|
|casualties2=分離主義者の損失 戦死:5,500-8,000名<br/> ロシア連邦の損失:1,600名<br/>{{Seealso|[[:en:Casualties of the Russo-Ukrainian War|ウクライナ紛争の犠牲者数]]}}
}}
'''ウクライナ紛争'''(ウクライナふんそう)は[[2014年]]に発生した[[尊厳の革命|マイダン革命(ウクライナ騒乱、尊厳の革命)]]後、[[クリミア半島]]([[クリミア自治共和国]])と[[ウクライナ]]本土の[[ドンバス]]地方([[ドネツィク州]]と[[ルハーンシク州]])で起こった[[2014年クリミア危機]]、および[[ウクライナ軍]]と、[[親露]]派武装勢力や反ウクライナ政府組織、[[ロシア連邦政府]]・[[ロシア連邦軍|軍]]との[[紛争]](軍事衝突や対立)である。[[2021年]]秋にはロシアがウクライナ国境への軍の集結を開始し([[ロシア・ウクライナ危機 (2021年-2022年)|ロシア・ウクライナ危機]])、[[2022年]][[2月24日]]には'''[[2022年ロシアのウクライナ侵攻|ロシアがウクライナに侵攻した]]'''。
'''ロシア・ウクライナ戦争'''(漢字:露宇戦争、宇露戦争、{{Lang-en|Russo-Ukrainian War}}、{{lang-ru|pоссийско-украинская война}}、{{lang-uk|російсько-українська війна|rosiysko-ukrainska viyna}})ともいう称する<ref>{{Cite book|url=https://books.google.com/books?id=l9KMDwAAQBAJ&q=timothy+snyder+road+to+unfreedom|title=The Road to Unfreedom: Russia, Europe, America|last=Snyder|first=Timothy|publisher=Tim Duggan Books|year=2018|isbn=9780525574477|___location=New York|page=197|quote=Almost everyone lost the Russo-Ukrainian war: Russia, Ukraine, the EU, the United States. The only winner was China.}}; {{Cite journal|last=Mulford|first=Joshua P.|date=2016|title=Non-State Actors in the Russo-Ukrainian War|journal=Connections|volume=15|issue=2|pages=89–107|issn=1812-1098|jstor=26326442|doi=10.11610/Connections.15.2.07|doi-access=free}}; {{Cite book|chapter-url=https://books.google.com/books?id=MhspDwAAQBAJ&q=%22Russo-Ukrainian+war%22&pg=PA134|title=Multicultural Societies and their Threats: Real, Hybrid and Media Wars in Eastern and South-Eastern Europe|last1=Shevko|first1=Demian|last2=Khrul|first2=Kristina|publisher=LIT Verlag Münster|year=2017|isbn=9783643908254|editor-last=Gutsul|editor-first=Nazarii|___location=Zürich|page=100|chapter=Why the Conflict Between Russia and Ukraine Is a Hybrid Aggression Against the West and Nothing Else|editor-last2=Khrul|editor-first2=Kristina}}</ref>。
