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'''亀井の水'''(かめいのみず)は、[[栃木県]][[宇都宮市]]下河原町にある[[湧水]]<ref name="uw"/>。[[宇都宮城]]下で「宇都宮七水」と呼ばれた[[名水]]の1つで、[[21世紀]]現在は水の湧出はないが、跡地が小さな[[池]]として保存されている<ref name="uw"/>{{sfn|塙|2008|p=64}}。[[静御前]]や[[亀井重清|亀井六郎]]にまつわる[[伝説]]が残る{{sfn|宇都宮市教育委員会|1983|p=24}}{{sfn|栃木県歴史散歩編集委員会 編|2007|p=10}}{{sfn|塙|2008|p=65}}{{sfn|柏村|2020|p=182}}。
 
== 概説 ==
宇都宮市街を構成する2つの[[台地]]の間の[[崖]]下から湧き出していた天然の湧水であり、[[中世]]の[[奥州街道]]沿い、古多橋駅(宇都宮)という[[宿場|宿駅]]のそばにあった{{sfn|柏村|2020|p=183}}。このため、行き交う旅人がここで飲水し、のどを潤したと考えられている{{sfn|塙|2008|p=64}}{{sfn|柏村|2020|p=183}}。[[貞享]]5年([[1688年]])頃の書物である『下野風土記』に「古多橋ノワキナリ、往古ヨリ名水也ト云伝タリ」と記されている{{sfn|柏村|2020|p=183}}。
 
[[本多正純]]による奥州街道の付け替えによって[[江戸時代]]には街道沿いから外れるが、同時代の「七木・七水・八河原」と呼ばれた宇都宮の[[名所]]の1つに選ばれた{{sfn|柏村|2020|pp=182-183}}。宇都宮は古名を池邊郷(いけのべごう{{sfn|塙|2008|p=238}}、いけべのさと<ref name="uw"/>)と言い、[[水資源]]の豊富な街であるが{{sfn|塙|2008|p=238}}、宇都宮の[[地下水]]は[[アンモニア]]など[[有機物]]を含んだ品質の良くない水であり<ref name="uw"/>、「七水」が選ばれたのは、清水の確保に苦労していたことの裏返しでもあった{{sfn|塙|2008|p=238}}{{sfn|宇都宮市上下水道局 編|2017|p=31}}。すでに湧水がなくなったとはいえ、「七木・七水・八河原」の多くが跡形もなく失われたり、正確な位置すら不明となったりしているので、往時の名残り面影を窺える貴重な史跡である{{sfn|柏村|2020|p=182}}。
 
現存する亀井の水は水路が塞がれてしまったため<ref name="uw"/>湧水はなく、[[遺構]]のみである{{sfn|塙|2008|p=64}}{{sfn|柏村|2020|p=182}}。この遺構は、[[コンクリート]]製の池であり{{sfn|柏村|2020|p=182}}、宇都宮市の[[上水道]]から水を引いている<ref name="uw"/>。池には石造の親子の[[カメ]]を浮かべ{{sfn|宇都宮市教育委員会|1983|p=24}}{{sfn|塙|2008|p=64}}、岸辺に「亀井の水」と刻んだ標柱を建て、泉があったことを[[現代]]に伝えている{{sfn|柏村|2020|p=182}}。一見すると変哲もない泉が現代でも市民に親しまれるのは、以下の伝説によるところが大きい{{sfn|柏村|2020|p=182}}。
 
== 伝説 ==
亀井の水には、次のような伝説が残っている{{sfn|柏村宇都宮市教育委員会|20201983|p=18224}}{{sfn|塙|2008|p=65}}{{sfn|柏村|2020|p=182}}。
{{Cquote|[[平氏]]の滅亡後、兄・[[源頼朝]]と仲違いした[[源義経]]は、[[藤原秀衡]]を頼って[[陸奥国]][[平泉]]を目指した{{sfn|柏村宇都宮市教育委員会|20201983|p=18224}}{{sfn|塙|2008|p=65}}{{sfn|柏村|2020|p=182}}。義経の[[妾]]である[[静御前]]は、[[亀井重清|亀井六郎]]・[[駿河次郎]]をお供にして、義経の後を追った{{sfn|宇都宮市教育委員会|1983|p=24}}{{sfn|塙|2008|p=65}}。
 
