「86-エイティシックス-」の版間の差分
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== あらすじ ==
; Ep.1
: 星歴2148年。
: そんな中、白系種でありながら軍内で差別政策撤廃の活動を行う士官'''ヴラディレーナ・ミリーゼ'''は「死神」と呼ばれるエイティシックス、'''シンエイ・ノウゼン'''率いる'''スピアヘッド戦隊'''の指揮管制を任されることととなる。彼らとの交流の中、レーナはシンが「死神」と呼ばれる所以を知る。シンは、レギオンがその中枢神経系の自壊を回避するべく取り込んだ死者の脳構造から発される絶叫を聞く能力を有していたのだ。当初はエイティシックスたちから一線を置かれていたレーナだったが、シンの異能を通してレギオンの叫喚を聞いた後も交流を辞めなかったことから、少しずつエイティシックスたちに認められていく。
: 過酷な戦いは続き、消耗しきったスピアヘッド戦隊はついに定数の半数を割り込むが、レーナが何度要請しようと補充は行われない。それに憤るレーナに、シンはある事実を伝える。激戦区を次々転戦させられ、それでも生き延びた歴戦のエイティシックスを処分するための「特別偵察」。最後まで生き残ったスピアヘッド戦隊のシンと'''ライデン・シュガ'''、'''セオト・リッカ'''、'''アンジュ・エマ'''、'''クレナ・ククミラ'''の5人は、絶死の戦場に旅立っていった。
; ラン・スルー・ザ・バトルフロント(Ep.2, Ep.3)
: 生存を想定されていないはずの特別偵察に旅立ったスピアヘッド戦隊の5人は、'''ギアーデ連邦'''に保護されて生き延びていた。養父となったギアーデ連邦暫定大統領エルンスト・ツィマーマンの意向もあり、5人は連邦の平和な社会を体験し、彼の家で暮らす幼い少女'''フレデリカ・ローゼンフォルト'''とも交流を深める。しかし自らの居場所は戦場以外にないという意識を固くした5人は、やがて全員が連邦軍への従軍を希望する。
: 特別士官学校を卒業した5人は、連邦が新開発したフェルドレス「'''レギンレイヴ'''」を運用する実験部隊ノルトリヒトに配属され、各地を転戦する。そんな中、かねてからシンが予見していたレギオンの大規模攻勢が始まる。シンの異能によりどの部隊よりも早く即応したノルトリヒト戦隊の活躍もあり、連邦軍は辛うじて攻勢を撃退することに成功するが、電磁加速砲型の砲撃によりノルトリヒト戦隊が駐屯していたFOB14は消滅する。
: 時を同じくして、共和国を守る大要塞壁群グラン・ミュールが電磁加速砲型の砲撃により崩壊し、無防備な85区内にレギオンが侵入し始める。シンとの交流の中で大攻勢の予兆を知らされ準備を続けていたレーナは、全てのエイティシックスに対して共和国85区内への結集を要請し、絶望的な防衛戦に身を投じていく。
: 連邦では、現時点で生存が確認された全ての国家の首都を射程に収めることが可能な電磁加速砲型の脅威に対し、ノルトリヒト戦隊が単独で敵中突破したうえでこれを撃破するという作戦が立案される。人類の総力を挙げた陽動作戦の中、[[地面効果翼機]]「ナハツェーラー」によって空挺輸送されたノルトリヒト戦隊は電磁加速砲型に接敵し、戦隊全機が行動不能になる苦闘の果てにこれを撃破することに成功する。そして、共和国からの客員士官として連邦軍に派遣されたレーナと元スピアヘッド戦隊の面々は、ついに対面を果たす。
; アンダー・プレッシャー(Ep.4)
: 連邦軍西部方面軍の麾下にノルトリヒト戦隊の面々と、'''シデン・イーダ'''ら共和国防衛戦を生き残ったエイティシックスらによる機動部隊「'''第86独立機動打撃群(ストライク・パッケージ)'''」が設立され、レーナはその作戦司令官に就任する。レーナとシンたちは交流を深めるが、その中で段々と86区の劣悪な環境で心が擦り切れてしまったエイティシックスたちとレーナとの隔絶が浮き彫りになっていく。
