オウム真理教
オウム真理教(オウムしんりきょう)は日本の新宗教(宗教団体)。松本サリン事件や坂本堤弁護士一家殺害事件、地下鉄サリン事件などのテロ行為を含む多くの反社会的活動を行った[1]団体である。
1996年1月に宗教法人としての法人格を失ったが活動を継続。2000年2月には破産に伴い「アレフ」と改称。その後、さらなる改称と分裂を経て、現在は「Aleph」と称する団体、および「ひかりの輪」と称する団体が教義や信者の一部を引き継いでいる。
沿革
前史
1984年、麻原彰晃(本名・松本智津夫)は後に「オウム真理教」となるヨーガ道場「オウムの会」(その後「オウム神仙の会」と改称)を始めた。この頃、オカルト系雑誌の『ムー』が、このオウムの会を「日本のヨガ団体」として取材、写真付きの記事を掲載していた。この写真は座禅を組んだまま跳躍するもので、後に同教団が言う所の「ダルドリー・シッディ(空中浮揚の原型)」とされる。
また、麻原は『ラーテル 』1985年11月号に酒井勝軍の予言書『神秘之日本』に基づき、超能力開発を可能にして霊的に進化するための石(ヒヒイロカネ)を発見したという記事を投稿していた。
オウム真理教の誕生
1987年、東京都渋谷区において、「オウム神仙の会」を改称し、宗教団体「オウム真理教」が設立された。また、同年11月にはニューヨーク支部も設立。1989年8月25日に東京都に宗教法人として認証された(登記上の主たる事務所は東京都江東区亀戸の新東京総本部)。
麻原はチベット亡命政府の日本代表であったペマ・ギャルポと接触し、その助力によって、1987年2月24日ならびに1988年7月6日にダライ・ラマ14世とインドで会談した。麻原側は両者の会談の模様をビデオならびに写真撮影し、会談でダライ・ラマ14世が「日本に真の仏教を広めなさい」と麻原に告げたとしてオウム真理教の広報・宣伝活動に大いに活用した。ペマ・ギャルポはその後まもなくオウム真理教との関係を絶って積極的に対立するようになり、チベット亡命政府に対しても今後は麻原と関係を持たないように進言した。
宗教法人として認可されて以降、日本全国各地に支部や道場を設置。ロシアやスリランカ等海外にも支部を置いていた。1989年当時には約1万人程度の信者が存在していたとされる[2]。
非合法活動への道程
1988年には在家信者死亡事件、1989年には男性信者殺害事件や坂本堤弁護士一家殺害事件など、凶悪事件を起こすが、坂本弁護士については任意の失踪の可能性があるとされるなど、この頃はまだ事件性すら確定されておらず、オウム真理教への容疑は及んでいなかった。
1990年には奇抜な選挙活動が注目を浴び、修行の様子なども雑誌やテレビで報道され、徐々に知名度が上がっていく。1990年5月、熊本県波野村に進出するが、地元住民の激しい反対運動に会う。また、そのことに関連して国土利用計画法違反事件で強制捜査を受ける。これが、オウム真理教の被害者意識を高め、その後の事件のきっかけになったという指摘も多い。
1994年と1995年には特に多くの凶悪事件を起こした。そのうちいくつかの事件では容疑団体と目され、警察から監視されていた。しかし、松本サリン事件では第一通報者が疑われ厳しい追及が行われるなど、後に捜査の杜撰さが指摘された。
1995年、警察は全国教団施設の一斉捜査を決めた。捜査の情報を入手したオウム幹部は警察の目を逸らすため、首都で大事件を起こす事を思い付き、3月20日に地下鉄サリン事件を実行した。しかし事件2日後の3月22日には、山梨県上九一色村(現・富士河口湖町)の教団本部施設への強制捜査が行なわれた。施設からはサリン等の化学兵器製造設備、細菌兵器設備、散布の為の軍用ヘリコプター等が見つかり、オウム真理教の特異な実態が明らかになった。以降、同事件や以前の事件への容疑で教団の幹部クラスの信者が続々と逮捕され、1995年5月16日には、教団代表であった松本智津夫(麻原彰晃)が上九一色村の教団施設で逮捕された。
教団代表逮捕後
東京地検は松本智津夫を17件の容疑で起訴したが、その内LSD・メスカリン・覚醒剤・麻酔薬等薬物密造に関わる4件に付いては裁判の迅速化を図るため2000年10月5日起訴を取り下げている。
事件に関わったとされる最重要容疑者、平田信・高橋克也・菊地直子が未だ逃亡中であり警察は懸賞金付きの指名手配を行っている[3]。