== 概要 ==
ウクライナ系メディアでは、[[ロシア]]の正規軍の関与が広く見られることからロシアによる[[侵略]]、ロシアによる[[占領]]、または'''ウクライナ・ロシア[[戦争]]'''と呼んでい称する。[[ペトロ・ポロシェンコ|ポロシェンコ]][[ウクライナの大統領|大統領]]もしばしば「ロシアとの戦争」という用語を使っ称した。ただしウクライナ、ロシアともに[[宣戦布告]]は行っていない。
一方、ロシア系メディアでは、この紛争初期には'''ロシアの春'''と表現する場合もあったが、以降は「ロシア軍は関与していない」という立場と[[国際司法裁判所]]にウクライナ政府が求めていた「ロシアによる親露勢力への支援の認定」を、証拠不十分として退ける決定をした<ref name="#1">{{Cite news|url=https://mainichi.jp/articles/20170421/k00/00m/030/063000c|title=国際司法裁判所 ウクライナ紛争の露支援を「証拠不十分」|work=|publisher=朝刊|date=2017年4月21日}}</ref>との立場から、今次紛争をウクライナ[[国民]]同士の対立である'''ウクライナ[[内戦]]'''であると表現している。ロシア政府は同戦闘を「内戦」と呼び、自らの関与を否定するが、現地世論調査によると、ウクライナ国民の57%が「ロシアとウクライナの戦争」だと感じており、「内戦」(13%)だと見なす13%の国民より圧倒的に多い<ref>{{ru icon}}[http://zn.ua/UKRAINE/bolshinstvo-ukraincev-schitayut-situaciyu-v-donbasse-voynoy-s-rossiey-155195_.html {{lang|ru|Большинство украинцев считают ситуацию в Донбассе войной с Россией}} 2014年10月6日]</ref>。
欧米諸国からは、派兵や兵器・燃料の供給をはじめ、ロシアの直接的関与は明白だ、として、対露[[経済制裁|制裁]]を科すなどの措置を取っている。しかしが、「[[内戦]]」という用語では用いず、代わりになく紛争、占領、侵略、軍事侵攻等の用語を使用などとしている。
クリミア自治共和国では、衝突初期の2014年2月下旬-から3月にかけて行われたのロシアによる軍事干渉と、各国際的なから非難を浴びながら行わされた住民投票の結果、同年[[3月17日]]にロシアへの併合を求める決議を採択したと宣言した。次いで[[ロシアによるクリミアの併合|ロシア軍の支配下に置かれ、さらにロシアへの併合が宣言された]]。その後ちに、ウクライナ本土のドンバス地方([[ドネツィク州]]と[[ルハーンシク州]])での抗議運動が、武装した分離主義勢力による反乱へと広がった結果ると、ウクライナ政権が軍事的反攻に乗り出し(て[[ドンバス戦争]])となり、ウクライナがNATOに加入ろうとを試行したことも相まって[[2022年ロシアのウクライナ侵攻|全面的侵攻にまでエスカレートした]]。
== 経緯 ==
{{seealso|2014年クリミア住民投票|2014年クリミア危機のタイムライン|クリミア連邦管区}}
[[ファイル:2014-03-09 - Perevalne military base - 0162.JPG|thumb|left|クリミアに[[展開 (軍事)|展開]]する「[[リトル・グリーンメン (ウクライナ危機)|リトル・グリーンメン]]」と呼ばれる[[国籍]]を隠した[[部隊]]]]