: 機動打撃群に与えられた初任務は、共和国の旧地下鉄ターミナルに巣食うレギオンの生産拠点、自動工場型と発電プラント型の撃破であった。作戦は当初順調に推移していたが、1個戦隊が正体不明の敵を前に成す術なく全滅し、前線で調査にあたっていたレーナの親友で技術士官の'''アンリエッタ・ペンローズ'''が拉致され、さらにエイティシックス以外誰もいないはずの戦場に共和国人が生き残っており、作戦は一時的に中止を余儀なくされる。
: それでも作戦は続行されるが、発電プラント型が撃破されると、戦場にいる全てのレギオンが一斉に知性型レギオン「羊飼い」と化す。損傷のない死者の脳構造を転用していた「羊飼い」は、生前の記憶を残しているがゆえに自己同一性の問題から量産が不可能だった。しかし、共和国人を大量に鹵獲したレギオンは、彼らの脳を用いた実験により「羊飼い」の量産方法を会得していたのだ。
: 全てのレギオンが知性化し更に戦闘が苛烈になる中、作戦目標を達成した機動打撃群は撤退を開始する。しかしその最中、シンは吶喊してきた近接猟兵型に吹き飛ばされて下層に落下する。そこで待ち受けていたのは、阻電撹乱型を身に纏い光学迷彩とし、シンでさえ対応できない超高機動とチェインブレードを武器とする新型レギオン「高機動型」であった。シンの乗機アンダテイカーは高機動型により破壊されるが、それを囮にしたシンはアサルトライフルで高機動型を撃破することに成功する。しかし、撃破された高機動型は中枢神経系を構成する流体マイクロマシンを吹き出して人の形を型取り、「さがしにきなさい」とメッセージを残して逃げ去ったのであった。
; 死よ、驕るなかれ(Ep.5)
: 高機動型にメッセージを残したレギオン開発者、ゼレーネ・ビルケンバウムの手がかりを得るべく、ギアーデ連邦と'''ロア=グレキア連合王国'''の協同により、手がかりになるであろうレギオン指揮官機「無慈悲な女王」の鹵獲作戦が立案される。機動打撃群は連邦側の実働部隊として連合王国に派遣され、レーナとシンたちは極寒の異国の地を踏む。そこで、レーナらは連合王国第5王子'''ヴィークトル・イグナローク'''と、死者の脳構造を制御系に用いたヒューマノイド「シリン」と対面する。
: 作戦が始動した直後、高機動型をはじめとするレギオン軽機甲部隊が電磁射出型によって空挺投入され、作戦司令部が置かれるレーヴィチ要塞基地はレーナらが立て籠もった地下の一部を除いて陥落する。
: シンたち作戦部隊は反転してレーヴィチ要塞基地の奪還を目指すが、天然の要塞を更に堅固にしたレーヴィチ要塞基地の攻略は困難を極め、籠城した司令部も、補給の乏しいシンたち攻略部隊も限界が近づいていた。そこで、ヴィーカはシリンと彼女らが駆るフェルドレス「アルカノスト」を突撃させ、その残骸をレーヴィチ要塞基地への到達を阻む空堀を越える足場とする。人間と酷似した見た目のシリンが、笑いながら次々と深い谷へ身を投じていくさまにエイティシックスたちは戦慄するが、それにより攻略部隊は要塞基地内への進出に成功し、巧みな連携と待ち伏せにより高機動型も撃破、要塞基地を奪還する。
; 明けねばこそ夜は永く(Ep.6)
: 最後には死ぬと分かっていながらも戦い抜くことこそを誇りとしていたエイティシックスたちは、先の作戦でのシリンたちの狂気的な姿と自分たちのあり方を重ねてしまい苦悩する。シンも自身のあり方について思い悩み続け、戦闘中にさえ一瞬気を取られた結果、重戦車型の攻撃を受け負傷してしまう。しかしそれでもシンは頑なに自身の悩みを打ち明けようとせず、自分では頼りにならないのかとレーナは思わず涙し、シンの病室から走り去った。
