の耐久性の問題から(送信用アンテナを受信用アンテナに直接向けると受信機が入力過大で破壊されてしまうなど)、アンテナの操作一つ取っても各兵士の連携と熟練が不可欠であった。}}
; <span id="Bスコープ">Bスコープ</span>
: 横軸に方位、縦軸に距離を示す方式{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
: この方式はAスコープでは比較的読み取りが明瞭な波形の強度(ピーク)情報が、PPIスコープに類似した光点の強弱のみで表されるので、正確な読み取りにはやや経験を要する。{{Efn2|戦闘機などの空対空レーダーや連合軍艦船の射撃管制レーダーに利用されていた。
: それまでの光学機器による弾着観測と比較して観測員の経験や練度による精度のブレが発生しにくい為、比較的練度の低い砲兵でも安定した射撃成績を挙げる事が可能となった。とりわけ夜戦や荒天下の砲撃戦では光学機器や肉眼目視の練度のみに頼っていた旧日本海軍に大きく差を付ける事に貢献した。Bスコープを元に横軸を方位、縦軸を高度としたものはCスコープと呼ばれ、[[高射砲]]の管制に用いられた。}}
; <span id="Eスコープ">Eスコープ</span>
: PPIスコープやBスコープが水平面の情報を表示するのに対して、垂直面の表示として用いられるのがEスコープである。横軸に距離、縦軸に仰角を表示するものと高さを表示するものがあり、後者はRHI({{Lang|en|Range Height Indicator}})と称される{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
<gallery widths=200 heights=150>
Chain_Home_screen_shot_-NEDAD.2013.047.058A.jpg|Aスコープの一例。40マイル以内に複数の目標が存在する波形であるが、アンテナを動かし、その角度情報を元に推測をしなければ正確な方角と、二次元的な情報が得られない。
015706t.jpg|Bスコープの一例
SIXgunsalvo.jpg|A、B、Eスコープの一例。
PPI-scope.jpg|PPIスコープ(1980年)
Radar2.gif|PPIスコープの動作イメージ(イラスト動画)
</gallery>
==== デジタル表示 ====
レーダービデオをデジタル処理し、更にコンピュータで相関処理、識別処理などを行った結果から、目標のシンボル表示、高さおよび速度の数字表示などを高いリフレッシュレートで表示する方法である{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。スキャナー(送信アンテナ)が1回転するたびに得られる情報は機器内の記憶装置に貯えられ、1画面ごとに書き換えられる方式を採用しており、それにより様々な機能を表示できる<ref name="YAMAHA" />。現代のレーダーの表示画面は、ほとんどが'''デイライト・タイプ'''({{Lang-en-short|daylight type}})と呼ばれるものであり、通常の昼間光のもとでも見られるようになっている<ref name="YAMAHA" />。
<gallery widths=200 heights=150>
File:Tamer Kiran 049.jpg|[[トルコ]]の船舶 Tamer Kiranのレーダー画面(2007年)。[[日本無線]]製。
RV Thomas G. Thompson - radar monitor 01.jpg|[[ワシントン大学 (ワシントン州)|ワシントン大学]]の調査船の操舵室のレーダーモニター(2008年)。[[古野電気]]製。
Radar screen.JPG|現代の船舶で一般的なナビゲーションシステムのレーダー表示(2006年)
File:US Navy 070913-N-1786N-051 Air Traffic Controller 2nd Class Branden Powell keeps track of aircraft using a SPN-43 radar screen during routine flight operations on board amphibious assault ship USS Tarawa (LHA 1).jpg|[[強襲揚陸艦]]「[[タラワ (強襲揚陸艦)|タラワ]]」の航空管制用レーダーの画面(2007年)
ATC approach radar screen.jpg|1990年代の、空港の[[航空交通管制]]レーダーの画面
Radar monitoring current Dulles air traffic (11139815845).jpg|[[航空交通管制]]レーダーモニター(2013年[[ワシントン・ダレス国際空港]])
737NG Navigation Display with weather radar showing. (5734080397).jpg|[[ボーイング737]]のナビゲーション画面の[[気象レーダー]]表示(2011年)
Salado, Texas 2022 tornado radar image.gif|[[気象レーダー]]の画面(2022年。[[テキサス州]]の[[竜巻]]。)
</gallery>
