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日本の道路の分類: 道路の区分について加筆
騒音対策を加筆
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道路法で規定している道路である高速自動車国道・一般国道・都道府県道・市町村道(以下、公道{{efn|ただし、農道・林道・自転車道・自然歩道などは含まない。}})を合わせた総延長は127万3620 kmあり、その長さは地球約32周分に相当する{{sfn|浅井建爾|2015|p=33}}。全体から見た比率では、高速自動車国道が約0.7 %であるのに対し、[[生活道路]]といわれる市町村道で約83 %を占めている{{sfn|浅井建爾|2015|p=33}}。近年、毎年約4000 kmの道路が新たに造られているといわれており、日本国内の道路延長を伸ばし続けている{{sfn|浅井建爾|2015|p=33}}。
 
公道を対象とした都道府県別の道路延長は、国土交通省発行の道路統計年報2014年によると、[[北海道]]が9万7316 kmと最も長く、第2位の[[茨城県]](6万0171 km)、第3位の[[愛知県]](5万2185 km)と続く{{sfn|浅井建爾|2015|pp=34–3634–36}}。また、最も短いのは沖縄県(9076 km)である。道路密度{{efn|面積1平方キロメートルあたりの道路の延長。}}は、農村部よりも都市部の方が高く、人口密度の高い都市ほど道路密度も高い傾向にある{{sfn|浅井建爾|2015|pp=34–3634–36}}。道路密度が最も高いのは[[埼玉県]](13.00 km/km{{sup|2}})で、2位が[[東京都]]、3位が[[神奈川県]]と続く{{sfn|浅井建爾|2015|pp=34–3634–36}}。道路密度が最も低いのは北海道(1.24 km/km{{sup|2}})で、1位埼玉県の10分の1以下である{{sfn|浅井建爾|2015|pp=34–3634–36}}。
 
=== 道路面積 ===
日本の公道全体を対象とした道路面積は、道路統計年報2014年によると7557 km{{sup|2}}あり、[[熊本県]]や[[宮城県]]の面積を上回る{{sfn|浅井建爾|2015|pp=37–3837–38}}。都道府県別では、最も広いのは北海道で730.3 km{{sup|2}}あり、第2位が愛知県(332.7 km{{sup|2}})、第3位が茨城県(284.8 km{{sup|2}})と続く{{sfn|浅井建爾|2015|pp=37–3837–38}}。一方、都道府県別の道路面積比率{{efn|都道府県面積に対する道路面積が占める比率。}}では、最も高いのが大阪府で8.04 %あり、2位が東京都、3位が神奈川県と続き、上位5位まで[[三大都市圏]]が占める{{sfn|浅井建爾|2015|pp=37–3837–38}}。最も低いのは北海道の0.87 %であるが、これは北海道地域は明治以降に開発された広大な土地で未開の地も多いためである{{sfn|浅井建爾|2015|pp=37–3837–38}}。
 
=== 道路幅 ===
道路の路線や地域によって、道路幅には著しい差があり、概して古くから開かれた都市の道路は狭く、新興住宅地など新しく開けた土地の道路は比較的広いスペースが設けられている{{sfn|浅井建爾|2015|pp=39–4039–40}}。都道府県別の道路幅の平均となると大きな差異はみられなくなるが、全国平均で5.90 mとなり、自動車がすれ違うことができない道路が全国的に多いことを物語っている{{sfn|浅井建爾|2015|pp=39–4039–40}}。道路統計年報2014年によると、道路幅平均が最も広い都道府県は大阪府で7.57 mあり、2位が北海道(7.50 m)、3位が沖縄(7.11 m)と続く{{sfn|浅井建爾|2015|pp=39–4039–40}}。
 
なお、日本の道路における車線の幅は、普通に見られる一般的な2車線道路でおおむね1車線あたり3.0 mの幅があり、幹線道路で3.25 m、高速道路などでは3.5–35 – 3.75 mとなっている{{sfn|浅井建爾|2015|p=39}}。
 
=== 歩道 ===
車道に併設される[[歩道]]の設置状況は、交通弱者である歩行者を守る道路の安全整備状況がどれだけ進んでいるかを示す指標にもなっている{{sfn|浅井建爾|2015|pp=40-–41}}。道路統計年報2014年によると、歩道設置率が最も高いのは沖縄県で27.0 %、2位が北海道(24.0 %)、3位が東京都(23.4 %)と続く{{sfn|浅井建爾|2015|pp=40-–41}}。沖縄と北海道の歩道設置率が高い理由は、沖縄は戦後アメリカに占領されていた時期があったことや、北海道では明治時代以降に開拓された歴史を持つことから、他府県とは社会的、文化的に事情が異なっているからだという見方がされている{{sfn|浅井建爾|2015|pp=40-–41}}。
 
=== 中央分離帯 ===
交通事故の抑止効果があるとされる[[中央分離帯]]は、道路幅が広くないと設置困難なため、都市部ほど設置率が高い傾向にある{{sfn|浅井建爾|2015|pp=43-–44}}。道路統計年報2014年によると、中央分離帯設置率が最も高いのは大阪府で4.1 %、2位が東京都(2.9 %)、3位は[[山口県]](2.7 %)と続く{{sfn|浅井建爾|2015|pp=43-–44}}。一方、設置率が低いのは[[長崎県]]・[[鹿児島県]]・[[高知県]]の3県で0.5 %となっている{{sfn|浅井建爾|2015|pp=43-–44}}。
 
== 騒音対策 ==
道路を走行する自動車が発する騒音は、地域の環境保全と快適な暮らしを守ることを目的に、[[環境基本法]]と[[騒音規制法]]によって規制されている{{sfn|峯岸邦夫|2018|pp=72–73}}。騒音には、距離減衰、反射、屈折、回折といった性質があり、これら考え方をもとに、道路にはさまざまな対策が施される{{sfn|峯岸邦夫|2018|pp=72–73}}。主な対策に、遮音壁と環境施設帯の設置があり、遮音壁は騒音を遮蔽して減音するとともに、吸音材により反射音を吸収する工夫がなされている{{sfn|峯岸邦夫|2018|pp=72–73}}。また環境施設帯は、交通量が多い自動車専用道路などの両側に20メートルほどの一定幅を持つ緩衝帯を設けることで騒音の距離減衰効果が期待される空間であり、そこに[[街路樹]]を植栽したり、一部は自転車歩行者道や車道が設けられる{{sfn|峯岸邦夫|2018|pp=72–73}}。
 
== 脚注 ==