ボスキャラクター
ボスキャラクターとは、主にコンピュータゲームにおいて、プレイヤーの難関となるよう設計された登場キャラクターである。短くボスキャラ、または単にボスとも呼ばれる。また、コンピュータゲーム以外にもボスキャラクターという意味での「ボス」などの呼称が用いられる場合があるが、本項では明示がない限りコンピューターゲームでのことを指すものとする。
概要
コンピュータゲームの常として、プレイヤーの行動を阻む敵キャラクターは、プログラムとコンピュータにより、自動的に操作されている。その中でゲームにおけるステージやストーリーの節目あるいは、最後にプレイヤーが倒さなければならないキャラクターのことをボスキャラクターという。
これらは、節目を作ることによりメリハリを持たせる役割以外にもRPGなどの自由度が大きく設定されているゲームにおいては、一定段階に達しないプレイヤーを阻む門のような役割を果たす(後述)。
当初は主にプレイヤー側による表現だったが[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。、1990年代頃には、一般名称としてゲーム提供側も同語を用いていることが確認できる。
ボスキャラクター登場史
シューティング
初期のシューティングゲームには「だんだん敵キャラクターの動きが早くなる」、「攻撃頻度が上がる」というパターンが多かった。中には倒すと高得点が得られるキャラクターや、しつこい攻撃をしてくるキャラクターも見られたが、プレイヤーには特定の敵が「ボス」として認識される傾向はあまり見られず、単に難易度が上がったと認識される程度だった。
日本でボスキャラクターの存在が認識された早期のもののひとつは1983年の『ゼビウス』(ナムコ)であろう。このゲームではシューティングゲームながらストーリーが予め執筆され、度々登場する巨大空母アンドア・ジェネシスは「ガンプ」という存在が駆るとされている。この巨大空母は画面の6分の1を占めるもので、攻撃も通常のキャラクターに比べ執拗で難度があった上、高得点を狙うなら弱点である中心部より先に4つの周辺砲台を破壊しなければならなかった。
このボスキャラクターのバリエーションが多彩となるに至ったゲームは明確ではない。しかし1985年の時点において、『グラディウス』(コナミ)発売前後に転機が訪れた。グラディウスを例に取ると「ビッグコア」と呼ばれる大型のキャラクターが登場する直前に、各々のステージごとに多彩な攻撃があり、それに続いてビッグコアが登場した。ステージによっては、ビッグコア以外の敵が待ち受けていた。以降のゲームでも各ステージ毎に個性的なボスキャラクターを据える傾向が定着した。
アクションゲーム
この節の加筆が望まれています。 |
アクションゲームでは、1981年の時点において『ドンキーコング』の画面上のゴリラが確認できる。しかしながらストーリー上のボスキャラクターには違いないがプレイヤーを直接攻撃する敵ではなかったため、画面上の演出に過ぎずボスキャラクターとして認識されていたかどうかについては、疑問の余地がある。
RPG
テーブルトークRPG(TRPG)から発展してきたこのジャンルは、元からストーリー性を持っていたために、明確な形での「最終目標」である倒すべき親玉=ボスキャラクターが存在していた。このあたりは、1974年に発売されたTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の中でも各シナリオに各々目標や倒すべき最終ボスもいたため、コンピュータRPGにも初期の頃からボスキャラクターがいたと確認できる。
初期のコンピュータRPGのボスキャラクターは、1979年に発売された『ウルティマ』の原型となる"Akalabeth"の「バルログ」や、1981年に発売された『ウィザードリィ』の「ワードナ」が挙げられ、こちらの方がシューティングゲーム等より古くから存在していたことが確認できる。
ボスの位置付け
ステージ単位で分けられているゲームでは、ボスキャラクターと呼ばれるものはそのステージの最後、あるいはその近くに配置されている。ステージ中で倒すことが難しい敵キャラクターという位置づけがなされることが多い。
また、ボスが登場することでゲームにメリハリが生まれプレイヤーを飽きさせないという効果を狙ってか、特にステージ分けをしていないゲームでもボスキャラクターが登場することがある。ステージが存在するゲームでも、ステージ途中の演出として、ボスキャラクターが顔見せのように姿をあらわしたり、あるいは中ボスとも呼ばれるやや難易度を押し上げる要因となるキャラクターが登場する物も見られる。
