「日本における憲法改正の議論」の版間の差分

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*障害者の権利 - 障害者が住みやすい国を創るために必要な権利(本草案では障害の有無に関わらない平等として追記)
 
この憲法草案では、人権が追加された一方で、歯止めとして、国民には「自由及び権利には責任及び義務が伴う」ことが追記された。同時に、「[[公共の福祉]]」が「公益及び公の秩序」などに置き換えられた。秩序の乱れに眉をひそめる人々の共感を得るだろうと目されている。[[日本国憲法第21条|第21条]]における[[言論の自由]]・[[表現の自由]]を[[大韓民国]](第六共和国)憲法第21条4項の規定などに倣い「青少年の保護」を主な理由に「公衆道徳・社会倫理を逸脱する表現は対象外」とするものがその代表例である。但し、表現の自由に対する制約は自民党・[[保岡興治|保岡]]私案において明記されたのを始め党内でもこれを支持する意見が優勢であったが、2005年公表の党草案からは除外されている。この他、同草案では両性の平等を規定する[[日本国憲法第24条|第24条]]を「両性は家庭を保護する責務を負う」とする内容に改める案が提示されているが、この案に対しては「戦前の閉鎖的な[[家制度]]への回帰を目論むものだ」との反発も出ている。
 
上記のような論点に関して護憲批判派は、「公共の福祉」は他の個人の人権との衝突を国家が調整することを指す言葉であって、(→[[公共の福祉#一元的内在制限説(通説)]])戦時の秩序維持のための人権制限や、国家事業のための個人の財産の収用までも意味しかねない「公益及び公の秩序」への置き換えは行き過ぎである、[[%E5%85%AC%E5%85%B1%E3%81%AE%E7%A6%8F%E7%A5%89#.E4.B8.80.E5.85.83.E7.9A.84.E5.86.85.E5.9C.A8.E5.88.B6.E9.99.90.E8.AA.AC.EF.BC.88.E9.80.9A.E8.AA.AC.EF.BC.89|一元的外在制限説]]への逆戻りである、権利・自由は義務や責任を果たす事への対価として下される物ではなく別個に存在する物である、あるいはそもそも憲法で規定することではないと指摘する。憲法で国民の義務や権利の制限を記述することは、「憲法とは人民を入れておく檻ではなく、政府を入れておく檻である」、すなわち、「憲法は国家権力の恣意的な行使で基本的人権を侵されないために国家を規定するもの」という[[立憲主義]]に反すると懸念される。
 
2006年初頭現在、世論調査では、9条改正をどうするか明示しないで新しい(人権明記を含めた)憲法への改正に賛成かどうかと聞かれると、60%台~80%台が賛成している。これは、護憲派が懸念し改憲派が期待している状況といえるであろう。