トランペット

金管楽器の一つ

これはこのページの過去の版です。221.46.133.176 (会話) による 2010年2月6日 (土) 08:45個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (中世・前半)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

トランペット: Trumpet: Tromba:トロンバ、: Trompete:トロンペーテ)は、金管楽器の一種。略称は「Tp」「Trp」「ラッパ」「ペット」など。

トランペット(Trumpet)
各言語での名称
Trumpet
Trompete
Trompette
Tromba
小號
トランペット(Trumpet)
トランペット
分類

金管楽器

音域
実音記譜
演奏者

後述

管の全長に対して円筒部分の割合が大きく、多くは長円状に巻かれ、その中ほどに3つ(稀に4つ)のピストンまたはロータリー式のバルブを備える。この楽器の調性には様々なものが存在するが、最も一般的なのは変ロ調(B♭管)とハ調(C管)である。ハ調を除き、移調楽器である。3つまたは4つのピストンまたはロータリーを操作しつつ、息のスピードで音を変え、演奏する。

現代のトランペットの種類

管長による分類

現在のトランペットはB♭管が標準である(管長約147cm)。これよりも短いものをショートトランペットとも呼び、約65cmのC管迄が一般的である。

  •  
    ピッコロ・トランペット。下にあるのは移調用のマウスパイプ
    短い方からのC管、B♭管、A管については、ピッコロトランペットと呼ばれる。大抵は、一台のトランペットにオプションパーツの組み合わせで調子が変えられるようになっている。
  • 長いものは、アルトトランペット(管長2m前後)やバストランペット(管長3m)と呼ばれる。
  • ショートトランペットのE♭管をソプラノトランペットと呼ぶこともあるが、もっぱら調子で呼ばれている。
    • 演奏できる音域が狭くなるので、第4バルブを備えて補うモデルもある。
  •  
    通常のトランペットとポケットトランペット(どちらもB♭管)
    標準のB♭管の長さのものを二重巻きにして、サイズを小さくしたものをポケットトランペットと呼ぶ。コンパクトで携帯に便利だが、吹奏に多少の抵抗感がある。
  • 標準のB♭管は音程がもっとも安定しているので、初心者(特に楽器自体初めての人)はB♭管から始めることが推奨されている。ただしB♭管であっても、指使いだけで正確な音程が保証されるものではない。
  • ショートトランペットは姿をB♭管に似せると、サイズが小さくなるので、第一バルブからベルまでをB♭管に合わせた形をロングモデルとも呼ぶ。

機構による分類

現代のトランペットはそのバルブの構造によって、ピストン・トランペット、ロータリー・トランペット等に分類できる。

ピストン・トランペット

ピストン・バルブを使って管長を変化させる。現在、日本、アメリカ、フランスなどで最も一般的に使用される。一般に「トランペット」と言ってイメージされるのが、このピストン・トランペット(B♭管)である。支柱が無いものから2本あるものまであり、この支柱が多いほど音にまとまりがあるとされている。音が目立つので良くソロに用いられる。ロータリー・バルブに比べて故障しにくいが、ピアニッシモでも音色が目立つので伴奏で使いにくい。ジャズにはこれが用いられる。

ロータリー・トランペット

 
C管のロータリー・トランペット

ロータリー・バルブにより管長を変化させる。ドイツオーストリアオランダ北欧などでよく用いられる。ドイツやオーストリアの音楽に向いているとされ、日本やアメリカのオーケストラでも演奏曲目によって用いられることがある。一般にピストン・トランペットと比べ、重厚で厚みのある音色を持つ。強弱に伴う音色変化がピストン・トランペットより大きく、弱奏時は柔らかい音色で木管楽器弦楽器によく溶け込む一方、強奏時は荒々しい割れた音を出す。

スライド・トランペット

ソプラノ・トロンボーンと形状が似ているが異なる。機構はトロンボーンと同一で音域が一般のトランペットと同じ。多くは用いられないが、ポルタメントグリッサンドを効果的に使いたい場合に用いられる。比較的構造が簡単で安くできるのでドイツなどで作られている。ジャーマン・ブラスではこの型で更に「ピッコロ」や更に鉛筆ぐらいの「ピッコリッシモ」も作らせ、余興に演奏し好評を博している。

