焼戻し
焼戻し(やきもどし、英語: tempering)とは、焼入れによっていったん硬度が上がり靭性の下がった鋼について、ある程度硬度を下げる代わりに靭性を上げる(戻す)という熱処理作業である。具体的にはマルテンサイト組織の状態から鋼を再加熱し、一定時間保持した後に徐冷する。焼きなましに似ているが、焼きなましは加工硬化を戻すのを特に指すのに対して、こちらは焼入れを戻すのを特に指すという点が違う。焼き戻しと「き」の送り仮名をつける表記もあるが、本記事では日本工業規格、学術用語集の表記に準じる[1][2]。
再加熱後、保持する温度により組織の変化が異なり、摂氏600度程度で焼き戻すとソルバイト組織が、摂氏400度程度で焼き戻すとトルースタイト組織が得られる。
焼入れ後、ソルバイト組織が出る温度で焼き戻す一連の工程を特に調質と言う。
脚注
- ^ JIS B 6905 p.4
- ^ “オンライン学術用語集検索ページ”. 学術用語集. 文部科学省・国立情報学研究所. 2014年9月21日閲覧。
参考文献
- 日本工業標準調査会(編)、1995、『JIS B 6905 金属製品熱処理用語』