[[File:Fêtes galantes (livre II) de Debussy.jpg|upright=0.9|thumb|『艶なる宴』第2巻]]{{Portal クラシック音楽}}
'''艶なる宴''' (えんなるうたげ、{{Lang-fr-short|Fêtes galantes}})は、[[ポール・ヴェルレーヌ]]の詩に合わせて[[クロード・ドビュッシー]]が作曲した6つのメロディ歌曲からなる歌曲集([[連作歌曲]])である。
作品は3つの曲からなる2つの曲集 ([[作品番号|作品FL.86]]、[[作品番号|作品FL.114]]) で構成され、数年かけて作曲された。作品は[[1904年]]に初演されました。
== 作曲の経緯 ==
この6編の詩は、[[1869年]]に出版されたヴェルレーヌの詩集「『{{仮リンク|『艶なる宴」 (ヴェルレーヌ)艶なる宴)|label=艶なる宴|fr|Fêtes galantes (Verlaine) }}』に収録されている。ドビュッシーは[[1885年]]に[[ローマ]]に留学した際、ヴェルレーヌの詩を生涯にわたって愛し続け、この詩集のコピーを持っていた<ref name="kp">Pfeifer, Katja. Notes to Genuin CD set 16430 (2016)</ref>。[[ガブリエル・フォーレ]]や[[ベンジャミン・ブリテン]]など、他の作曲家がヴェルレーヌの詩を題材にしたことはあったが、『[[ニューグローヴ世界音楽大事典|グローブ音楽・音楽家辞典]]』によると「ヴェルレーヌの詩に曲をつけた作曲家は[[ガブリエル・フォーレ]]から[[ベンジャミン・ブリテン]]まで多くいるが、あらゆる角度から鑑みてドビュッシーはが一番重要な作曲家であろう」ということしては初めてであったる<ref>Griffiths, Paul. [http://www.oxfordmusiconline.com/grovemusic/view/10.1093/gmo/9781561592630.001.0001/omo-9781561592630-e-0000029214 "Verlaine, Paul"], ''Grove Music Online'', Oxford University Press, 2011, retrieved 13 June 2018 {{Subscription required}}</ref>。
評論家のジャック=アンリ・ボルネックは、ヴェルレーヌの本を「小組曲」と呼んだ。この本には、[[アントワーヌ・ヴァトー]]の「『{{仮リンク|艶なる宴」 (ヴァトー)|label=艶なる宴|en|Fête galante}}』の絵に触発された、優しいものから皮肉なものまで、さまざまな場面や出会いを表現した22編の詩が収められているが、そのほとんどが非常に短いものである<ref name="wright">Wright, Alfred J. [https://www.jstor.org/stable/384667 "Verlaine and Debussy: Fêtes galantes"], ''The French Review'', Vol. 40, No. 5 (April 1967), pp. 627–635 {{Subscription required}}</ref>。
== 楽曲構成 ==
=== 第1集 ===
* 密やかに(En sourdine)
* ミュートして
* 操り人形(Fantoches)
* 月の光(Clair de lune)
=== 第2集 ===
* 罪の無邪気ない人たち(Les Ingénus)
* 牧神(Le Faune)
* 感傷的な対話(Colloque sentimental)
* センチメンタルな会話
== 評価 ==
ヴェルレーヌは、[[1874年]]に発表した詩「芸術の『詩」法』の中で、「音楽は何よりも大切であり、何よりも先に音楽を。そのためには、不規則揃いなものを選びぶこと、曖昧おぼろげで空大気に溶け込みやすいものを選ぶ。」と書いている{{efn|"De la musique avant toute chose, Et pour cela préfère l'Impair Plus vague et plus soluble dans l'air"}}。アナリストのカティア・ファイファーは、ドビュッシーの『花の祭典艶なる宴』の第1曲の演奏において、ヴェルレーヌのこの格言葉が「文学的な現実」になっているとコメントしている。詩のリズム、言葉の響きとの戯れ、音楽への明示的な言及により、詩そのものが歌のような雰囲気を醸し出しているのである<ref name="kp">Pfeifer, Katja. Notes to Genuin CD set 16430 (2016)</ref>。
