「進行性核上性麻痺」の版間の差分
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[[画像:Steele-olszewski-richardson disease.jpg|thumb|150px|ハミングバードサインが認められる。]]
'''中脳被蓋の萎縮、前頭葉の萎縮、第三脳室の拡大、上小脳脚の萎縮などが知られている。'''正中矢状断像においては萎縮の少ない橋に比べて中脳被蓋の萎縮が強くこの対比からペンギンシルエットサインと呼ばれる。中脳被蓋上部の細長いくちばし状の構造からハチドリサインと称される。横断像では中脳被蓋部分の萎縮した構造から朝顔サインといわれる。中脳被蓋の萎縮を客観的に評価するには正中矢状断像での面積計測が有用である。典型的なPSPでは中脳被蓋面積<75mm<sup>2</sup>、中脳被蓋面積/橋被蓋面積<0.15を示すことが多い。中脳被蓋の萎縮はリチャードソン症候群の臨床症状に関連するが病理学的な進行性核上性麻痺とは関連しない<ref>Eur J Neurol. 2013 Oct;20(10):1417-22. PMID 23746093</ref>。さらに小脳歯状核の変性による遠心路の二次性変化を反映して上小脳脚の萎縮も認められる。MRPI(MR Parkinson index)という評価法もあり、橋面積/中脳被蓋面積×中小脳脚幅/上小脳脚幅をMRPIといい、13.55以上ならば進行性核上性麻痺の感度100%で特異度90.3%と報告されている<ref>Neurology. 2011 77 1042-1047. {{PMID|21832222}}</ref>。
[[多系統萎縮症]]との鑑別に上小脳脚の評価が重要といわれている。小脳失調を来す疾患には上小脳脚が障害されるPSP、[[SCA3]]、[[歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症]](DRPLA)と上小脳脚の障害が軽いMSAの初期、[[SCA2]]、[[SCA6]]、[[SCA31]]などが知られている。特にPSPにおいては歯状核の変性や赤核および視床の腹外側核が脱髄を示すため上小脳脚の病変が必発である。Tsuboiらは剖検例で対照と比較してPSP患者における上小脳脚の幅が有意に短縮を示していることを報告している<ref>Neurology. 2003 60 1766-1769. {{PMID|12796528}}</ref>。一方でMSAは一般的に上小脳脚の異常を示さないためにPSPの鑑別に上小脳脚病変の有無に着目することが有用と考えられている<ref>Brain. 2006 129 2679-2687. {{PMID|16815875}}</ref><ref>Neurology. 2006 67 2199-2205. {{PMID|17190944}}</ref><ref>Neuroradiology. 2007 49 111-119. {{PMID|17200869}}</ref>。
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