ACジャパン
社団法人公共広告機構(こうきょうこうこくきこう、Japan Ad Council = AC)は、テレビ・ラジオでのCMや、新聞・雑誌などの広告で啓発活動を行っている社団法人。取り扱うテーマは環境問題・公共マナー・薬物・いじめ・家庭問題など多岐にわたる。
組織
会員企業
公共広告機構は、広告を取り扱う企業を会員とし、会員から集めた資金で運営されている。会員社数は放送業界・新聞業界・広告業界など1356社(2004年現在)。
公共広告機構のコマーシャルは賛助会員によって放送枠を無償で提供されており、広告自体も広告代理店などの加盟企業がコンペティション形式で制作している。その広告実績は正規の広告料金に換算すると300億円を超え(2000年実績)、日本で展開される一広告主の広告としては最大規模のものとなっている。増加の背景としてはBSデジタル放送や、インターネット、街頭ビジョン、電光掲示板などのニューメディアで広告が展開されたことが一因にあると考えられる。
事務局
現在、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡・那覇の全国8カ所に事務局が設置されている。
役員
沿革
年表
- 1971年 - 設立
- 1975年 - 東京に事務局を設置、社団法人化され、「関西」の文字を外して全国組織となった
- 1987年 - 腎臓バンクキャンペーンから、それまでの鳩+ハートのマーク(ハートマークの左側が尖ったようなマーク)を、略称である「AC」ロゴに変更。このロゴは「Motter Ombra」というフォントを元にデザインされている。
設立
公共広告機構は、1971年、サントリー社長(当時)の佐治敬三が発起人となり、大阪市で『関西公共広告機構』として設立された。当初の活動は近畿地方が中心であった。設立時に模範とされたのは、アメリカのアド・カウンシルであった。
最初の公共広告は1971年、淀川長治を起用したテレビによるキャンペーンであった。
スローガン
- 人と人とを結ぶ、思いやり 1987年~2000年
- 人を救うのは、人しかいない。(1995年、阪神・淡路大震災激励CM。瀬戸内寂聴、森毅が出演)
- 明日のために、いま始めよう。2001年~
- 明日を一緒に考えよう。(2005年:日韓共同キャンペーンのみ)
創立35周年
2006年に設立35周年を記念して、ホームページがリニューアルされる。 また、ホームページに20周年記念の際に制定されたACのマスコットキャラクター「めばえちゃん」が登場しその際に新たに姉妹が加わり三姉妹となった。
公共広告機構のCM
反響が大きかったCM
反響が大きかった公共広告機構のCMには次のものがある。
- 1993年に骨髄バンク登録キャンペーンにバーバラ・ブッシュと芦屋雁之助を起用し、日米の骨髄バンク登録者を比較し、立ち遅れている日本の実状と、骨髄移植の重要性、緊急性をアピールしたところ、骨髄移植推進財団に問い合わせが殺到し、登録者は飛躍的に増加。さらに、あまりにも反響が大きすぎて、一日に200件以上もの問い合わせが殺到、日本の骨髄バンク登録者数が急増した為、5ヶ月でキャンペーンは中断となった。
- 1993年、毛利衛が自然破壊に警告したキャンペーンが話題となり、ポスター入手希望者が殺到した。
- 2003年に「抱きしめる会話」のキャンペーンに対して多数の賛同投書が寄せられた。また、このCMの真似がエレキコミックのコントの一部分に使われるなどされた。
放送される場面
公共広告機構のCMは、次のような場面に放送されることが多い。
- スポンサー企業によるCMを確保できない場合の穴埋め
- 早朝や深夜枠。例えば、深夜に放送されるオールナイトニッポンでは1回の放送で何度か流れることが多い
- 地方局(特に群馬テレビは他の地方局に比べて圧倒的に多い)
- 突発的な原因によるCMの差し替えが発生した場合
- 映画館での映画の上映前の宣伝等のひとつとして
