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Tokyo Watcher (会話 | 投稿記録)
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==歯学部の役割==
*歯学部の存在意義は、「歯科医師の養成」、「歯学(歯科学)の研究」、「国民[[公衆衛生]]の向上」などである。
**歯科医師は、明治維新後、[[私立大学]](戦前は私立歯科医学専門学校)が中心となってその養成が行われてきたが、[[高度成長期]]になると口腔疾患(主に[[齲蝕]]([[むし歯]])が社会問題となり、多くの[[国立大学]]に歯学部が新設された。その後、口腔疾患の抑制と歯科医師需要のバランスが崩れ、[[歯科医師過剰問題]]が現在では指摘されている。国([[厚生労働省]])は、歯学部の定員削減でこの問題に対処しようとしたが、特に私立の場合削減が経営基盤そのものを危うくする危険性がありそれには踏み切れないでいる<ref>ここには明治期歯科医師界の官立の歯科医学専門学校の陳情を国側が拒否し続け、私立主導で教育制度を整えざるを得なかった日本の歯科医学教育の歴史的経緯より、国指導の強引な定員減は図れないという理由があると考えられる。</ref>。この状況に対し厚労省は歯科医師国家試験の難易度アップ、実技試験、医療面接などを取り入れるなどし、優秀な歯科医師のみを輩出しようという動きがあり(もっとも実技試験、医療面接は[[文部科学省]]主導で取り入れられた)、国民福祉の観点からは大いに歓迎されるであろう(詳細は、[[歯科医師過剰問題]]の項にて記述されている)。しかし国立、私立問わず入学が難関である医学部に比べ、歯学部は私立大学を中心に入学が大変易しい大学が多数存在するため、歯学部入学時からしっかり学生を選別してゆくことが本質的な問題解決になると言える状況である。
**歯学(歯科学)の研究は、国立・私立の区別無く行われている。戦後に国立大学に歯学部が新設された際は、多くの私立大学の教員が教授として赴任するなど、[[日本]]の歯科学の発展に私学が少なからず寄与してきた側面もあり、東大閥を頂点とするヒエラルキーのある[[日本]]の高等教育では、非常に珍しい歴史を持つ(ちなみに東大に歯学部はない。東大を頂点としないという点では、商学や臨床教育学も同様であるが、純粋な学問から一段低く見られていることも関係しているのかもしれない)。もっとも最近は国立大学が大学院重点化により学部教育より研究に力を入れており、多くの研究業績を発表している。現在では、臨床現場でも研究知識が必要であり、その逆もまた然りである。その為、[[研修医]]後、[[歯科医院]]を開業した後も、大学とパイプを持ち、研究活動に従事する歯科医師も多くなりつつある。また、歯学は[[医学]]の一領域である為、医学疾患と重なる点が多いのも当然であり、(現に、[[舌癌]]の場合は歯科医師が治療を担当して可と法的に定められている)歯学と医学が共同して研究を行うことも当たり前と成ってきており、今後、[[工学]]、[[理学]]、時には[[文系]]学問領域との共同研究も今後幅広くかつ活発に行われると予測されている。
**国民公衆衛生の向上は、[[歯科医師法]]第1条にも明記されているように、歯科医師の最も重要な行為である。公衆衛生は、時代と共に変化し、また多様化するものである。そのため、歯科医師は歯学部卒業後も絶えず自己学習を行い、現在求められている歯科医療を的確かつ充分に把握しておかなければならない。そのためにも生涯学習を元に、専門医資格の取得や医学、心理学など幅広い学問を身に付ける必要がある。決して、「歯学部(歯科医師免許取得)を出たからおわり」という事ではない。歯科医師免許取得後に、1年間以上の臨床研修が義務付けられているほか、生涯にわたって研鑽することが求められている。
<references />
 
==歯科医師養成を担わない歯学部の学科==