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『'''蒼茫の大地、滅ぶ'''』(そうぼう
== 概要 ==
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飛蝗群は[[岩手県]]へと南下し始める。さらに[[盛岡市]]内に東京からの[[暴走族]]グループが侵入して[[強姦|婦女暴行]]の限りを尽くし、市民も食糧を強奪し始めパニックが広がり、守備隊がかろうじて押さえ込む。8月には青森県内の金融機関は閉鎖され、[[北上市]]などでは金融機関の焼き討ちが起きて、まだ蝗害を免れている[[秋田県]]から[[新潟県]]にまで[[取り付け騒ぎ]]が広がり、[[インフレーション|インフレ]]の恐れも出てくる。政府は野上の[[暗殺]]を図って刺客を送り込むも、守備隊に妨害され失敗。[[衆議院]]の地方[[行政委員会]]では、東北選出の与党[[国会議員|議員]]が東北六県知事会への非常時[[大権]]の付与を訴えたが、そのさなかに野上は委員会に喚問される。彼は個人の[[人権|基本的人権]]と同様に地方の自治体の[[自治権]]を国が奪うことはできないと語り、[[国税]]の政策によって[[地方交付税|国庫補助金]]に頼らざるを得ない地方自治体の財源の問題を指摘する。
飛蝗禍は[[宮城県]]、[[福島県]]へ南下していき、望みの綱であった秋田県、[[山形県]]の穀倉地帯にもついに群れが向かい始めた。野菜は全滅し、食料品を強奪する[[暴動]]が起こる。失業者が増加し、女性の身柄が買われ
冬が過ぎ春になると、農作物が育ち始めた畑に飛蝗の幼虫が現れる。人々はこれらが成虫にならないうちにと殺し続けた。しかし5月には再び飛蝗が群れをなして飛び始める。6月には人々の間に
6月25日、野上は5県知事と共に[[IBC岩手放送|岩手放送]]会館のスタジオに入る。野上がマイクを通して、東北を去った150万人の難民に、そして東北中の人々に語りかける。……[[戊辰戦争]]では[[奥羽越列藩同盟|奥羽越大同盟]]を結んで戦うも、農民の協力が得られず、敗れて中央政府の隷属となった東北諸[[藩]]。山林を[[日本の国有林|国有林]]にされ都会で低賃金で働かざるを得なくなった農民達。東北出身者は郷里で食えるからと[[解雇]]される差別。[[人身売買|身売り]]、娘売り。最上婆ァと呼ばれる子買い。[[満州国|満州]]への[[満蒙開拓移民|移民]]。やがて東北地方に工場が建てられ経済が成長した半面、[[稲作]]は[[減反政策|減反]]が命ぜられ酪農家は輸入飼料を買う。もう中央政府に幻想を抱いてはならない。我々は日本国から[[独立]]する。故郷に戻れば食糧を保証する。若者は最寄りの守備隊へ加わるように……。東京都の手前で足止めされていた難民がラジオでこれを聞き、北へ戻り始める。
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