== レーダー方程式 ==
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::<math>\lambda</math>:波長
::<math>R</math>:目標とレーダーとの距離
水平線上の探知可能距離の方程式
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== レーダー変調 ==
レーダー変調には下記のような方式がある<ref name="岸2006">{{Cite web|和書|author=岸豊久|year=2006|url=http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/labs/fukao-lab/members/fukao/new/2006lecture/8kishi.pdf|title=第8章 レーダーシステム|format=PDF|accessdate=2015
* パルス波
* 連続波(CW)
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=== パッシブレーダー ===
送信機を持たず、他のレーダーや[[携帯電話]]の[[基地局]]、[[放送局]]などといった既存の発信源から発せられている電波を利用して目標を探知するレーダー。自ら電波を発しないため省電力であり、周波数帯域の節減にも益するほか、軍事的観点から[[電子防護]]能力やステルス性にも優れるというメリットがある
<ref>{{Cite web|和書|author=
上記の[[#イメージングレーダー|イメージングレーダー]]や[[#バイスタティックレーダー|バイスタティックレーダー]]からの技術応用もなされている<ref>{{Cite journal|和書|author=諏訪啓|coauthors=中村聖平、森田晋一|year=2010|month=11|title=地上デジタルテレビ放送波を用いたパッシブレーダの実証検討 (特集 新しい光・電波技術)|journal=三菱電機技報|issue=11|volume = 84|pages=625-628|publisher=三菱電機エンジニアリングe-ソリューション&サービス事業部|url=http://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/giho/2010/11/pdf/1011107.pdf|naid=40017392849}}</ref>。
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=== レーダー電波の減衰 ===
電波は、大気中の酸素や水蒸気などの気体により吸収されたり、霧、雲、雨、雪、[[風塵]]、[[火山灰]]、[[煤煙]]などにより散乱して減衰したりする。波長の短い電波ほど大気中の気体に吸収され易く、電波を送信・反射・受信する間に、電波のエネルギーはその経路にある気体により吸収され減衰する。[[チャフ]]で意図的にレーダー電波の減衰を図る場合もある。
10GHz以下の周波数では酸素や水蒸気等の気体による吸収はほとんど無視できる。雲や霧においては、視程が100m以上程度の濃度の場合、探知距離はほとんど影響を受けないが、視程が50m程度の濃霧の場合、影響を受ける。特にレーダーから測定対象までの距離が遠方にある場合(電波の往復距離が長いので影響を受けやすい。)、減衰が大きい。雨や雪の場合、雨滴が大きくなると散乱が急増し減衰が起きる。電波の波長が長くなると散乱による影響は少なくなる。雪の影響もほぼ同様の傾向を示す。
このようにレーダーでは、[[波長]]の長い(=[[周波数]]が低い。)電波を使うと電波の散乱による減衰が少なく、遠くまで探知することができるが、一方で[[分解能]]が低くなるため、目標の解像度は悪くなる。しかも波長相応に大きなアンテナが必要になる。逆に、波長の短い(=周波数が高い。)電波は、空気中に含まれる水蒸気や雲・雨などに吸収・反射され易いので減衰が大きく遠くまで探知するのに困難を伴う一方で高い解像度を得ることができる。したがって、遠距離の目標をいち早く発見する必要性のある捜索用の対空レーダーや水上レーダーでは周波数が低い電波を用いる傾向があり、一方で射撃管制レーダーなど、目標の形・大きさなどを精密に測定する必要性のあるものでは周波数が高い電波を用いる傾向がある。
=== クラッター ===
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== 歴史 ==
{{Main|レーダーの歴史}}
== レーダーと法規 ==
=== 船舶のレーダーに関する法規 ===
{{Efn2|レーダーの一番ポピュラーな使用法は船舶に搭載することであるが、世界の海を航行する船に設置されているレーダーは、どのような法規のもとに運用されているか、当節で説明されてゆく予定。世界各国の会社が、自国以外の国の[[船籍]]で船舶を登録している。(つまり日本やイギリスの船会社の船でもパナマ船籍の船は多い。また船舶といっても、本船(大型船)、大型[[客船]]、遠洋[[漁船|漁業船]]、個人所有の釣り用のクルーザーやセーリングクルーザーなど、種類も多様であり、そうした多様な船舶に搭載されているレーダーにどのような法規が適用されているかについて説明されてゆく予定。)}}