教団は村岡達子を代表代行として活動を継続していたが、1995年10月30日東京地裁により解散命令を受け[4]、同年12月19日の東京高裁において、即時抗告が[5]、翌1996年1月30日の最高裁において特別抗告が共に棄却され[6]、宗教法人法上の解散が確定した。
1996年3月28日、東京地裁が破産法に基き教団に破産宣告を下し[7]、同年5月に確定する。1996年7月11日公共の利益を害する組織犯罪を行った危険団体として破壊活動防止法の適用を求める処分請求が公安調査庁より行われたが、同法及びその適用は憲法違反であるとする憲法学者の主張があり、また団体の活動の低下や違法な資金源の減少が確認された事等もあって、処分請求は1997年1月31日公安審査委員会により棄却されている。
破防法処分請求棄却後も教団は活動を継続し、「私たちまだオウムやってます」と挑発的な布教活動[1]や、パソコン販売による資金調達など行った。一方、一連の事件については「教団がやった証拠がない」とし、反省や謝罪をせず、被害者に対する損害賠償にも応じなかった。
この教団の姿勢は社会の強い反発を招き、長野県北佐久郡北御牧村(現・東御市)の住民運動をきっかけに、オウム反対運動が全国的に盛り上がりを見せ、国会でもオウム対策法として無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(いわゆる「オウム新法」)を制定するに至った。
一連の事件に関与した教団幹部に対し、刑事裁判では13人の死刑判決(内7人が上告中)、5人の無期懲役判決が出されている。
教団は著名人との交流があったが、事件後は多くの人物がオウム非難に転じている。好意的な対談を行った栗本慎一郎は、事件までは一言ももらさなかったオウム分析を有名誌上で行い、オウムと北朝鮮、および統一教会との関係を指摘した。ビートたけしはテレビ番組で麻原にオウムの教祖になることを懇願された後、教団に急接近。たけし軍団のメンバーを派遣してルポを書かせるなど積極的な交流を行っている。たけしは、軍団のメンバーを派遣したあとのコラムで「坂本弁護士は北朝鮮にいるのではないか」と発言した。事件後は沈黙している。[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。
作家で宗教学者の中沢新一はオウム真理教に宗教学の立場から取り組み、好意的な発言をしていたが[8]、地下鉄サリン事件が同教団の組織的犯行であることが発覚するとメディアから批判を受け、地下鉄サリン事件についてのコメントについても批判を浴びた[9]。島田裕巳[10]、苫米地英人[11]などが中沢を批判する著作を発表している。
教団の破産と分裂
2000年2月4日、教団は破産して破産管財人からオウム真理教の名称の使用を禁止されたために、前年に出所した上祐史浩を代表として「オウム真理教」を母体とした宗教団体「アレフ」が設立された。同年7月、「アレフ」は教団の破産管財人の提案により、被害者への賠償に関する契約を締結しており、以降この契約に基づいた賠償を継続している。2003年には「アーレフ」、2008年にはさらに「Aleph」(アレフ)と改称した。
2007年5月には上祐と一部の信者が脱会。新宗教団体「ひかりの輪」を結成した。この団体は松本智津夫の教えからの脱却を志向しており、比較的小額ながら「Aleph」とは別に被害者への賠償を行っている。
オウム真理教時代、類似する名称ですでに存在する無関係な団体が、教団との関係を疑われる風評被害が発生していたが、改称により、また同様の被害が発生している。
2010年に公安調査庁は、サリン事件当時の記憶が薄い青年層の勧誘をしていることなどについて、警戒を強めている旨を発表した。[12]
教義
- 無常
- オウム真理教は、修行による苦悩からの解放を説き、欲望・煩悩を一つずつ超越する事を解脱と呼んだ。そして、自ら日本で唯一の最終解脱者と称する松本の教説は、「無常」と「煩悩破壊」を根本とする。
- 「人は死ぬ、必ず死ぬ、絶対死ぬ、死は避けられない」という、仏教の無常観に即した松本の言葉に象徴されるとおり、この世の中のすべてのものは無常である。したがって、すべての喜びはいつか終わりが訪れるため、煩悩的な喜びにとらわれることは必ず苦しみを生み出す。