シグナル・インストルメント

機能はビューグルに近いが、ベル(朝顔)は2個から4個付いていて、それを1つから2つのピストン・バルブで操作する。マウスピースはトランペットのものを使うのでここに挙げる。ドイツの楽器店でよく見かけられるが、使用例はスライド・トランペットのようにほとんど聞かれない。

歴史的なトランペット

現在でも製造販売されている。

ナチュラル・トランペット

【ナチュラル・トランペット】とはバルブの機構が1815年頃に発明され、管の長さを変えるピストンやロータリーが取り付けられる以前のトランペットで、元々は一本の円筒形の直管にベル(朝顔)が付いた楽器であった。歴史的には紀元前7世紀のアッシリアやヘブライ語聖書(所謂旧約聖書)、ギリシア、古代ローマ等に遡ることができるほどの歴史ある楽器で、今日でもヨーロッパ以外の地域で同族の楽器が使用されている。【楽器の形状について】ヨーロッパにおいては中世に至るまでは直管であったが、ルネサンス時代の間に管を曲げる技術が加わり、持ち運びの容易なS字型のトランペットが顕れた。また、スライド・トランペットも開発され教会内で使用された。右記写真のように両端を180度折り曲げ環状にしたものはセバスチアン・フィルディングの『音楽論』(1511年)の挿絵にその初期の姿を確認することができる。その他の形状としては、渦巻き状にしたものやハンドストップ・トランペットのようにベルに手が届くように反り返らせたものなどがある。大バッハ作品の初演を数多く行ったライプツィヒの都市楽士ゴットフリート・ライヒェは前者の楽器を使用していた。なお、渦巻き状のトランペットは古文献の記述からしばしば「クラリーノ」という別物の楽器のように勘違いされることが多い。しかし、「クラリーノ」というのはトランペットの高音域のことで、正確には「クラリーノ用のトランペット」という意味として解釈すべきである。使用音域を楽器呼称として便宜的に述べているだけなので、形状は特殊であるが、これも同じナチュラル・トランペットなのである。一般的な形状の楽器であっても、『音楽論』の挿絵には「Clareta(クラレタ)」と「Felttrunmer(戦場トランペット)」と記載された2つのトランペットが紹介されている。戦場トランペットの方はクラレタよりもいくぶん太めでがっしりしており、前者が高音用、後者が低音用ということなのである。【楽器法について】ナチュラル・トランペットは単なる一本の管であるため、基本的には倍音しか出せない。従って、音階全てを吹奏できず、古来より今日に至るまで軍事的な信号楽器なのであった。しかし、指揮官の傍らで信号吹奏による命令伝達の重責を担う戦場トランペット奏者は次第に騎士に準じる身分を有するようになり、能力の高い者は宮廷の権威を高めることになった。それでクラリーノパートの奏者については、倍音の間隔が狭く狙った音を当てるのが困難であるものの、音楽の旋律線の吹奏がある程度可能となる高次倍音(高音域=クラリーノ)の吹奏に習熟することになり、各パートに分かれての野外トランペット楽団(トランペット・コー)の編成が可能となった。バロック時代に至っては、ごく一部の高い能力の奏者が戦場トランペット奏者の地位よりも高い音楽的トランペット奏者職を得て、宮廷内でトランペット・ソナタやトランペット協奏曲を吹奏する任を与えられ厚遇されたるようになった。しかし、バロック時代の終焉までにそのような職への登用はされなくなり、バロック時代の奏者が引退もしくは死亡したであろう1780年頃までに自然消滅の形で一般的には廃絶した。これがナチュラル・トランペット協奏曲が途絶えた理由であることが日本音楽学会の機関誌から知ることができる。その後の古典派のオーケストラにおいてはクラリーノ奏者の下の音域を担当していたプリンティパル奏者が残留することになり、ティンパニと連動して低めの音域を担当した。この楽器法は17世紀の野外トランペット楽団にその用例が見られる。【その他】楽器の長さは同じ調性のナチュラルとトランペットと現代のトランペットを比較すれば、現代のものはナチュラル・トランペットの約半分の管長であり、長さだけをいえば、バス・トランペットやテナー・トロンボーンとおよそ同じである(ピッコロトランペットは約1/4、)。長さを半分にすることで倍音の基音を1オクターブ上げ、そして、バルヴによる管長調節で倍音間の音階の穴を埋めて低次倍音による旋律的吹奏を可能とした。これによって吹奏は容易かつ現代的要求に適うようになったが、管長が短くなった分、高次倍音が含まれた輝かしい音色は損なわれている。なお、ナチュラル・トランペットの音色はテナー・トロンボーンの最高音域を想像すれば、当たらずとも遠からずである。ナチュラル・トランペットのために書かれた楽譜を現在のソプラノ・トランペット(E♭トランペット)で吹くと、高音域では輪郭が際だちすぎたキツイ音色となり、中低音域ではまとまりのない拡散気味の音色になってしまう(メンデルスゾーンの『結婚行進曲』冒頭のファンファーレなど)。 【ナチュラルトランペットのレプリカ楽器について】現代の再現楽器にはトーンホール(ごく小さな音孔)が3つ程度開けれてたものが多く、穴から指を離すことで倍音の的中率を上げる工夫となっている。多くのオリジナル楽器オーケストラ奏者の間でも広く用いられている。本来は片手で奏する楽器を両手で構えて奏している場合はこの種の楽器である。しかし、この方法が開発されたのは20世紀も後半のことであり、18世紀以前においてそれがあったという証拠は現在のところなく、トーンホールのある古い楽器は現在のところ発見されていない。ただし、名人芸の奥義は秘されていた18世紀以前において、個人的レベルでそれが全くなかったとまでは断言できない。なお、ハイドンやフンメルのトランペット協奏曲は有鍵トランペット(キード・トランペット、クラッペン・トロンペーテ)のためのもので、トーンホールの原理とは異なる。これはリコーダー的な原理で複数の大きめの穴をキー操作、開閉しているもので、トーンホールに比してかなり音色が犠牲にされる。

