「日本における地震対策と体制」の版間の差分

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彼方陣 (会話 | 投稿記録)
地震対策: 2月以降の版、主題の細部の解説・信頼できる情報源の不明示として一部rv。
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:: [[阪神・淡路大震災]]以前には「関西に地震は来ない」という[[神話]]があり、東日本大震災以前には「東北に大きな地震・津波被害はない」という神話<ref group="注">3.11 の2年前に出た「福島市役所における今後30年以内に震度6弱以上の揺れの確率を0.9%、仙台市4%、盛岡市0.7%(地震調査委員会、2010,12頁)」という予測に基づく。</ref>があった。まだ地方によっては「地震は他の地方のこと」という考えがある。
 
::2016年 [[熊本地震]]の前、熊本県は120年大地震のないことを理由として「大規模地震と無縁の土地柄」という内容を含む企業誘致パンフレット<ref>東日本大震災は、サプライチェーンの分断など企業活動に大きな影響を与えました。熊本地域では過去120年余り、大規模地震(M7以上)の発生はありません。また地震保険の保険料は全国的に最低価格のランクになっています。 熊本は企業にとって安定的な操業体制を維持できる安全・快適な立地条件を備えています。リスク管理やコスト面で将来にわたる安心感が得られます。 </ref>を作成し、2015年11月に[[蒲島郁夫]]知事が都内で企業誘致をしていた。布田川-日奈久断層帯は、国の調査による発生確率は非常に高く<ref>全国187断層中30年以内の発生確率が最大16%と全国で最も高いのが、日奈久断層帯の八代海区間(約30km)[http://www.nishinippon.co.jp/feature/attention/article/156892 特集「九州の活断層の現状」(5)日奈久断層帯、発生確率は全国一]西日本新聞2015年03月19日</ref>、2013年の県の被害想定では全半壊11万棟、死者960人、避難生活者11.6万人と実態に近い想定であったにもかかわらず大混乱を生じた。県の産業立地課は、最悪の想定に過ぎず実際には起きないだろう、と考えていた。<ref>福地伸夫名古屋大学教授は「最近地震が起きていないと言うことは、逆に(エネルギーやひずみがたまり)発生が近づいていると考えて、防災対策を急ぐべき」という。</ref><ref>『「震災と無縁」過信 想定あったが混乱』読売新聞平成28年5月14日朝刊3面</ref>。
 
::2012年12月政府の[[地震調査委員会]]は都道府県庁舎が30年以内に震度6弱以上の揺れに襲われる確率を公表したが、あくまでも目安である<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/1221.html 震度6弱以上 地域の確率は 12月21日 23時10分]{{リンク切れ|date=2016年2月}}</ref><ref>[http://www.jishin.go.jp/main/chousa/12_yosokuchizu/2012hikaku.pdf 都道府県庁所在地の市役所(東京は都庁)及び北海道の総合振興局・振興局庁舎付近(庁舎位置を含むメッシュの中心位置)において、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(平均ケース)]今後の地震動ハザード評価に関する検討 〜2011年・2012年における検討結果〜 参考資料、平成24年12月21日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会</ref>。
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==== 活断層の地震発生確率 ====
日本列島には2,000以上の活断層があるとされ<ref>疑いを含め、分かっているだけで約16,000という([[目黒公郎]]東大教授と斉藤雄介読売新聞編集委員との対談での目黒教授の発言、「活断層リスク 長期で考えて」読売新聞2016年5月11日。)。</ref>、2015年時点で、地震調査委員会は約180か所の活断層の地震発生確率を公表したが、予測には不確実さがある。断層の活動間隔は数千年から数万年であるため、地震の発生が迫っていても30年という期間の確率は低くなり、リスクの伝え方として適切か当初から批判があった。また、2004年[[新潟県中越地震]]は調査対象外の断層だった<ref>「直下型地震の死角①活断層列島 足下にリスク」日本経済新聞2015年1月27日14面</ref><ref>[http://www.nikkei.com/article/DGKKZO82415610W5A120C1TJM000/ 直下型地震の死角(下)活断層列島、足元にリスク 情報公開で地域に備えを :日本経済新聞]</ref>。
 