ボスキャラクターが単体ではなく、次から次へと複数現れ、それらを全て倒さなければならないという要素を含んだゲームもある[1]。あるいは本編とは別にモードとして組み込まれていることもある。
RPGにおいては、主にダンジョンの最深部にボスがいることが多く、重要なアイテムがボスによって守られている場合もある。ボスを倒せない場合プレイヤーは、自身が操作するキャラクターを強化した状態で再びボスに挑むか、あるいは戦い方を工夫するか、そうでなければあきらめて投げ出すかのいずれかとなる。
いずれのケースにおいても、一般的にボスとの戦いはプレイヤーに様々な感情、感覚を与えることでゲームを盛り上げ、興奮させる効果がある。その効果を狙ったゲームデザイナーはしばしば緊張感を高めるBGMを取り込んだり、派手なグラフィックを使用するといった演出などをボス戦に巧みに入れ込む。またボスキャラクターを倒した際の爽快感を演出すべく、派手な演出効果を狙った特別の表示が施されることも多い。
特に1990年代以降、ハードの進化に伴う表現能力の向上により、ボスキャラクターとの戦闘を重要な演出として位置付ける傾向はますます強くなっている。後年のゲームほどボスの耐久力が高く設定されている傾向がある。
ボスキャラクターの種類
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
ラストボス
ゲームの最後に登場する敵は、ラストボス、それを略してラスボスと呼ばれる。かつては「最後の敵」や「大ボス」などとも呼ばれていた。
たいていの作品、特に初期のゲームにおいては、ラストボスはゲームに登場する敵キャラクターの中で最も強大な存在とされる[2]。これはゲームが進むにつれて難易度が上昇するというごく自然な発想によるが、後年のゲームではストーリーや設定上必ずしも「ラストボス=最強」と言い切れないケースも増えており、ゲームによっては「中ボスがラストボスより強い」ケースさえ生じている[3]。
中には、ラストボスとの戦闘を複数回行わせ、初回の戦いはボスの仮の姿、2回目以降が真の姿(もしくは、初回が一般形態、その後何らかの力を得て最終形態)となり、これを真のラストボスとするゲームもある[4]。また、戦闘中にある一定量のダメージを受けると能力が変化して強くなる事例[5]、ラストボスを倒した後に真のボスがいることが判明する事例[6]がある。『New スーパーマリオブラザーズ』では最初から後にラストボスになるクッパが登場し、終盤の2つで骨の状態と巨大化したクッパが登場する。
シリーズ化されている作品では、たびたび同一のキャラクターが時に攻撃手段を変えてラストボスとして待ち構える。この慣例あるいは先入観を利用して、「実はボスだと思われていたキャラクターよりさらに手ごわい真のボスがいた」という演出がなされることもある。
大半のゲームでは、ラストボスを倒すとそのゲームをクリア(終了)したことになるが、その後もゲームが続行するケースもある[7]。また、実質的なラストボス戦の後、イベントバトル的に、ラストボスを倒せる実力があればまず負けることがない程度の戦闘能力の敵との戦闘が発生する例もある[8]。
『ライブ・ア・ライブ』では、ラストボス撃破後、今までに倒してきた中ボス複数と再戦することになる。この再戦では、中ボスとプレイヤーキャラクターとが1対1で対決するため、成長が不十分なプレイヤーキャラクターがいた場合にはラストボスよりも苦戦を強いられることとなる。
中ボス
ラストボス以外で、ステージの最後、あるいはシナリオ中のイベントなどで登場するボスは中ボス(ちゅうボス)と呼ばれる[9]。中には『魔界戦記ディスガイア』のように中ボスの位置にある存在の名前が「中ボス」と作中で称される場合もある。
ラストボスのことを「大ボス」と呼ぶのに対応した表現となっているが、「小ボス」という表現はあまり用いられない。これは大中小の中という意味のほかに、ストーリーの中盤・途中と言う意味が含まれているためである。強さや作中での位置づけによって「中ボス」と「小ボス」を使い分けることは稀にある。
隠しボス
ラストボス・中ボスの他に、ゲームを普通に進行する目的では倒す必要のないボスキャラクターが存在するゲームもあり、このようなボスは隠しボス、裏ボスなどと呼ばれる。
ゲーム中で一定の条件を満たすことで出現するものもあり、ラストボスを上回る強さを誇るものも多い。これらは開発側が、ラストボスを簡単に倒せるくらいにキャラクターを強く成長させたやり込みプレイヤーを試すために用意したものである。隠しボスを倒せば、通常では手に入らない珍しいアイテムや能力などが得られることもある[10]。