ロマン派の時代のトランペット

ロマン派の時代には、ヘ調(F管)でバルブを持つ長管のトランペットが多用された。現代のソプラノ・トランペットより長く、ヘ調(F管)のアルト・トランペットと同じ長さであるが、常用音域はその1オクターブ上の領域であった。

歴史

原初(中世まで)

トランペットの発達はトランペットだけに留まったものではなく、他の金管楽器と関連して発達してきた。金管楽器の祖先は新石器時代のメガフォン型ラッパにさかのぼり、エジプト王朝時代には金属製の軍用ラッパがすでにあった。この時期までの楽器はホルンともトランペットとも分類できず、むしろ単にラッパの祖先と説明した方が適切である。ただ、旧約聖書時代イスラエルにあったとされるヒャショゼラー(hasocera)やヨーベル(jubel)という20cmぐらいの長さの直管ラッパと、後のアッシリア時代に描かれている直管のラッパなどは、比較的トランペットの始祖としての性格が強い。

トランペットが歴史として記録されているものには、今から3000年も前に実証されている、エジプトの考古学的出土品の中に残されている。当時の材質としては、金、銀、青銅のほか、土器、貝、象牙、木、樹皮、竹、瓢箪など、型も種々あり、長さの異なるものもあった。当時これらは主に宗教、政治上の儀式、軍隊や競技などにファンファーレや信号として使われていた。初期のトランペットの出せる音は、倍音のみに限られていた。古代の終わりから中世にかけて、楽器の構造・材質などの点では、殆ど進歩がなく、10世紀から11世紀ぐらいに作られた楽器でも、楽器に彫刻するという程度であった。

ホルン(角笛)から分かれてはっきりトランペットの祖先といえる楽器は、ギリシアローマ時代になって初めて出現する。ギリシアではサルピンクス(salpinx)、ローマではテューバ(tuba)あるいはリトゥス(lituus)と呼ばれた。この楽器は管長がすでに1mを超え、管は角と金属を継ぎ合せて作られ、マウスピースはカップ型であった。さらに青銅器時代に北欧にはルーレル(lurer)と呼ばれる2本1組として使われるラッパもあった。この楽器の管は円錐形で、むしろコルネットの祖先に見えるが、管がS字型に曲がっていることが形の上でトランペットあるいはトロンボーンの先駆とも言える。

中世・前半

10世紀頃ヨーロッパ各地においては、ツィンク(Zink)という楽器が作られるようになっていた。この楽器は今までの象牙または木でできている管に、穴を開けて倍音以外の音も出せるようにしたものである。このシステムはペルシアからヨーロッパに流れてきたといわれている。当時は2~4つの穴が開けられていたものであったが、15から18世紀の間に、フルートからヒントを得て、表に6つと裏に1つ、合計7つの穴が開けられ、音階の演奏が可能になった。ツィンクは19世紀まで用いられていた。

