田中和基
田中 ンゴンゴ 和基(たなか かずき、1994年8月8日 - )は、東北楽天ゴールデンイーグルスに所属する福岡県福岡市出身のプロ野球選手(外野手)。右投両打。
東北楽天ゴールデンイーグルス #25 | |
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![]() 2017年、ZOZOマリンスタジアムにて | |
基本情報 | |
国籍 |
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出身地 | 福岡県福岡市早良区 |
生年月日 | 1994年8月8日(31歳) |
身長 体重 |
181 cm 75 kg |
選手情報 | |
投球・打席 | 右投両打 |
ポジション | 外野手 |
プロ入り | 2016年 ドラフト3位 |
初出場 | 2017年5月17日 |
年俸 | 3,200万円(2020年)[1] |
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度) | |
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この表について
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経歴
プロ入り前
福岡市立高取小学校3年時に、原少年野球部で野球をスタート[4]。福岡市立高取中学校への入学当初は硬式野球の福岡ウイングスに所属していたが、1年の夏から校内の軟式野球部へ転じた。
西南学院高校への進学後は、両打ちの捕手として、対外試合で通算18本(右打席で10本、左打席で8本)の本塁打を放った[5]。在学中の甲子園大会への出場はなかった。
立教大学への進学後は、硬式野球部での生活を四軍扱いの「D班」からスタートし、東京六大学野球リーグ戦へのベンチ入り可能な「A班」へ昇格したのは、2年時の夏になってからだった。2年の秋季リーグ戦では、左翼手のレギュラーの座を確保し[6]、打撃面でも、左打ちに専念すると、打率.302、2本塁打を記録した。3年時には、春季リーグ戦こそ打率.214、ノーアーチと振るわなかった[6]が、秋季リーグ戦では規定打席不足ながら打率.353を記録。さらに、対明治大学戦で柳裕也と上原健太から2試合連続本塁打を放つなど、谷田成吾(6本)・横尾俊建(5本)に次ぐ4本の本塁打を記録した[6]。4年時の春季リーグから両打ちに戻すと、1シーズンに両打席で本塁打をマークし、盗塁はトップタイの7個を記録[7]。7月には第28回ハーレムベースボールウィークの代表に選出された[8]。秋季リーグ戦でも単独トップの5個の盗塁を記録した[7]。在学中には、リーグ戦で通算59試合に出場。打率.270(185打数50安打)、9本塁打、28打点、16盗塁という成績を残した。野球部の1学年先輩に大城滉二、同期に田村伊知郎や澤田圭佑がいる。
2016年のNPBドラフト会議で、東北楽天ゴールデンイーグルスから3巡目で指名。契約金6,000万円、年俸1,200万円(金額は推定)という条件で入団した。担当スカウトは沖原佳典[9]で、背番号は25。
楽天時代
2017年、開幕一軍入りを逃したものの、5月17日の対北海道日本ハムファイターズ戦(岩手県営野球場)9回表の守備で、中堅手として一軍公式戦にデビュー。5月19日の対千葉ロッテマリーンズ戦(ZOZOマリンスタジアム)では、チームの1点ビハインドで迎えた9回表1死から代走に起用されると、次打者・岡島豪郎への初球に二塁への盗塁に成功(一軍公式戦初盗塁)。涌井秀章の暴投で三塁へ進むと、次打者の藤田一也の一塁ゴロの間に本塁へ生還して公式戦初得点を記録した[10]。5月20日の同カードで「9番・右翼手」として初めてスタメンへ起用されると、延長10回表に有吉優樹から公式戦初安打を二塁打で記録。延長12回表に迎えた次の打席では、土肥星也から、右打席で決勝のソロ本塁打を放った[11]。7月13日のフレッシュオールスターゲーム2017(草薙球場)では、イースタン・リーグ選抜チームの「3番・中堅手」としてフル出場を果たした[12]。一軍公式戦全体では、代走や外野の守備固めを中心に51試合へ出場。打率は.111にとどまったものの、主に代走で盗塁を重ね、チームトップタイの7盗塁を記録した。二軍公式戦では、42試合の出場で打率.295、6本塁打、14盗塁、OPS.858をマーク。
チームのレギュラーシーズン3位で迎えたポストシーズンでは、クライマックスシリーズで、埼玉西武ライオンズとのファーストステージ(メットライフドーム)および、福岡ソフトバンクホークスとのファイナルステージ(福岡ヤフオク!ドーム)へ2試合ずつ出場。ファーストステージでは二塁打、ファイナルステージでは得点を記録した。シーズン終了後に台湾で開催の2017アジアウインターベースボールリーグにも、NPBイースタン選抜の一員として派遣されている[13]。
