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=== ロマンティック・バレエ ===
[[18世紀]]中頃から後半に[[産業革命]]と[[市民革命]]が相次いで起こると、新たに台頭したブルジョアジーの嗜好を背景に[[ロマン主義]]がヨーロッパを席巻する。これは前世代の流行である[[古典主義]]の超克と、相次ぐ戦乱からの逃避を背景とした非日常への憧憬を特徴とする{{Sfn|海野敏|2023|loc=第六章の「ロマン主義が変えたバレエ」の節}}。
 
バレエにおいても観客層が王侯貴族からブルジョアジー男性へと様変わりした{{Sfn|海野敏|2023|loc=第六章の「舞台技術の革新と観客層の交代」の節}}。これにより観客の好みも大きく変わり、前世代を魅了した神話や伝説をテーマとしたパントマイムを男性ダンサーが踊るものは姿を消し、ロマン主義的なテーマを持つアクロバティックなダンスを薄い生地を着た女性ダンサーが踊る'''ロマンティック・バレエ'''(ロマン主義に基づくバレエ)が成立した{{Sfn|海野敏|2023|loc=第六章の「舞台技術の革新と観客層の交代」の節}}。
こうしたロマン主義を背景として'''ロマンティック・バレエ'''(ロマン主義に基づくバレエ)が誕生した。「[[ラ・シルフィード]]」「[[ジゼル]]」に代表され、妖精や悪魔が登場する幻想的なもの、エキゾチックな異国趣味のものが多い。[[くるぶし]]丈のふんわりとした[[チュチュ (バレエ)|チュチュ]]を着た女性ダンサーの、[[ポワント]](つま先立ち)の技法による軽やかな動きが特徴。ロマンティック・バレエで用いられるチュチュは、特にロマンティック・チュチュと呼ばれる。
 
こうしたロマン主義を背景として'''ロマンティック・バレエ'''(ロマン主義に基づくバレエ)が誕生した。「[[ラ・シルフィード]]」「[[ジゼル]]」に代表され、妖精や悪魔が登場する幻想的なもの、エキゾチックな異国趣味のものが多い。[[くるぶし]]丈のふんわりとした[[チュチュ (バレエ)|チュチュ]]を着た女性ダンサーの、[[ポワント]](つま先立ち)の技法による軽やかな動きが特徴。ロマンティック・バレエで用いられるチュチュは、特にロマンティック・チュチュと呼ばれる。
 
ロマンティック・バレエは現在踊られているバレエの中で最も古い形式のものであり、ロマンティック・バレエによりバレエは現在のものとほぼ同じものに完成した。バレエ・ダクシオンの提唱もあり、後に誕生するクラシック・バレエよりも、踊りによってストーリーを表現する演劇としての要素は強い。