2014年[[2月26日]]の初め、後に[[ウラジーミル・プーチン|ロシアのプーチン大統領]]が指示した[[ロシア連邦軍]]と確認される武装勢力は、[[クリミア半島]]の主導権を徐々に握り始めていた。この間、クリミア半島で[[ロシア|ロシア連邦]]への併合についていわゆる「住民投票」が行われた結果、83%の投票者で96%の賛成が得られたが、この住民投票は、[[欧州連合|EU]]・[[アメリカ合衆国|アメリカ]]、[[ウクライナ人]]、{{要出典範囲|クリミア半島の[[クリミア・タタール人]]によって、「[[ウクライナ憲法]]と[[国際法]]に違反している」として非難されている|date=2016年1月}}。[[3月17日]]、にクリミア議会は[[ウクライナ]]からの独立を宣言し、ロシア連邦への併合について呼びかけた。[[3月18日]]、にロシアとクリミア自治共和国最高会議は、"クリミアとセヴァストポリの編入に関する条約"に署名した。[[3月21日]]に編入条約は[[批准]]され、ロシア連邦の2つの新しい連邦構成主体として発足した。[[国際連合総会|国連総会]]は、公表された国民投票は無効であり、ロシアによるクリミア併合は違法に行われたとして、現状を「ロシアによる占領」と[[国際連合総会決議|国連総会決議]]により定めている。
2014年[[4月1日]]までに約3,000人の住民がクリミア半島から逃れたとされ、その80%はクリミア・タタール人だったとされる。"Ivano-Frankivsk Oblast"と"Chernivtsi Oblast"の[[欧州安全保障協力機構]](OSCE) (OSCE) のチームは、クリミアから西ウクライナへ移住した国内避難民を補助した。主にクリミア・タタール人だであった多くの[[難民]]は避難を続け、UNHCRは[[5月20日]]までに約1万人の人々が移住したと発表している。
クリミア半島を[[実効支配]]したロシア政府は、半島東部とロシア領[[タマン半島]]を結ぶ[[ケルチ海峡]]に[[クリミア大橋]]を[[2015年]]に着工し、[[2018年]]開通させた。同年11月、にウクライナ西部の[[オデッサ]]を出港した[[ウクライナ海軍]]艦艇3隻が、ケルチ海峡を通過して[[アゾフ海]]沿岸にあるウクライナ東部の港湾都市[[マリウポリ]]へ向かっていたところ、11月25日にロシアによって[[拿捕]]された。これを受けて、ウクライナ政府と議会は、[[ソビエト連邦の崩壊]]に伴う[[ウクライナ独立宣言|独立]]後では初となる[[戒厳令]]を11月28日から30日間ロシアと隣接する10州にへ発令することを決定した(11月28日から30日間)<ref>「ウクライナ緊迫再び/艦艇拿捕/戒厳令 露との対立新局面」『[[読売新聞]]』朝刊2018年11月28日(国際面)</ref>。
ウクライナ政府は外交圧力によるクリミア奪還をめざしており、2021年8月23日、「クリミア・プラットフォーム」初会合となる首脳会議を首都[[キーウ]]で開き、合計46の[[国家]]と[[国際機関]]が参加した。首脳級は14人で、[[シャルル・ミシェル]][[欧州理事会議長]](EU大統領)のほか、ロシアの脅威にさらされている[[東ヨーロッパ|東欧]]諸国から[[ポーランドの大統領一覧|ポーランド大統領]]、[[リトアニア大統領]]、[[モルドバの大統領|モルドバ大統領]]が参加した。米独はエネルギー担当閣僚に、[[日本]]は駐ウクライナ[[大使]]にとどめた。ロシア政府は参加国には対抗措置をとると警告し、て「非友好的な行事」と非難した<ref>「ウクライナ「クリミア奪還」初会議/米独 首脳級出席見送り『読売新聞』朝刊2021年8月24日(国際面)</ref><ref name="日経20210824">[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR2136X0R20C21A8000000/ 「クリミア問題で対ロ圧力 ウクライナ、連携狙う 44の国・機関招き首脳会議/米、対立懸念で慎重」]『[[日本経済新聞]]』朝刊2021年8月24日(国際面)同日閲覧</ref>。
{{Clearleft}}
[[ファイル:2014-03-08. Митинг в Донецке 015.jpg|thumb|ドネツィクの親露派(2014年3月8日)]]
2014年[[3月1日]]-から[[3月6日]]にかけて、ロシアが主導したとされる親露派武装勢力はドネツィク州庁舎を占拠したが、[[ウクライナ保安庁]]によって排除された。ウクライナ当局によると政府庁舎での押収物の一部に、ウクライナを不安定化させるよう、[[ロシア語]]で書かれたメモがあったほか、明確なロシア語のアクセントを話す1,500人の[[過激派]]を拘束している。
