稲葉大樹 (野球)
稲葉 大樹(いなば ひろき、1984年8月22日[1] - )は、東京都江戸川区出身[2]の新潟アルビレックス・ベースボール・クラブに所属する日本のプロ野球選手(内野手)。ベースボール・チャレンジ・リーグ(ルートインBCリーグ)の創設初年度以来、連続してプレーを続けており、「ミスターBCリーグ[3]」(ミスター独立リーグ[4])「鉄人[1]」とも評される。
| 新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ 選手兼任野手コーチ #2 | |
|---|---|
| 基本情報 | |
| 国籍 |
|
| 出身地 | 東京都江戸川区 |
| 生年月日 | 1984年8月22日(41歳) |
| 身長 体重 |
171 cm 80 kg |
| 選手情報 | |
| 投球・打席 | 右投左打 |
| ポジション | 内野手 |
| 経歴(括弧内はプロチーム在籍年度) | |
|
選手歴 | |
| |
|
コーチ歴 | |
| |
この表について
| |
来歴
江戸川区立南小岩第二小学校時代は「江戸川リトル」、船橋市立大穴中学校時代は「江戸川ボーイズ」でプレー[2]。
安田学園高等学校から城西大学に進む[1]。大学野球部では、4年生の時に首都大学リーグのベストナインに遊撃手のポジションで選出された[3]。社会人野球チームを持つ九州の企業から内定を得ていたが、卒業を控えて父親が急逝したことから、母親を一人で残せないという理由で辞退し、東京のホテルに就職して横浜市のクラブチーム・横浜ベイブルースでプレーを続けることになった[3]。その折にチームの監督だった江藤省三から「もっと上でやる気はないのか?」と声をかけられる[3]。江藤は、高校の後輩でこの年発足した新潟の監督を務めていた後藤孝志から選手の紹介を依頼されており、その依頼に応じて稲葉に入団を勧めたのだった[3]。稲葉は独立リーグのイメージが抱けず、母の世話もあって躊躇していたが、その母が「もう一度野球で勝負したいなら、行っていいよ」と応諾したことで、シーズン途中の2007年6月に新潟に入団した[3]。
この年新潟はリーグ最下位と低迷したが、そのことで中途入団の稲葉にも出番が回った[3]。後藤からは「上(NPB)でできる」という言葉もかけられて翌年以降も残留し、2009年には全試合出場で打率.324を記録するも、プロ野球ドラフト会議で指名されることはなかった[3]。2010年も指名なしに終わって引退を考えたが、オフに監督に就任した橋上秀樹が高校の後輩(ただし面識はなかった)である稲葉を「BCリーグのこと全然わからないからお前がいてくれると助かる」という理由で残留を要望し、その言葉に応じて現役を続けることになった[3]。橋上が就任した2011年には、8月に月間打率.647を記録し[5]、リーグの首位打者を獲得する[3]。稲葉は「橋上さんに出会って、配球についてもわかるようになりました。そこからですね。体と頭がうまく合致するようになったのは」と取材に対して述べている[3]。
2015年シーズンからはコーチを兼任[1][5]。2017年6月11日の対群馬ダイヤモンドペガサス戦で通算800安打、2019年8月8日の対福島レッドホープス戦で通算900安打を、また、2019年7月13日の対栃木ゴールデンブレーブス戦では通算800試合出場を、いずれもリーグで初めて達成した[6][5][7]。
2020年の開幕前には、2012年以来遠ざかっている「独立リーグ日本一」(グランドチャンピオンシップ優勝)を達成したい思いがあると報じられた[1]。
詳細情報
年度別打撃成績
出典はリーグウェブサイトの年度別個人打撃成績[8]。
| 年 度 |
球 団 |
試 合 |
打 数 |
得 点 |
安 打 |
二 塁 打 |
三 塁 打 |
本 塁 打 |
打 点 |
三 振 |
四 球 |
死 球 |
犠 打 |
犠 飛 |
盗 塁 |
併 殺 打 |
打 率 |
出 塁 率 |
長 打 率 |
O P S |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2007 | 新潟 | 46 | 160 | 23 | 34 | 3 | 1 | 0 | 8 | 14 | 15 | 7 | 4 | 2 | 5 | 4 | .213 | .304 | .244 | .548 |
| 2008 | 69 | 219 | 21 | 66 | 11 | 5 | 1 | 28 | 15 | 9 | 11 | 11 | 4 | 3 | 1 | .301 | .354 | .411 | .765 | |
| 2009 | 72 | 272 | 35 | 88 | 8 | 5 | 0 | 27 | 20 | 13 | 7 | 11 | 4 | 5 | 5 | .324 | .365 | .390 | .755 | |
| 2010 | 69 | 278 | 42 | 82 | 8 | 2 | 2 | 22 | 14 | 16 | 3 | 3 | 0 | 15 | 3 | .295 | .340 | .360 | .700 | |
| 2011 | 72 | 270 | 42 | 100 | 10 | 4 | 1 | 37 | 12 | 15 | 9 | 8 | 0 | 12 | 2 | .370 | .422 | .448 | .870 | |
