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{{出典の明記|date=2020年6月}}
'''位階'''(いかい)
== 日本の位階制度 ==
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日本における「位階」制度は[[律令制]]に基づく政治行政制度と共に[[中国]]から継受し、独自の発展を遂げた。
官吏の序列を定める制度は、[[603年]]([[推古天皇]]11年)に[[冠位十二階]]の制度を定め、官人に対して[[冠]]を与えたのが初めとされる。
位階(品位を含む)は、性別を問わず授与される。位階を授与される年齢は[[元服]](加冠、初冠)して成人と認められた後で、時代や階層により幅がある。
位階制度は、本来は能力によって位階を位置付け、その位階と能力に見合った官職に就けることで官職の世襲を妨げることを大きな目的とした。しかし、[[蔭位]]の制を設けるなど世襲制を許す条件を当初から含んでいた。そのため、[[平安時代]]の初期には人材登用制度としての位階制は形骸化して、一部の上流貴族に世襲的な官職の独占を許すに到った。
[[明治]]時代の初期には新たに近代的な[[太政官 (明治時代)#明治の太政官制|太政官制]]が敷かれ、多くの制度が再編整備された。この中で位階制は[[正一位]]から[[少初位]]まで18階に簡素化され
[[1871年]][[9月24日]](明治4年[[8月10日 (旧暦)|8月10日]])に
明治時代の半ば[[1887年]](明治20年)[[5月4日]]に公布された[[叙位条例]](明治20年勅令第10号)は、「凡ソ位ハ華族勅奏任官及国家ニ勲功アル者又ハ表彰スヘキ勲績アル者ヲ叙ス」(1条)と定められ、位階は栄典の役割に特化した。このとき位階数はやや簡素化され、正一位から[[従八位]]までの16階とされた。位階は
[[第二次世界大戦]]後、国家・社会の制度が大きく変革され従来の栄典制度や官吏制度も改革された。[[1946年]]([[昭和]]21年)[[5月3日]]の閣議決定により、生存者に対する叙位・叙勲は停止された<ref name="teishi">[https://ndlsearch.ndl.go.jp/rnavi/db/cabinet/s21_22/bib00720 「官吏任用叙級令施行に伴ふ官吏に対する叙位及び叙勲並びに貴族院及び衆議院の議長、副議長、議員又は市町村長及び市町村助役に対する叙勲の取扱に関する件」]、[[1946年]](昭和21年)[[5月3日]]閣議決定。</ref>。
故人に対する叙位は引き続き行われ、[[1947年]](昭和22年)[[5月3日]]に施行された[[日本国憲法]]の下で
=== 古代の位階 ===
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|}
==== 律令制における位階 ====
位階制度は位階と官職を関連づけることにより([[官位]]制)血縁や勢力にとらわれず適材適所を配置し、職の世襲を防ぐと
大宝令・養老令のうち[[官位]]について定めた官位令によれば、[[皇族|皇親(皇族)]]の[[親王]](女性の[[内親王]]を含む)は[[品位 (位階)|一品(いっぽん)]]から四品(しほん)までの4階、[[王 (皇族)|諸王]](女性の[[女王 (皇族)|女王]]を含む)は[[正一位]]から[[従五位|従五位下]]まで14階、諸臣(臣下。女性の[[女官#日本の女官|女官]]を含む)は[[正一位]]から[[少初位|少初位下]](しょうそいのげ)まで30階の位階がある<ref name="令義解 10巻・官位令" >{{Cite book|和書|author=清原夏野|title=令義解 10巻|publisher=吉田四郎右衛門 |___location=京都|volume=1|pages=23-41|id={{NDLDC|2562910/23|format=NDLJP}} }}</ref> <ref name="官制大観・現代語訳「養老律令」・官位令" >{{Cite web|和書|url=http://www.sol.dti.ne.jp/hiromi/kansei/yoro01.html |title=官位令 全19条 |accessdate=2022-11-11 |author=MinShig |date=2000-03-26 |website=官制大観 律令官制下の官職に関わるリファレンス Ver.0.8 |work=現代語訳「養老律令」}}</ref>。
正位は「しょうい」、従位は「じゅい」と読む。
律令制
[[朝廷 (日本)|朝廷]]及び明治新政府では、故人に対して生前の功績を称え位階または官職を追贈
{{-}}
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|少初位{{Efn|name="chu"}}
|}</div>{{clear|left}}
位階制は、[[明治維新]]
[[1868年]]1月9日([[慶応3年]][[12月14日 (旧暦)|12月14日]])に、[[近代日本の官制#三職|三職]]
その後、政体書の官等制と[[官位]]を併用すると甚だ不体裁であることから、1868年[[12月21日]]([[明治元年]][[11月8日 (旧暦)|11月8日]])に五等官以下
==== 官位相当制 ====
* 勅授奏授位記書式(明治2年8月12日改定)の例
太政官印
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年号[[干支]]月日
