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{{lang|en|'''Apple IIc'''}}(アップル ツーシー)は、[[アップル インコーポレイテッド(企業)|アップル]]が[[1984年]]に発売した、{{lang|en|[[Apple II]]}} シリーズのコンパクト機である。
 
== 概要 ==
[[Image:Apple IIc Plus (front).jpg|thumb|right|150px|{{lang|en|Apple IIc Plus}}]]
 
1977年に発表された[[Apple II]]は、[[キーボード (コンピュータ)|キーボード]]一体型のケースに収容された拡張性の高い[[マイクロコンピュータ]]として一世を風靡し、非常に多くのユーザーに支持された。
 
販売数の増加と共に[[Apple II]]は幾度かのアップデートを受け、Apple II+ (Plus) に、そして1983年発売のApple IIeへと進化していったが、従来、同じ基本設計のまま7年間にわたって使われてきた拡張性の高いベージュ色のケースを捨てて、白くスリムなキーボード一体型ケースに収められたコンパクトタイプの[[Apple II]]シリーズとして1984年に発表されたのがApple IIcである。
 
ちなみに、従来型のケースに収められていたApple IIeは、1987年以降はケースのカラーをプラチナグレーに変更するなどのアップデートを受けつつ1993年まで生産が続けられており、Apple IIcは、あくまでも[[Apple II]]シリーズのバリエーションの一つであって、IIeの後継機種であった訳では無い。
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== 特徴 ==
Apple IIcの最大の特徴は、当時としては非常に薄型と言えるスタイリッシュなケースに納められていることに有り、「ポータブルなコンピュータ」としての位置づけを前面に押し出していた。実際、5インチの[[フロッピーディスク]]ドライブ(後の強化版であるApple IIc plusでは3.5インチに変更)まで内蔵したオフホワイトのケース後部にはハンドルが設けられており、3キロ強の本体重量と相まって、1980年代のマシンとしては(本体に限ってみれば)十分に可搬型と言えるものであった。
 
また、その可搬性を強化するために、モノクロ表示の小型[[液晶ディスプレイ]]もオプションで用意されていた。1984年当時公開されたSF映画『[[2010年_(映画)|2010年]]』(『[[2001年宇宙の旅]]』の続編)では、主人公が海辺で液晶ディスプレイ付のApple IIcを使っているシーンが登場している。
 
ただし、IIc自体は[[二次電池|バッテリー]]を内蔵していないので駆動にはAC電源が必須で有り、実際に液晶ディスプレイとのセットで可搬用途に使用したユーザーは極く少数であったと言われている。結局、バッテリーによる屋外での駆動が可能な、Apple社アップル製の「ポータブル」な[[パーソナルコンピュータ]]の登場は、1989年の[[Macintosh Portable]]の発表まで待たなければならなかった。
 
ともあれ著名なデザイン集団である[[フロッグデザイン]]の手による未来的な白いケースと、同デザインのスタイリッシュな[[ブラウン管|CRT]][[ディスプレイ (コンピュータ)|モニタ]](9インチのモノクロおよび12インチのカラーの2種類)が組み合わされた姿は、デザインに敏感な多くのユーザーを魅了した。後日、IIcと同じ"スノー・ホワイト"と呼ばれるデザインランゲージで構成された[[プリンター]]製品の「イメージライターII」はグッド・デザイン賞を受賞している。
 
その後、初期の[[Macintosh]]シリーズのデザインで一躍名をはせることになる[[フロッグデザイン]]にとって、このIIcは初めてのアップルとの大型プロジェクトであると同時に、後に[[Macintosh II]]シリーズのデザインを展開していく上での基礎となった[[プロダクトデザイン]]であったと言える。
ともあれ著名なデザイン集団である[[フロッグデザイン]]の手による未来的な白いケースと、同デザインのスタイリッシュなCRTモニタ(9インチのモノクロおよび12インチのカラーの2種類)が組み合わされた姿は、デザインに敏感な多くのユーザーを魅了した。後日、IIcと同じ"スノー・ホワイト"と呼ばれるデザインランゲージで構成されたプリンタ−製品の「イメージライターII」はグッド・デザイン賞を受賞している。
 
その後、初期の[[Macintosh]]シリーズのデザインで一躍名をはせることになる[[フロッグデザイン]]にとって、このIIcは初めてのアップル社との大型プロジェクトであると同時に、後に[[Macintosh II]]シリーズのデザインを展開していく上での基礎となった[[プロダクト・デザイン]]であったと言える。
 
特にIIcのキーボードに採用されたフラットなデザインのキートップは、後のApple II GSやMacintosh IIシリーズの外付けキーボードのデザインの原型となっており、II GS用のキーボードは、一部マニアの間でカルト的な人気を誇るに至った。
 
またIIcは、Apple IおよびApple IIシリーズの開発者であった[[スティーブ・ウォズニアック]]の手を離れて、[[スティーブ・ジョブズ]]が主導したプロジェクトであることも知られており、拡張性よりもオールインワンでの使い勝手を追求し、コンパクトなボディに必要な機能を納め、原則としてエンドユーザーに中身を触らせないという方向性は、同じく1984年に発売された初代[[Macintosh]]と同じ設計思想に基づいていたと言えよう。
 