[[3月13日]]、ドネツィクではウクライナ支持派と親露派の暴力的な衝突が起き、親露派の大群が[[警察]]の非常線を壊して乗り越え、少数の反対派への襲撃を始めた。
[[欧州安全保障協力機構]](OSCE)による (OSCE) の取材調査では、30人程度の政権支持派は警察のバスへ逃げ込んだが、反政権支持派により囲まれて襲撃され、バスの窓を打ち破って刺激性のガスがまき散らされ、バスの出口から出てきた政権支持派を叩いて暴言を浴びせたとしている。また、OSCEの報告では、警察は政権支持派を守る適切な処置を取っておらず、反政権支持派を好ましい形で処理しているのを目撃されている。この衝突の後日の後、に取材を受けた人はOSCEに、ドネツィクの住民は安全のため、に平和的な政権支持派のデモを組織しないことに決めた、と述べている。
[[4月6日]]、約1,000-2,000人の武装勢力は、ドネツィクでの集会に参加し、ウクライナからの[[国家の独立]]を問う法的根拠のない「国民投票」の要求を行った。その後、200人の分離主義者(ドネツィク現地警察のスポークスマンIgor Dyominによると約1,000人)と親露派勢力が行政庁舎になだれ込み、ドアと窓を打ち壊していったが、政府当局者は日曜日で不在だった。分離主義者は、いわゆる「臨時議会」が政府当局によって開かれない場合、ロシアへの併合を問う「国民投票」を呼びかけ、[[国民]]の権限により全ての地方議員を無視して、[[4月7日]]の正午に一方的管理措置を宣言するとした。ロシアのタス通信によるとこの宣言は地方議員によって投票されたとしているが、他のメディアではドネツィク市や近郊地域のどの地方議員も会議に代表として派遣されていないと報告している。同じ4月6日、分離主義勢力「ドネツク共和国」の指導者は、ドネツィク州のロシア連邦への併合に関する国民投票を遅くとも[[2014年]][[5月11日]]までに実施すると発表した。加えて、平和維持に必要な[[部隊]]をドネツィク州へ送るよう[[ウラジーミル・プーチン|プーチン]][[ロシア連邦大統領|大統領]]に訴えた。
[[4月17日]]の停戦協定"Geneva Statement"によって、ドネツィク州での政府庁舎の占拠は終了せず、マリウポリの2つの親露派武装勢力は「この協定発効により裏切られたと感じる」と発表した。しかし、[[4月23日]]においても地域一帯の政府庁舎の占拠などの緊張状態は続いており、さらに、宣言された停戦は、スラヴャンスクでの分離主義勢力による検問所で起きた襲撃により破られた。
欧州安全保障協力機構(OSCE) (OSCE) は、スラヴャンスクの市庁舎、ウクライナ保安庁庁舎、警察署は[[自動火器]]で武装した勢力により[[要塞]]化されており、抗議する人もおらず町全体が静かになっていると報告している。しかしOSCEは「スラヴャンスクは制服を着た軍や覆面の武装勢力だけでなく、[[市民]]と同じ服装の多くの人々によって厳しい監視態勢に置かれていることは確かだ」としている。スラヴャンスクの一住人は「占拠している勢力について議論するのは恐ろしい」と語っている。
自称スラヴャンスクの分離主義勢力のポノマリョフ自称市長は、"我々は町の外に[[スターリングラード攻防戦|スターリングラード]]を設立する"と宣言した。ウクライナ政権は、[[4月25日]]にスラヴャンスクを完全に封鎖し、反テロ作戦を継続すると宣言した。[[4月26日]]、[[ドネツク人民共和国]]によってチラシが配布され、共和国による州統治権の宣言を支持するかどうかの国民投票を[[5月11日]]に開かれることが周知された。
その後も、両州におけるウクライナ政府軍及びウクライナ政府及びその支持派と、親露派の衝突・対峙は続いている。2018年1月18日、[[ヴェルホーヴナ・ラーダ|ウクライナ最高会議]](議会に相当)は、東部2州を「再統合」を目指すべき「占領地」、ロシアを「侵略国」と規定し、ウクライナ大統領に「東部解放」の軍事行動を認める法案を可決した<ref>[https://mainichi.jp/articles/20180119/ddm/007/030/047000c ウクライナ議会、東部2州の「再統合」法案可決]『毎日新聞』朝刊2018年1月19日</ref>。