[[1870年]][[3月30日]]([[明治3年]][[2月29日 (旧暦)|2月29日]])に、任官のときに初めて叙位される者は本官の相当位階から2等下に叙位する
[[1871年]]8月29日([[明治4年]][[7月14日 (旧暦)|7月14日]])の[[廃藩置県]]<ref>「詔シテ藩ヲ廃シ県ヲ置キ政令多岐ノ憂ナカラシム」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070001100、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第一巻・制度・詔勅・臨御親裁・禁令・布令掲示(国立公文書館)</ref>の
==== 官位相当制廃止後 ====
1871年[[9月24日]](明治4年[[8月10日 (旧暦)|8月10日]])に官位相当制を廃止して、[[官等]]を15等に定めた<ref name="明治4年8月10日官制等級改定">「官制等級改定」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A24010436500、太政類典・第二編・明治四年~明治十年・第十四巻・官制一・文官職制一(国立公文書館)(第1画像目から第2画像目まで)</ref> {{Efn|name="官等制と官位相当制"}}。官位相当制は廃止したが位階を賜う例は廃止せず、その後は任官毎にその官等に従い位階を授ける<ref>「単行書・太政官沿革志五」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A04017226200、単行書・太政官沿革志五(国立公文書館)(第6画像目から第7画像目まで、第10画像目、第11画像目)</ref>。官位相当制の廃止により位署書で相当・不相当の区別がなくなり行・守も用いないことになる。
▲官位相当制の廃止により位署書で相当・不相当の区別がなくなり行・守も用いないことになる。また、同年11月24日(明治4年[[10月12日 (旧暦)|10月12日]])の[[s:公用文書ニ姓尸ヲ除キ苗字実名ノミヲ用フ|姓尸不称令]]により公用文書に苗字実名のみを用いることになったことから、[[1872年]]1月18日(明治4年[[12月9日 (旧暦)|12月9日]])改定の勅奏任官任叙式では次の例の様に書して、勅授位は明治の字に重ねて天皇[[御璽]]を押し、奏授位は明治の字の下に太政官印を押す<ref name="太政官沿革志四・勅奏任官の宣旨">「単行書・太政官沿革志四」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A04017226000、単行書・太政官沿革志四(国立公文書館)(第14画像目から第15画像目まで)</ref><ref name="宣旨書式中改定 明治4年12月9日・太政官">{{Cite book |和書 |author=内閣官報局 |title=法令全書 |date=1888-10-20 |year=1888 |publisher=内閣官報局 |___location=東京 |volume=明治4年 |language=ja |doi=10.11501/787951 |access-date=2025-01-13 |id={{NDLDC|787951/257|format=NDLJP}} |page=441 |chapter=【太政官第637】宣旨書式中改定 明治4年12月9日 太政官 |quote= |ref=}}</ref>{{Efn|1872年1月18日(明治4年12月9日)の宣旨書式中改定の中の勅任奏任官書式では、その他は総て同年1871年5月18日(明治4年3月29日)に公布の式(判任官の宣旨書式)に同じとしている<ref name="宣旨書式中改定 明治4年12月9日・太政官"/><ref>{{Cite book |和書 |author=内閣官報局 |title=法令全書 |date=1888-10-20 |year=1888 |publisher=内閣官報局 |___location=東京 |volume=明治4年 |language=ja |doi=10.11501/787951 |access-date=2025-01-13 |id={{NDLDC|787951/90|format=NDLJP}} |pages=107-110 |chapter=【太政官第160】宣旨書式ヲ定ム 明治4年3月29日 太政官 |quote= |ref=}}</ref>。}}。
* 宣旨書式(明治4年12月9日改定)勅授位奏授位書式の例([[和紙|料紙]]は総て別漉[[鳥の子紙|鳥ノ子]]堅四ツ折)
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[[1873年]](明治6年)6月19日に改定した勅授位記式で
* 勅授位記式(明治6年6月19日改定)の例
位苗字名
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明治 年 月 日
[[親王]]の叙品
* 親王叙品宣旨式(明治6年3月20日)の例
[[内親王]] [[和宮親子内親王|親子]]
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明治六年三月 日
有位者の取り扱い
1874年(明治7年
1875年(明治8年)5月18日に[[女官]]も官相当より2等下の位階に叙位することにした<ref>「女官モ官相当ヨリ二等下リ叙位」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A24010405200、太政類典・第二編・明治四年~明治十年・第七巻・制度七・爵位(国立公文書館)</ref>。