: シンとレーナがすれ違い続ける中、連合王国が対峙するレギオンの拠点である竜牙大山の攻略作戦が始動する。一方、高機動型はレギオンの指揮系統から外れ、単独でシンを狙っていた。当初はシンがいる可能性のある場所として発令所周辺を単独で襲撃したが、シンの不在に気づくとすぐに竜牙大山に向かう。スピアヘッド戦隊に遅いかかかった高機動型はシンを部隊から分断し、シンに一騎打ちを挑む。超高機動戦への適応の末に恐竜の、あるいは人間に似た形状になった高機動型との激戦の末、シンは高機動型を溶岩に突き落として撃破することに成功する。しかし戦闘の余波により、シンはレギンレイヴの冷却系が追いつかないほどの高温環境に閉じ込められ、死を覚悟する。そこに突如「無慈悲な女王」が現れ、それを追ってきたエイティシックスたちによりシンは救助された。
: 戦いの中でシンとレーナは、互いにあり方が隔絶していても、それを受け入れたうえで互いに歩み寄っていくことを決意し、作戦の後に再会した二人は、屈託なく笑い合うのだった。
; ミスト(Ep.7)
: 竜牙大山攻略作戦において鹵獲された「無慈悲な女王」の調査と尋問は第三国である'''ヴァルト盟約同盟'''で行われることとなり、連合王国と機動打撃群の面々は休暇を兼ねて盟約同盟を訪れる。エイティシックスたちは久しぶりの平穏に思い切り羽を伸ばす。その一方で彼らは、互いに好意を抱いているのが明らかにも関わらず一向に関係が進展しないシンとレーナにやきもきし、結託して二人の仲を後押ししようとする。
: 一方、シンはレギオンの声を聞くことのできる異能者として「無慈悲な女王」の尋問に協力していた。あらゆる尋問に対し沈黙を貫いていた「無慈悲な女王」だったが、シンが丸腰で彼女の前に身を晒すとついにその口を開く。シンとの問答の末「無慈悲な女王」が告げたのは、全レギオンの停止方法であった。しかしそれには、すでに滅亡したギアーデ帝室の遺伝子照合が必要であり、やっと見つけた勝利の鍵がすでに失われていたという事実に皆落胆する。しかし、機動打撃群のマスコットのフレデリカが実はギアーデ帝国最後の女帝であることを知るシンは、その事実が知れ渡ったときに彼女がどうなってしまうのかを案じて無言を貫いた。
: 盟約同盟での最後の夜、礼儀作法の講習を兼ねたパーティーが開催され、エイティシックスたちはめいめいに華麗に着飾る。シンはレーナをテラスに連れ出し、そこでついに自らの想いを告白する。しかし感極まったレーナはそれに返答する前にキスをしてしまい、一瞬の後に自身の行いに気づいたレーナは恥ずかしさのあまり、告白の返事もせずに逃げてしまうのだった。
; ガンスモーク・オン・ザ・ウォーター(Ep.8)
: 新たに確認された電磁加速砲型撃破のため、機動打撃群は'''レグキード征海船団国群'''へと派遣され、エイティシックスたちは作戦開始までの間、初めて見る海で思い思いに遊び回る。しかし未だ自身のあり方について考えられずにいる者たちと、前に進むことを選択した者たちの間で、エイティシックスたちの中には小さな断絶が生まれつつあった。
: 1ヶ月の間待ち望んだ嵐が到来し、船団国群に残存する主力艦全てをかき集め結成された合同艦隊「オーファン・フリート」は出港する。海上要塞「魔天貝楼」に陣取った電磁加速砲型の元に辿り着くまでの7時間を旗艦「ステラマリス」以外の全艦が囮となることで凌ぎ、オーファン・フリートはたった4隻になりながらも魔天貝楼に到達した。
: ステラマリスに輸送された機動打撃群は摩天貝楼に上陸し、狭い足場と光学迷彩を使用するレギオンに苦戦しながらも電磁加速砲型を追い詰めていくが、突如現れた原生海獣の攻撃により電磁加速砲型は一瞬のうちに沈黙する。その直後、海中から800mmレールガンを2門搭載した超巨大な艦船型のレギオン「電磁砲艦型」が現れる。同時に現れた高機動型の奇襲を受けてシンは海中に落下し、レーナやスピアヘッド戦隊の面々は一様に激しく動揺する。その動揺を隠せずにいながらもセオは単身で電磁砲艦型に飛び移り、後を追ってきたライデン、アンジュやブリジンガメン戦隊とともに、電磁砲艦型艦上の砲塔群の排除を開始した。
