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再建された3代目大仏の高さは「[[都名所図会]]」によれば従前の大仏と同じく六丈三尺(約19m)で、[[東大寺]]大仏(14m)よりもかなり大きかった。3代目大仏造立にあたり先行して藤村忠円により作られたとされる大仏の雛形(京都大仏雛形)が現存しており、[[東京国立博物館]]が所蔵している。3代目大仏及び京都大仏雛形の造立の経緯については[[堺市博物館]]学芸員で仏像研究者の張洋一の考察がある<ref>張洋一『東京国立博物館保管「京都大仏雛形」について 寛文期方広寺大仏の再興に関連して』(『Museum』1998年6月 収録)</ref>。3代目大仏は[[七条仏所|七条仏師]]が造立したことは確実とされる。誰が造立したかについては、仏師の系統を記した『本朝大仏師正統系図並末流』によれば康祐とされ、[[妙法院]]の公的見解である『洛東大仏殿修覆並釈迦大像造営記』では玄信とされている<ref>張洋一『東京国立博物館保管「京都大仏雛形」について 寛文期方広寺大仏の再興に関連して』(『Museum』1998年6月 収録) p.26-27</ref>。このような相違が発生した理由について張は、玄信は康祐の配下であったとし、名義上の造立担当者は康祐であったが、実際の3代目大仏の製作は玄信に委任した為ではないかとしている<ref>張洋一『東京国立博物館保管「京都大仏雛形」について 寛文期方広寺大仏の再興に関連して』(『Museum』1998年6月 収録) p.28</ref>。また張の説では「京都大仏雛形」は玄信の製作によるもので、弟子の藤村忠円に譲られ、伝世されるうちに藤村忠円作と誤認されたのではないかとする<ref>張洋一『東京国立博物館保管「京都大仏雛形」について 寛文期方広寺大仏の再興に関連して』(『Museum』1998年6月 収録) p.28</ref>。『洛東大仏殿修覆並釈迦大像造営記』によると、玄信は3代目大仏製作の前にいくつかの試作の仏像を作ったとされているが、一つは「京都大仏雛形」で、もう一つは[[大徳寺]]の本尊釈迦如来像とされる。『洛東大仏殿修覆並釈迦大像造営記』及び[[大徳寺]]側の史料である『竜宝塔頭位次』によると、大徳寺仏殿に安置される本尊釈迦如来像は玄信により製作され寄進されたもので、方広寺大仏(3代目大仏)の1/10サイズの模像であるという<ref>張洋一『東京国立博物館保管「京都大仏雛形」について 寛文期方広寺大仏の再興に関連して』(『Museum』1998年6月 収録) p.28</ref>。なお後述のように現在の方広寺本尊は、3代目大仏の1/10サイズの模像とされるが、両者の像容は趣を異にしている。
 
康祐、玄信ら[[七条仏所|七条仏師]]が造立した3代目大仏の容姿について、彼らの持つ作風で造立したので、2代目大仏とは異なっていたという<ref>張洋一『東京国立博物館保管「京都大仏雛形」について 寛文期方広寺大仏の再興に関連して』(『Museum』1998年6月 収録) p.29</ref>。[[相国寺]]の僧侶[[鳳林承章]]は自著『[[隔蓂記]]』に3代目大仏を拝した感想を記しており、「世間風聞之通、最前之像與相違也(世間の風聞の通り、新しく造られた大仏は印象が異なっている)」としている<ref>張洋一『東京国立博物館保管「京都大仏雛形」について 寛文期方広寺大仏の再興に関連して』(『Museum』1998年6月 収録) p.29</ref>。このように大仏再建の際に、旧像の作風に倣わず、仏師達の持つ作風で造立してしまうケースは過去にもあった。方広寺大仏が造立される以前の京都には、高さ4丈(約12m)の[[雲居寺]]大仏があり、それは[[東大寺]]大仏と並び称されていた([[応仁の乱]]で焼失してからは再建されていない)。[[永享]]8年(1436年)に火災で雲居寺大仏が焼失したので、時の[[室町幕府]]将軍[[足利義教]]は、大仏の再建を命じた<ref>遠藤廣昭『室町幕府の造仏事業と院派仏師 洛外雲居寺大像の造像を事例として』2002年</ref>。永享12年(1440年)に大仏は一旦完成するも、[[足利義教]]は一目見るや否や「先規と異なるので不相応」とし、造り替えを命じたという<ref>遠藤廣昭『室町幕府の造仏事業と院派仏師 洛外雲居寺大像の造像を事例として』2002年</ref>。先述のように方広寺3代目大仏は、先規に倣わず仏師達の持つ作風で造立してしまい、旧像と容姿が異なっていたが、[[雲居寺]]大仏のように発注者より造り替えを命じられることはなかった。
 
1690年から92年に来日したドイツ出身の医師[[エンゲルベルト・ケンペル]]は方広寺に立ち寄りそれを日記に記録する。内容は以下のとおりである。