「[[ドネツク人民共和国]]」「[[ルガンスク人民共和国]]」を自称する政権の[[実効支配]]地域と、他のウクライナ領の境界地帯は、コンタクト・ライン(接触線)と呼ばれ、して約500キロメートルに及び、の長さで[[塹壕]]や[[国境検問所|検問所]]が設置されている。接触線の東側でも、ウクライナ政府を支持あるいは頼りとする人々が暮らしている。毎月、延べ100万人以上が[[年金]]受け取りや親族との面会などのため接触線を越えて行き来している。ウクライナ政府や国営銀行の[[装甲]]付き輸送車が、は危険を冒して検問所に近づき、こうしたれらの人々にへ[[現金]]や、[[薪]]、[[パン]]などを供給している<ref>Sergiy Karazy,Matthias Williamsによる現地レポート。[[ロイター]]/INSP。日本語記事「ウクライナ、新たな大統領はコメディ俳優 希望の見えない紛争地帯に平和は訪れるか?」は『[[ビッグイシュー]]』[https://www.bigissue.jp/backnumber/359/ 359号]掲載(2019年6月15日閲覧)</ref>。
ウクライナ軍と親露派は、前線からの兵力引き離しを2019年11月11日に完了した<ref>[https://mainichi.jp/articles/20191113/ddm/007/030/031000c 「ウクライナ東部 緊張緩和/政府軍、親露派 前線から兵力撤退/露独仏と首脳会談再開も」]『毎日新聞』朝刊2019年11月13日(国際面)2019年11月14日閲覧</ref>。
=== ロシア・ウクライナ危機(2021年-2022年) ===
{{Main|ロシア・ウクライナ危機 (2021年-2022年)}}
ロシアはクリミア併合宣言やウクライナ東部への介入に加えて、2021年春以降、ウクライナの国境近くで軍事力の集結や[[軍事演習]]を断続的に行ない、ウクライナや[[ジョージア (国)|ジョージア]]への[[北大西洋条約機構]](NATO) (NATO) 拡大停止などを当該国や欧米に要求した<ref>[https://www.jiji.com/jc/v4?id=20211216world0001 【地球コラム】新ウクライナ危機、プーチンの真意は] [[時事通信]](2022年1月7日閲覧)</ref>。米国の[[戦略国際問題研究所]](CSIS) (CSIS) は2021年11月、ロシアがウクライナ本土に侵攻すれば首都キーウは数時間で陥落するとの予測を公表した<ref name="読売20220105">「露軍への備え ウクライナ加速/抵抗運動法施行■NATOと協議へ」『読売新聞』朝刊2022年1月5日(国際面)</ref>。
ウクライナ政府は、2021年3月24日にクリミア奪還のために外交的・軍事的・経済的・情報的・人道的な措置を準備するという旨の政令を発する。(2021年3月24日)布<ref>[https://www.president.gov.ua/news/prezident-zatverdiv-strategiyu-deokupaciyi-ta-reintegraciyi-67321 大統領は、一時的に占領されたクリミアの占領と再統合のための戦略を承認](2021年5月4日閲覧)</ref>、10月26日に[[トルコ]]製ドローンによる東部地域への攻撃(2021年10、12月2617日)、に女性も徴兵事務所への登録を義務付ける法律の施行(2021年、12月1728日)、に[[インターネット]]によるロシアの情報工作に対抗する『情報安全保障戦略』を発効させる大統領令(同28日)に続き、2022年1月1日には侵略に対する[[レジスタンス]]活動を定めた法律と、国内[[河川]]・[[運河]]でロシア船舶の航行を事実上禁止する法律を施行する、など、国家総動員体制をとりつつあなる<ref name="読売20220105"/>。NATOは軍事援助や共同演習でウクライナを支援している<ref name="読売20220105"/>。