- 逆に、自己の煩悩を超越し、無常を越えた状態が、絶対自由・絶対幸福・絶対歓喜のニルヴァーナ(煩悩破壊)である。また、そこに留まる事なく、更に全ての魂を絶対自由・絶対幸福・絶対歓喜の状態に導くことによってマハーニルヴァーナ(大完全煩悩破壊)、あるいはマハーボーディニルヴァーナ(大到達真智完全煩悩破壊)へと至る。
- ポア
- ポア(ポワ)とは「意識を高い世界へと移し替えること」と定義されていた。これは生死とは関わりなく意識の中の煩悩的要素を弱めることと解釈できる。このポアの中で最も重要なものは死の直後、中間状態にある意識の移し替えで、これは次の生における転生先を決定することになる。
- したがって、死の際の意識の移し替えが狭義の「ポア」となる。これが転じて、「積極的に死をもたらし、より高位の世界へ意識を移し替え転生させる」という特殊な技法も「ポア」と呼ばれる事があり、これが「『ポア』なる言葉の下に殺戮を正当化する」と検察側が主張する根拠となっている(※これは、一連の犯行の際に、教団幹部らが教団内部で実際に使用した事例などに基づく解釈である)。
- シヴァ
- オウム真理教の主宰神は、シヴァ大神である。オウム真理教に於けるシヴァ大神は「最高の意識」を意味し、マハーニルヴァーナに住まう解脱者の魂の集合体であり、またマハーニルヴァーナそのものと同義としても扱われる。ヒンドゥー教(インド神話)にも同名のシヴァ神があるが、これはシヴァ大神の化身の一つに過ぎないとされる。また、麻原彰晃はこのシヴァ大神の弟子であると共にシヴァ大神の変化身とも見做された。
- 教義
- オウム真理教の教義は、原始ヨーガ、原始仏教を土台とし、パーリ仏典を土台に、チベット密教の技法を取り入れている。そして、「宗教は一つの道」として、全ての宗教はヨーガ・仏教的宇宙観の一部に含まれる、と説く。その結果、キリスト教の創造主としての神は梵天(オウム真理教では”神聖天”と訳す)の事である、等と説かれる。
- 従って、オウム真理教に於いては儒教・道教・キリスト教・ゾロアスター教等ありとあらゆる宗教・神秘思想を包含する「真理」を追求するという方針がとられた。結果として、キリスト教の終末論も、仏教的な「創造・維持・破壊」の繰り返しの中の一つの時代の破滅に過ぎない、として取り込まれた。
- 具体的な修行法としては、出家修行者向けには上座部仏教の七科三十七道品、在家修行者向けには大乗仏教の六波羅蜜、またヨーガや密教その他の技法が用いられた。
- 教義の柱
- オウム真理教の「五つの柱」として、以下の点が挙げられており、「実践宗教」であることが強調されている。
- 最終地点まで導くグル(霊的指導者)の存在
- 無常に基づく正しい教義
- その教義を実体験できる修行法
- その教義を実際に実践して修行を進めている先達の修行者の存在
- 修行を進めるためのイニシエーションの存在
事件と関連するとされる教義
オウム真理教では修行の内容を3種類または4種類に分けて説く。小乗(ヒナヤーナ)、大乗(マハーヤーナ)、真言秘密金剛乗(タントラ・ヴァジラヤーナ)で、厳密に説かれるときはタントラヤーナとヴァジラヤーナを分ける。ここでは4つの修行体系に分けて述べる。また、以下は教団における定義であって、通常の仏教語の定義とは違う。
- ヒナヤーナ
- ヒナヤーナとは、外界とは離れて、自己の浄化・完成を目指す道である。ヒナヤーナはすべての土台である。
- マハーヤーナ
- マハーヤーナとは、自己だけでなく他の多くの人たちをも高い世界に至らしめる道(衆生済度、救済)である。教団全体はマハーヤーナと規定される。ただし、完全なる自己の浄化(ヒナヤーナの完成)がなければ、真の意味でのマハーヤーナは成立しないともいう。オウム出版発行の機関紙の名前にも使われている。『マハーヤーナ(MAHA-YANA)』参照。
- タントラヤーナ
- タントラヤーナとは、マントラを唱える等の密教的な修行を指す。ただし、左道タントラなど、現代日本では非倫理的・非道徳的とされる部分については、教団の公式見解において否定されていた。
- ヴァジラヤーナ