しかしながら、8個の[[拡張カード]]用スロットを持ち、ユーザーの要求に合わせた様々な機能強化が可能であった従来のApple IIシリーズに比べて、拡張性を廃したApple IIcは市場に大きくは受け入れられず、当初の販売は伸び悩んだ。
またIIcは、Apple IおよびApple IIシリーズの開発者であった[[スティーブ・ウォズニアック]]の手を離れて、[[スティーブ・ジョブズ]]が主導したプロジェクトであることも知られており、拡張性よりもオールインワンでの使い勝手を追求し、”コンパクトなボディに必要な機能を納め、原則としてエンドユーザーに中身を触らせない”という方向性は、同じく1984年に発売された初代[[Macintosh]]と同じ設計思想に基づいていたと言えよう。
 
同じデザイン思想であったとは言え、かたやMacintoshが[[グラフィカルユーザインタフェース|GUI]]による利用を前面に押し出した、当時としては全く新しい方向性を持つ(ただし非常に高価な)パーソナルコンピュータだった事に対し、あくまでもApple IIシリーズの一機種として認知されたIIcは、従来のApple IIユーザーから見ればコンパクトさ・スタイリッシュさと引き替えに、利用目的が非常に限られた物として映ったことは如何ともしがたかった。
しかしながら、8個の拡張カード用スロットを持ち、ユーザーの要求に合わせた様々な機能強化が可能であった従来のApple IIシリーズに比べて、拡張性を廃したApple IIcは市場に大きくは受け入れられず、当初の販売は伸び悩んだ。
 
Apple IIcの最終的な販売台数は公式には発表されていないが、総計500万台を生産したと言われているApple IIシリーズ(もちろん、これはアップルの純正品のみの話で有り、数え切れないほど存在した海賊版製品は把握されていない)の販売数のほとんどはApple II、Apple II+、Apple IIe、などのメインストリーム筐体のマシンで占められており、6年間に渡るIIcラインの総販売数は(II GSと並んで)割合としてはわずかに過ぎないと言われている。
同じデザイン思想であったとは言え、かたやMacintoshが[[GUI]]による利用を前面に押し出した、当時としては全く新しい方向性を持つ(ただし非常に高価な)パーソナルコンピューターだった事に対し、あくまでもApple IIシリーズの一機種として認知されたIIcは、従来のApple IIユーザーから見ればコンパクトさ・スタイリッシュさと引き替えに、利用目的が非常に限られた物として映ったことは如何ともしがたかった。
 
1988年9月には、Apple IIc plusとしてアップデートされ、CPU速度及びRAM搭載量が強化されたほか、内蔵するフロッピーディスクドライブが5.25インチから3.5インチに変更された。また、それまでは外付けボックスだった電源(AC/DCコンバータ)が内蔵されると共にI/Oポート類も変更を受けて、細部の外観が若干変更されている。
Apple IIcの最終的な販売台数は公式には発表されていないが、総計500万台を生産したと言われているApple IIシリーズ(もちろん、これはアップル社の純正品のみの話で有り、数え切れないほど存在した海賊版製品は把握されていない)の販売数のほとんどはApple II、Apple II+、Apple IIe、などのメインストリーム筐体のマシンで占められており、6年間に渡るIIcラインの総販売数は(II GSと並んで)割合としてはわずかに過ぎないと言われている。
 
結局、Apple IIc+の生産は1990年まで続いたが、最後まで生産されたApple IIシリーズの座は初代Apple IIの直系であるApple IIe Platinum(1993年生産終了)のものとなり、IIcはApple II GS(1992年生産終了)と共に後から現れ、先に消えた”Apple」Apple IIのバリエーションの一つとなった。
 
しかしながら、製品の外観に全く無頓着であった[[スティーブ・ウォズニアック]]とは対照的に、ホームエレクトロニクス製品であるコンピュータとしての見た目にこだわって、初代Apple IIに、その後15年に渡って利用され続けることになる特徴的なプラスティックケースを与えたのが、IIcのデザインコンセプトを主導した他ならぬ[[スティーブ・ジョブズ]]であったことは特筆に値しよう。
1988年9月には、Apple IIc plusとしてアップデートされ、CPU速度及びRAM搭載量が強化されたほか、内蔵するフロッピードライブが5.25インチから3.5インチに変更された。また、それまでは外付けボックスだった電源(AC/DCコンバータ)が内蔵されると共にI/Oポート類も変更を受けて、細部の外観が若干変更されている。
 
結局、Apple IIc+の生産は1990年まで続いたが、最後まで生産されたApple IIシリーズの座は初代Apple IIの直系であるApple IIe Platinum(1993年生産終了)のものとなり、IIcはApple II GS(1992年生産終了)と共に“後から現れ、先に消えた”Apple IIのバリエーションの一つとなった。
 
 
しかしながら、製品の外観に全く無頓着であった[[スティーブ・ウォズニアック]]とは対照的に、”ホームエレクトロニクス製品であるコンピュータ”としての見た目にこだわって、初代Apple IIに、その後15年に渡って利用され続けることになる特徴的なプラスティックケースを与えたのが、IIcのデザインコンセプトを主導した他ならぬ[[スティーブ・ジョブズ]]であったことは特筆に値しよう。
 
== 主な仕様 ==
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メインメモリ:128KB(最大1MB)
ディスクドライブ:140KBの5.25inフロッピーディスクドライブ搭載(IIc+では800KBの3.5inに変更)
 
 
== 関連項目 ==
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{{1997年以前のアップル社製ハードウェア}}
 
{{デフォルトソート:あつふる2cApple IIc}}
[[Category:アップルのパソコン]]