「かけ算の順序問題」の版間の差分
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'''かけ算の順序問題'''(かけざんのじゅんじょもんだい)とは、日本での[[数学 (教科)|数学]]の[[初等教育]]の実践において、[[かけ算]]の式には「正しい順序」があり逆順は不正解として扱う指導法と、かけ算の問題の構造から必然的にどちらの順序で書いても正しく不正解として扱うのは不適切であるという主張の対立である。「'''かけ算の正しい順序'''」「'''かけ算の順番'''」などとも言われている。
具体的には、例えば「6人のこどもに、1人4こずつみかんをあたえたい。みかんはいくつあればよいでしょうか」
== かけ算の順序指導の現状 ==
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[[1972年]]1月26日の[[朝日新聞]]によると、大阪府の小学校で「6人に4個ずつミカンを配る」という問題が出題されたが、「6 × 4 = 24 こたえ24こ」という答案の答にマルがつけられ、式にバツがつけられて「4 × 6」が正しいと指導されたという。これに異議をとなえ文部省に質問状を送る親も現れ、かけ算の順序の「正解」をめぐって論争が起こった。
[[遠山啓]]は、4 × 6だけを正解とすることについては否定的な見解を示したが、その理由は「6人に1個ずつミカンを配ることを4回繰り返すと、6個ずつのまとまりが4つあると考えられるから」というものであった
数学者の[[森毅]]は、「大学入試などでは、『1人に1個ずつ配ると6人に対しては6個必要になる。1人当たり4個にするためには、それを4回繰り返さなければならない』というように書かなければ大減点される。6人を6個/回に、4個/人を4回に転換するところを書かないと、それぞれ1割程度減点、わざわざ間接的にマワリミチしたことで1割ぐらい減点。」「日本は『4の6倍』式に4 × 6と書くが、ヨーロッパでは『6倍の4』式に6 × 4と書く、日本のほうが合理的」と主張した{{Sfn|森毅|1989|p=56}}。
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2008年の小学校学習指導要領解説算数編p147{{Sfn|文部科学省|2008}}では
{{Quotation|
}}
と但し書きが書かれている。
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[[2011年]]1月15日 朝日新聞 夕刊 「花まる先生公開授業」<ref name = asahi>{{Cite web|date = 2011-1-17 |url = http://www.asahi.com/edu/student/teacher/TKY201101160133.html |title = 2 × 8ならタコ2本足(花まる先生公開授業) |publisher = asahi.com|accessdate = 2012-10-25}}</ref>では、「3 × 2だと3本耳のウサギが2羽いることになる。」「2 × 8だと2本足のタコが8ひきいることになる。」という授業を肯定的にとりあげた。
2011年5月26日、算数教育史家の高橋誠は『かけ算には順序があるのか』
{{Quotation|
# かけ算には交換法則が成り立つから、「いくら分 × 1あたり量」という順序で書いてもよい。
# 仮に「1あたり量 × いくら分」の順序で書くとしても、どちらの数を「1あたり量」としてもよい。
# そもそも、かけ算は「1あたり量」と「いくら分」の積だけではない。|高橋誠|『かけ算には順序があるのか』
高橋は、小学校の算数教育に浸透しつつある、かけ算の式には順序が存在するという指導法に警鐘を鳴らしている。本来「正しい」式の順序とはかけ算を教える上での単なる道具であったはずなのだが、教師たちは「数学的にも算数的にも」根拠があると信じ始めているようにみえるからである。
<!-- 中日新聞 -->
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