- ヴァジラヤーナとは、グルと弟子との1対1の関係においてのみ成り立つ道である。グルが弟子に内在する煩悩を突きつけ、それを理解できる状況を作り出し、その煩悩を越えさせるマハームドラーなどの激しい方法が含まれる。
- ヴァジラヤーナの教義の中には、「五仏の法則」と呼ばれるものがあり、「天界の法則であって人間界においてはなし得ない」という注釈のもとで説かれたことがあった。これは「一般的な戒律に反する行為・言動」が、完全に煩悩なく、完全に心において利他心のみであるときには認められるとするもの。真言宗の金剛経などにも見られる教えである。
- 具体的には、悪業を積み続ける魂を救済するために殺害すること、貪り多き魂を救済するためにその財産を奪うこと、嘘を使って真理に導き入れることなどが、天界の菩薩の修行として説かれている、という解説であった。
活動
教団の信者は在家信徒と出家修行者(サマナ)に分けられる。 在家信者は通常の生活を行ないながら、支部道場に赴いて修行したり説法会に参加する。また、休暇期には集中セミナー等も開かれる。
修行の達成度、精神性の度合いを示すものとして「ステージ」制度があり、時期にもよるが、1995年時点の出家者には、サマナ見習い、サマナ、サマナ長、師補、師(小師、愛師、愛師長補、愛師長、菩師、菩師長補、菩師長)、正悟師(正悟師、正悟師長補、正悟師長)、正大師の各ステージが存在した。師は「クンダリニー・ヨーガ」の成就者、正悟師は「マハームドラー」の成就者で仏教の阿羅漢相当、正大師は「大乗のヨーガ」の成就者と規定され、これらのステージに従って教団内での地位、役職等が定められた。
オウム真理教幹部には難関大学の卒業者が多かった。中には弁護士資格を持つ青山吉伸、公認会計士資格を持つ柴田俊郎、医師免許を持つ林郁夫や中川智正など社会的評価の高い国家資格を持つ者も多くいた。
国外での活動
1991年には、麻原彰晃がロシアを初訪問した。モスクワにおいて麻原は、当時ロシア副大統領だったアレクサンドル・ウラージミロヴィッチ・ルツコイやヴィクトル・チェルノムイルジン、ユーリ・ルシコフ等ロシア政界の上層部と接触。翌年には後に安全保障会議書記となるオレグ・ロボフが来日し麻原から資金援助の申し出を受けるなど、オウムのロシア進出に拍車がかかった。
ロシアの声や「マヤーク」(Маяк)によるラジオ放送が流され、「キーレーン」というオーケストラを組織。日本からロシアの特殊部隊施設での射撃訓練ツアーがオウム関連の旅行会社によって主催されたり、他にもロシアからヘリコプターなどの軍事物資が輸入されている。更に麻原は、ロシアに数ヶ所の支部を開設。ソ連の崩壊後に精神的支柱が揺らいでいた当時、ロシアの多くの若者がオウム真理教に惹きつけられた。
関連年譜
一連の事件における被害者数は、死者30人・重軽傷者6000人以上。日本史上最悪の組織的犯罪である。
- 2月24日 - ダライ・ラマ14世とインドで会談
- 7月6日 - ダライ・ラマ14世とインドで会談
- 9月22日 - オウム真理教での修行中に、富士山総本部に来ていた在家信者が死亡。遺体は、護摩壇で焼かれた上に、旧上九一色村の精進湖へ遺棄された。(在家信者死亡事件)
- 2月18日 - 政治団体「真理党」を結成し、第39回衆議院議員総選挙に集団立候補するも全員落選。これ以降、社会敵視傾向に拍車がかかる。
- 5月 - 熊本県波野村で国土利用計画法違反事件。
- 9月 - 『朝まで生テレビ!』に出演。
- 12月 - 『ビートたけしのTVタックル』に出演。
- 漫画家の小林よしのり、幸福の科学の大川隆法総裁、衆議院議員の小沢一郎・細川護熙、タレントのデーブ・スペクターなどの暗殺を計画するも失敗。
- 6月6日 - オウム真理教男性信者逆さ吊り死亡事件が発生。遺体は、幹部らによって遺棄された。
- 1月30日 - 薬剤師リンチ殺人事件が発生。
- 3月27日 - 宮崎県旅館経営者営利略取事件(被害者は5ヶ月間監禁され、解放後の9月に告訴)
- 5月 - 上九一色村の第7サティアンに化学プラント建設開始(7月完成)
- 5月9日 - 滝本弁護士サリン襲撃事件。
- 6月 - 省庁制導入。22省庁を開設し大臣と次官を設置。当時の教祖、麻原は神聖法皇に。
- 6月~1995年3月 - 旧ソ連製のAK-74を密造(詳細はオウム真理教の兵器・自動小銃密造事件を参照)。