: 電磁砲艦型に斬り込んだレギンレイヴはセオ以外全機が振り落とされながらも機動打撃群はその武装を破壊することに成功する。しかし、制御中枢が生き残った電磁砲艦型は海中に潜航して逃去してしまう。そして、その身を挺して電磁砲艦型の最後の砲撃を阻止したセオは、コクピットに飛び込んだ砲弾片によって左手を失ってしまっていた。
; ヴァルキリィ・ハズ・ランデッド(Ep.9)
: 電磁砲艦型との激闘は機動打撃群に大きな犠牲を与え、シンやシデンでさえも動揺を隠せない。しかし電磁砲艦型が生き残っている現在、連邦軍に彼らを慮る余裕はなく、電磁砲艦型の逃走先の可能性があるレギオンの拠点全てを同時急襲する作戦が立案される。その一環として、シンたち第1機甲グループは大陸の西の果てに位置する「狂国」、'''ノイリャナルセ聖教国'''に派遣される。
: 機動打撃群は、大貴族の私兵である義勇機甲連隊ミルメコレオと、聖教国軍第3機甲軍団シガ=トゥラと協同し、電磁砲艦型が融合したと思しき新型レギオン「攻性工廠型」の排除作戦を行う。機動打撃群の空挺部隊が攻性工廠型を機能停止に追い込み、後は連邦軍が開発した試作レールガン「トラオアシュヴァーン」の射撃により破壊するのみとなったとき、突如として聖教国軍が連邦軍に刃を向ける。レーナたち旅団本隊は聖教国軍に包囲されるが、未だ攻性工廠型が健在である段階で行われた聖教国にとってあまりに利益の少ない裏切りに、レーナは違和感を覚える。
: レーナの感じた違和感の通り、聖教国は連邦を裏切ったわけではなかった。第3機甲軍団長のヒェルナは、かつて「家族全員をレギオンに奪われた悲憤を胸に戦う聖女」に仕立て上げるため家族全員を見捨てられ、その死を無線越しに耳にさせられていた。それでも神に与えられた運命に縋って戦い続けてきたヒェルナだったが、戦士階級「神戟」の払底により、聖教国がこれまで教義のために行ってこなかった教徒からの徴兵を決定すると、教えのために自分からすべてを奪った聖教国が命惜しさのために教えを捨てたことに失望。聖教国の裏切りを演出して他国からの支援を断ち聖教国を滅ぼすため、ヒェルナは単独でこの凶行に及んだのだった。
: しかし、聖教国への警戒から存在が伝えられていなかった知覚同調により連邦軍は聖教国との接触に成功。機動打撃群も攻性工廠型の撃破に成功し、ヒェルナの企みは潰えた。
; フラグメンタル・ネオテニー(Ep.10)
: シンが如何にしてエイティシックスたちの「死神」となったのかを描く短編シリーズ「フラグメンタル・ネオテニー」をはじめとする短編10編を収録。
:; フラグメンタル・ネオテニー〈Pledge〉
:: 11歳のシンは、新兵として東部戦線第35戦区第1戦隊“ハルバード”に配属される。そこの戦隊長であるアリス・アライシュはシンたち戦隊員と、金属片で作った墓標を最後に生き残った者が連れていこうと約束し、首の傷痕にトラウマを抱えるシンにそれを隠すためのスカーフを贈る。
:; フラグメンタル・ネオテニー〈Misericorde〉
:: 第5戦区第1戦隊“スティレット”戦隊長のイスカは、戦隊員の中の1人をスケープゴートに仕立て上げることで戦隊の結束を図っていた。帝国貴種の血を引くシンは、格好の的となって多くの嫌がらせを受ける。しかしそのイスカもある戦いで瀕死の重傷を負い、やってきたシンに拳銃の使い方と心構えを教え、シンによって介錯される。
:; フラグメンタル・ネオテニー〈Varlet〉
:: 戦隊がシンを残し全滅した戦闘の後、シンは擱座したスカベンジャーを見つける。異常に柔軟かつ自由な行動をし、シンに懐いたようなその奇妙なスカベンジャーを、シンは「ファイド」と名付ける。
:; フラグメンタル・ネオテニー〈Brand〉
