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動物が食餌を捕食することはごくありふれた行動であるが、[[ルイ・パスツール]]が[[アルコール発酵]]で証明したようにしたように、[[ウイルス]]等少数の例を別にするならば、生物が成長・繁殖細する為の物質は体外から取り込む必要があるし、生命活動を維持する為のエネルギーも生態系からの取り込みに依存している。この様な生物の外界に依存する仕組みが[[栄養]]の本質である。しかし、酸素の有無以外にも[[熱水噴出孔]]のような[[極限環境微生物#極限環境とは|極限環境]]を含めて生物はあらゆる環境下にも生息しており、栄養素として取り込んだ物質を代謝して細胞や組織を構築する方法やエネルギー産生の方法もいろいろな方式が存在する。言い換えると生物が環境に適応する方法の一つとして取り込む物質を変化させるので、栄養素とされる物質も千差万別であり[[有機化合物]]であったり[[無機化合物]]であったりもする。分類的には有機化合物である栄養素は有機栄養素とよばれ、無機化合物である栄養素は無機栄養素ないしは栄養塩類とも呼ばれる。有機栄養素(ゆうきえいようそ、Organic nutrient)と呼ばれるものには、[[炭水化物]]、[[脂肪]]、[[たんぱく質]](もしくは構成要素の[[アミノ酸]])、[[ビタミン]]などがある。また、[[ミネラル]]のような一部の無機化合物も栄養素である。
 
栄養素が必要とされるのは、その物質が生体内の需要を生合成で賄うことができず、外部からの取り込みに頼ることが理由となる。需要量の点から栄養素を分類すると需要量の多い'''主要栄養素'''(しゅよう えいようそ、macronutrient)とそれとは相対的に少量の摂取で済む'''微量栄養素'''(びりょうえいようそ、micronutrient)からなる。すなわち栄養素としてとりこまれる物質の比率は生物種によって異なるだけでなく、生物の置かれた環境や個体の成長段階によっても変化する。しかし、細胞を構築するための物質やエネルギー産生の為の物質はその必要量も多く、'''主要栄養素'''(しゅよう えいようそ、macronutrient)と呼ばれる。その一方、調節機構にかかわる物質は存在自体が少量な為、栄養素としての取り込み量も少量である。そのような栄養素は'''微量栄養素'''(びりょうえいようそ、micronutrient)と呼ばれる。すなわち、生物の構成要素として[[たんぱく質]]、[[核酸]]、[[糖類]]は生物種によらず普遍的に利用されているので、それらの構成元素である[[炭素]]、[[水素]]、[[窒素]]、[[酸素]]、[[リン]]そして[[硫黄]]は主要栄養素を構成する元素である。また細胞内外に存在しさまざまな働きをする[[カルシウム]]、[[食塩]]([[ナトリウム]]と[[塩素]])、[[マグネシウム]]、[[カリウム]]などの[[電解質]]も主要栄養素を構成する元素に含められる場合がある。微量栄養素で注意すべきは、単に生物体から検出されたからといって微量栄養素なのか単なる汚染なのかは識別することはできず、成長に必要な因子であるかどうかが明確になる必要がある<ref>検出感度が飛躍的に向上したため、今日では周期表のほとんどの微量元素を生体試料から検出することが可能になっている。一部のサプリメントには体内で検出されることをもって栄養素であると主張する根拠に欠ける商品もある。</ref>。
 
別の観点から見ると、栄養形式を主要栄養素の種類で大きく二つに分類することができる。その場合、[[二酸化炭素]]、[[水]]の他に無機栄養素だけで十分な[[独立栄養]]の場合とそれに加えて[[有機物]]から成る有機栄養素をも必要とする[[従属栄養]]の場合とが存在する。前者の代表が[[植物]]であり、多くの生物種は後者の方式を利用している。[[独立栄養]]か[[従属栄養]]かの違いは絶対的ではない場合もあり、[[ヤドリギ]]や[[食虫植物]]などでは環境変化に応じて二つの栄養形式を使い分けている<ref name="岩波理化学辞典" /><ref>長倉三郎ら編、「独立栄養」、「従属栄養」、『岩波理化学辞典』、第5版CD-ROM版、岩波書店、1999年</ref><ref>佃 弘子、「栄養」、『世界大百科事典』、平凡社、1998年</ref>。