「ノート:ローマ字論」の版間の差分
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イギリス英語の發音でnoの二重母音の第一要素が前舌寄りになったとされてoでなくinverted eで表されたことがある。その方が音聲學的により正確だとされた。岩波の大英和(1970)が出版された頃の話である。はじめての外國旅行(1982)でロンドン大學にGimson教授を訪ねたとき、これがまた元に戻ってゐるとの話を聞いた。教授の弟子のRamsaran女史の發音は教授の師匠のJonesの發音によほど近い。これはJonesの發音の録音が残ってゐて比較してのことだとのこと。音聲學的に正確な表記はごく短い間に開音節のoについて二度變更されて元に戻った。"the pronunciation of English is constantly changing and we have reason to be grateful that spelling is not constantly changing along with it." といふ表現(Brook 1958)があるがけだし至言と言はねばならない。解釈規則を設けなければ安定した表記は成りたたない。
傳統的假名は萬葉から明治大正昭和に至る日本語に對應する。これを戦後切り捨てた。占領軍にはローマ字化の意圖があったとされる。あったとしても善意からだったかもしれない。もしそれが實行されてゐたら、日ならずして失敗といふことになったであらう。毎日新聞平成18年8月8日朝刊「戦後60年の原點」によれば漢字制限はローマ字化阻止のための妥協であった。それなら現代假名遣まで必要であったのか。戦後の國語行政を領導した人の中にはローマ字化に向けての一里塚との考へがあったのではないか。現代假名遣の方が表音的に優れてゐるといふことを聞くが擴張ヘボン式で轉寫してみればそれが間違ひであることが判る
sedのscriptで2行の違ひといふこと、現代假名遣の方が2行だけ複雑だと書かなかったのは元來傳統的假名遣を轉寫したものからの復元だからである。では現代假名遣を轉寫したものからの復元はどうか。ISO3602は現代假名遣の翻字を訓令式と定めたものであるが訓令式では假名に復元できない。擴張ヘボン式で轉寫した場合は復元可能であるが傳統的假名に復元することはできない。なほ現代假名遣を轉寫する場合、ヰヱ、合拗音(クァグァ等)の10行、ハ行轉呼音の1行が不要となる。
=== 擴張ヘボン式関係文献 ===
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