:: 戦隊が全滅した後、シンは兄ショーレイの乗機の残骸から、骸骨の騎士を描いた彼のパーソナルマークを持ち帰る。それを見た整備班長のセーヤは、いつも自分以外の戦友を喪っているシンに対する当てつけのように「葬儀屋」(アンダーテイカー)と呼ぶが、シンはそれを自身のパーソナルネームとする。
:; フラグメンタル・ネオテニー〈Undertaker〉
:: シンはいつしか、「東部戦線の首のない死神」と呼ばれるようになっていた。シンが率いるエイティシックスたちは皆、死んだあともシンに連れて行ってもらえるのだからと、死地に赴くことを恐れていなかった。
:; フラグメンタル・ネオテニー〈Culpa〉
:: 激昂した兄に絞殺されかけて以来、シンはずっと自分がどうしていればあの事件は起きなかったのかと考え続けていた。アリスがシンにスカーフを贈ったときにかけた言葉が、シンを救う。
:; トリアージタグ・ブラックのありふれた日常
:: レーナが指揮管制官となる前のスピアヘッド戦隊。戦隊員の死に沈鬱な空気の漂う中、クジョー・ニコはそれを払拭しようと「お月見」を提案するが、当日は生憎の嵐となる。
:; レテの畔
:: 特別偵察に出てから半月あまり。スピアヘッド戦隊は、渡河するレギオンと嵐を前に立ち往生を余儀なくされていた。嵐が過ぎ去った後、シンたちは風呂の準備のための材料を求めて旧帝国領の街を訪れる。
:; ファイド
:: レギオン戦争が勃発する前、ある人工知能が開発される。製作者の息子に「ファイド」と名付けられたその人工知能は、エイティシックスたちの強制収容の後、戦場に連れ去られた製作者一家を探すため、自身の全データを「スカベンジャー」に移行して戦場を探し回る。
:; 優しかった世界
:: 完全自律型戦闘機械「ケイナイン」の開発に成功し、有色種の強制収容も行われなかったサンマグノリア共和国。レーナとアネット、そしてシンは、戦時でありながらも平和を謳歌していた。
; ディエス・パシオニス(Ep.11)
: 聖教国での作戦で鹵獲されたレギオン指揮官機の制御中枢、そこから連邦が得た情報の中には、レギオンへの停止信号発信の拠点となる帝国の秘匿司令部の位置情報も含まれていた。そこを奪取するための反攻作戦が計画され、人類の反撃が始まろうとしていたその時、レギオンによる大攻勢が再び始まる。
: [[マスドライバー]]を使用して打ち上げられた弾道ミサイルによる攻撃と先の大攻勢を優に上回る規模での攻勢に、すべての国家の前線が大きく後退。船団国群は最終防衛線を失陥し、聖教国をはじめとするいくつかの国との通信も途絶する。そんな中、機動打撃群は共和国に取り残された連邦の救援派遣軍の撤退支援、そして共和国全市民の避難支援のため、再び共和国に派遣されることとなる。
: 祖国を捨てなければならない状況下にあっても不平不満の尽きない共和国市民はよそに、共和国市民の避難は順調に進む。しかしその途中で現れたレギオンは、機動打撃群よりも共和国避難民に襲い掛かり始める。機甲兵器としては弱体化してまで対人戦闘に特化したそのレギオンたちは、大攻勢の際に「羊飼い」となって共和国に復讐することを選んだエイティシックスたちの群れだった。
: 再び共和国85行政区内に侵入したレギオンの群れに避難民たちは恐慌状態に陥り、成す術なく虐殺されていく。この事態に際し、救援派遣軍司令官のリヒャルト・アルトナー少将は共和国市民の避難支援の打ち切りと、連邦軍残存部隊の撤退開始を決定する。しかし撤退の途中、砲撃で破断されたレールを前に避難民を乗せた最後の列車が立ち往生していた。そして、戦場に取り残された共和国市民を追撃するレギオンの存在をシンの異能が感知する。リヒャルトは、未来の連邦の外交的地位のため、連邦に共和国市民を見捨てたという汚名を着せぬため、本部連隊を直卒し、追撃してくるレギオンに対して決死の遅滞戦闘を展開する。リヒャルトたちの犠牲のもと、連邦軍部隊と最後の避難民は無事に連邦にたどり着いたのだった。
