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'''1593年の瞬間移動した兵士の伝説'''（1593ねんのしゅんかんいどうしたへいしのでんせつ、英語: 1593 transported soldier legend）では、[[1593年]]に[[スペイン領東インド|スペイン領フィリピン]]から[[メキシコ]]に[[瞬間移動]]したという兵士の伝説について述べる。
この伝説によると、1593年[[10月]]にある[[スペイン帝国]]の兵士（1908年に示された説によれば[[ヒル・ペレス]]
民俗学者{{仮リンク|トマス・アリボーン・ジャンヴァー|en|Thomas Allibone Janvier}}（[[1849年]]-[[1913年]]）は1908年に、この伝説を「メキシコシティの全階級の住民の間で流布している」と形容している<ref> Janvier 1908、p.66 </ref>。伝説を信じる20世紀の超常現象研究者らは、[[テレポーテーション]]と[[エイリアン]]による誘拐であったという説を提唱した。
== 物語 ==
1593年[[10月24日]]、この兵士は、[[スペイン領東インド|フィリピン総督領]][[マニラ]]の総督官邸を警備する仕事に就いていた。前の夜に、[[スペイン領フィリピンの総督|総督]]ゴメス・ペレス・ダスマリニャスが中国人の海賊らによって暗殺されてしまったが、衛兵たちは官邸の警備を続けており、新総督が任命されるのを待っている所だった。この兵士は、めまいと疲れを感じ始めたので壁によりかかり、目をつむって少しの間休息を取った。数瞬後に目を開くと、彼は自分が見覚えのない場所にいることに気が付いた。そこは、何千[[マイル]]も海洋をわたった、[[ヌエバ・エスパーニャ]]のメキシコシティであった。何人かの衛兵が、彼が違う制服を着ていることに気づき、何者なのか問いただした。彼はマニラの官邸の衛兵の制服を着ていて、メキシコシティの人々にはまだ知られていなかった、フィリピン総督死亡の事実を知っていた（実際には、ペレス・ダスマリニャスは、マニラから少し離れた海上で殺されていたため、なぜこの兵士がそれを知っていたかは不明）。
当局は、彼を脱走兵とみなし、悪魔のしもべであるという嫌疑で投獄した。数か月後、総督死亡の報が、フィリピンから[[ガレオン船]]でメキシコに届いた。乗客の一人が、投獄されている兵士を知り合いであると認め、総督が死亡した翌日にフィリピンでこの男を見かけた、と証言した。最終的にこの兵士は当局によって刑務所から釈放され、家に帰ることを許された。
== 発展 ==
メキシコ在住の[[アメリカ人]]民俗学者トマス・アリボーン・ジャンヴァーは、『[[ハーパーズ・マガジン]]』[[1908年]][[12月]]版で、この物語を『''Legend of the Living Spectre''』と題して詳述した。ここで、兵士の名前はヒル・ペレスであるとされた<ref name="janvierLCM">この物語は、[[1910年]]に出版された『''Legends of the City of Mexico''』というシリーズの1つであった。</ref>。ジャンヴァーは、同様のモチーフが民間伝承では一般的なものであると述べている<ref name = "janvier159" />。たとえば[[ワシントン・アーヴィング]]の『[[アルハンブラ物語]]』（[[1831年]]）は、
ジャンヴァーの1908年の記述は、メキシコの民俗学者{{仮リンク|ルイス・ゴンザレス・オブレゴン|es|Luis González Obregón}}（[[1865年]]-[[1938年]]）が、[[1900年]]にスペイン語で出版した民間伝承集『''México viejo: noticias históricas, tradiciones, leyendas y costumbres''』
オブレゴンはこの話の出処をたどり、スペインによるフィリピン征服について述べた{{仮リンク|ガスパール・デ・サン・アグスティン|es|Gaspar de San Agustín}}（[[1651年]]-[[1724年]]）による[[1698年]]の記述に行き着いたが、そこではこの伝説が事実として扱われている。サン・アグスティンは、その兵士の名前を挙げず、兵士は魔法の力で瞬間移動したと考えていた<ref name="morga31">de Morga 1890, p.31 (fn.2)</ref>。
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[[ホセ・リサール]]は、当時のスペイン領フィリピンにおける様々な奇跡的な物語について記録しており<ref name="morga31"/>、ルイス・ウェックマン (Luis Weckmann)も、スペイン領メキシコに関連してこの物語に触れている<ref name="Weckmann1992">{{cite book|last=Weckmann|first=Luis|title=The Medieval Heritage of Mexico|url=https://books.google.com/books?id=E8CEBrLnh4UC&pg=PA272|accessdate=19 January 2016|year=1992|publisher=Fordham Univ Press|isbn=9780823213245|pages=272–273}}</ref>。
オブレゴンの後継者{{仮リンク|アルテミオ・デ・バジェ・アリスペ|es|Artemio de Valle Arizpe}}による[[1936年]]の作品集『''Historias de vivos y muertos''』
この物語を[[超常現象]]で説明しようと試みた作家たちもいた<ref name="Ocampo1993">{{cite book|last=Ocampo|first=Ambeth R.|title=Aguinaldo's breakfast & more Looking back essays|year=1993|publisher=Anvil Publishing|isbn=9789712702815|pages=8–9}}</ref>。{{仮リンク|モリス・K・ジェサップ|en|Morris K. Jessup}}（[[1900年]]-[[1959年]]）<ref>{{cite book|last=Jessup |first=Morris K. |authorlink=:en:Morris K. Jessup |title=The Case for the UFO |edition=1st|date=1955 }}</ref>と、{{仮リンク|第8代クランカーティ伯爵ブリンズレー・ル・ポー・トレンチ|en|Brinsley Le Poer Trench, 8th Earl of Clancarty}}（[[1911年]]-[[1995年]]）<ref name="TrenchClancarty)1975">{{cite book|last1=Trench|first1=Brinsley Le Poer|title=Mysterious visitors: the UFO story|date=1975|publisher=Pan Books|isbn=9780330242523|pages=32–33}}</ref>は、宇宙人による誘拐ではないかと主張し、いっぽう、[[コリン・ウィルソン]]<ref name="Wilson1976">{{cite book|last=Wilson|first=Colin|title=Enigmas and mysteries|year=1976|publisher=Doubleday|isbn=9780385113212|page=29}}</ref>と、{{仮リンク|ゲイリー・ブラックウッド|en|Gary Blackwood}}（[[1942年]]-）<ref name="Blackwood1999">{{cite book|last=Blackwood|first=Gary L.|title=Extraordinary Events and Oddball Occurrences|url=https://books.google.com/books?id=WeQH6z2qGC0C|accessdate=19 January 2016|year=1999|publisher=Benchmark Books|isbn=9780761407485}}</ref>は、[[テレポーテーション]]ではないかと主張した。
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