2018年、 公式戦の開幕を一軍で迎えた[14]が、開幕直後の4月5日に出場選手登録を抹消された。その後もイースタン・リーグ公式戦での打率が1割台の前半にまで低迷していたため、二軍監督の池山隆寛の勧めでノーステップ打法を導入し、5月23日から一軍へ復帰すると、中堅手としてスタメンに定着[15]。復帰から1ヶ月足らずの間に2試合連続を含むチームトップの4本塁打や8盗塁を記録した[16][15]ほか、セ・パ交流戦直前の対ソフトバンク戦(5月26日)から交流戦期間中(6月8日)の対広島東洋カープ戦(マツダスタジアム)まで11試合連続で安打を放った[17]。8月1日の対オリックス・バファローズ戦(京セラドーム大阪)では、3回表の第1打席でアンドリュー・アルバースから右打席でシーズン10号本塁打、8回表の第4打席で近藤大亮から左打席で11号本塁打を記録。NPBの一軍公式戦では2010年の赤田将吾(オリックス)、チームでは2009年のフェルナンド・セギノール以来の1試合両打席本塁打を達成した[18]。9月17日の対ロッテ戦(ZOZOマリン)では、高野圭佑から左打席でシーズン18号本塁打を放ったことによって、球団の生え抜き選手によるシーズン最多本塁打記録を更新[19]。一軍公式戦通算105試合の出場で、パ・リーグの規定打席へ初めて到達し[20]、打率.265、18本塁打、45打点、21盗塁という成績を残した。また、パシフィック・リーグ(パ・リーグ)新人王の資格を有していたことから、新人王選考の記者投票で112票を獲得し、チームでは2013年の則本昂大以来3人目、野手としてはチーム史上初の新人王に選ばれた[21]。シーズン終了後の日米野球では、プロ入り後初めて日本代表のメンバーとして参加[22]。全6試合中3試合でスタメンに起用[23]され、盗塁と得点を記録した[24]。
2019年、日本代表の強化試合(オープン戦期間中の3月上旬にメキシコ代表との2連戦として京セラドーム大阪で開催)に向けた代表のメンバーに選ばれていたが、強化試合の直前にチームの台湾遠征中(Lamigoモンキーズとの親善試合)、3月1日の親善試合6回裏の守備で打球を追った際にファウルグラウンドで転倒。そのまま起き上がれずに担架で病院へ搬送される[25]と、右足首の捻挫が判明したため、日本代表の辞退を余儀なくされた[26]。オープン戦の終盤に実戦へ復帰し[27]、一軍公式戦の開幕からスタメンに名を連ねたが、開幕後に左手の三角骨を骨折。その影響で打撃が振るわず、4月下旬からのスタメン落ちを経て、5月13日に出場選手登録を抹消された[28]。6月下旬に実戦へ復帰したが、骨折の影響が右打席での打撃に残ることから、事実上左打席に専念した[29]。レギュラーシーズン全体では、一軍公式戦59試合の出場で、打率.188、1本塁打、9打点に終わった。シーズン終了後の11月22日には、推定年俸3,200万円(前年から800万円減)という条件で契約を更改し、高校時代の同級生とシーズン中に結婚したことを発表した[30]。
選手としての特徴
立教大学の2年時に「D班」から「A班」へ抜擢されたのは、フリーバッティングで3打席連続本塁打を放ったことがきっかけとされ[31]、楽天への入団当初もスカウトより「びっくりするほどのパワーを持っている」と評価された[32]。
大学時代には、手動計測ながら50メートル走で5秒89、遠投で120メートルを記録している[33]。松坂大輔が剣道を通じて肩を強くしたエピソードに倣って、小学生時代には、6年間にわたって剣道の道場に通っていた[6]。
元来は右利きだが、前述したほどの俊足を生かすために、小学生時代から左打ちに挑戦。楽天への入団後は、左打席で柳田悠岐、右打席で浅村栄斗のバッティングを参考にしながら[7]も、右打席でのバッティングを課題に挙げている[23]。
2018年シーズン途中からはノーステップ打法を取り入れている。打席でのタイミングが取りやすいことや、目線がぶれないこと、バットが一番強く振れるポイントでボールに当たることを発見したという[15]。
人物
学生時代には、学業でも優秀な成績を収めていた。中学生時代に福岡ウィングスを短期間で退団したのは、「練習場が自宅から遠くて、勉強に専念できない」との理由による。福岡県内有数の進学校である西南学院高校時代には、2年時まで理系コースに籍を置いていたが、指定校推薦による立教大学への進学を見越して、3年時に文系コースへ転籍。3年時の評定平均は、5点満点で4.1と高かった。田中によれば、進学先を立教大学に絞ったのは、「(東京六大学野球リーグに参加している他の私立大学に比べて)指定校推薦や一般入試で入学した選手でも、(登録選手としてリーグ戦の)ベンチに入ったり、リーグ戦へ出場したりしていて、高校時代までクリーンアップの座が約束されていた自分にもレギュラー争いのチャンスがあると思ったから」という[6]。
