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[[日本国籍]]を有する父と外国人([[フィリピン人]])[[女性]]との間に生まれ、父親から生後[[認知]]を受けた[[非嫡出子]]について、父母が[[婚姻]]しなければ日本国籍を取得できないとする[[国籍法 (日本)|国籍法]]3条1項の規定が、[[日本国憲法第14条|憲法14条]]1項に反するとされた事件(最高裁[[2008年]]([[平成]]20年)[[6月4日]]判決<ref>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36416&hanreiKbn=01 最高裁判所平成19年(行ツ)第164号・平成20年6月4日大法廷判決・公式判例集未登載]、[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36415&hanreiKbn=01 平成18年(2006年)(行ツ)第135号・平成20年(2008年)6月4日大法廷判決・公式判例集未登載]</ref>)。
 
[[昭和]]59年([[1984年]])法律第45号による改正によって設けられた国籍法3条1項は、「父母の婚姻及びその認知により[[嫡出子]]たる身分を取得した子」は、[[法務大臣]]に届け出ることによって[[日本国籍]]を取得することができると定めている。このため、婚姻関係にない外国人の母と日本国民の父との間に生まれた非嫡出子は、生後に父から認知を受けるだけでなく、父母の婚姻により[[準正]]が生じなければ、日本国籍を取得することができない<ref>なお、これに対し、婚姻関係にある外国人と日本国民との間に生まれた嫡出子はもちろん、同じ非嫡出子であっても、母親が日本国民の場合や、父親から胎児認知を受けていた場合は、「子が出生の時に日本国民である父又は母との間に法律上の親子関係を有する」ので、国籍法2条1号により当然に日本国籍を取得する。</ref>。すなわち、父母の婚姻により嫡出子の身分を取得したか否かによって日本国籍を取得できるか否かの区別が生じている。
 
この点について、最高裁は、日本国民との法律上の親子関係の存在に加え我が国との密接な結び付きを要求しようとした国籍法3条1項の立法目的自体は合理的な根拠があるとした上で、国籍法3条1項が設けられた当時は、当時の社会通念や、準正があった場合に限り国籍取得を認める国が多かったこともあり、立法目的との間に合理的関連性があったといえるとした。しかし、その後の非嫡出子の割合の増加、国際結婚の増加に伴う家族生活の実態の多様化、多くの国で準正を要件から外し父子関係の存在だけで国籍取得を認める法改正がされたことなどを踏まえると、[[平成20年]]([[2008年]])現在においては、もはや立法目的との間の合理的関連性は見いだせないとして、憲法14条1項に反する不合理な差別的取扱いであるとの判断を示した。