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食事
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== 基本指針 ==
* 糖尿病の治療は病因、または重症度(進行度)によって異なる。2型糖尿病初期において最も重要なのは[[食餌療法|食事療法]]と[[運動療法]]である。
* 糖尿病は、現在の内科的な保存的治療では[[治癒]]しない[[疾患]]であるため、その治療の目標は発症や伸展を抑制し、患者の[[QOL]]や[[健康寿命]]を健康な人と変らないレベルまで維持することである。(外科手術により完全寛解に至ることがある。)
* 食事療法、運動療法でコントロールがつかない場合は[[経口血糖降下薬]]、[[インスリン]]といった薬物を使用する。
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== 食事療法 ==
{{main|糖尿病の食事療法}}
{{Seealso|食療法}}
糖尿病治療の基本はエネルギーの制限や食品の選択である。日常の生活強度に合った食事をする必要がある。目安としては、デスクワークの多い成人男性では、1500kcal〜1600kcal(約20単位)ということになる。ここでは糖尿病の中心的な学会によるガイドラインのみに言及し、詳細は[[糖尿病の食事療法]]の項に譲る。
 
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=== 肥満によるインスリン抵抗性増大例 ===
BMIが25を超えて軽症糖尿病である場合、肥満によるインスリン抵抗性による可能性が高いと考えられる。そのため肥満の解消が最優先事項となる。そのためには[[食餌療法|食事療法]][[運動療法]]が重要なのは言うまでもない。そして経口血糖降下薬を用いるのなら肥満を助長しない薬であることが望ましいと考えられる。その後の治療効果判定が難しくなるからである(たとえば、血糖値は下降傾向になったが太りましたという結果にしても、改善傾向ではない可能性がある)。インスリン分泌促進薬は副作用として体重増加がよく知られているため、この時点ではふさわしくないためそれ以外の薬を用いるべきである。体重に対する影響としてはビグアナイド薬が不変から減少傾向、αGI薬は不変、チアゾリジン誘導体は効果が出る場合は浮腫の副作用以外に体重が若干増加する傾向が知られている。
 
以上のことを踏まえるとまずはビグアナイド薬、塩酸メトホルミン(メルビン)からはじめ、副作用の胃腸障害によって服薬困難であればαGIやチアゾリジン誘導体に切り替える。また心不全の既往があればメルビン、アクトスともに適応外となるためベイスン、グルコバイといったαGIを処方するという流れが考えられる。ただし、適応外さえ守ればこれらのくすりはどれを使ったから明らかに悪いということはない。定期的にフォローアップし、効果判定をしていくことが大切である。特にアクトスは全く効果がない場合もある(量が足りないのかといったところで悩む)ので、思い切った変更が必要である。
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=== 重症糖尿病の場合 ===
具体的にはHbA1c>8 HbA1c > 8% である場合のアプローチを考える。この場合重症度には相当な幅があるため、まずはインスリンの適応に入るのかどうかを検討する。インスリンの適応がなければ経口血糖低下薬の出番である。HbA1c>8HbA1c > 8%となるくらいの高血糖の場合は追加分泌障害も存在する可能性があるが基本的には基礎分泌が足りていないためSU薬は良い適応となる。SU薬を少量から開始し、血糖値の減少を見ながら徐々に増量していく。アマリールであったら1〜2 mg/day,オイグルカンであったら1.25〜2.5 mg/dayあたりから開始することが多い。効果不良例では最も薬効の強いSU剤であるオイグルカン5.0 mg(分1、分2問わない)あたりまで増加させるが、ここまでやって効果不良の場合SU剤の増量よりも多剤併用療法に切り替えた方がうまくいくことが多い。SU剤にて全く効果がない場合を一時無効といい、インスリンの適応となる。はじめは効果があったのに徐々に効果がなくなっていくことを二次無効という。原因としては食生活の乱れ、肥満の悪化、膵臓β細胞の疲弊(持続的な高血糖にさらされると膵臓β細胞の破壊が進行することが知られている)が考えられる。基本的には効果判定は食事、運動を踏まえた生活歴と体重、血糖値の2〜3か月の推移にて判断する。2次無効と判断した場合はまずは2剤併用療法を行う。問題点として肥満によるインスリン抵抗性の増大を考えるのならビグアナイド薬メルビンやチアゾリジン薬アクトス、インスリン初期分泌の障害が気になるのならαGI薬であるグルコバイといった具合に軽症糖尿病時と同様の考え方で2剤目を選ぶ。この状態で3ヶ月ほどで効果判定を行い、さらに効果不良であれば3剤併用療法となる。これでも効果不十分ならばいよいよインスリン導入ということとなる。インスリンの導入では皮下注射を自分で行えなければならない、血糖自己測定(SMBG)ができなければならない。[[シックディ]]の対応、[[低血糖]]の対応といった問題が生じてくるので、この段階になる前に説明しておくことが望ましい。重要なことはインスリン治療を開始することで膵臓のインスリン分泌能が回復してきて、経口血糖降下薬すら不要になることがあること(一生インスリンを打ち続けなければならないということではない)、食事運動療法が上手くいっていなければ教育入院を機会に改善できる可能性があるということである。コントロール不良も食事、運動療法をせず高血糖持続で体重減少となるとかなりひどい状態が考えられる(こういった状態で食事、運動をしっかりやりましたと平気でいう患者もいる、定期的にフォローしている患者ならばおかしいことに気がつけるが、初診でたまたま来た患者がこのような状態であると判断できない)が、体重が増えて血糖値が高値というのはインスリン自体は分泌されているのでインスリン導入にて改善の見込みはある場合がある。設備のある病院ならばインスリン分泌能、インスリン抵抗性を客観的に測定するべきである。
 
== GLP-1受容体作動薬 ==
{{Main|インクレチン}}
[[リラグルチド]](Victoza)、[[エキセナチド]](BYETTABydureon ™)Bydureon)、[[リキシセナチド]](Lyxumia)はGLP-1受容体作動薬である。GLP-1は腸管で生成されるホルモンで、インスリン分泌・[[グルカゴン]]抑制効果を示し血糖値を低下させる。GLP-1受容体作動薬はGLP-1受容体に結合しこれらの作用を引き起こすほか、血糖が比較的低いときにはこれらの作用が弱まるため結果として低血糖の副作用が少ないとされる。これまでに、[[メトホルミン]]+[[スルホニルウレア]]製剤でも至適な血糖コントロールを得られなかった方(ピオグリタゾンを加えるのでないならインスリンを使用するしかないような状況)において、インスリン・グラルギンとほぼ同じだけの効果を示す等有用性が高いことを示す研究結果が得られている<ref>Kendall DM et al. Effects of exenatide (exendin-4) on glycemic control over 30 weeks in patients with type 2 diabetes treated with metformin and a sulfonylurea. Diabetes Care 2005; 28:1083.</ref>。ただし、長期的な副作用などは十分調べられている訳ではない。欧米ではもともと一日二回の注射薬として認可されたが、週1回の大量投与でも非劣性を証明している<ref>Drucker, D et al. Exenatide once weekly versus twice daily for the treatment of type 2 diabetes: a randomised, open-label, non-inferiority study. [[ランセット|Lancet]] 2008;372:1240.</ref>。
 
現在、日本では上記3薬が用いられており、ビデュリオンは週一回投与型である。経口剤・経鼻剤など、後続のGLP-1受容体作動薬の開発も続けられている。