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== 業績 ==
前述の通り創作活動初期には純度の高い本格推理短編や幻想的な作品を執筆し,これらの作品は日本の推理小説の礎となった。後にはスリルや[[サスペンス]]がメインの通俗長編を『[[キング (雑誌)|キング]]』・『[[講談倶楽部]]』等,当時広く読まれていた大衆雑誌に連載し推理小説をポピュラーな地位に押し上げた。これらの通俗長編は初期作品に比べると破綻も多くミステリの低俗化を招いたとする批判もあるが推理小説の市場拡大に大きな役割を果たした事は事実である。事実,同時期に多数発表された通俗長編探偵小説の中で戦後も継続して再刊され続けたのは乱歩のものだけ(空前のリバイバルとなった横溝正史ですら戦前長編は1,2作を除けば一時的に再刊されただけ)である。またミステリの枠に留まらず怪奇幻想文学史においても重要な存在であり猟奇・異常性愛文学としての側面は後年の官能小説に多大な影響を残した。
子供向けに書かれた[[少年探偵団]]シリーズは現在までの累計部数が1,500万部を超えている。シリーズの殆どで敵役となっている[[怪人二十面相]]は推理小説に登場する架空キャラクターとしては[[シャーロック・ホームズ]],[[アルセーヌ・ルパン]],明智小五郎,[[金田一耕助]]等と並んで広く親しまれている。[[ポプラ社]]から全集シリーズが刊行されている。戦後は推理小説を廻る評論活動や[[日本推理作家協会]]の設立に尽力した。新人発掘にも熱心で[[筒井康隆]],[[大薮春彦]]等,乱歩に才能を見出された作家は少なくない。「[[宝石 (雑誌)|宝石]]」編集長時代には多くの一般作家に[[推理小説]]発表の場を与えている。代表的な作家に歌舞伎評論家の[[戸板康二]]がいる。また[[小林信彦]]を宝石社にスカウトし『ヒッチコック・マガジン』の編集長に推薦している。晩年には[[サイエンス・フィクション|空想科学小説]]に興味を持ち[[筒井康隆]],[[矢野徹]]等,黎明期の日本の[[サイエンス・フィクション|SF]]関係者に助力を与えその商業出版に援助を惜しまなかった。生前・没後に各四度<ref>『全集』は刊行順に生前は[[平凡社]]全13巻(戦前),[[春陽堂]]全16巻,[[光文社]]全23巻,桃源社全18巻(近年[[沖積舎]]で復刻),没後は[[講談社]]で全15巻,増訂版が全25巻,更に「文庫版全集」が二度,[[昭和]]末期に[[講談社文庫]]全66巻,[[平成]](21世紀に入り)に[[光文社文庫]]全30巻</ref>も全集・選集が刊行された作家は,日本では分野を問わず他に存在しない。
== 栄典 ==
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