アメリカはウクライナとロシアとの間の緊張緩和を図るため、2021年12月7日<ref>{{Cite web|和書|url=https://mainichi.jp/articles/20211207/k00/00m/030/228000c |title=米露首脳がオンライン会談 バイデン大統領「次は対面で会いたい」 |publisher=毎日新聞 |date=2022-01-08 |accessdate=2022-01-08}}</ref>および同年12月30日にオンラインによる首脳会談を実施。2022年1月10日に[[ジュネーヴ]]でウクライナ情勢や旧[[ソビエト連邦]]諸国とNATOとの関係構築を制限する条約案などを協議する会合を開くことを決めた<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.sankei.com/article/20211230-CIKED2RVUZPUPCVEEAEOJ6Y47M/ |title=米露首脳、30日に電話会談へ ウクライナ情勢を協議 |publisher=産経新聞 |date=2022-01-08 |accessdate=2022-01-08}}</ref>。
== ロシア政府の対応 ==
[[ロシア連邦政府]]は、クリミア半島については編入を宣言して実効支配しているものの([[ロシアによるクリミア・セヴァストポリの編入]])、ウクライナ本土東部2州の紛争については「ウクライナ国内の問題」という立場をとっている。ただし、後述するように、ウクライナ政府や独仏とこの問題に関する交渉を行っているほか、2019年4月24日には[[ウラジーミル・プーチン]]大統領が、親露派支配地域の住民が希望すればロシア[[国籍]]を付与する大統領令に署名した<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASM4T3QKJM4TUHBI00W.html 「ウクライナ住民にロシア国籍付与/東部地域 新政権揺さぶる狙い」]『[[朝日新聞]]』朝刊2019年4月26日(国際面)2019年4月26日閲覧</ref>。2022年2月21日には、ウクライナ東部の「ルガンスク人民共和国」「ドネツク人民共和国」を[[国家の承認|国家承認]]するなどし、欧米諸国から批判されている。2022年2月24日にプーチン大統領は、ウクライナ東部住民保護を名目に「特別な軍事作戦を実施」と実質的な宣戦布告をし、ロシア軍は侵攻を開始した。軍事施設や空港を[[巡航ミサイル]]で精密攻撃を行いウクライナの防空システムを制圧した。[[国際連合|国連]]及び[[ヨーロッパ|欧州]]諸国は激しく非難をした。
2022年2月24日、プーチン大統領はウクライナ東部住民保護を名目に「特別な軍事作戦を実施」と実質的な宣戦布告をし、ロシア軍は侵攻を開始。軍事施設や空港を[[巡航ミサイル]]で精密攻撃を行いウクライナの防空システムを制圧した。これに対し[[国際連合|国連]]及び[[ヨーロッパ|欧州]]諸国は激しく非難をした。
同年2月25日キーウ北側に位置する[[チェルノブイリ]]をロシアが占拠した。
=== 欧米による調停や対ロ制裁 ===
[[アメリカ合衆国|米国]]や[[欧州連合]](EU) (EU) 加盟国などは[[ロシア]]に対して[[経済制裁]]を実施する一方で、外交交渉を継続している<ref>{{Cite news|url=https://mainichi.jp/articles/20170425/k00/00m/030/044000c?ck=1|title=EU露外相会談 ウクライナ問題を協議|work=|publisher=毎日新聞ニュース|date=2016年4月24日}}</ref>(後述)。
[[ドイツ]]と[[フランス]]は東部ウクライナ2州についてウクライナとロシアを仲介し、[[2015年]]2月に[[停戦]]に合意したが(て[[ミンスク]]合意)を得たが、その以後も散発的に[[戦闘]]が続いてい散発する<ref>{{Cite news|url=https://mainichi.jp/articles/20160212/k00/00m/030/090000c|title=ウクライナ紛争解決ほど遠く 停戦合意1年|work=|publisher=『毎日新聞』朝刊|date=2016年2月12日}}</ref>。