2008年の岩手・宮城内陸地震(M7.2、震度6強)は、未知の活断層により起こった。
 
熊本県は「地震発生確率が低いこと」を特徴として、企業誘致をすすめていた。しかし2013年2月の文部科学省の発表によると、日奈久断層は全国の活断層中最高の発生確率であった。
 
東日本大震災の前も、福島などの発生確率は低かった。地震発生確率が低いことが、油断を生んでいる。
 
==== 過去の地震被害と想定 ====
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:阪神淡路大震災以前には、関東大震災の[[火災旋風]]の教訓が流布された。阪神淡路大震災では震度7が強調されたが、ボランティアの働きで震災は乗り越えられるという考えが広がった。両方とも津波の被害がなかったために、津波対策がおろそかになった。阪神淡路大震災と新潟県中越地震では狭い地域での被害だったので広域被害に対する対策が進まなかった。東日本大震災後は津波被害が強調されたが、過密都市圏での被害がなかったし、[[東日本大震災]](3月)、[[阪神淡路大震災]](1月)、[[新潟県中越地震]](10月)など寒い時期・地域での被害だったので、雨や暑さなどに対する対策がおろそかになった。
 
:東日本大震災以前には「3日以内に救援が来る」として、3日分の備蓄で十分とされた。新潟地震(地域が狭く、避難人口が少ない)、阪神大震災(近くに大阪という大補給拠点があった)とは違い、東日本大震災、熊本地震では3日以内に救援が来なかった例が多数ある。また[[災害対策基本法]]<ref>[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO223.html#1000000000005000000006000000000000000000000000000000000000000000000000000000000 (避難所以外の場所に滞在する被災者についての配慮)第八十六条の七]</ref>では自主避難所にも救援物資が来ることになっていたが、熊本地震では自主避難所に援助が来ない(断られた)例が多数あり、自宅避難者には全く援助がない。やむを得ない理由で安全ではない自宅に避難したものが避難所で援助を求めると、大きな非難を浴びることがあった。
 
:想定外なのは、深部を震源とする広域地震である。歴史上今までほとんどないからである<ref group="注">{{要出典範囲|[[天正地震]]に可能性がある。|date=2015年9月}}</ref><ref group="注">現行学説では、深部地震で大きな震度にはならないとされている。</ref>。地震波の波形や周期が普通の想定と異なり、[[ユレダス]]やエレベーターのP波管制運転も効果がない。また広域地震でも強震域がまだらであり対策が遅れる可能性がある<ref group="注">例えば東京(千代田区の気象庁)で震度4と言っても、埋め立て地や旧河道で震度6強などの場合があり得る(東京ではかなり濃密な観測網が張り巡らされているが、故障や通信途絶などで空白地域ができることがあり得る。そこが大きな被害地域である可能性が高いが、そう判断するとは限らない。)特に観測網がまばらな土地で、対策遅れがあり得る</ref>。
 