- 6月27日 - 松本サリン事件。長野県松本市でサリンを噴霧し、8人を殺害。重軽傷660人。
- 7月9日 - 第7サティアン周辺で異臭騒ぎ。警察当局が付近の土を採取し、警察庁科学警察研究所で調べたところ、サリン製造の際の副生成物が検知され、しかも松本サリン事件で現場に残留していた副生成物とほぼ一致したことが判明[13]。
- 7月10日 - オウム真理教男性現役信者リンチ殺人事件 発生。
- 7月15日 - 50℃の温熱療法修行による男性信者死亡事件。
- 9月20日 - 江川紹子ホスゲン襲撃事件。
- 12月2日 - 駐車場経営者VX襲撃事件。
- 12月10日 - ピアニスト監禁事件。
- 12月12日 - 会社員VX殺害事件。
- 1月1日 - 読売新聞が上九一色村の第7サティアンでサリン残留物が検出されたとスクープ。
- 1月4日 - 「オウム真理教被害者の会」永岡弘行会長をVXガスで襲撃。(被害者の会会長VX襲撃事件)
- 2月28日 - 目黒公証人役場事務長拉致監禁致死事件で男性1人が死亡。
- 3月13日 - 「オウム真理教被害対策弁護団」の滝本太郎弁護士が警察庁長官と検事総長宛に「本当にオウムがサリンを撒く可能性がある」と速達で上申。
- 3月15日 - 東京・霞ヶ関の地下鉄駅構内で、不審なアタッシェケース(中身は超音波振動による自動式の噴霧器)が発見され、警視庁の爆弾処理班が出動する。
- 3月17日 - 複数の教団幹部のステージ昇格を伝える尊師通達が発令される。
- 3月17日 - 警察庁において警視庁機動隊と捜査一課捜査員によるオウム真理教に対する一斉家宅捜索を3月22日に行う決定[13]。
- 3月18日 - 「オウム真理教から被害者を救出する会」主催による1万人集会
- 3月20日 - 地下鉄サリン事件。東京の営団地下鉄(現・東京地下鉄)でサリンを撒き、13人を殺害、5,510人が重軽傷を負った。
- 3月22日 - 警視庁が目黒公証人役場事務長拉致監禁致死事件でオウム真理教幹部の逮捕状を取り、上九一色村の教団施設など1都2県の施設25カ所を一斉家宅捜索。
- 4月23日 - 村井秀夫刺殺事件。
- 5月3日 - 青山吉伸弁護士が逮捕される。
- 5月16日 - 麻原彰晃こと松本智津夫を山梨県上九一色村の教団施設で逮捕。
- 5月16日 - 東京都庁小包爆弾事件
- 6月12日 - 長野県警が松本サリン事件に関して記者会見。「11日に署長が第一発見者宅を訪ねて、捜査過程における心労に対して遺憾の意を表した」と述べた。しかし「謝罪というものではない」と捜査の間違いは認めなかった。
- 10月30日 - 東京地裁が宗教法人法に基づく解散命令を決定(同年12月確定)。
- 12月 - 国会で宗教法人法改正法が成立。
- 6月19日 - 麻原(松本)に代わり、松本の長男(当時3歳)と次男(当時2歳)の二人を「教祖」とする。麻原の地位は「開祖」に。
- 1月31日 - 公安審査委員会、オウム真理教への破壊活動防止法の適用を棄却。
- 2月1日 - 団体規制法に基づく公安調査庁長官の観察処分(3年間)が効力発生。
- 2月4日 - 「宗教団体・アレフ」として再編。
- 7月1日 - ロシアで松本智津夫の武力奪還・対日テロを図ったオウム信者逮捕(シガチョフ事件)
- 1月 - 上祐史浩が教団代表に就任。麻原彰晃との決別を表明。
- 1月23日 - 団体規制法に基づく観察処分の期間更新(2月1日から3年)決定。
- 2月 - 「宗教団体・アーレフ」と改称。
- 2月27日 - 東京地裁が松本智津夫に死刑判決。
- 9月15日 - 最高裁判所は特別抗告を棄却し、1審通り松本への死刑判決が確定。
- 5月20日 - 「Aleph」(アレフ)と改称。
公称信徒数
参考文献
- 共同通信社会部 『裁かれる教祖』(株式会社共同通信社 1997年2月) ISBN 978-4-7641-0378-8
- 河上和雄 『犯罪捜査と裁判―オウム事件を追って』(悠々社 1996年4月) ISBN 978-4-946406-40-9
- 治安制度研究会 『オウム真理教の実態と「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」の解説(立花書房 2000年6月)ISBN 978-4-8037-2217-8