詳細情報
年度別打撃成績
年 度 |
球 団 |
試 合 |
打 席 |
打 数 |
得 点 |
安 打 |
二 塁 打 |
三 塁 打 |
本 塁 打 |
塁 打 |
打 点 |
盗 塁 |
盗 塁 死 |
犠 打 |
犠 飛 |
四 球 |
敬 遠 |
死 球 |
三 振 |
併 殺 打 |
打 率 |
出 塁 率 |
長 打 率 |
O P S |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017 | 楽天 | 51 | 59 | 54 | 9 | 6 | 2 | 0 | 1 | 11 | 2 | 7 | 2 | 2 | 0 | 3 | 0 | 0 | 25 | 0 | .111 | .158 | .204 | .362 |
2018 | 105 | 465 | 423 | 67 | 112 | 11 | 1 | 18 | 179 | 45 | 21 | 6 | 4 | 1 | 37 | 0 | 0 | 101 | 4 | .265 | .323 | .423 | .746 | |
2019 | 59 | 193 | 160 | 22 | 30 | 6 | 2 | 1 | 43 | 9 | 3 | 7 | 5 | 2 | 26 | 1 | 0 | 37 | 3 | .188 | .298 | .269 | .569 | |
NPB:3年 | 215 | 717 | 637 | 98 | 148 | 19 | 3 | 20 | 233 | 56 | 31 | 15 | 11 | 3 | 66 | 1 | 0 | 163 | 7 | .232 | .303 | .366 | .669 |
- 2019年度シーズン終了時
年度別守備成績
年 度 |
球 団 |
外野 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 | ||
2017 | 楽天 | 40 | 37 | 0 | 2 | 0 | .949 |
2018 | 104 | 243 | 4 | 2 | 2 | .992 | |
2019 | 54 | 97 | 1 | 1 | 0 | .990 | |
通算 | 198 | 377 | 5 | 5 | 2 | .987 |
- 2019年度シーズン終了時
表彰
- 新人王 (2018年)
記録
- 初記録
- 初出場:2017年5月17日、対北海道日本ハムファイターズ7回戦(岩手県営野球場)、9回表に島内宏明に代わり中堅手で出場
- 初盗塁:2017年5月19日、対千葉ロッテマリーンズ8回戦(ZOZOマリンスタジアム)、9回表に二盗(投手:涌井秀章、捕手:吉田裕太)
- 初得点:同上、9回表に藤田一也の一野選
- 初打席:同上、10回表に内竜也から一塁ゴロ
- 初先発出場:2017年5月20日、対千葉ロッテマリーンズ9回戦(ZOZOマリンスタジアム)、9番・右翼手で先発出場
- 初安打:同上、10回表に有吉優樹から中越二塁打
- 初本塁打・初打点:同上、12回表に土肥星也から左越2ラン
- その他記録
- 1試合左右両打席本塁打:2018年8月1日、対オリックス・バファローズ16回戦(京セラドーム大阪)、3回表に右打席でアンドリュー・アルバースから、8回表に左打席で近藤大亮から本塁打を放ち達成 ※史上18人目、41度目。楽天球団に所属した日本人選手では史上初
背番号
- 25 (2017年 - )
- 7 (2018日米野球)
代表歴
登場曲
脚注
- ^ “楽天 - 契約更改 - プロ野球”. 日刊スポーツ. 2019年12月12日閲覧。
- ^ “田中和基、新人王に意欲!/東北スポーツ”. サンケイスポーツ (2018年8月28日). 2018年11月20日閲覧。
- ^ “8月17日(金)田中和基選手グッズ新発売”. 東北楽天ゴールデンイーグルス (2018年8月16日). 2018年11月20日閲覧。
- ^ 楽天ドラフト3位田中“4拍子”武器に茂木先輩追う スポニチアネックス 2017年1月20日配信
- ^ 楽天ドラ3田中 カー君目指せ!目標は1試合両打席アーチ スポニチアネックス 2016年11月25日配信
- ^ a b c d e 田中和基[立大・外野手 努力で這い上がった広角スラッガー] 週刊ベースボールONLINE 2016年1月11日配信
- ^ a b c “【20日ドラフト連載 オレも大谷世代】(下)夢のトリプル3を目指す立大・田中和基”. スポーツ報知 (2016年10月19日). 2016年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月17日閲覧。
