がんゲノム医療
がんゲノム医療(がんゲノムいりょう)は、がん細胞内の遺伝子を解析することで、患者一人ひとりの体質や病状に合った診断・治療を行う医療である。
分子標的薬の開発と同時に、コンパニオン診断やがん遺伝子パネル検査とよばれる遺伝子検査の技術が進歩したことにより、がんゲノム医療が普及している。しかし、遺伝子変異があっても使用できる薬がない場合もあり、がん遺伝子パネル検査を受けて、自分に合う薬の使用(臨床試験を含む)に結び付く患者は、全体の10~20%程度と言われている。
2022年1月現在、がん遺伝子パネル検査は、標準治療が終わる、もしくは標準治療がない患者を対象として保険診療が認められている。薬剤に関しては、例えば乳がんにおけるHER-2遺伝子増幅、非小細胞肺がんにおけるEGFR遺伝子変異やALK融合遺伝子、悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子変異などで分子標的薬による治療が保険診療で行われている。
がん遺伝子パネル検査に基づく診断・治療は、がんゲノム医療中核拠点病院、同拠点病院、同連携病院と呼ばれる高度ながん医療を提供する施設でなければ実施できない。