::また、2016年熊本地震では直下型地震であるにもかかわらず3つの想定外の事態が起こった。
:::#M6.5の地震は前震であった。気象庁の100年あまりの経験から作られたマニュアルでは「(直下型で)M6.4以上なら本震とみる」とされていたからである<ref>『気象庁の敗北宣言 震度7、連鎖の衝撃』日本経済新聞2016年5月10日(1)ルポ迫真 </ref>。2つの地震が連動する可能性も考えられていなかった(1619年5月1日元和5年3月17日) 肥後(熊本)八代地震で卯の刻、牛刻の2回地震があったことや、1992年ランダース地震などの例は無視された。マニュアルは経験則であり、科学的根拠はなかった。)。
:::#28秒後に大分県で関連地震が起こった(震源断層は別だとされる。1992年ランダース地震などの例は無視された。
:::#久田嘉章工学院大学教授の研究によると、熊本地震で3-4秒周期の大きな長周期地震波が観測された。シミュレーションでは超高層29階建ての大学ビル<ref>西新宿、淀橋台地上</ref>の最上階で3.5mの変形が起こり、揺れの大きさは設計の3倍に達し、地震後に変形が残るとし、ビルによっては倒壊のおそれがあるという。今までは直下型地震での長周期地震波発生は考えられていなかった<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160514/k10010521261000.html 非常に強い長周期地震動 熊本地震で観測]NHK 2016年5月14日</ref><ref>大都市圏の地下は盆地状構造が多く、仮に本震にほとんど長周期波が含まれていなくても、固有周期が長いので増幅される可能性がある。熊本地震では地震波に含まれていたと見られる。</ref><ref>周期は断層の長さによって決まる部分(長い活断層では、長い時間をかけて破壊が進む)もあり、「直下型では短周期になる」という科学的根拠は乏しい。</ref>。
 
:近い将来起こるとされる[[首都直下地震]]や特に[[南海トラフ]]地震では、多くの種類の被害が起こる複合災害であるとされてはいるが、その対策は進んでいない。
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::::[[自由民主党]]は2012年12月に、同月の[[衆議院]]議員選挙のための同党の[[マニフェスト]]として発表した政策集の中で、「今後数年以内に、極めて高い確率で首都直下型や[[南海トラフ]]の巨大地震が発生すると予想されています。」とし、これらの災害に備えるために「[[国土強靭化計画]]」という[[公共投資]]計画を発表した<ref>[http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/j_file2012.pdf 日本を取り戻す]J-ファイル2012 自民党総合政策集p.4</ref><ref group="注">具体的な政策の内容(PDFp11、ページはp20)で、869年[[貞観地震]]、1611年[[慶長三陸地震]]、1896年[[明治三陸地震]]、1933年[[昭和三陸地震]]それぞれの2-10年後に首都圏地震、5-18年後に南海トラフ巨大地震が起こっていることを指摘している。</ref>。この計画は10年間に200兆円の投資を行うもので<ref group="注">200兆円は「真水」(国家予算の直接投入分)ではなく、総事業費。</ref>、財源には[[建設国債]]が当てられると考えられている。
 
=== 緊急事態条項 ===
2016年現在「憲法改正」が政治課題となっている。その中で、地震など災害時における憲法の規定が不十分との指摘がなされている<ref>『「緊急事態条項」どう見る』2016年2月17日読売新聞朝刊13面</ref>。
:①[[衆議院解散]]後、災害が起こると衆議院議員が不在となる。緊急事態を審議する場が[[参議院]]だけになってしまう<ref>同時選挙の場合、両院とも存在しない状態になる場合がある。</ref>、予算審議が開けない、首相が被災した場合に後継首班指名ができない、などの不都合が起きる。
:②国会の召集に議員が応じられるかは状況による。被災したり、交通マヒ、通信マヒ、混乱に乗じて何者かが妨害する可能性などが存在するが、規定はない。
:③緊急事態法がない場合、災害時に行動する場合、特に強制力を伴う場合に、超法規的に行動するか何もできないという選択肢しか残らない。超法規的に措置した場合に前例となり、歯止めが無くなる可能性がある。現場裁量に任せた場合はどうなるか予測がつかない。自衛隊などの公的機関は超法規的措置を検討することができない([[三矢研究]])ので、対策が困難である。
:④緊急事態条項は、日本や[[ナチスドイツ]]を含め乱用されてきた歴史を背負っているため、制定、運用、国民的合意が非常に難しい。
::アメリカの[[戦争権限法]]では「いまそこにある明白な危機Clear and Present Danger」と規定されているが、議論が絶えない。
 
