女囚さそりシリーズ

日本の映画シリーズ

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女囚さそりシリーズ』(じょしゅうさそりしりーず)とは、篠原とおるの漫画『さそり』を原作とした東映制作による映画シリーズ。主演の梶芽衣子の人気とあわせて大ヒットシリーズとなり、梶の歌う主題歌『怨み節』もヒットした。

ここでは劇場版と、オリジナルビデオ版について記述する。

概要

  • 恋人に裏切られた挙句、冤罪によって収監された女囚「松島ナミ(さそり)」を主役とした女囚映画。収監された刑務所内での看守や女囚による陰惨な私刑(リンチ)や陵辱刑事による暴力に超人的な精神力と忍耐力で耐え、「怨み」を蓄積していき、最終的には自分を陥れた男達へと復讐を遂げると言ったストーリー。さそりを陥れる男達は刑事代議士看守と言った権力に属する者が殆どで、「法律さえ守れば何でも許される」という権力へのアンチテーゼとも見て取れる。
  • このシリーズに必須なショックシーン(暴力、陵辱、嫌がらせ)は凄惨でインパクトが強く、それ故に無表情で耐えながら「怨み」の冷たい炎をたぎらせるさそりの魅力を高め、ただでさえ印象の強い70年代東映作品の中でも特別なイメージを与えている。ナミを追う刑事たちの凄みのある「べらんめえ口調」に代表されるヤクザ的描写も見逃せない。
  • 伊藤俊也監督による個性的な演出も際立っており、ガラス張りの床下からのショット、回転する室内セットによる場面転換、暗転、カラーでのライティングなどの舞台的な演出、スプラッターに近い殺傷シーン、大胆なオープンロケを敢行するなど、インパクトある画面構成が特徴。アンダーグラウンドな作風とあいまって、作品の肌触りとしてはホラー映画のような雰囲気も感じさせる。
  • ナミを演じた梶芽衣子の強烈な個性も特筆すべきポイント。極端に少ないセリフ、怖いまでに冷たい目の表情は印象的。また田村正和舘ひろし浅香光代等の意外な俳優が、現在では考えられない配役で出演している点も見逃せない。特に悪役も多い細川俊之のナミを「この世のためにならない奴」として狂気とも取れる憎しみを抱き、容赦なく虐待して凄まじい暴力を加えて殺そうとする鬼警部も、その凄みのあるべらんめえ口調とあいまって強烈なインパクトを与えた。
  • 梶芽衣子のシリーズ降板後も、そのキャラクターを活かし、映画、テレビ、オリジナルビデオと後続作品が作られている。(ただし、作品ごとに、キャラクターや舞台設定は多少異なる)

オマージュ

この作品へのオマージュは数限りなく存在する。

 梶芽衣子の熱狂的なファンであるクエンティン・タランティーノが、『キル・ビル』シリーズで、梶の歌う『怨み節』を使用したことは有名。

  • 逃亡者おりん
  • 無限の住人の作者、沙村広明の短編集『おひっこし』の劇中で度々、本作品が登場する。
  • 2005年7月2日から日本テレビ系で放送された土9ドラマ女王の教室の演出家である大塚恭司は、タイトルバック、主人公の設定等に対し「演出において影響を受けた映画は(梶芽衣子主演の初期3部作)」であると述べている。

劇場版作品

  1. 女囚701号/さそり(1972年8月25日公開)
    監督:伊藤俊也 主演:梶芽衣子
  2. 女囚さそり 第41雑居房(1972年12月30日公開)
    監督:伊藤俊也 主演:梶芽衣子
  3. 女囚さそり けもの部屋(1973年7月29日公開)
    監督:伊藤俊也 主演:梶芽衣子
  4. 女囚さそり 701号怨み節(1973年12月29日公開)
    監督:長谷部安春 主演:梶芽衣子

劇場版作品(リメイク)

  1. 新・女囚さそり 701号(1976年11月17日公開)
    監督:小平裕 主演:多岐川裕美
  2. 新・女囚さそり 特殊房X(エックス)(1977年6月18日公開)
    監督:小平裕 主演:夏樹陽子
  3. SASORI IN U.S.A. (1997年4月5日公開)
    監督:後藤大輔 主演:斎藤陽子

Vシネマ版作品

  1. 女囚さそり 殺人予告(1991年)
    監督:池田敏春 主演:岡本夏生
  2. サソリ 殺す天使 (1998年)
    監督:新村良二 主演:小松千春
  3. サソリ 女囚701号 (1998年)
    監督:新村良二 主演:小松千春

関連項目