12世紀に入ると管を接続することが可能になる。トゥーバ、リトゥスはビザンチンを通ってアラビアの影響を受け、非常に長い楽器が作られるようになり、管型が円筒に近づいていった。中世初期のこの円筒形のトランペットは、クラーロ(claro)あるいはブイジーヌ(buisine)と呼ばれていた。

1240年には、イタリアのフェデリーコ2世トゥベクタ(tubecta)という楽器を作らせた記録があり、この言葉がトロンベッタ(trombetta)あるいはその後ダンテの詩に初めて現れるトランペット(trumpet)という語の起こりである。トゥベクタもローマ時代のトゥーバという語の縮小形である。この楽器がどのような形であったか不明であるが、現在のトランペットにかなり近づいたS字形の管を持つ楽器は、1400年に最古の資料がある。30年後には現代と同じ巻管のものが現れる。この頃の楽器は、現在のものよりベルが小さく、管の肉が厚く、マウスピースも重いことから、他の木管楽器や弦楽器と音色や音量の点で同等に演奏できたことを示している。当時巻管のものはクラリオン(clarion)、直管のものはトロンバ(tromba)との古文献の記載があるが、前者は高音域用のトロンバ(トランペット)のことで、楽器の構造が異なるところはない。後に高音域をクラリーノと呼称されるようになるが、それを担当する楽器の呼称を便宜的に同じ名前で呼んでいる例は引き続き多く見られる。古典派の作曲家は、音域の低い古典派時代のトランペット・パートについても「クラリーノ」と楽譜に指定する例が多数ある。これは高音域を担当する本来のクラリーノ奏者がいなくなった時代に、その下の音域担当であったプリンティパル奏者が事実上トップ奏者となっていたことがひとつの理由であるが、高いパートの方をそのように呼ぶ習慣が18世紀中は残存してのである。

長い楽器は、基音(第1倍音)が低くなるので、現代の短管ものでは不可能な上の方の倍音が出しやすく、バロック時代に至っては簡単なメロディーが演奏できるようになった。だが、まっすぐ長い楽器では、戦争や狩猟などに用いるには非常に不便なため、14,15世紀に入ると、様々な形に曲げられるようになった。それでも依然として音程的には何の進歩もなく、相変わらず倍音しか出すことができなかった。

後になって、デミルーン(Demilune)・トランペットと呼ばれるものが作られるようになった。これはハンドストップ・トランペットのことである。デミルーンとは半月型という意味であるが、ホルンのストップ奏法のようにして、半音の変化を得ることができるものである。これによって今までの倍音のみの楽器でも、より多くの音が出せるようになった。この楽器は19世紀の前半にボヘミア方面でいくつかの工房があったが、ドイツ圏においては普及した形跡はない。

中世・後半

16世紀に入って、トロンバ・ダ・ティラルシ(Tromba da Tirarsi/独:Zugtrompete)という楽器ができた。これはトロンボーンと同じシステムで、スライド・トランペットとも言える。音程は長3度までしか下げられなかった。また、クラリーノ(Clarino)は17,18世紀頃ヨーロッパにおいて大変盛んになった楽器で、一見ホルンのように管を巻いて、3つの穴を開け、それを指で操作して、音程を変えることができるものである。

1511年の木版画には、フェルト・トランペット(felt-trumpet)とクラレータ(clareta)という2種のトランペットが現れる。前者は屋外用の野戦楽器であり、後者は室内用の楽器であった。このクラレータは当時ギルド封建制)社会の特権として演奏されていた楽器で、非常に高い倍音を吹くことが特技とされた。この傾向は19世紀まで見られる。

1760年には、ドイツ人のケールベルがクラッペン・トランペットを発明した。これはクラリーノとは違って、トランペットの形をしていて、しかも穴が4つ開けられており、そこに木管楽器のような鍵(キー)が付いている。ハイドンのトランペット協奏曲はこのような楽器で、穴が6つ開けられたもののために書かれた。

このように楽器の進歩と共にトランペット芸術も盛んになり、多くの作曲家によってトランペットの曲が書かれるようになり、特にバッハ、ヘンデルらによってトランペット音楽は最高潮に達したといえる。18世紀までは宮廷の儀礼用として、トランペットがとくに重視され、イギリスではヘンリー8世が14人、エリザベス女王が10人のトランペット奏者を抱えていたほどであった。またドイツにおいては一般市民がトランペットを加えた音楽を演奏する時には、特別に許可をもらわねばならなかった。そして宮廷に抱えられたトランペット奏者達は、特に高い地位を与えられていた。