=== 防災意識 ===
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==== 認知的な歪み ====
人間は大きな確率の危険は過小評価し、小さな確率の危険は過大評価する傾向がある。そのため発生確率98%の危険は軽視され、1,000年に一度の(低い確率の)危険は重視される。次に、大きな被害をもたらす危険は大きく認識されるため、1,000年に一度の巨大被害には必要以上の防災投資がなされる。また若い人は災害を過小評価し、高齢者は敏感である。そのため近い将来の被害予測に対して高齢者は大きく反応する<ref>{{cite web |url=http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121021-00007484-president-bus_all |title=巨大地震「4年以内70%」だとなぜ怖いのか-認知的な歪み |publisher=プレジデント |date=2012年10月21日 |author=広瀬弘忠(ひろせ・ひろただ)(東京女子大学名誉教授) |archivedate=2012-10-24 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20121024014026/http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121021-00007484-president-bus_all |accessdate=2014-08-27}}</ref>。
 
==== 地震の想定 ====
地震の想定が偽の安心感を生むことがある。
 
2011年の東日本大震災時、東北地方(特に福島県)の地震危険度はきわめて低く、プレート型巨大地震と大津波は想定外だった。
 
2014年11月政府の地震調査委員会が「全国地震動予測地図」(30年以内に震度6弱以上の地震にあう確率)の最新改訂版を発表した。横浜市役所が78%(前回'13年版66%)、さいたま市役所が51%(同30%)、千葉市役所が73%(同67%、東京都庁が46%(同26%)である。それに対し北海道西部、山陰、九州(福岡、佐賀、熊本8%、長崎5%)に移住することを真剣に検討するよう勧める意見もあった<ref>[http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41697 首都直下巨大地震の確率急上昇!これは絶対に来る!東京46%横浜78%埼玉51%。いますぐ逃げたほうがいい]週刊現代、現代ビジネス2015年01月11日(日) </ref>が、2016年4月に熊本地震が起こっている。
 
=== 耐震化工事の遅れ ===
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* 被災3県を除く全国の避難所9万箇所のうち耐震化されているのは56%であるという。「東海地震が明日起きてもおかしくない」と言われ続けてきた静岡県でさえ公共施設の耐震化は16年度末までかかる。大阪府守口市の公立小中学校の耐震化率は35%である。滋賀県近江八幡市役所は2006年の耐震診断で不合格となっている。
会計検査院に対する自治体の説明では「堤防・水門などの新設に予算が使われたため、他の耐震化工事のための財源が無い」というのが多いという。
* 2016年熊本地震では、大津町役場<ref>崩壊</ref>、宇土市役所<ref>4階がなくなるパンケーキ型崩壊</ref>、八代市役所、熊本市民病院、益城町役場、阿蘇大橋<ref>完全に跡形もなく崩落</ref>、[[益城町]]総合体育館<ref>10kgのつり天井1000枚が落下</ref>、熊本空港旅客ビル、九州道をまたぐ陸橋など、重要施設が崩壊、損壊して使えなくなった。
 
::2013年、国は旧耐震基準<ref group="注">昭和56年・1981年6月1日以前に建築確認を受けたもの。想定震度5強。建物の重さの2割が建物の上部に静かにかけられても大丈夫なように設定されていた。それは1948年[[福井地震]](初めての震度7)から1972年[[八丈島東方沖地震]]まで震度6が観測されていなかったからでもあり、終戦後日本に経済的余裕がなかったからでもある。</ref>で建てられた大型商業施設・病院・小中学校5,000棟の耐震診断を罰則付きで義務づけることとした。それは未改修の建物が、平成15年に9万棟だったのが平成20年でも8万棟あるからである。義務づけるにあたり、耐震診断の補助率を50%に、耐震改修については40%に引き上げる<ref group="注">例えば東京都武蔵野市[[吉祥寺]]の[[前進座劇場]]は耐震改修費用がかさむため存続を断念し2013年1月閉鎖された。[http://mainichi.jp/feature/news/20130107ddlk13040100000c.html 前進座劇場:30年余の歴史に幕 最終公演、9日千秋楽 /東京]{{リンク切れ|date=2016年2月}}(毎日新聞 2013年01月07日 地方版)</ref>。
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::いままで大きな被害を出し、大規模避難所に多く使われている「つり天井」の耐震化は、国の補助金対象外である。
 
