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しかし、2006年[[6月13日]]、エアバス社は引渡しが再び6~7ヶ月遅れることを発表した。理由は生産上の遅れとしているが、顧客ごとに異なる内装仕様に対応する為、機内の配線設置に手間取っていることが原因とされている。なお、引渡し機数に関しても計画の年25機([[2009年]]から年45機)から2007年は9機、2008年以降も予定より5~9機縮小するとした。これにより、更に大幅な受領の遅れになることから航空会社の心証が悪化し、エアバス社への不信感が増大したことで、他の機材を含めて今後の受注に大きく影響すると見られている。また、引き渡し延期をめぐっては、エアバス株の急落に加え、エアバス社幹部がこの発表前に大量の株を売却した[[インサイダー]]疑惑も発覚している。
 
さらに、2006年[[9月21日]]には、[[EADS]]が3度目となる納入スケジュールの遅れを発表。続く[[10月3日]]には最大の発注元であるエミレーツ航空が、「エアバスからA380計画がさらに10カ月遅れ、機体引き渡しは2008年8月になるとの連絡を受けた」という声明を出している。エミレーツ航空は同声明の中で「当社にとって極めて深刻な問題で(契約に関する)すべての選択肢を見直している」としていたが、その後2007年[[5月14日]]に4機の追加発注を受けた事で契約のキャンセルという事態が回避された。その後、2007年[[6月22日]]に行われた[[パリ]]航空ショーにおいて、8機が追加発注されて合計5558機となり、同機における最大のカスタマーとなった。
 
2006年[[11月7日]]、貨物型の導入を予定していた[[フェデックス]]が、発注をキャンセルしたことを明らかにした。次いで2007年[[3月2日]]に、貨物型の導入を予定していた[[ユナイテッド・パーセル・サービス]] (UPS) は、エアバスが再建計画の一環として旅客機の生産を優先すると発表したことで、引き渡しがさらに遅れることを懸念し、発注をキャンセルした。更には旅客・貨物の両型式を発注していた[[ILFC]]も貨物型だけ注文をキャンセルし、旅客型のみの納入を明らかにしていた。エアバス社はこの時点で、80機あった貨物機の受注を全て失った。これらの遅れと大量キャンセルにより、貨物型の開発を中断した。ボーイング社も次世代大型機の[[ボーイング747-8]]を開発し、受注状況からして旅客型はA380が一歩リードしているが、貨物型は[[ボーイング747-8]]に大きく水を開けられている<ref>またA380には機体の形状からノーズ自体がカーゴドアになる機構を採用出来ない為、この点においても差がついている状況である。</ref>・<ref>機構の違いはA380は基本概念は「旅客機」として開発され、一方B747は民間旅客機に転用されたといえども万が一の為に民間「貨物機」として転用出来るように設計されたためである。</ref>・<ref>参考文献:「ジャンボジェットBoeing747Classic」(旅客機型式シリーズ3),「エアバスA380」(新旅客機型式シリーズ スペシャル)/何れもイカロス出版</ref>
 
2007年[[10月15日]]、初飛行以来30ヶ月間のテストを経て、最初の納入先である[[シンガポール航空]]に初めて機体が引き渡された。[[10月16日]]パイロットや技術者などのシンガポール航空関係者が乗り込み[[エアバス]]本社([[トゥールーズ]])から[[シンガポール]]に向けて飛び立った。[[10月25日]]よりSQ380便としてシンガポール~シドニー間に就航した。この初号便の座席は[[eBay]]による[[インターネットオークション]]で販売され、売り上げは慈善団体に寄付される。また「現在運航している世界最大の旅客機」が[[ボーイング747]]B747からA380に塗り替えられた歴史的瞬間でもある。
 
最初の納入まで当初予定から1年半遅れた。2007年11月末での受注数は193機であるが、遅れによって[[エアバス]]は60億[[ユーロ]](約1兆円)の損失を出しており、これを取り戻すためのA380の採算ラインは、当初の250機から、420機程度にまで悪化していると言われる。