「朝鮮語」の版間の差分
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'''朝鮮語'''(ちょうせんご、{{lang-ko-short|'''조선어''' (朝鮮語)}} )または '''韓国語'''(かんこくご、{{lang-ko-kr-short|'''한국어''' (韓國語)}} )({{lang-en-short|'''Korean'''}}) は、主に[[朝鮮半島]]で使用されている[[言語]]で、[[大韓民国]](韓国)と[[朝鮮民主主義人民共和国]](北朝鮮)の[[国語]]。[[中華人民共和国]](中国)の[[吉林省]][[延辺朝鮮族自治州]]と[[長白朝鮮族自治県]]でも[[公用語]]として使用されている。
韓国と北朝鮮では正書法・発音などについて、それぞれ独自に「標準」を制定し、辞書の配列、語彙などについても相違が生じている。日本の[[言語学]]、[[音韻論]]など学術的には、表記として「朝鮮語」が用いられるので、ここでの学術的な言語名は全て「朝鮮語」に統一し記述する(詳しくは[[朝鮮語の呼称問題]]を参照)。なお、この言語の母語とする人口が約
== 概要 ==
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約5,200万の韓国人、2,500万以上の北朝鮮人<ref>[https://jp.yna.co.kr/view/AJP20160916001600882]</ref>、約250万の[[朝鮮族]]と在中韓国人、約280万の[[アメリカ合衆国]]や[[カナダ]]の[[韓国系アメリカ人]]、[[韓国系カナダ人]]、約80万の[[在日韓国・朝鮮人]]と朝鮮系日本人、約70万の[[ロシア]]や[[中央アジア]]、[[ヨーロッパ]]の[[高麗人]]と韓国人の間で話される<ref>大江孝男「ちょうせんご|朝鮮語」【監修】[[伊藤亜人]]+[[大村益夫]]+[[高崎宗司]]+[[武田幸男]]+[[吉田光男]]+[[梶村秀樹]]『[新版] 韓国 朝鮮を知る事典』[[平凡社]]、2014年3月19日 新版第1刷発行、ISBN 978-4-582-12647-1、352頁。</ref>。ただし、これらのうちウズベキスタン・カザフスタンなど、[[中央アジア]]で話されている言語は「[[コリョマル|高麗語]](コリョマル)」として、別言語扱いとされる場合もある。
現在の韓国(大韓民国)の[[標準語 (大韓民国)|標準語]]は[[ソウル特別市|ソウル]]の方言がベースになっており、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の[[文化語 (朝鮮語)|文化語]]は[[平壌]]の言葉を基準にしているが、[[朝鮮王朝]]の[[首都]]はずっと
[[音韻]]面では、子音に[[有気音]]と[[無気音]]の対立がある。[[連音]]([[フランス語]]で用いられる用語の[[リエゾン]]としばしば混同されるが、実際にはそれに合わせれば「[[アンシェヌマン]]」である<ref>野間秀樹(2010)『ハングルの誕生』平凡社新書、165ページ。</ref>)が起こることも特徴である。音節構造においては、ほとんどが[[母音]]で終わる[[音節|開音節]]の日本語とは異なり、[[子音]]で終わる[[音節|閉音節]]も多く現れる。ただし、[[在日朝鮮語]]では日本語の影響で[[音節|閉音節]]の発音はほぼ崩壊している。
[[言語類型論]]の観点から見ると、[[日本語]]と同じ[[膠着語]]であり、修飾語は被修飾語に先行し、[[前置詞]]ではなく[[後置詞]]を用いる。歴史的に日本語や[[ベトナム語]]と同様に
[[大韓民国|韓国]]、[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]でそれぞれ規範形の定められている[[複数中心地言語]]でもある。[[言語学]]的な基準からすると韓国で話されている言語と北朝鮮で話されている言語は同一の言語である(つまり、韓国・北朝鮮とも双方の言語を同一の言語と見なしている)が、南北には[[発音]]・[[語彙]]・[[文法]]・[[正書法]]などに違いが存在する。
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[[大韓民国|韓国]]では「'''韓国語'''」に相当する「{{読み仮名|'''{{lang|ko|한국어}}'''|{{lang|ko-Hani|韓國語}}|ハングゴ}}」「{{読み仮名|'''{{lang|ko|한국말}}'''|{{lang|ko-Hani|韓國말}}|ハングンマル}}」という呼称が用いられており、[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]においては「'''朝鮮語'''」に相当する「{{読み仮名|'''{{lang|ko|조선말}}'''|{{lang|ko-Hani|朝鮮말}}|チョソンマル}}」「{{読み仮名|'''{{lang|ko|조선어}}'''|{{lang|ko-Hani|朝鮮語}}|チョソノ}}」という呼称が用いられている。ここで「{{読み仮名|{{lang|ko|말}}|マル}}」は「言葉」を意味する朝鮮語の固有語であり、「{{読み仮名|{{lang|ko|어}}|オ}}」は「語」の読みを表した[[漢字語 (朝鮮語)|漢字語]]である。固有語を好む傾向のある北朝鮮では「{{lang|ko|'''조선말'''}}」が用いられることが多く、韓国では公式な場面では「{{lang|ko|어}}」を用いた「'''{{lang|ko|한국어}}'''」が通常用いられる。この他に朝鮮民族どうしの表現として「国語」に相当する「'''{{lang|ko|국어}}'''({{lang|ko-Hani|國語}})」や、朝鮮語の固有語で「我々の言葉」を意味する「'''{{lang|ko|우리말}}'''」という表現も用いられる。