近世

19世紀初頭、ドイツのブリューメルが、カステン・ヴェンティル(Kasten Ventil)を発明した。この楽器は2つのヴァルヴから出来ていて、第1ヴァルヴは1音、第2ヴァルヴは半音下げることが出来た。1825年にシェスターが作ったカステン・ヴェンティルは、すでに3つのヴァルヴが付いている。このヴェンティルとはドイツ語で弁のことである。

さらに1827年にはフランス人のラバイェによってピストンが発明された。また、ウィーンではウールマンによってウィンナー・ヴェンティルが発明された。1832年にウィーンで、ヨセフ・リードルがカステン・ヴェンティルを改良し、初めてロータリー式を発明した。一方ベルリンでは1857年にモーリッツがプンペン・ヴェンティルを発明し、これはベルリナー・プンペンと呼ばれた。そして1839年にパリにおいて、ペリネが現在のものと殆ど同じ3本ピストンのトランペットを発明した。一応形の上では完成された楽器といえたが、まだ問題点があったらしく、ベルリオーズワーグナーは、この楽器の発明後もあえてナチュラル・トランペットを使って作曲している。

機構の進化

管長をまったく変えることのできなかったナチュラル・トランペットに最初の改良が行われたのは15世紀である。これはマウスピースのパイプ部分を長くして管長を多少コントロールする手法であった。これが後にクルーク・システム(継ぎ足し管)に発達し、19世紀にはスライド・トランペットへと進化した。このスライド・システムがトランペットに採用されている実例は、現在ベルリンの博物館に所蔵される1651年作の楽器が最古である。

一方、1760年にホルンに鍵(音孔)を付ける試みが行われたことから、1801年にはアントーン・ヴァイディンガーによってトランペットにも鍵が付けられたが、これは音色や音程への影響が酷く、不成功に終わった。1788年にイギリスでトランペットにヴァルヴを1つ付けて管の調を半音変えることに成功した。これが後のヴァルヴ・システムの先駆である。現在トランペットに使われる3本ピストンのヴァルヴ・システムはブレイクレーの創案によるブーシー・オートマティックと呼ばれるシステムで、この他にも数種考案されたが、いずれも実用化されなかった。現在のヴァルヴ・システムのトランペットにはっきりと応用されるようになったのは1820年頃からで、1850年には完全に普及したものとなった。

ヴァルヴ・システムのトランペットの初期は、E♭とB♭が主流を成していたが、この他にも低音楽器としてテナー・バリトン・バス・コントラバスといった楽器が作られていた。1850年頃にはF管のアルト・トランペットも作られた。しかし、これらの中で現在に残ったのはB♭管とC管のトランペットと、バリトン・トランペットからワーグナーの示唆で改良された、現在でいうバス・トランペットの3種である。


著名なトランペット奏者

クラシック

クラシック音楽の演奏家一覧#トランペット奏者も参照のこと。

ジャズ

その他

主なメーカー

主な教則本

ジャン=バティスト・アルバン(アーバン)による「アーバン金管教本」が古くから標準的な教則本として用いられてきた。アルバン自身はこの本をコルネットのために書いているが、トランペットやコルネットのみならずトロンボーンなど他の金管楽器の教則本としても使われている。多くのエチュード、小曲と、「12の幻想曲とアリア」と題した12曲の演奏会用独奏曲が含まれている。「12の幻想曲とアリア」の中には『ヴェニスの謝肉祭の主題による変奏曲』など、現代のプロ奏者の演奏会でも演奏される、難易度の高い名曲も多い。

日本ではエチュード、小曲と独奏曲、独奏曲のピアノ伴奏譜の3巻に分けて全音楽譜出版社から出版されている。

  • アーバン金管教本1 ISBN 4-11-548211-7 J.B.アーバン著、E.F.ゴールドマン、W.M.スミス編
  • アーバン金管教本2 ISBN 4-11-548212-5 J.B.アーバン著、E.F.ゴールドマン、W.M.スミス編
  • アーバン金管教本3 ISBN 4-11-548213-3 J.B.アーバン著、E.F.ゴールドマン、W.M.スミス編

2009年、全音楽譜出版社より改訂版が発売された。

関連項目

外部リンク