スズキ・R型エンジン
概要
16年ぶりに新規開発されたR型は、K型以上に軽量化とコンパクト化を重視した設計としたため、ピストンを1個あたり96g、コンロッドは336gへと軽量化された。同時に、クランクシャフトを細軸化し、バルブシステムの構造やレイアウトの見直しなども行われた結果、乾燥重量はNAで51.9kg(K6A比で1.5kg減)、ターボで55.7kg(同、4.5kg減)とクラストップレベルの軽さを誇る。
K型エンジンに比べてロングストロークとしたほか、流れを強める吸気ポート形状、燃料と空気の混合を促進する燃焼室形状によって、燃焼速度・燃焼タイミングを最適化。同時に、細径プラグを採用して最適な冷却経路を確保したことなどで、圧縮比11.0(NA)という高い燃焼効率を実現した。 シリンダーブロック周辺の剛性を高めるとともに、CVTや補記類との取り付け剛性を上げたことで、取り付け部のねじれから発生する音を大幅に低減したほか、全回転域でエンジン音を2~4dB低減。
バルブ駆動方式はDOHCを採用し、バルブ数は吸気2、排気2の気筒当たり4バルブを採用する。 カム駆動は直打式とK6Aと変わらないがバルブスプリング形状を上端の径が下端よりも小さいビーハイブ型としリテーナーを小型化、さらにステム細軸化、シムレスとすることで慣性質量を約30%削減、これによりスプリングレートも約24%低減することができ動弁系のフリクションを約20%低減させている。 NAは軽自動車初の吸・排気VVT,ターボエンジンには吸気にのみVVTが付き、低燃費・低回転域のトルク向上・静粛性・軽量化に貢献。アイドリングストップシステムとのマッチングも想定したものとしている。
R型はK型同様、全てアルミダイキャストを採用した設計となっており、カムシャフト駆動用としてタイミングチェーンが用いられる点も同様であるがチェーンはローラーチェーンからサイレントチェーンに変更されている。
2011年1月登場の3代目MRワゴンに初搭載され、今後は他車種にも順次搭載されていく。
アルト エコ(2011年12月販売)、および5代目ワゴンR(スティングレー含む、2012年9月販売)、初代マツダ・フレア(2012年10月販売)に搭載されたR06Aでは更なるフリクション低減の為の改良が加えられ燃費性能を向上させている。 主な変更点としてはクランクジャーナル幅を10%縮小、ピストンスカートのコーティングのパターン変更、ピストンリングの表面処理の変更(トップリングとオイルリングを窒化クロムからDLCに)などがある。 また最高回転数を下げたことでバルブスプリングレートを約25%下げられ、スプリング荷重が減ったことからタイミングチェーンのアジャスター荷重も約30%低減させるなど駆動トルクの低減なども行われている。
R06A
- 生産期間:2011年 -
- 排気量:0.66L(658cc)
- シリンダー数:3
- ボア×ストローク:64.0mm×68.2mm
- 圧縮比:9.1(ターボ)/11.0(NA)
- 搭載車種
- 出力・トルク
- 自然吸気
- 40kW(54PS)/6,500rpm 63Nm(6.4kg·m)/4,000rpm 吸排気VVT
- 38kW(52PS)/6,000rpm 63Nm(6.4kg·m)/4,000rpm 吸排気VVT
- インタークーラーターボ
- 47kW(64PS)/6,000rpm 95Nm(9.7kg-m)/3,000rpm VVT
- 自然吸気