| 2012 | 69 | 267 | 47 | 88 | 14 | 2 | 0 | 39 | 19 | 29 | 6 | 0 | 3 | 9 | 1 | .330 | .403 | .397 | .800 | |
| 2013 | 72 | 290 | 44 | 100 | 7 | 6 | 0 | 31 | 28 | 25 | 4 | 6 | 3 | 5 | 4 | .345 | .401 | .410 | .811 | |
| 2014 | 70 | 256 | 37 | 80 | 9 | 2 | 0 | 33 | 22 | 26 | 5 | 11 | 1 | 7 | 5 | .313 | .385 | .363 | .749 | |
| 2015 | 69 | 237 | 41 | 75 | 9 | 3 | 0 | 30 | 12 | 34 | 6 | 10 | 5 | 6 | 3 | .316 | .408 | .380 | .788 | |
| 2016 | 53 | 147 | 24 | 55 | 7 | 2 | 1 | 19 | 7 | 15 | 3 | 4 | 1 | 4 | 5 | .374 | .440 | .469 | .909 | |
| 2017 | 68 | 243 | 34 | 73 | 7 | 2 | 0 | 21 | 17 | 23 | 9 | 11 | 2 | 3 | 8 | .300 | .379 | .346 | .725 | |
| 2018 | 50 | 143 | 25 | 37 | 6 | 1 | 2 | 23 | 20 | 23 | 3 | 6 | 1 | 1 | 1 | .259 | .371 | .357 | .727 | |
| 2019 | 38 | 92 | 6 | 26 | 4 | 0 | 0 | 12 | 7 | 8 | 3 | 0 | 2 | 0 | 4 | .283 | .352 | .326 | .678 | |
| 2020 | 22 | 47 | 4 | 8 | 0 | 0 | 0 | 6 | 3 | 5 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | .170 | .273 | .170 | .443 | |
| 通算:14年 | 839 | 2921 | 425 | 912 | 103 | 35 | 7 | 336 | 210 | 256 | 78 | 85 | 29 | 75 | 46 | .312 | .379 | .379 | .758 | |
- 2020年シーズン終了時
- 各年度の赤太字はリーグ歴代最高、太字はリーグ最高
タイトル
- 首位打者:1回(2011年)
表彰
- シーズンMVP:1回(2011年)
- 前期MVP:1回(2012年)
- 後期MVP:2回(2011年、2013年)
- ベストナイン:5回(三塁手部門:2008年、2011年、2013年、2014年、二塁手部門:2017年)
- 月間MVP:5回(2009年8月、2011年8月、2012年4月、5月、2013年8月)
背番号
- 26(2007年 - 2008年)
- 2 (2009年 - )
脚注
- ^ a b c d e “BC新潟稲葉 鉄人が挑む1000本安打と日本一”. 日刊スポーツ. (2020年2月1日) 2021年4月24日閲覧。
- ^ a b “プロフィール”. 稲葉 大樹選手 応援サイト. 2021年6月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 阿佐智 (2019年5月31日). ““ミスターBCリーグ”稲葉大樹が見据えるもの”. BASEBALL KING 2021年4月24日閲覧。
- ^ “水曜日のダウンタウン 2016/08/10(水)21:57 の放送内容”. TVでた蔵. p. 2. 2021年6月7日閲覧。
- ^ a b c “【BCL】稲葉が前人未踏の900安打達成 新潟が勝利で飾る”. 新潟野球ドットコム. (2019年8月8日) 2021年4月24日閲覧。
- ^ 稲葉コーチ兼任内選手通算800安打達成のお知らせ - 新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ(2017年6月11日)
- ^ “日本独立リーグWatch 新潟の“レジェンド”稲葉大樹 前人未到900安打へ/BCLリポート”. 週刊ベースボールONLINE. (2019年7月26日) 2021年4月24日閲覧。
- ^ 過去成績 - ベースボール・チャレンジ・リーグ(リンク先内の各年度個人打撃成績)
関連項目
- 城西大学の人物一覧
- 新潟アルビレックス・ベースボール・クラブの選手一覧
- ベースボール・チャレンジ・リーグ個人タイトル獲得者一覧
- 井野口祐介 - 1シーズンを除いて創設以来BCリーグでプレーする選手(2021年は群馬所属)
- 梶田宙 - 四国アイランドリーグplusの通算最多出場記録者
外部リンク
- 稲葉大樹 - 新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