9x19mmパラベラム弾
9mmパラベラム弾、9mmルガー弾、9mmルガー・パラベラム弾はドイツの複数の銃器・弾薬製造会社が合併して立ち上げた DWM 社で開発された拳銃弾である。7.65mmルガー弾の強化版であり、DWMでこの弾の開発及び各種の銃器の開発を担当した銃工ゲオルグ・ルガーの名にちなんでいる。弾体直径9mm、薬莢の長さが19mmで9x19とも表示される。

現在では最も世界で広く使用されている弾薬であり、民間でもこの弾を使用する小火器が広く使用されている。さらには第二次世界大戦以降、世界で使用される短機関銃用弾の主流でもある。
パラベラムの名はラテン語の言い回しである「Si Vis Pacem, Para Bellum」(汝平和を欲さば、戦への備えをせよ)に由来している。そしてこれはDWMのモットーでもあった。
開発の経緯
7.65mmルガー弾を基にしてゲオルグ・ルガーはDWMで9mmパラベラム弾を開発し、それを英国ヴィッカーズ社(機関銃等を製造したメーカー)を通じて英国小火器委員会に自身が開発したルガーを9mmにネックアップしたものと一緒に提出した。1903年には3タイプの9mm弾が米陸軍に提供されスプリングフィールド工廠にて実射実験が行われた。1904年には自国、ドイツもその新型弾に強い興味を示すようになった。
初期の9mmパラベラム弾は7.65mm弾に特徴的であったボトルネックを廃しただけのものであり、テーパーのかかったリムの無い薬莢を使用していた。1910年に弾丸が再設計されより自動装填に適した形に改められた。
第一次世界大戦終了後から、この弾丸は各国に採用され、世界中で幅広く使用されるようになる。
第二次世界大戦中のドイツでは、鉛の使用を抑えるために、それまでの鉛芯を鉄芯に換えて鉛で周囲をコーティングした弾を開発した。弾丸が黒色であることがその外見的特長であり、08mit Eisenkern(08スチールコア弾)と呼ばれた。また戦時中別の弾丸も開発され、弾丸が暗褐色であるという外見的特長を持っていた。これは鉄粉を高温で焼結形成して作ったものである。
特殊弾として、薬莢底部にXの刻印が入り、薬莢全体が緑色に塗られ、150グレイン(9.7g)という重い弾丸を装備した弾丸も戦時中に開発された。これはサプレッサーを装備した銃に使用する亜音速弾であり、戦時中、他国でも同じタイプの弾丸が開発された。
第二次大戦後、9mmパラベラム弾は精度を向上させるためにその弾体重量を8gへと変えられた。1986年、FBIで旧式の7.4gの弾体を持つ弾と重量弾(8g弾など)でトライアルが行われ、新型弾のほうが命中時に対象に効果的に打撃を与えられるという調査結果が出て以降、警察でも8gの弾丸が採用された。現在では9.5gまでの各種9mm弾が販売されている。
薬莢の材質とデザイン
その誕生より9mm弾の薬莢には真鍮が使われていた。外見、耐久性、視認性を向上させるために、外側はニッケルか銅でコーティングされる。
- 鉄:第一次世界大戦以後、各国で鉄製薬莢が試作された。腐食するという鉄の性質ゆえ、成功している例は極めて少ないが、現在でも中国、ロシアでは生産されている。
性能
9mmパラベラム弾は比較的反動が弱い一方で、非常にフラットな弾道を示す特徴がある。この弾丸の優れた点は、小さく、製造するのにたいした原料を必要としないところにある。欠点として貫通力が高いため、弾体がマッシュルーミング(対象物に弾体が進入した際に弾体がつぶれて平らに、大きくなる現象)しない弾を使用した場合対象物へのダメージが低いという点がある。戦場で鉄芯弾を被弾した兵士が、弾が貫通して傷口が小さかったので撃たれたことにすら気が付かなかったり、あるいは動きを全く止められなかったという話が伝えられている。ただし、上記の逸話は世にあふれる他の戦場記録と同様、真偽を証明することが極めて難しく、あくまで逸話の域を超えない。