:::2016年熊本地震で、2,000人を収容するはずだった[[益城町]]<ref>人口約3万人。ピーク時避難民1.6万人、1ヶ月後も3,400人。</ref>総合体育館は前震で天井板が6枚落ちたため念のため使用を中止したが、本震で10kgの天井板1,000枚以上が一気に落下した。もし避難者を収容していれば、数百人規模の死傷者を出していたと考えられる<ref>「避難、物資すべて後手」読売新聞2016年5月14日</ref>。
 
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また地震の時、水門が壊れていて動かなかったり<ref group="注">立地上地盤が弱い場合が多く、地盤沈下などで歪んだりする。</ref>、動かすための電気や遠隔操作のための通信手段<ref group="注">河川事務所からの通信手段が堤防地下に埋め込まれた国交省専用光ケーブルだけという場合があり、地震などで損傷を受けることがある。</ref>が損傷している場合もありうる。また、東日本大震災では大規模な防潮堤が十分に連結されておらず<ref group="注">日本一といわれた田老町の堤防。特に7mの堤防とかさ上げした3mの部分をつなぐ鉄筋が全くない。ブロックごとの横の連結鉄筋もほとんどない。</ref><ref group="注">学物質やガス満載の船が制御不能で湾の奥に突入する事態。化学工場の爆発例えば道路の[[ガードレール]]は一つ一つは弱いが、数十m全体がつながって衝突力を受け止める構造になっている。特に防潮堤の場合、津波が来た場合には1カ所が崩れただけで他の部分が無力化する(内側から基礎がえぐられるため。また1カ所崩れた場合にそこに力(流れ)が集中するので、まわりが順番に倒れる。)。</ref>、基礎が弱かったために順番に倒れた例もあった。
 
==== 津波と想定外 ====
2011年3月11日以前には、低い津波予測値であった。例えば最大ケースで東京都豊洲で50cm未満だった。東北地方沖地震ではもっと低かった。
 
東北地方太平洋沖地震では、湾口が東北地方沖に向いていない所の奥や、さらに日本海側でも大きな津波が観測された<ref>[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E5%8C%97%E5%9C%B0%E6%96%B9%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E6%B2%96%E5%9C%B0%E9%9C%87#/media/File:2011_Tohoku_earthquake_observed_tsunami_heights.png 各地の検潮所・験潮所・験潮場で観測された津波の高さ]</ref><ref>[http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/gaikyo/monthly/201103/monthly201103.pdf 表2―1 日本国内の津波観測施設で観測された津波の観測値]気象庁・平成23年3月地震・火山月報(防災編)p62-
</ref>。
*東京湾内
**横浜1.6m、横須賀1.6m、千葉0.9m
**[[多摩川]]では河口から13kmの調布の取水堰まで、[[鶴見川]]では14km遡上<ref>[http://www.kanaloco.jp/article/155443 忘れまい<5>白波立て13キロ遡上多摩川の津波(川崎市)]神奈川新聞2016年2月27日</ref>。
*日本海側など
**長崎0.8m、酒田0.4m、石狩新港0.4m、敦賀0.3m
 
2016年の[[東北大学]]教授・[[今村文彦]]の発表によると、東日本大震災で津波により土砂が削り取られて流速や高さが増加したという。そのため南海トラフ地震などによる津波では想定以上に津波が高くなる可能性があるという<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160307/k10010434481000.html 5年前の巨大津波 第1波が土砂削り取り被害拡大]NHK 2016年3月7日</ref>。
 