現在のサウンドロゴの背景は、水色の字に白のバック(標準)、または、白の字に黒のバック(白抜き)である。 かつては一部の作品で背景が黄色のものや、もしくは黒に限りなく近い紺色のものもあった。 ロゴのサイズも当時はフィルムでの製作が主流だったために変更当初から1990年代前期まで以下のようなパターンのロゴがあった。
- 画面一杯に映るぐらいの特大のもの
- 一部の作品にはロゴに動作をつけて登場させる(下から上方向にロゴが競りあがってくるものや、ペンで同時に書きだされるような物など)
エーシーのフレーズでしられている。
NHKとの関係
企業広告を放送しないNHKも公共広告機構の会員企業であり、2000年にはNHKとの共同による啓発キャンペーンとして公共広告を放送した実績がある。最初に放送されたのはAC制作の「捨てる世紀」 とNHK制作の「地球の声~環境汚染」。この活動は現在も継続中である。なお、NHKでのオンエアの場合、最後のロゴは「公共放送 NHK」に差し替えられるか、その部分をカットして、そのまま次の番組が放映される。
国際化
1993年にはアメリカのアド・カウンシルと共同で「水質資源の保全」をテーマに共同制作のCMが日米で放送された。後の1995年、1997年にも同様のキャンペーンを行った。さらに、2005年には KOBACO(韓国放送広告公社)と共同で「親子との絆」をテーマにCMを共同制作した。
CMに出演したタレント・有名人
(五十音順)
- アンディ・フグ(格闘家 故人)
- 「骨髄バンク・ドナー登録」2001年 - 在りし日の活躍の映像を放送。
- 安藤優子(アナウンサー)
- 子どもワクチン「プッシュホーン たった3分の電話で救える命」1998年 - ナレーションを担当。
- 磯村尚徳(アナウンサー)
- 「わが子へ愛を」1979年
- 市田ひろみ(服装評論家、エッセイスト、タレント)
- 国際マナー 1994年
- 市原悦子(女優)
- 教育「もったいないお化け」「ツンツン娘」「お手伝いタヌキ」「仲良し地蔵」「ごめんの鐘」1982年~1986年 - 声のみの出演。アニメ『まんが日本昔ばなし』とのコラボレーション。
- 伊藤淳史(俳優)
- 地域の共生「エレベーター」2006年 - 東京エリアのみ。
- 井原正巳(元サッカー選手(横浜Fマリノス))
- 「骨髄バンク・ドナー登録」 2005年
- 今井美樹(歌手)
- 「献血キャンペーン」1987年
- 王貞治(元プロ野球選手、現福岡ソフトバンクホークス監督)
- 目隠し歩行 1982年 ;オール阪神・巨人(漫才コンビ)
- 「アイバンク登録」1987年
- 桂米朝(落語家)
- 「アイバンクキャンペーン」1982年
- 金田正一(元プロ野球選手、監督(旧ロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ))、名球会会長)
- 車椅子 1982年
- 上岡龍太郎(タレント)
- 公共マナー「清掃犬ロン物語」1989年 - ナレーションを担当。
- 荻原弘子(元アナウンサー)
- もったいないを捨てたくない 1992年
- 北野大(タレント、コメンテーター)
- もったいないを捨てたくない 1992年
- 草彅剛(歌手・SMAP)
- 「ドラッグが、君達を殺していく」1997年
- 「骨髄バンク・ドナー登録」2002年まで - ナレーションも担当。
- WFP学校給食プログラム支援「ごはんの教科書」2004年 - ナレーションを担当
- 工藤夕貴(女優)
- わたしはこうして自然保護 1989年
- 倉本聰(脚本家)
- 環境問題「森のニングルが消えた星」1998年 - ナレーションを担当。
- 栗山千明(女優)
- 「あなたが大切だ」2005年
- 小嶺麗奈(女優)
- 「覚せい剤乱用防止キャンペーン」1998年
- 近藤真彦(歌手)
- 「僕は、スピードを卒業した」1987年
- 琴欧洲(大相撲力士(大関)・佐渡ヶ嶽部屋所属)
- 「一人ひとりができる環境対策」2006年
- 酒井法子(歌手、タレント)
- 愛情運転 1990年
- 鈴木啓示(元プロ野球選手(近鉄バファローズ=消滅)、指導者)