- 東京キララ社編集部 編 西村雅史・宮口浩之監修 『オウム真理教大辞典』(東京キララ社 2003年11月)ISBN 978-4-380-03209-7
- 麻生幾 『極秘捜査―政府・警察・自衛隊の「対オウム事件ファイル」』(文藝春秋 2000年8月) ISBN 978-4-16-764401-7
- 江川紹子 『「オウム真理教」追跡2200日』(文藝春秋 1995年7月) ISBN 978-4-16-350580-0
- 島田裕巳 『オウム―なぜ宗教はテロリズムを生んだのか』(トランスビュー 2001年7月30日) ISBN 978-4-901510-00-4
- 一橋文哉 『オウム帝国の正体』(新潮社 2002年10月) ISBN 978-4-10-142623-5
- 森達也 『A―マスコミが報道しなかったオウムの素顔』(角川書店 2002年1月) ISBN 978-4-04-362501-7
- 森達也・安岡卓治 『A2』(現代書館 2002年3月) ISBN 978-4-7684-7682-6
- 森達也・森巣博 『ご臨終メディア-質問しないマスコミと一人で考えない日本人』(集英社 2005年10月) ISBN 978-4087203141、P75、P105-108、P120、P151-153、P196。
- 渡辺脩 『麻原を死刑にして、それで済むのか?―本当のことが知らされないアナタへ』(三五館 2004年3月) ISBN 978-4883202874
- 下里正樹 『オウムの黒い霧―オウム裁判を読み解く11のカギ』(双葉社 1995年10月) ISBN 978-4575285130
- 渡辺脩, 和多田進 『麻原裁判の法廷から』(晩聲社 1998年3月) ISBN 978-4891882822
脚注
- ^ 自動小銃や化学兵器の量産も行い、独立国家の創造も目指していたとされる。
- ^ a b 未曾有のテロ(警視庁公式ウェブサイト)
- ^ オウム真理教関係特別手配被疑者(警視庁公式ウェブサイト)
- ^ 『判例時報1544号』43頁、『判例タイムズ890号』38頁
- ^ 『判例時報1548号』26頁、『判例タイムズ894号』43頁
- ^ 『判例時報1555号』3頁、『判例タイムズ990号』160頁
- ^ 『判例時報1558号』3頁、『判例タイムズ907号』98頁
- ^ 週刊ポスト1989年12月8日号「オウム真理教のどこが悪いのか」など
- ^ 別冊宝島33号 独占手記・元オウム信者の告発「僕と中沢新一さんのサリン事件」宝島社
- ^ 島田裕巳『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて』亜紀書房、2007年
- ^ 苫米地英人『スピリチュアリズム』にんげん出版、2007年。
- ^ オウム、青年層にターゲット 時事ドットコム(2010/03/15配信)
- ^ a b 文藝春秋1995年5月号
- ^ はじめに(警視庁公式ウェブサイト)
関連項目
- テロリズム
- 日本シャンバラ化計画
- 皇位簒奪
- サリン
- オーム (聖音)
- カルト
- 洗脳
- マインド・コントロール
- オカルト
- ヒヒイロカネ
- 公安調査庁
- 内乱罪
- 破壊活動防止法(破防法)
- 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(「オウム新法」)
- 上九一色村
- 1Q84(村上春樹の長編小説。物語に登場する宗教団体はオウム真理教をヒントにしている。なお、物語の時代にあたる1984年はオウム真理教の前身団体が設立された年でもある)。
- マハーポーシャ
- うまかろう安かろう亭
外部リンク
公式ウェブサイト
- 宗教団体アーレフ 反上祐派(主流派)
その他
- オウム裁判対策協議会
- オープンディレクトリー: アーレフ([ http://www.dmoz.org/ dmoz])
- オープンディレクトリー: オウム真理教(dmoz)
- カナリヤの詩(脱会者の集い -「カナリヤの会」公式サイト)
- オウム真理教 ~反社会的な本質とその実態~(警察庁)
- オウム真理教関係特別手配被疑者(警察庁)