「船舶安全法」の版間の差分
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== 無線通信 ==
船舶は、国土交通省令の定めるところによって、その航行する水域に応じ、[[電波法]]による[[無線電信]]又は[[無線電話]]であって、船舶の堪航性及び人命の安全に関し陸上との間において相互に行う[[無線通信]]に使用し得るもの('''無線電信等''')を施設することを要する(船舶安全法4条1項本文)。ただし、航海の目的その他の事情によって、国土交通大臣において、やむを得ない又は必要がないと認めるときは、この限りでない(同項ただし書)。
無線電信等の施設が免除される船舶は、次に掲げるいずれかの船舶であって、管海官庁が許可したものである(船舶安全法施行規則4条1項)。
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# 湖川港内の水域(告示で定めるものを除く。)のみを航行する船舶
# 推進機関及び帆装を有しない船舶(危険物ばら積船(危険物船舶運送及び貯蔵規則257条の2の液体油脂ばら積船であつて平水区域のみを航行するものを除く。)、特殊船及び推進機関を有する他の船舶に引かれ又は押されて人又はばら積みの油の運送の用に供するものを除く。)
なお、海上における無線通信については、海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS条約)の実施により、'''[[海上における遭難及び安全に関する世界的な制度|GMDSS]]'''と呼ばれる海上無線通信システムが用いられている{{Sfn|神戸大学|2022|p=22}}。
== 船舶の検査 ==
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* '''特別検査''' - 前各号のほか一定の範囲の船舶について2条1項の国土交通省令又は国土交通省令・農林水産省令に適合しない虞があることによって国土交通大臣において特に必要があると認めたときに行う検査
本法施行地において製造する長さ30メートル以上の船舶の製造者は、2条1項の規定の適用がある船舶について船体、機関及び排水設備、3条の船舶について満載
なお、上記の検査がいずれも'''強制検査'''であるのに対し、本法施行地において製造する長さ30メートル未満の船舶の製造者による製造検査(船舶安全法6条2項)、船舶の所要施設に係る特定の物件の製造者等による予備検査(同条3項)、船舶の所要施設に係る規定が適用されていない船舶又は当該船舶に備え付ける物件について定期検査又は予備検査に準じて予め受ける準備検査は、いずれも'''任意検査'''とされている{{Sfn|神戸大学|2022|p=35}}。
国土交通大臣の登録を受けた'''[[船級協会]]'''の検査を受け、船級の登録をした非旅客船は、その船級を有する間、船舶安全法2条1項各号に掲げる事項、満載喫水線及び無線電信等に関し、特別検査以外の管海官庁の検査に合格したものとみなされる(船舶安全法8条)。
管海官庁の検査又は検定を受けた者が検査又は検定に対して不服があるときは、検査又は検定の結果に関する通知を受けた日の翌日から起算して30日以内に、国土交通大臣に対し、再検査又は再検定を申請することができる(船舶安全法11条1項)。管海官庁の検査又は検定若しくは再検査又は再検査に対して不服があるときは、その取消しの訴え([[取消訴訟]])を提起することができる(同条2項)。管海官庁の検査又は検定に対して不服がある者は、これらの手段によってのみこれを争うことができるため(同条4項)、[[行政不服審査法]]の規定は適用されない{{Sfn|神戸大学|2022|p=40}}。
管海官庁は、定期検査に合格した船舶に対しては、航行区域(漁船については従業制限)、最大搭載人員、制限汽圧及び満載喫水線の位置を定め、'''船舶検査証書'''及び'''船舶検査済票'''(小型船舶に限る。)を交付しなければならない(船舶安全法9条1項)。船舶検査証書を受有しない船舶を航行の用に供したときは、罰則の対象となる(同法18条1項1号)。船舶検査証書を受有しない船舶を航行の用に供するときは、臨時航行検査を受けて、'''臨時航行許可証'''の交付を受けなければならない(同法5条1項4号、9条2項)。
船舶検査証書の有効期間は、5年間である(船舶安全法10条1項本文)。ただし、旅客船を除き、平水区域を航行区域とする船舶又は小型船舶であって国土交通省令で定めるものについては、6年間である(同項ただし書)。
もっとも、次に掲げる場合における船舶検査証書の有効期間は、従前の船舶検査証書の有効期間(2号にあっては、当初の有効期間。)の満了日の翌日から起算して5年を経過する日までとなる(同条4項)。
# 従前の船舶検査証書の有効期間満了日前3月以内に受けた定期検査に係る船舶検査証書の交付を受けたとき
# 2項又は3項の規定によって、従前の船舶検査証書がなおその効力を有することとされたとき
船舶検査証書は、中間検査、臨時検査又は特別検査に合格しない船舶については、これに合格するまでその効力が停止される(同条5項)。
船級協会の検査を受けて船級の登録をした非旅客船が受有する船舶検査証書は、その船舶が当該船級の登録を抹消され、又は旅客船となったときは、その有効期間が満了する(同条6項)。
船舶の検査に関する事項を記録するため、管海官庁は、最初の定期検査に合格した船舶に対し、'''船舶検査手帳'''を交付しなければならない(船舶安全法10条ノ2)。
== 管海官庁の権限 ==
管海官庁は、船舶安全法に基づき、次に掲げる行為をする権限を有する(同法12条)。
# 船舶等に対する[[臨検]]
# 船舶所有者、船長等に対し、船舶の堪航性及び人命の安全に関し、国土交通省令の定めるところによって届出をさせる
# 本法又は本法に基づく命令に違反した事実があると認めるときは、船舶の航行停止その他の処分
船舶乗組員20人未満の船舶にあってはその2分の1以上、その他の船舶にあっては乗組員10人以上が、国土交通省令の定めるところによって、当該船舶の堪航性又は居住設備、衛生設備その他の人命の安全に関する設備について重大な欠陥がある旨を申し立てた場合、管海官庁は、その事実を調査し、必要があると認めるときは、船舶の航行停止その他の処分をしなければならない(船舶安全法13条)。
== 脚注 ==
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