- ^ a b “東京六大学選抜チームが日本代表として出場”. 東京六大学野球連盟. 2017年11月19日閲覧。
- ^ 【楽天】ドラフト3位田中を絶賛!沖原スカウト「柳田のスイッチ版みたい」 スポーツ報知 2016年11月11日配信
- ^ 【楽天】ドラフト3位田中がプロ初盗塁「勝ちにはつながらなかったけど、いい走塁ができた」スポーツ報知 2017年5月20日
- ^ 楽天田中、長嶋父子超え!立大出身3戦目で「初弾」日刊スポーツ 2017年5月21日掲載
- ^ “2017年度フレッシュオールスター・ゲーム試合結果”. NPB.jp (2017年7月13日). 2017年12月14日閲覧。
- ^ a b “2017アジアウインターベースボールリーグ(AWB)NPBメンバー一覧”. NPB.jp (2017年11月17日). 2017年11月19日閲覧。
- ^ 【2018シーズン】3/30(金)開幕戦の出場登録選手を発表!東北楽天ゴールデンイーグルス 2018年3月29日掲載
- ^ a b c “【楽天】田中、崖っぷちからブレーク「最低でも1日1個チームのプラスに」インタビュー前編”. スポーツ報知 (2018年6月19日). 2018年11月20日閲覧。
- ^ “【楽天】田中、ノーステップの「大谷打法」で2試合連発”. スポーツ報知 (2018年5月27日). 2018年11月20日閲覧。
- ^ “【楽天】田中和基が11試合連続のヒット、好投の大瀬良に「開き直れた」”. スポーツ報知 (2018年6月8日). 2018年11月20日閲覧。
- ^ “楽天・田中、球団2人目の両打席本塁打 セギノール以来”. Sponichi Annex (2018年8月2日). 2018年8月8日閲覧。
- ^ “楽天田中、生え抜き最多18号「目標さらに高く」”. nikkanspots.com (2018年9月18日). 2018年11月20日閲覧。
- ^ “楽天・田中 プロ2年目で初めて規定打席に到達 新人王獲得へ一歩前進”. Sponichi Annex (2018年9月18日). 2018年11月20日閲覧。
- ^ “新人王の投票結果内訳は…セは東が得票率99%の圧勝、パは混戦も田中が制す”. FullCount. (2018年11月27日) 2018年11月29日閲覧。
- ^ “初侍の田中和基「吸収したい」/楽天4選手コメント”. nikkansports.com (2018年10月10日). 2018年11月20日閲覧。
- ^ a b “楽天田中和基、侍外野手定着へ「弱い」両打ち右強化”. nikkansports.com (2018年11月18日). 2018年11月20日閲覧。
- ^ “WBCでは得られない東京五輪対策。”. NumberWeb (2018年11月14日). 2018年11月20日閲覧。
- ^ “【楽天】田中和基が先頭弾も負傷交代 足首ひねり担架…9、10日の侍辞退へ”. スポーツ報知 (2019年3月1日). 2019年3月10日閲覧。
- ^ “楽天・田中 右足首捻挫で侍ジャパン辞退 オリックス・大城が初の代表入り”. スポーツニッポン (2019年3月4日). 2019年3月10日閲覧。
- ^ “楽天田中和基が1番中堅で実戦復帰 平石監督も評価”. 日刊スポーツ (2019年3月21日). 2019年3月29日閲覧。
- ^ “骨折抹消の楽天田中和基、4月から違和感も経過観察”. 日刊スポーツ (2019年5月13日). 2019年5月23日閲覧。
- ^ “左手骨折の楽天田中和基、患部影響の右打席一時封印”. 日刊スポーツ (2019年6月25日). 2019年7月11日閲覧。
- ^ “楽天「カー君」結婚発表 ケガに泣き減俸更改も「来年は結果を出して恩返ししたい」”. スポーツニッポン (2019年11月23日). 2019年11月23日閲覧。
- ^ a b 新人王候補!楽天・田中「今シーズンがひとつの基準になる」 BASEBALLKING 2018年10月17日配信
- ^ “楽天ドラフト3位立大・田中「ポッキー食べて本塁打を」”. 日刊スポーツ (2016年11月11日). 2017年5月8日閲覧。
- ^ 田中和基 立大・外野手 努力で這い上がった広角スラッガー
- ^ ニッポン放送にも待望の“大型”新人 立教大野球部出身、現楽天の田中和基選手の傍らで… ZAKZAK 2017年9月29日配信
関連項目
外部リンク
- 個人年度別成績 田中和基 - NPB.jp 日本野球機構
- 選手の各国通算成績 Baseball-Reference (Japan)、The Baseball Cube