[[欧州安全保障協力機構]](OSCE) (OSCE) が[[2014年]]から停戦を監視している。[[2017年]]4月、OSCEの[[装甲車]]がルガンスク州の親露派支配地域で[[地雷]]によるとみられる[[爆発]]に巻き込まれ、[[アメリカ人]]救急医療隊員1名が死亡、[[ドイツ人]]女性と[[チェコ人]]男性が負傷した。OSCEメンバーの犠牲は初めて<ref>{{Cite news|url=https://www.sankei.com/photo/daily/news/170424/dly1704240010-n1.html|title=OSCE監視団に初の犠牲 ウクライナ東部で爆発|work=|publisher=[[産経新聞]]ニュース|date=2017年4月24日}}</ref>。
[[アメリカ空軍]]は、ウクライナの要請を受けて同国上空で、[[オープン・スカイズ条約]]に基づく[[C-130 (航空機)|C-130]][[偵察機]]型({{仮リンク|OC-135 (航空機)|label=OC-135B|en|Boeing OC-135B Open Skies}})による監視飛行を2018年12月と2014年3月に実施した。これは[[カナダ]]やヨーロッパ諸国の要員も乗り込んで行われた<ref>[https://www.sankei.com/article/20181207-URBD3F2JFFMLPMHAUOYJRUQBIQ/ 「米軍がウクライナで監視飛行 クリミアでの動き牽制か」]『産経新聞』朝刊2018年12月7日(国際面)2018年12月26日閲覧</ref>。
EUは2017年[[6月19日]]、ロシアのクリミア編入宣言に関する制裁の1年延長を発表<ref>{{Cite news|url=https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM20H06_Q7A620C1EAF000/|title=EU、クリミア制裁を1年延長|work=|publisher=『日本経済新聞』夕刊|date=2017年6月20日}}</ref>。[[アメリカ合衆国財務省|アメリカ財務省]]は2017年[[6月20日]]、ウクライナ東部紛争への関与を理由とする制裁対象に、[[ロシア連邦政府|ロシア政府]]当局者を含む38の個人・団体を追加した<ref>{{Cite news|url=https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM21H0T_R20C17A6EAF000/|title=米、対ロシア制裁 強化ウクライナ巡り|work=|publisher=『日本経済新聞』夕刊|date=2017年6月21日}}</ref>。
政府以外の動きとしては、[[西ヨーロッパ|西欧]]・[[中央ヨーロッパ|中欧]]諸国([[ドイツ]]、[[フランス]]、[[イタリア]]、[[オーストリア]]等)など[[西ヨーロッパ|西欧]]や[[中央ヨーロッパ|中欧]]諸国、[[アメリカ州|南北アメリカ]]各国の[[ネオナチ]]などの[[極右]]過激派が、ウクライナ東部2州においてでウクライナ側と親露勢力側の双方で「参戦」している。実戦経験を積むことや強権的なプーチンへのシンパシーなどが理由とされる<ref>「[https://mainichi.jp/articles/20200909/k00/00m/030/163000c 欧州極右、ウクライナへ実戦 経験狙い]」『毎日新聞』朝刊2020年9月10日(国際面)2020年10月6日閲覧</ref>。
=== 4カ国協議 ===
ウクライナの多くの地域で反ロシア的な[[世論]]が強まり、[[キリスト教]][[ロシア正教会]]からの[[ウクライナ正教会 (2018年設立)]]の正式な独立につながった。しかし、ウクライナ正教会の独立を承認した[[コンスタンティノープル総主教庁]]と、それに反発したロシア正教会[[モスクワ総主教]]庁による断交宣言は、世界中の[[正教会]]を巻き込んだ深刻な対立に発展しつつある(「[[モスクワとコンスタンティノープルの断交]]」参照)。
また歴史的に反ロシア感情が強い西部の[[リヴィウ州]]議会は2018年9月18日、[[ロシア語]]による歌曲を公共の場で流したり、書籍を出版したりすることを禁じる[[条例]]を可決した<ref>
<ref>
|