コンシューマ機のRPG初の隠しボスは『ウィザードリィIII ダイヤモンドの騎士』(ファミコン版)の「デーモンロード」である。ただ、ファミコン版で追加された「デーモンロード」は、パソコン版では姿を現さなかったシナリオ上の「黒幕」とも言える存在なので、「ゲームを普通に進行する目的では倒す必要の無いボスキャラクター」という意味での隠しボスとは厳密には言えない。
なお、隠しボスの中には、倒すと二度と復活しないものもあるが、一度倒しても何度でも復活するものもある。後者の場合は、倒した後、倒すのにかかったターン数を表示する場合もあるほか、少ないターン数で倒すことで何らかの特典を得られたりすることもある[11]。隠しボスをいかに少ないターン数で倒すか、飽くなき追求を続けるプレイヤーも少なくない。
倒せないボス
ボスキャラクターの中には倒すことのできないボスも存在し、特にRPGによく見られる。そのようなボスは無敵(絶対に倒すことができない)であるか、あるいはプレイヤーよりはるかに強大であり、プレイヤーはほぼ確実に敗れることになる。
このようなボスが出現する理由は、主として3種類ある。
- ストーリー上、負けることが前提となっているもの
- ストーリー上、プレイヤーは必ず負けることが前提となっているボスが設定されていることがある。これらのキャラクターとの戦闘では負けてもゲームオーバーとはならない。ストーリーが進むと再度そのボスキャラクターが登場し、そのときになると倒せるようになっていることもある[12]。また、このタイプの亜種として、時間やダメージ累積で戦闘が強制終了する物もある[13]。
- そのボスとの戦闘を回避することが前提となっているもの
- 特定のアイテムを入手するなどして、そのボスが出現しない(あるいは出現しても戦闘にならない)ようにすることが前提となっていることがある。これらのキャラクターの場合は、負けるとゲームオーバーになるものが多い[14]。戦闘の回避方法としてはアイテムを入手したり、イベントをこなしたりする方法が一般的であるが、中には、逃げることで戦闘を回避するものもある[15]。『マリオストーリー』の「ドガボン」は最初は戦闘を回避することが前提となっている(万が一戦闘になった場合は逃げることが可能)が、ストーリーが進んだ後に再び出現し、その時は倒せるようになっている。
- ボスの倒し方自体がイベント化しているもの
- 1度目の戦いではまともに倒すことができず、2度目以降の戦いで倒すことができる存在。特定のアイテムを入手したり、特定の能力を上げたりすることによって倒せるようになる[16]。また、戦闘中特定条件で相手を降参させるため、まともに戦えば倒せないように設定されているボスも存在する[17]。
以上に該当するボスキャラクターでも、チートによりデータを改変することや、標準的なレベルよりはるかに高いレベルまで上げることで倒すことが可能な場合もあるが、勝ったとしても負けた扱いになったり、ゲームが正常に進行しなくなったりする場合もある。
なお、「倒せないボス」と見せかけて、キャラクターの成長度やプレイヤーの技術次第では通常の手段で倒せるように設定されているケースも存在する。この場合、倒したときに隠されたイベント等が現れるものもある[18]。ただ、本来のシナリオからは逸脱した行為であり、ゲームオーバー扱いであったり負けた扱いとなることもある。また、『魔界塔士Sa・Ga』のあるボスの場合は、最初は倒せないボスとして登場する。しかし通常に存在する攻撃で倒すことは、非常に困難だが不可能ではなく、特定の武器を使えば簡単に倒せるものの、特定のアイテムを手に入れない限り、戦闘に勝っても復活し、倒した扱いにはならない(ただし、特定のアイテムを手に入れるまでは、このボスからは逃げられるため、ゲームの進行には影響しない)。
倒す必要のないボス
中には倒す必要のないボスも存在する。
倒す必要がないとはいえ、前述のイベントであり、そのボスを越えなければならないが、戦闘シーンが無いのが代表的である。パソコン版『ラストハルマゲドン』のエイリアンのボスがそれに相当する。そのボスの元までたどり着けば、そのボスと自分探しに関する謎は解けており、戦うことが無意味になっているため、イベントとしてクリアすることが前提となっている(PCエンジン版では一応ラストボスとして戦闘するシーンが用意されているが、瞬時に倒せる)。
『ブシドーブレード弐』における「鏡巳綱」(かがみ いづな)も同様の存在で、名目上彼女を倒すことで目的を果たすことはできるが、彼女は全くの無抵抗で斬られるのを待つのみであり、彼女を斬るか、斬らずに逃げるかで、エンディングが分岐するというのもある。
また、ゲーム進行上エンカウントする様に制作されているがストーリーに全く絡まないため無視してもいいボスも存在する。この場合は倒せば相応のボーナスを得られることが多い[19]。
演出上弱く設定されたボス