=== 救援・受援体制 ===
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*2010年のチリ地震では、避難場所にいたのは3.8%<ref>「避難率 わずか数%」読売新聞2014年9月1日朝刊3面</ref>。
*東日本大震災直後には避難所が女性被災者に対する配慮に欠けていたと言われる。“間仕切りがなく着替えや授乳に困った”、“下着を干す場所がない”、“人前で[[生理用品]]を受け取りにくい”などの悩みがあった<ref>[http://www.nhk.or.jp/ashita/tomorrow/ TOMORROW:女性が安心できる避難所運営]NHK 2015年8月5日<アンコール> </ref>。
*[[LGBT]]など性的マイノリティの人々<ref>人口の約7.6%、左利きと同じ[http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0423-004032.html 電通ダイバーシティ・ラボが「LGBT調査2015」を実施]電通2015年4月23日</ref>が、トイレ・風呂などが男女別にしか分かれていなくて不自由したという<ref>[http://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20160321/3174341.html LGBTの人たちが震災を議論 ]NHKニュース東北NEW SWEB2016年03月21日</ref>。
*東日本大震災で[[石巻市]]の防災計画に在宅避難者対策がなかったために在宅避難者への支援の分配が大問題になった。避難所と在宅避難者の間で不公平感が高まった<ref>人口6万人が(1階が津波で水没し2階は被害が無かった家が多かったので、)自宅2階に避難していた。</ref><ref>[http://www.nhk.or.jp/ashita/bangumi/ 明日へ−支えあおう− 証言記録 東日本大震災 第44回「宮城県石巻市」]NHK 2015年8月30日</ref>。
*車で避難することは、渋滞が生じ犠牲者が増加するので、基本的に制限されている。尾鷲市を例にしたシミュレーションでは車使用者が15%を越えると死者が増加するとされる。もっとも、高齢化率が高い場合(多くの海岸地域のように)や高台が遠い場合など、車で避難する必要があるが、誰がどうやって車を使うと15%以下にできるかはほとんど決まっていない。「地区防災計画」で決定できるが、線引きは難しい。また非常時に車を使ったとして、処罰できるかどうか、また村八分的な差別・レッテル張りが行われないかの問題がある。「責任持って」と言われても困る。東日本大震災のような昼間では、基本的に居住地にいるのは災害弱者だけである。都会地では、近所同士の助け合いも難しい。東海地震、東南海地震では津波発生から来襲まで1-10分であり、避難方法ではなく避難速度の問題となる。東京の下町デルタ地帯からの避難のシミュレーションによれば、車での避難は不可能である。都会地での車での避難では、渋滞した車一台での出火が、避難路や地域全体の火元になり、避難経路をふさぐ<ref>『週刊 ニュース深読み「震災5年 “命を守る”防災はどこまで進んだ?」』NHK総合2016年3月5日</ref>。
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** [[逢坂山]]([[滋賀県]][[大津市]]と[[京都市]][[山科区]]の間)付近では、[[東海道本線]]、[[国道1号]]、[[国道161号]][[大津バイパス]]、[[北陸線]]([[琵琶湖線]]、[[湖西線]])、[[京阪電鉄]][[京阪京津線|京津線]]、[[琵琶湖疎水]]、[[東海道新幹線]](2km南の[[音羽山 (滋賀県・京都府)|音羽山]]を通る。)が集中している。そこには[[花折断層]]・[[比叡断層]]がある。迂回路はほとんど無い<ref>『日本史の謎は「地形」で解ける』竹村公太郎(元国土交通省河川局長) 2013年</ref>。
* 関東一都三県には[[踏切]]が約4,000カ所ある。地震発生時には電車が制御区間(電車が通過する時、踏切を遮断する区間)や踏切にいたりする。[[遮断機]]が下りたままだと、避難するや緊急車両の通過が困難になる<ref>『「開かずの踏切」改良探る 国交省が協議会』日本経済新聞2012年9月3日夕刊12面</ref>。また「[[デッドセクション]]」と呼ばれる電気系統切り替え区間で停車すると、そのままでは自力で発車できないため救援が必要となり、後続列車などが止まる。