静御前は宇都宮に差し掛かると{{sfn|柏村|20202008|p=18265}}{{sfn|柏村|20082020|p=65182}}、足取りが重くなり{{sfn|宇都宮市教育委員会|1983|p=24}}{{sfn|柏村|2020|p=182}}、のどの渇きを訴えた{{sfn|柏村宇都宮市教育委員会|20201983|p=18224}}{{sfn|塙|2008|p=65}}{{sfn|柏村|2020|p=182}}。駿河次郎は追手に見つかるとを危惧してためらったが{{sfn|宇都宮市教育委員会|1983|p=24}}、亀井六郎は神仏に祈り{{sfn|宇都宮市教育委員会|1983|p=24}}{{sfn|栃木県歴史散歩編集委員会 編|2007|p=10}}{{sfn|柏村|2020|p=182}}、自前の[[槍]]で地面を深く突き刺した{{sfn|柏村宇都宮市教育委員会|20201983|p=18224}}{{sfn|塙|2008|p=65}}{{sfn|柏村|2020|p=182}}<ref name="rb">{{cite web|url=https://www.berry.co.jp/yukai/file/|title=宇都宮城の別名、亀ヶ岡城の由来とは?|work=宇都宮プライド「愉快なラジオ」|publisher=[[エフエム栃木|RADIO BERRY FM栃木]]|date=2014-01-26|accessdate=2021-09-19}}</ref>。すると、良質の水が湧き出し、静御前はその水を飲んで、再び旅路に就いた{{sfn|柏村宇都宮市教育委員会|20201983|p=18224}}{{sfn|塙|2008|p=65}}{{sfn|柏村|2020|p=182}}。
 
以来、どんな日照りでも水が枯れることなく、周りの田を潤したので、人々は亀井六郎の名を取って「亀井の水」と呼ぶようになった{{sfn|塙|2008|p=65}}。}}
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== 常念寺 ==
[[ファイル:Jonen-ji temple, Utsunomiya.jpg|thumb|常念寺]]
道路をはさんで亀井の水と向かい合う{{sfn|塙|2008|p=64}}宇都宮市花房一丁目6番20号に、[[浄土宗]]の仏教寺院である常念寺がある{{sfn|塙|2008|p=64}}<ref name="jds">{{cite web|url=http://otera.jodo.or.jp/temple/10-046/|title=常念寺|publisher=浄土宗|work=浄土宗寺院紹介Navi|accessdate=2021-09-19}}</ref>。[[山号]]・[[院号]]は亀井山清水院(かめいさん しみずいん)といい{{sfn|塙|2008|p=64}}<ref name="jds"/>、亀井の水にちなんでいる{{sfn|宇都宮市教育委員会|1983|p=24}}{{sfn|塙|2008|p=64}}。[[円通寺 (栃木県益子町)]]の[[末寺]]であり、[[本尊]]は[[阿弥陀如来]]である{{sfn|塙|2008|p=64}}。
 
[[開基]]は良正上人で{{sfn|塙|2008|p=64}}、[[慶長]]17年([[1612年]])の創建である{{sfn|塙|2008|p=64}}{{sfn|栃木県歴史散歩編集委員会 編|2007|p=10}}。[[1894年]](明治27年)に宇都宮城南館跡から移ってきた[[彰義隊]]数士之墓がある{{sfn|塙|2008|p=64}}<ref>{{cite web|url=http://www.utsunomiya-cvb.org/tourist_data/6876.html|title=<nowiki>[宇都宮の歴史]</nowiki>宇都宮の戊辰戦争(所要時間約6時間)|publisher=宇都宮観光コンベンション協会|accessdate=2021-09-19}}</ref>。墓碑は[[1874年]](明治7年)に旧幕府軍側の兵士を仮埋葬した時のものである{{sfn|栃木県歴史散歩編集委員会 編|2007|p=10}}
 
== 脚注 ==
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* {{cite book|和書|author=[[塙静夫]]|title=うつのみや歴史探訪 史跡案内九十九景|date=2008-09-27|publisher=随想舎|page=287|isbn=978-4-88748-179-4|ref={{sfnref|塙|2008}}}}
* {{cite book|和書|editor=宇都宮市上下水道局 編|title=宇都宮市水道百周年 下水道五十周年史|publisher=宇都宮市上下水道局|date=2017-03-31|page=607|ref={{sfnref|宇都宮市上下水道局 編|2017}}}}{{全国書誌番号|22902172}}
* {{cite book|和書|editor=栃木県歴史散歩編集委員会 編|title=栃木県の歴史散歩|series=歴史散歩⑨|publisher=[[山川出版社]]|page=350|isbn=978-4-634-24609-6|ref={{sfnref|栃木県歴史散歩編集委員会 編|2007}}}}
* {{cite book|和書|title=宇都宮の民話|publisher=宇都宮市教育委員会|series=文化財シリーズ第6号|date=1983-02|page=65|ncid=BN12935053|url=https://utsunomiya-8story.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/11/06_minwa.pdf|ref={{sfnref|宇都宮市教育委員会|1983}}}}{{全国書誌番号|83039162}}
 
== 関連項目 ==