1879年(明治12年)に
=== 叙位条例 ===
1887年(明治20年)5月4日に
従四位以上は勅授(宮内大臣から伝達)、[[正五位]]以下は奏授(宮内大臣が天皇に奏して叙位)。[[従四位]]以上は[[華族]]制度に基づき、[[従一位]]は[[公爵]]、[[正二位]]は[[侯爵]]、[[従二位]]は伯爵、[[正三位|正]][[従三位]]は[[子爵]]、[[正四位|正]]従四位は[[男爵]]に準じる礼遇を受けた。所管は[[宮内省]]宗秩寮。
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{{Wikisource|宗秩寮審議会規則(明治43年宮内省令第11号)|宗秩寮審議会規則(1910年)}}
{{Wikisource|宗秩寮審議会官制(大正10年皇室令第17号|宗秩寮審議会官制(1921年)}}
[[大日本帝国憲法]]の制定前に、[[フランシス・テイラー・ピゴット]]らにより官吏の[[懲戒制度]]の設置も検討されたが、実現し
[[皇族]]・[[華族]]・[[爵位]]者
=== 位階令 ===
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{{Wikisource|位階令|位階令(1926年)}}
{{Wikisource|位階令施行細則(大正15年閣令第6号)}}
[[1926年]](大正15年)[[10月21日]]に
位階制度は[[栄典]]制度の一つとして[[勲章 (日本)|勲章]]・[[褒章]]と
==== 位階令等の改正(1947年) ====
{{See also|勲章 (日本)}}
[[第二次世界大戦]]
[[1947年]](昭和22年)[[5月3日]]に位階令と位階令施行細則は、[[帝国議会]]最後の[[吉田茂内閣]]の[[内閣官制の廃止等に関する政令]]などにより、「軍法会議」
死亡者に対する叙位はその後も行われ、内閣の助言と承認により行われる天皇の[[国事行為]]である「栄典」の一つとされ、[[日本国憲法]]の下で従来の位階令を法的根拠とする。死亡者のみを対象とするために故人の功績を称えて追悼
授与の選考基準は功績種別により異なるが、対象者は[[議員]]・[[公務員]]・[[消防団員]]・[[教員]]など長く公的な職にあった者や
[[1952年]](昭和27年)第15回国会に位階の規定のある栄典法案が提出され、叙勲にこの法令を併用して「表彰の方途に潤いを持たせたく考える」(緒方竹虎内閣官房長官)とし
生存者に対する叙勲は
==== 現行位階令の諸規定 ====
*位階は、正一位から従八位までの16階(令1条1項)。
*一位は親授、二位以下四位以上は勅授、五位以下は奏授(令1条2項)。具体的には、位記の授与式と記載内容(下記)が異なる。
*叙位の対象者は「国家ニ勲功アリ又ハ表彰スヘキ効績アル者」および「在官者及在職者」(令2条)。戦後は、生存者叙位
*前条に定める「国家ニ勲功アリ又ハ表彰スヘキ効績アル者」および「在官者及在職者」が死亡した場合には、特旨を以て、その死亡の日に遡って位を追賜することができる(令3条)。現在、叙位は故人のみを対象とし、対象者の死亡時に位を追賜する方法のみが運用されているため、本条が原則規定である。
*「故人ニシテ勲績顕著ナル者」には、特旨を以て、位を贈ることができる(令4条)。本条は、死亡時に位の追賜が行われなかった者に贈位する事例、または、存命中もしくは死亡時に叙された位を進階する事例を想定している。現在は、前条に基づいて、死亡の日の日付で位を追賜する方法のみが運用されており、その後の進階や贈位は行われていない。
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*有位者が、[[死刑]]、[[懲役]]または無期もしくは3年以上の禁錮に処せられたときは、位を失う(令8条1項)。
*有位者が、[[執行猶予|刑の執行を猶予]]されたとき、3年未満の禁錮に処せられたとき、懲戒の裁判または処分により免官または[[免職]]されたときは、情状により、その位を失う(令8条2項)。
*有位者が[[日本国籍]]を喪失したときは、その位を失う(令9条)。
*有位者が、その品位を保つことができないときは、位の返上を請願することができる(令12条)。
**叙位の対象者は故人のみとする運用が行われているため、令5条から令12条の規定は停止前に叙位された者を除き適用事例は皆無である。
*位階令は、[[皇族]]、[[王公族|王族および公族]]には適用されない(令13条)。これも叙勲と異なる、現行の位階制の特徴である。
;その他の位階に関する規定
*
*[[軽犯罪法]]では、位階を詐称した者は、[[拘留]]又は[[科料]]に処す
;現行の位記
叙位された場合、それを証する位記が交付される。位記のサイズは、従四位以上は縦22.5横30.4[[センチメートル]]で、正五位以下は縦21.3横29.7センチメートルである<ref>{{Cite web|和書|title=叙位・叙勲の説明 |url=https://jokun.com/home2/joi/joijokun/joi_jokun/ |accessdate=2022-03-10 |language=ja}}</ref>。正二位以下は御璽・内閣之印の上に元号年月日が記されるが、従一位以上では御名御璽の横に元号年月日が記される。位記には縦書きで次のような記載がなされる。
* 従一位以上
 (位階)氏名
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