「加速器駆動未臨界炉」の版間の差分

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== 概要 ==
[[超高温原子炉]]の一種で、半減期数万年の MA([[アクチノイド|マイナー[[アクチノイド]])を核分裂で焼却できることから「'''核のゴミ焼却炉'''」とも呼ばれている。核破砕ターゲットとして[[ビスマス]]が使用可能なことから[[鉛冷却高速炉]]の設計が有力視されている。
 
== 研究の進展 ==
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:[[TRU廃棄物]]や中性子吸収が大きすぎて燃料としては放棄されてきたウラン・プルトニウム近縁の核分裂物質に対し人工的に中性子を吹き込み核分裂させることで、熱の回収や半減期30年程度と短い核分裂生成物への変換ができる。これにより数万年に渡る保存が必要な放射性廃棄物の量を削減できる。同様の変換は[[高速増殖炉]]でも可能だが、これらは燃料の5%しか超長半減期核種を混入できない。これに対し加速器駆動未臨界炉ならば燃料の60%以上を超長半減期核種とでき、加速器駆動未臨界炉1基で原発10基が排出する超長半減期核種の処分が可能である。
:また、[[プルサーマル]]に使用できなくなった高次化プルトニウムも燃焼可能であり、高速増殖炉無しでもU238(劣化ウラン)をプルトニウムに変化させて燃やしてウランを有効利用する[[核燃料サイクル]]を完成することができる。
 
;高安全
:臨界に達しておらず、また高速増殖炉に比べ燃料の反応度が低いため燃料から発生する中性子だけでは[[臨界状態]]が維持されない。そのため熱暴走や即発臨界、制御棒の故障による暴走の危険がなく本質的に安全である。また燃料1Lあたりの発熱量は高速増殖炉 (400kW~1000kW) に比べ低く、出力密度の低い安全な炉にすることができる。
 
;高発電効率
:一般的な[[軽水炉]]では中性子を吹き込めず、また臨界状態を維持するため、[[燃料被覆管]]には中性子透過性に優れるジルコニウム合金を用いている。しかしこの合金は高温でクリープ変形を起こしやすく運転温度を300℃に抑える必要があり、そのため熱効率は火力発電に劣る30%にとどまっている。これに対し本炉は中性子を人工的に吹き込むため、中性子透過性にこだわらず耐熱性の良い材料を[[燃料被覆管]]に用いることができる。そのため運転温度を軽水炉よりも高くできる可能性があり、この場合高温操業により熱効率の改善を図れる。特にヘリウム2次冷却であれば、[[超高温原子炉]]の一種として昼はガスタービン複合発電、夜は水素製造/エチレン製造/石炭液化など化学熱源として使用して、熱効率を1.7倍に改善した上、揚水コストを削減できる可能性がある。ただし現状では鉛ビスマスによる腐食問題を改善する必要がある。
 
;高燃料増殖効率
:大量の高速中性子が得られるので核燃料の増殖の効率が良い<ref>[[カルロ・ルビア]]はそのままでは燃えない[[トリウム]]を未臨界体系で増殖し、核分裂させる[[トリウム燃料サイクル]]への応用を考えた。</ref>。