{{節スタブ|section=1|date=2023年3月}}
=== 日本
{{law|section=1}}
[[日本]]の[[法規]]では、レーダーは[[無線局]]における[[無線設備]]の一種として扱われる。ただし、パッシブレーダーのような電波を出力しない受信のみのものは該当しない。
[[政令]][[電波法施行令]]第3条第2項第7号と[[電波法関係手数料令]]第1条第1項第2号には、「ある特定の地点から反射され、又は再発射される無線信号と基準となる無線信号との比較を基礎として、位置を決定し、又は位置との関連における情報を取得するための無線設備」と、
235 ⟶ 248行目:
|-
|nowrap|無線航行陸上局
|nowrap rowspan=2|レーダー級[[海上特殊無線技士]]
|存在しない{{efn2|海上無線航行業務用無線航行陸上局は[[無線局運用規則]]第108条に基づき[[告示]]されるが、レーダーのみのものは免許されていない。
|-
|無線航行移動局
|[[空中線電力]]5kW未満の船舶用は不要<ref>電波法施行規則第33条および[https://www.tele.soumu.go.jp/horei/law_honbun/72031500.html 平成2年郵政省告示第240号 電波法施行規則第33条の規定に基づく無線従事者の資格を要しない簡易な操作]第6項(3)(同上)</ref>(第4種レーダーと通称される。[[無線設備規則]]第48条第1項及び第2項に規定する三種類のレーダー以外に第3項で別に告示に定めるもの<ref>[https://www.tele.soumu.go.jp/horei/law_honbun/72131000.html 昭和55年郵政省告示第329号 無線設備規則第48条第3項の規定による船舶に設置する無線航行のためのレーダーであつて同条第1項又は第2項の規定を適用することが困難又は不合理であるもの及びその技術的条件]第1項第1号(同上)</ref>であることによる。)
|-
|無線標定陸上局
|rowspan=2|第二級[[陸上特殊無線技士]]
|rowspan="2"|陸上系の無線従事者を要するのは電波法施行令第3条第2項第6号の[[陸上局#陸上の無線局|陸上の無線局]]であることによる。<br/>[[日本の警察|警察]]用以外で空中線電力0.1W以下の[[適合表示無線設備]]([[技適マーク]]のあるもの)は不要<ref>電波法施行規則第33条および[https://www.tele.soumu.go.jp/horei/law_honbun/72031500.html 平成2年郵政省告示第240号 電波法施行規則第33条の規定に基づく無線従事者の資格を要しない簡易な操作]第1項第4号および第5号(同上)</ref>
|-
|無線標定移動局
|-
|colspan="3"|注
* 従前の[[特殊無線技士]](レーダー)は無線航行用と無線標定用のどちらのレーダーも操作又はその監督が可能<ref>電波法施行令附則第3条第1項及び第2項</ref>
*レーダーを無線設備とする航空用無線航行局は存在しない{{efn2|航空無線航行業務用無線航行陸上局についての告示は、令和2年総務省告示第136号により廃止された。}}{{efn2|無線航行陸上局への周波数割当ては地域周波数利用計画策定基準一覧表第5号2によるが、航空無線航行用にレーダーの電波の型式であるP0NまたはQ0Nを使用するものは無い。無線航行移動局は、航空機局の定義が「航空機の無線局のうち、無線設備がレーダーのみのもの以外のもの」とあるので、レーダーのみを搭載する航空機について適用されることになるが、そのような航空機は事実上ありえない。}}<ref>[https://www.tele.soumu.go.jp/search/area/tbl/052000000.htm?TTIP= 地域周波数利用計画策定基準一覧表 第5号無線航行局 2無線航行陸上局および無線標識局](総務省電波利用ホームページ - 周波数割当て)</ref>。
* [[自衛隊]]のレーダーについては[[自衛隊法]]第112条第1項により、電波法の無線局の免許および無線従事者に関する規定が適用されない{{efn2|
|}
上述より、
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無線航行用レーダーと他の海上用または航空用の無線機器をあわせて無線設備とする無線局は、移動の可否により海上用は[[海岸局]](一部は無線航行陸上局)または[[船舶局]]、航空用は[[航空局]]または[[航空機局]]として免許される。これらの操作には[[総合無線通信士]]または各々、海上系もしくは航空系の無線従事者を要する。
*
無線航行用レーダーのうち[[船舶局#義務船舶局|義務船舶局]]用は、[[電波法]]第37条第2号により[[無線機器型式検定規則]]による検定に合格した「検定機器」でなければならない{{efn2|同条ただし書による電波法施行規則第11条の5第1号により外国で相当する検定に合格したものについては、この限りでない。}}。