- 「投げたらアカン」1984年 - 当時近鉄バファローズ投手。
- 平良とみ(女優)
- 「死んでからの生き方」2001年 - 声のみの出演。当時NHK連続テレビ小説『ちゅらさん』に出演。
- 武田鉄矢(歌手、俳優)
- 「うるさい親ほど、あったかい」1986年
- 辰吉丈一郎 (プロボクサー)
- 教育「いじめ、許さん」1995年
- 常田富士男(俳優)
- 教育「もったいないお化け」「ツンツン娘」「お手伝いタヌキ」「仲良し地蔵」「ごめんの鐘」1982年~1986年 - 声のみの出演。アニメ『まんが日本昔ばなし』とのコラボレーション。
- トーマス・オマリー(元プロ野球選手(阪神タイガース→ヤクルトスワローズ(現東京ヤクルトスワローズ)、現阪神タイガース駐米スカウト)
- 国際マナー 1994年
- 冨永愛(モデル)
- 地球温暖化防止 2003年 - NHKとのコラボレーション。
- ドラえもん(アニメのキャラクター)
- 「こどもワクチン」2003年~2004年 - 声:大山のぶ代(当時)。
- 中野浩一(競輪選手、競輪解説者、タレント)
- 「浩一・明美のあき缶拾いジョギング」1995年
- 夏目雅子(女優 故人)
- 「骨髄バンク・ドナー登録」2003年
- 西村知美(タレント)
- 「これだけおぼえてください」1996年
- 野茂英雄(大リーグ・シカゴホワイトソックス投手)
- 「feel for you」献血 1990年 - 当時近鉄バファローズ投手。
- 「国際マナー」1994年
- 野原しんのすけ(アニメクレヨンしんちゃんキャラクター)
- 「広報」2005年~ - 但し、一部の新聞のみである。
- パパイヤ鈴木(ダンサー、振り付け師)
- 「私たちは、地球という星に生まれた。」空き缶編 2001年 - CMソングも担当。NHKとのコラボレーション。
- パペットマペット(お笑い芸人)
- エイズ 2006年
- 遥洋子(タレント、作家)
- 国際マナー 1994年
- ピーコ(タレント、ファッション評論家)
- アイバンク登録 1991年
- 平泉成(俳優)
- 「あなたの周りを見てください」2001年
- 星野仙一(元プロ野球選手、監督、現阪神タイガースシニアディレクター)
- 「交通ルールを守ろう」1987年 - 名古屋エリアのみ。
- 「星野前監督と谷口さんの約束」2004年
- HOME MADE 家族(ヒップホップユニット)
- 「アイドリングストップ」2005年 - CMソングも担当、NHKとのコラボレーション。
- 本田美奈子.(歌手、女優、タレント 故人)
- いじめ啓発CM 1986年 - CMソングに「HELP」が使われた。
- 「骨髄バンク・ドナー登録」2006年
- 前園真聖(元サッカー選手)
- 「いじめ、カッコ悪い」1996年
- マザー・テレサ(修道会「神の愛の宣教者会」創立者)
- 海外ボランティアキャンペーン 1980年代中期
- 増田明美(マラソン選手、スポーツジャーナリスト)
- 「浩一・明美のあき缶拾いジョギング」1995年
- 宮崎ますみ(女優)
- 乳癌 2006年
- 八名信夫(俳優)
- 「大人を(子どもから)、逃げるな」 - TVCM。
- 「悪役になろう。」2001年 - 新聞広告。
- 山口達也(歌手・TOKIO)
- 「電話一本でワクチン」2003年
- 山下泰裕(柔道家)
- 「投げたらイカン」1986年
- ゆず(フォークデュオ)
- 「私たちは、地球という星に生まれた。」コンビニレジ袋編 2003年 - CMソングも担当。NHKとのコラボレーション。
- 吉永小百合(女優)
- 読書推進運動、骨髄バンク「もえちゃんのお願い」 - 声のみの出演。
- 淀川長治(映画評論家)
- 第1号CM 1972年
- 和田毅(プロ野球投手、福岡ソフトバンクホークス)
- 子どもワクチン 2006年
その他。
関連項目
- 日本広告審査機構(JARO)
外部リンク
参考文献
植条則夫『公共広告の研究』(日経広告研究所、2005年6月) ISBN 453264061X