; ホーリィ・ブルー・ブレット(Ep.12)
: レギオンの第二次大攻勢によって他の戦線と同じく大きな後退を余儀なくされた連邦軍北部第2戦線は、今まで防衛の要としていた大河を失陥し、開闊地での戦闘を強いられていた。兵力不足という問題も抱える北部第2方面軍はそこで、部隊で治水ダムを破壊し人口の河川を形成することで天然の要害とする作戦を立案し、機動打撃群もその作戦に参加する。
: 一方、北部第2方面軍に所属する中隊長であるノエレ・ロヒは、自身の領民が次々と命を落としていく現状に心を痛めていた。そこでノエレは、自身の故郷にある原発から核燃料を盗み出して核爆弾を製造することを企み、部下とともに「ヘイル・メアリィ連隊」を名乗って原隊を脱走する。しかし原子力について何の知識も持たないノエレたちでは核爆弾の製造は出来ず、粗末な[[汚い爆弾|ダーティー・ボム]]を作るにとどまる。純粋な機械であるレギオンにはダーティー・ボムは何ら被害を及ぼさず、しかし何の防護もなしに放射性物質に触れたノエレの部下は次々と急性放射線障害によって倒れていく。そのうえ、放射性物質とともに脱走したノエレらの対応のため、治水ダムの破壊作戦も延期を余儀なくされる。
: 放射線障害によって次々と人員を失ったノエレらは連邦軍の追撃部隊によって殲滅され、ようやく治水ダムの破壊作戦が実行に移される。レギオンは光学迷彩を纏った戦車型で攻勢を仕掛けるが、連邦軍は今までの戦闘経験から光学迷彩への対策を多々編み出していた。第4機甲グループによって凍結され秘匿されていたレギオンの主力部隊も殲滅される中、シンらもダムの堤体上に陣取る「重機工兵型」を破壊し、治水ダムの破壊作戦は成功する。
; ディア・ハンター(Ep.13)
: かつて共和国に改造され、人間爆弾「仔鹿(アクタイオン)」と化したエイティシックスが連邦の各地で市民を巻き込み爆死する事件が相次ぎ、真実を知らぬ市民の間には猜疑と憶測が広まっていく。レギオン側も狙って共和国人や少数民族への集中攻撃を強め、連邦の中では国民同士の軋轢が強まっていた。特に共和国人への反感は強く、レーナとアネットはその身柄を保護するために国軍本部に軟禁されてしまう。
: 一方、ユートは「仔鹿」の一人であるチトリと出会い、人間爆弾として活性化して死ぬ前に故郷へ戻ろうという彼女らの死出の旅に付き添うことを決心し、一人連邦軍から脱走する。
: 「仔鹿」の正体が市民に公表された矢先、一人の「仔鹿」が害意をもって群衆の中で自爆する事件が起こってしまい、共和国人への、そして避難民や少数民族に対する根拠のない悪意と差別が加速していく。そしてその結果厭戦感情の広まった前線の一部部隊が逃亡を始め、その綻びを突くようにしてレギオンが攻勢を開始する。逃亡が逃亡を呼び、火力支援を失った前線が崩壊し、それを援護すべき機甲部隊は道を埋め尽くす逃亡兵に阻まれて機動できない、という悪循環の中、連邦軍はどんどんと敗走を重ねていく。連邦軍が瓦解しかかっている現状を前に、全ての方面軍で予備陣地帯への後退が指示される。それは、連邦の生産力を支える生産属領を戦場に変え、継戦能力を自ら削ぐことを意味していた。
: 多大な犠牲を払いつつも、機動打撃群や温存されていた大貴族の私兵らの活躍もあり、戦線は一応の安定を見る。戦闘中行方不明となっていたダスティンとアンジュが再会を喜び合い、チトリと別れた後、レギオン支配域を一人で踏破したユートがリュストカマー基地に帰還する中、連邦軍はある非道な決定を下す。それは、不満が載積する前線の兵士を、それでも戦い続けさせるために、撤退を封じるための地雷原を設置するという、共和国86区のそれとまるきり同じやり方だった。
== 登場人物 ==
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