ドビュッシーは[[1891年]]に第1集 (FL.86) を完成させた。スコアの原稿には「パントマイム」と「マンドリン」という2つの曲が書かれているが、後に削除され、別々に出版された。スコアは[[1903年]]に出版され、曲は[[1904年]]6月16日に[[エドゥアール・コロンヌ]]夫人の家で初演された。
ドビュッシーは[[1882年]]にすでに第1集の3つの詩をすべて設定していた。それ以前の作品は、愛人のマリー・ヴァスニエ夫人のために作曲されたものである。しかし、この曲では、作曲者は元来の派手で[[ヴィルトゥオーソ|ヴィルトゥオーゾ]]的な終わり方を、彼のスタイルの中で頻繁に見られるようになった緩やかな[[ディミヌエンド]]に置き換えている<ref name="rn">Nichols, Roger. Notes to Hyperion CD set CDA 677883 (2012)</ref>。「ミュートして密やかに」と 「月の光」はほぼ完全に書き直されている。音楽学者の[[ロジャー・ニコルズ (音楽学者)|ロジャー・ニコルズ]]は、これらの曲が、最初の設定のに取り組んだ時点で作曲者が開発し展させていたものよりも「はるかに冒険的な和声のパレット」を示しており、「モード性[[旋法]]と[[半音階性]]が同等に混ざり合っている」と書いている。ニコルズは、「操り人形」をエネルギッシュできらびやかな曲と表現しているが、これは第1曲と第3曲が「時を超えた浮遊感があり、ヴェルレーヌの詩の有名な『音楽性』を味わうことができる」のと対照的である。分析家アナリストのスーザン・ユーエンスは、外側「曲の曲導入部は、「愛と幸運に恵まれているように見えても、『日和見主義恵まれた人生』が過ぎ去ったことをすで既に感じている人々の、内向き的でメランコリー憂鬱なビジョン幻想」であると書いている<ref name="youens">Youens, Susan. [https://www.jstor.org/stable/23532092To Tell a Tale: Symbolist Narrative In Debussy's ''Fêtes Galantes II''], ''Nineteenth-Century French Studies'', Vol. 16, No. 1/2 (Fall/Winter 1987/1988), pp. 180–191 {{Subscription required}}</ref>。
第2集 (FL.114) は、[[エンマ・バルダック|エマ・バルダック]]に捧げられたもので、1904年の作品である。1904年6月23日にコロンヌ夫人のもとで初演され、その年の9月に楽譜が出版された。この3つのヴェルレーヌの詩は、ドビュッシーにとって唯一の作品である。3つの曲が共通の物語の糸で結ばれていない第1集とは異なり、第2集では、男女の関係の難しさというテーマが連続している。ユーエンスは、「男女の相互理解の難しさを、その始まり(「罪の無邪気ない人たち」)から生前の死(「牧神」)、そして最後には死後の厳に残る険しい遺体さ(「センチメンタル感傷的な会対話」)まで」と書いている<ref name="youens">Youens, Susan. [https://www.jstor.org/stable/23532092To Tell a Tale: Symbolist Narrative In Debussy's ''Fêtes Galantes II''], ''Nineteenth-Century French Studies'', Vol. 16, No. 1/2 (Fall/Winter 1987/1988), pp. 180–191 {{Subscription required}}</ref>。
== 脚注 ==
== 注記、参照、およびソース ==
=== {{脚注 ===ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist|1}}
=== 出典 ===
== 参考文献 ==
*松橋麻利 『ドビュッシー 作曲家・人と作品』 [[音楽之友社]]、(ISBN 978-4276221895)
== 外部リンク ==
[[Category:1904年の楽曲]]
[[Category:フランス語の歌曲]]
[[Category:歌曲集]]
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