義務船舶局用以外の船舶用および無線標定用のものは、[[特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則]]により認証されれば適合表示無線設備となる。適合表示無線設備になれば[[簡易な免許手続]]の対象<ref>無線局免許手続規則第15条の4</ref>となり[[予備免許]]や[[落成検査]]を経ずして免許され、上述のように操作に無線従事者を不要とする「簡易な操作」の条件ともなる。
[[自衛隊]]の艦船、航空機については上表と同様に自衛隊法第112条第1項により、電波法の無線局の免許および無線従事者に関する規定が適用されない。
用途が異なれば無線局の種別が異なるので、[[無線局免許手続規則]]第2条第3項により単一の無線局として免許申請することはできない。
321 ⟶ 334行目:
{{節スタブ|section=1|date=2023年3月}}
==
世界の主要メーカーは次のようになっている。
*Blighter Surveillance Systems Ltd.(イギリス)
*Detect Inc. (米国)
*ASELSAN (トルコ)
*Elbit Systems Ltd. (イスラエル)
*Flir Systems, Inc. (米国)
*Harris Corporation (米国)
*Israel Aerospace Industries Ltd.(イスラエル)
*Leonardo S.P.A (イタリア)
*Lockheed Martin Corporation(米国)
*Hensoldt(ドイツ)
*Raytheon Company (米国)
*Saab AB(スウェーデン)
*Terma A/S(デンマーク)
*Thales Group(フランス)
日本のメーカーでは[[光電製作所]](KODEN)、[[日本無線]](JRC)、[[古野電気]](FURUNO)が船舶用のレーダーなどを世界市場に供給しており、[[三菱電機]]が軍用レーダーを防衛省に納入している。
== 漢字訳 ==
「レーダー」の[[漢字]]表記に関しては、複数のものが併存して用いられた時期があった。
[[大日本帝国陸軍
一方、陸軍の数年後にレーダーを導入した[[大日本帝国海軍
[[戦後]]は(陸軍称で、一般称ともなった)「電波探知機」のほうが広く世間に定着した{{Sfn|徳田|2007|p=142}}。その後、カタカナ表記が一般的になった。
{{Seealso|レーダーの歴史#日本}}
== 比喩 ==
356 ⟶ 385行目:
== 関連項目 ==
* {{ill2|レーダーの一覧|en|List of radars}}
** {{ill2|Airborne Interception radar|en|Airborne Interception radar}} - 航空機搭載迎撃用レーダーの英国での呼称。空対空戦闘を行う[[要撃機]]、[[夜間戦闘機]]などに搭載される。
** {{ill2|Neptun (radar)|en|Neptun (radar)}} - 第二次世界大戦中のドイツ航空機に搭載されたレーダー。
** {{ill2|日本軍のレーダー一覧|en|List of Japanese World War II radars}}
* [[レーダーリフレクター]]
* [[超広帯域無線|超広帯域無線 (UWB)]] - 医療診断用や対人検知用として超広帯域無線を利用するレーダーが用いられている。
* [[地中レーダー]]
* [[LIDAR]] - レーダーの電波の代わりに光を使う技術。
* [[ソナー]] - 水中でレーダーの電波の代わりに音波を使う技術。
372 ⟶ 406行目:
== 外部リンク ==
{{Commons|Radar}}
<!--
もし掲載するなら、当記事ではなく【レーダーの歴史】
*[http://home.e01.itscom.net/ikasas/index.htm 太平洋戦争 レーダー開発史]
*[http://www1.odn.ne.jp/~yaswara/index.html 暗天南 - 海軍レーダー徒然草]
*[http://www17.big.or.jp/~father/aab/kikirui/army_radar.html ファーザーのHP - 陸軍のレーダー]
*[
*[
*[
*[
*[
*[
*[
*[https://www.youtube.com/watch?v=-BiBg2eOT-I U.S. NAVY WWII RADAR MOVIE "CONQUEST OF THE NIGHT" 28384]
*[https://www.youtube.com/watch?v=64LUeQ4DAqg Radar: "Radar: Technical Principles: Mechanics" pt1-2 1946 US Army Training Film]
389 ⟶ 425行目:
*[https://www.youtube.com/watch?v=XzDj7ws099w Radar: "Radar: Technical Principles: Indicators" pt3-3 1946 US Army Training Film]
*[http://www.maritime.org/doc/indicator/index.htm B.R. 901/43, Handbook On The Use Of Radar For Gunnery Purposes Visual/Radar Target Indication]
-->
{{Normdaten}}
|