「米軍再編」の版間の差分
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'''米軍再編(べいぐんさいへん、The U.S. military transformation)'''とは別名トランスフォーメーションともいい、世界規模の米軍配置を再検討し、再編を図ることで今日の安全保障環境とアメリカの国益に対応した世界戦略の転換を進めるものである。
そもそも、太平洋戦争以後の米軍の世界戦略とは冷戦時代における米ソ二極型の対立構造の中で資本主義陣営の盟主として、世界最大の軍事力を誇る国として世界の警察を自負し西側社会ひいては世界の安全保障をリードしてきた。[[1991年]]に[[ソ連]]の崩壊により冷戦が終焉を迎え、これまでのイデオロギー対立の下でくすぶっていた宗教・民族紛争が一気に噴出し、安全保障環境はポスト冷戦期=民族・宗教対立、[[グローバリゼーション]]の拡大と[[地域主義]]の台頭という新たな構造が生じたことでアメリカはその世界戦略の見直しに迫られてきた。とりわけ、アメリカがエネルギー供給において頼みとする中東やアフリカ地域の石油資源の確保の上では中東地域の安定化が不可欠な課題であった。それまで冷戦期を通じて自国の軍事力を世界的に展開してきたアメリカは、その戦略地域として東西対立の最前線であった東西ドイツ、朝鮮半島や日本といった地域に駐留軍を配置してきており、新たな戦略地域としての中東への重点化が焦点となったのである。
一方、こうした、米軍再編に向けた原動力の背景のひとつとしては、[[軍事革命]](RMA)の進展という驚異的な軍事技術の向上により、無人兵器の開発に成功、兵員の生命を消耗することなく、ワシントンから直接、戦闘指揮と戦略展開が可能となりつつあることで、大規模な兵員や世界規模の駐留軍を置く必要がなくなりつつあることも大きく再編を後押ししている。とりわけ、アメリカ本国から半日で世界各地に軍事力を展開する能力を獲得しつつあることも、この米軍のトランスフォーメーションの戦略を理解する上では重要な指標となろう。つまり、米軍再編とは冷戦構造型の世界戦略からポスト冷戦型ひいてはポスト9.11型の安全保障環境に転換すること。同時に現在世界に軍事力を展開させていることで、世界戦略の展開が図れる体制にある米軍が、有事の際に本国からの直接国際紛争への対処をとれる体制に移行することを可能とすることにあるといえる。
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