中央アジアの朝鮮人の間では「'''高麗語'''」({{lang|ko|고려말}}、{{lang|ko-Hani|高麗말}}、{{lang|ko-Cyrl|Корё маль}}、コリョマル)という呼称が用いられている。
== 系統 ==
一般的には分類上[[アルタイ諸語]]か[[孤立した言語]]と見なされるが、[[済州語]]を別の言語として、両者を[[朝鮮語族]]にまとめることもある。
[[アルタイ諸語]]との関係、また日本語との関係もしばしば議論の的となる。学者によっては、日本語と共にアルタイ諸語に含める場合もある。
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=== アルタイ語族 ===
朝鮮語が[[孤立した言語]]でないとしたら[[アルタイ語族]]に属すであろうという意見もある。ただし、テュルク語群、モンゴル語群、ツングース語群には
歴史学の見地から考えると、百済、新羅、高句麗ではあう一定言語体系が異なるという説も
== 方言・変種 ==
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日本統治前は、朝鮮半島南部と北部出身者が会話した場合に地域間の訛音差から話が通じないことがあった。学校教育推進のために一定の指針となる標準語を求めた[[朝鮮総督府]]は、普通学校における標準語の規範を永く首都とされてきた[[京城府]](現[[ソウル特別市]])の中流階級が使用する言語とした<ref> 『綜合教育教科書 : 各科教授法・教育制度・学校管理法. 乙』帝国地方行政学会、[[1923年]]、朝鮮語教育及び漢文の推進(朝鮮語教授の要旨の項)、{{NDLJP|924525/47}}</ref>。これにより南北双方の言語とも20世紀前半のソウル方言が基礎となったが、韓国と北朝鮮がそれぞれ独自の言語政策に基づいて標準語を発展させていった結果、語彙・正書法・辞典における文字配列の順序などで、韓国における「{{lang|ko|한국어}}」「{{lang|ko|한국말}}」と北朝鮮における「{{lang|ko|조선말}}」「{{lang|ko|조선어}}」の間に相異が出ている<ref group="注">[[ドイツ語]]の場合、[[ドイツ]]、[[オーストリア]]、[[スイス]]の三カ国の文部省が共同で[[正書法]]の改訂に携わる制度があり、{{要出典範囲|date=2011年11月|すくなくとも書面語におけるドイツ語の一体性は国境をこえて保持されている}}。<!-- スイス・ドイツ語ではエスツェットを使わなかったような。勘違いだったらすみません。--></ref>。たとえば韓国と北朝鮮では、独立後に[[朝鮮漢字|漢字表記]]の廃止と日本語語彙の置き換えが着手されたが、それぞれが個別に行った結果、韓国における「韓国語」と北朝鮮における「朝鮮語」の相違を拡大することになった。
韓国と北朝鮮の言葉の違いに関しては''[[朝鮮語の南北差]]''を参照。
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== 語彙 ==
朝鮮語の語彙は大きく分けて[[固有語]]、[[漢字語 (朝鮮語)|漢字語]](古典中国語系語彙)、[[外来語]]の3つの階層から成り立っている。特に韓国における朝鮮語の外来語のほとんどは英語であり、固有語の上に漢字語(古典中国語系語彙)と英語などの欧米系借用語の2つの上層を持つという意味において日本
1層目の固有語は古来の朝鮮語である。全ての[[品詞]]に広く分布しており、朝鮮語の語彙の核であるが、日本語と同様基本語彙の中にも漢字語に侵食されているものがあり、その比率は日本語よりも高めである。たとえば、山を表す{{lang|ko|산}}{{ipa|san}}、川を表す{{lang|ko|강}}{{ipa|gaŋ}}はそれぞれ「山」、「江」であり、元々あった山と川を表す固有語({{lang|ko|뫼}}, {{lang|ko|가람}})は残存しているものの、意味の縮小と非日常語化を余儀なくされた。
漢字語は[[名詞]]、[[動詞]]、[[形容詞]]に見られる。名詞はそのまま取り込まれたが、動詞、形容詞は朝鮮語の活用体系に合わせるため、{{lang|ko|-하다}}{{ipa|hada}}を付けて取り込まれた。これは日本語におけるサ変動詞、形容動詞がそれぞれ語幹に「~する」、「〜だ・な」を付けて活用するのと同じである。
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