場合によってはバカゲーなどに登場するボスはギャグの表現のために、雑魚よりも弱い演出がされることがある。
『超兄貴~究極無敵銀河最強男~』におけるボス「究極無敵銀河最強男」の暴走シーンでは敵味方が逆転していて、ゲームがスタートして「いきなりボス登場」として味方の小型戦艦やテレビくんを攻撃するシーンがある。その時、股間にダメージを食らうとあっけなく死ぬ演出がある。ただしこの演出で味方が勝ってもゲームオーバーになるだけで、かなり強力なラストボスとして再登場する。
また『摩訶摩訶』のラストボス「マカマカ」は赤ん坊のような姿をしている時は頑丈でしぶといが、彼が本気を出して巨大化した時の最大ヒットポイントは1しかなく、通常攻撃であっけなく倒せる上に、最初の雑魚(名前も「ザコ」)より弱く、馬鹿馬鹿しい演出となっている。
『ファイナルファンタジー』シリーズはバカゲーには分類されないがシリーズ通して弱く設定されたボスが多く登場する。VIの「オルトロス」、VIIIの「ウェッジ・ビッグス」などが代表例である。
その他
恋愛ゲーム、ギャルゲー、乙女ゲーム、アダルトゲームなどで、口説き落とす相手のことを、比喩的にボスと呼ぶことがある。何らかの相手を口説き落とす、あるいは結ばれるなどがゲームクリアの条件になっている場合は、文字通りのボスキャラクターに近い。また、そのゲームでもっとも口説きづらい相手をラストボスと称することもある[20]。
脚注
- ^ このようなゲームの例としてロックマンシリーズや『ファンタジーゾーン』などが挙げられる。
- ^ 『ハイドライド』の「バラリス」、『スーパーマリオブラザーズ』シリーズの「クッパ」など
- ^ 『バトルガレッガ』における「N-617 ブラックハートmkII」
- ^ 『ドラゴンクエスト』の「竜王」、『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』の「ワイリーマシン2号」など
- ^ 『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』の「デスピサロ」など
- ^ 『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の「バラモス」など
- ^ 例えば『メトロイド』『コナミワイワイワールド』では、ボスを倒した後、そこから脱出しなければならない
- ^ 『ファイナルファンタジーVII』の「セーファ・セフィロス」に勝利した後に発生する「セフィロス」との戦闘、『ゼノギアス』の「デウス」戦勝利後の「ウロボロス」戦など
- ^ 『スーパーマリオブラザーズ3』の「コクッパ」や、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の「カンダタ」「やまたのおろち」など
- ^ 代表的な例としては、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』の「エスターク」、『ファイナルファンタジーV』の「オメガ」や「しんりゅう」がある
- ^ 『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』の「神さま」など
- ^ 『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』の「キングレオ」、『ファイナルファンタジーIII』の「暗闇の雲」など
- ^ 『ファイナルファンタジーVIII』の「セクレト」など
- ^ 『ファイナルファンタジーIII』の「ネプトりゅう」や『ウィザードリィ #3』(ファミコン版ではII)の「ル’ケブレス」など
- ^ 『ファイナルファンタジーIII』の「バハムート」や『テイルズオブジアビス』の「ベヒモス」
- ^ 『ハイドライドII』の「イビルクリスタル」、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ ナイトメアトラバドール』の「闇マリク」
- ^ 『ファイナルファンタジーV』の「ものまねしゴゴ」など
- ^ 『クロノ・トリガー』の「ラヴォス」やテイルズオブシリーズ(PS版『デスティニー』のリオン、『シンフォニア』のクラトス、『アビス』のアッシュなど)
- ^ 『ファイナルファンタジーVIII』の「ミノタウロス」「ケルベロス」など
- ^ 『ときめきメモリアル』の藤崎詩織は制作側からも「ラスボス」と称されていた
- ^ 『ダンスダンスレボリューション』のPARANOIAシリーズ・MAXシリーズ、『GuitarFreaks』『DrumMania』のMODEL DDシリーズ、『pop'n music』のHELLコースおよび『beatmania IIDX』の段位認定10段・皆伝該当曲など