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他方で、国内で[[清教徒革命]]・[[名誉革命]]といった[[市民革命]]が生じた[[イギリス]]では、[[ホッブズ]]や[[ジョン・ロック]]によって、国内秩序・統治のあり方について、自然法(や自然状態・自然権・[[社会契約]])を絡めた主張が為され、[[近代国家]]・[[近代社会]]のあり方を巡る近代政治思想の嚆矢となった。
 
==== ホッブズの自然法 ====
ホッブズは『[[リヴァイアサン (ホッブズ)|リヴァイアサン]]』第13章〜第15章の叙述において、「理性によって要請・把握される人倫・普遍的規範」としての「自然法」({{lang-la-short|lex naturalis}})と、「各人の自己裁量権(自由)」としての「自然権」({{lang-la-short|ius naturale}})を、対立的に扱う。
 
そして、各人の「自然権(自由)」行使の相互干渉・衝突によって生じる「[[万人の万人に対する闘争]]」としての「自然状態」から脱却すべく、理性によって要請・把握される「自然法」として、
* 1. あらゆる手段を用いた平和への努力(あるいは自己防衛)
* 2. そのための自然権(自由)の自主的放棄(譲渡)
* 3. その契約([[社会契約]])の履行
* 4. それに対する報恩
* 5. 協調への努力
* 6. 他者の悔い改めに対する赦(ゆる)し
* 7. 善(矯正・教導)を目的とした刑罰
* 8. 傲慢(他者への嫌悪・侮蔑)の抑制、慎み
* 9. 思い上がり(優越意識)の抑制、平等性・他者感情への意識
* 10. 尊大(他者以上の権利の要求)の抑制
* 11. 公平な裁定、平等な配分
* 12. 公共物の平等利用
* 13. 分割・共有できないものについての[[くじ引き]]決定
* 14. 「自然のくじ引き」としての[[長子相続]]
* 15. 「平和的仲裁者」に対する身辺安全保障
* 16. 調停者の判決への服従
* 17. 自身の利害に関する調停者になることの禁止
* 18. 自身の利害関係者に関する調停者になることの禁止
* 19. 当事者たちの証言の排除、第3者の証言の採用
* 総じて言えば「[[黄金律|己の欲せざる所は人に施すなかれ(黄金律)]]」
といった内容を挙げつつ、自然権を譲渡し合う社会契約による国家([[コモンウェルス]])と秩序・平和の形成を説いている。
 
== 定義 ==