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{{see_also|キリストの降誕}}
[[ファイル:Miryam.jpg|250px|right|thumb|ガリラヤの町[[ナザレ]]にある「マリアの井戸」]]
伝統的には、イエスはユダヤの町[[ベツレヘム]]において[[処女]][[聖母マリア|マリア]]から生まれたと信じられている。これは、『マタイによる福音書』1-2章および『ルカによる福音書』2章に拠っている。しかし、荒井献は、最も先行する福音書と考えられる『[[マルコによる福音書]]』も、さらにそれに先だつ時期に大部分が執筆されたと考えられる『パウロ書簡』も、あるいは福音書中もっとも年代の新しい『[[ヨハネによる福音書]]』もベツレヘムにおける処女降誕に関する記載がない、と主張する。のみならず、荒井献は『ヨハネ福音書』においては、イエスはガリラヤの出身であると記されており、『マルコ福音書』『マタイ福音書』『ルカ福音書』のいずれにおいても、イエスが[[ダヴィデ王]]の[[子孫]]であることは否定されている<ref>ヨハネ 7:41-43, マルコ 12:37, マタイ 22:45, ルカ 20:44. [[#荒井 1974|荒井 1974]], p. 26.</ref>、と主張するが、実際には『マタイ福音書』1章6-17節、『マルコ福音書』10章 47-48節において、イエスがダヴィデ王の子孫である、とする記載があり、『ルカ福音書』1章 27節にもイエスの父、ヨセフがダヴィデ家の者である、とする記載がある<ref>『聖書-新共同訳』日本聖書協会、2009</ref>。また母マリアもダビデの子孫である
 
『ルカ福音書』によれば、[[ローマ帝国]]の初代[[ローマ皇帝|皇帝]][[アウグストゥス]]([[紀元前27年]]-[[14年|紀元後14年]])が、全世界の[[戸籍]]・[[人口]][[調査]]を命令したが、それは[[シリア]][[総督]]が[[プブリウス・スルピシウス・キリニウス]]だったときのことで、人びとは登録のため自分の[[故郷]]へ戻ったとされる。マリアの夫ヨセフはダヴィデ王の流れを汲む家系だったので、マリアをともないガリラヤの町ナザレからダヴィデの町、ユダヤのベツレヘムへおもむいた。そのとき、マリアからイエスが生まれたとしている<ref name=yagi8485>[[#八木 1968|八木 1968]], pp. 84-85</ref>。にもかかわらず、荒井献によれば、『マルコ福音書』『マタイ福音書』のみならず『ルカ福音書』においても、イエスが「人の子」または「主」として超地上的な存在として信じられており、イエスが「キリスト」であるとしても、単なる地上の王であるダヴィデのような世俗的な王者ではないという主張が認められる、という<ref name=arai26>[[#荒井 1974|荒井 1974]], p. 26</ref>。