*首都圏では相互乗り入れの直通運転が拡がり、一つの事故が広域に影響している場合が急増している。例えば「[http://www.mintetsu.or.jp/association/mintetsu/pdf/48_p26_27.pdf 首都圏民鉄5社7線による相互直通運転]」やなどである。災害時にはさらに混乱が拡大すると見られる。主な直通区間は
**JR東日本中央線 ←→ 東京メトロ東西線 → JR東日本総武線、東京高速鉄道
**小田急多摩線-小田原線、 ←→ 東京メトロ千代田線 ←→ JR東日本常磐線(取手→唐木田、本厚木)
**西武池袋線 ←→ 東京メトロ副都心線 ←→ 東急東横線 ←→ 横浜高速鉄道みなとみらい線(飯能→元町・中華街)
**京急久里浜線-本線 ←→ 都営地下鉄浅草線 ←→ 京成押上線-本線-東成田線 ←→ 芝山鉄道(三崎口→芝山千代田)
**東武東上線 ←→ 東京メトロ有楽町線-副都心線 ←→ 東急東横線 ←→ 横浜高速鉄道みなとみらい線(森林公園→元町・中華街)
**「上野東京ライン」前橋・黒磯・取手・成田 ←→ 沼津・伊東(宇都宮線(東北本線)・高崎線・常磐線・東海道線)
* 都市圏の道路交通は、都道府県警察本部のコンピュータによる広域制御システムによって円滑に動いている。これは[[センサー]]と信号のネットワークであり、信号・通信路・センサーは通常の電力系統によって電力を供給され動いているが、計画停電で明らかになったように停電に弱い。災害時には、たとえ交通量が変化せず道路に異常が無いときでさえも、信号故障による渋滞や事故が予想される<ref group="注">東北3県で停電しても消えない信号機を数百箇所設置し増強中。震災後に開発された4時間程度のリチウム電池と24時間程度のディーゼル発電機を電源としている(『「消えない信号機」増設 停電でも交通マヒ回避』読売新聞2012年10月27日朝刊34面)。</ref>。事故の現場検証も難しい。緊急時は警官の手信号という方法もある。
* JR各社の[[新幹線総合指令所]]は[[東京駅]]付近にあり、JR東日本は指令所を2014年をめどに[[さいたま市]]に移転する<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/otona/railwaynews/13/etc/20121125-OYT8T00347.htm 新幹線の総合指令室、さいたま市に移転へ]{{リンク切れ|date=2016年2月}} 読売新聞 11月25日(日)10時13分配信</ref>。
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東日本大震災における福島第一原発から避難した9高齢者福祉施設の調査によると、2回以上または県境を越えて避難した場合には前年の2倍以上の入所者が死亡した。どちらの条件にもあてはまらない場合、変化はなかったという<ref>「避難弱者: あの日、福島原発間近の老人ホームで何が起きたのか?」 相川祐里奈著、東洋経済新報社2013年</ref>。
 
::2016年熊本地震では、高齢者ケアが機能していなかった<ref>「高齢者ケア 機能せず 福祉避難所受け入れ わずか 甘い想定、周知不十分」検証熊本地震1ヶ月(4)日本経済新聞2016年5月20日</ref>。熊本市は176カ所、1740人分を福祉避難所に指定したが、1週間後に受け入れていたのは、25施設、64人だった。市は「具体的な応援態勢を決めていなかった。」「多人数が押し寄せると運営に支障が出るので、開設場所を周知しなかった。」という<ref>車いすで生活していたのに制度を知らず、段差のある避難所を利用できず、危険な自宅で暮らした人もいる。脳出血後遺症のある人は、1週間車中泊した。</ref>。透析患者は、17日朝から自衛隊の優先給水が始まり、福岡県が500-1000人受け入れることになり、一応の解決を見た
 
=== エレベーター ===
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2016年2月の読売新聞の調査によれば、2012年調査の8割が未解消である(単位ha)<ref>「木造密集地 8割未解消」読売新聞2016年1月13日</ref>。
::大阪府2248、東京都1127、京都府362、長崎市262、神戸市221、愛知県104、川口市54、川崎市30、徳島県30など
 
=== 救援と補給の能力 ===