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TS衛生兵さんの戦場日記 | |
---|---|
ジャンル | ファンタジー・戦記 |
小説 | |
著者 | まさきたま |
イラスト | クレタ |
出版社 | KADOKAWA |
掲載サイト | ハーメルン・小説家になろう |
レーベル | ファミ通文庫 |
発行日 | 2023年7月29日 - |
連載期間 | 2021年12月14日 - 2024年10月30日 |
巻数 | 4 |
話数 | 207 |
漫画 | |
原作・原案など | まさきたま |
作画 | 耳式 |
出版社 | KADOKAWA |
掲載サイト | 電撃コミックレグルス |
レーベル | 電撃コミックスNEXT |
発表期間 | 2023年8月25日 - |
巻数 | 2 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 文学・漫画 |
TS衛生兵さんの戦場日記は、まさきたまによる日本のライトノベル、及びそれを原作とする漫画。小説投稿サイトハーメルンや小説家になろうで連載され、ファミ通文庫より2023年7月に書籍化された。電撃コミックスNEXTにて漫画版も発売されている。
概要
2021年12月、ハーメルンにて『TS衛生兵さんの成り上がり』というタイトルで連載開始。2023年1月より小説家になろうでも連載を開始し、2024年10月に本編が完結。2023年7月よりファミ通文庫にて書籍版が出版されている。書籍化の際、第1巻の内容には「成り上がり」要素が少ないという理由からタイトルを『TS衛生兵さんの戦場日記』に変更した。2023年8月より、電撃コミックレグルスにてコミカライズ版が連載、2024年2月には電撃コミックスNEXTよりコミカライズ版の単行本が出版されている。
「次にくるライトノベル大賞2023」にて単行本部門1位を獲得している。
あらすじ
- Ep.1
- 星歴2148年。サンマグノリア共和国は隣国ギアーデ帝国が投入した完全自律型無人兵器「レギオン」の侵攻に対し、同様の無人兵器「ジャガーノート」を投入。流血無き戦場を作り上げる事でその脅威を退けていた。しかし、その実態は多数派民族である白系種以外を人間と見做さない狂気の差別思想から生み出された「有人搭乗式無人機」だった。強制収容所に送り込まれ、レギオンとの戦闘を強制された有色種たちは、共和国85行政区の外へ追いやられた人型の家畜「エイティシックス」と蔑まれながら、絶死の戦場を戦い続けていたのだ。
- そんな中、白系種でありながら軍内で差別政策撤廃の活動を行う士官ヴラディレーナ・ミリーゼは「死神」と呼ばれるエイティシックス、シンエイ・ノウゼン率いるスピアヘッド戦隊の指揮管制を任されることととなる。彼らとの交流の中、レーナはシンが「死神」と呼ばれる所以を知る。シンは、レギオンがその中枢神経系の自壊を回避するべく取り込んだ死者の脳構造から発される絶叫を聞く能力を有していたのだ。当初はエイティシックスたちから一線を置かれていたレーナだったが、シンの異能を通してレギオンの叫喚を聞いた後も交流を辞めなかったことから、少しずつエイティシックスたちに認められていく。
- 過酷な戦いは続き、消耗しきったスピアヘッド戦隊はついに定数の半数を割り込むが、レーナが何度要請しようと補充は行われない。それに憤るレーナに、シンはある事実を伝える。激戦区を次々転戦させられ、それでも生き延びた歴戦のエイティシックスを処分するための「特別偵察」。最後まで生き残ったスピアヘッド戦隊のシンとライデン・シュガ、セオト・リッカ、アンジュ・エマ、クレナ・ククミラの5人は、絶死の戦場に旅立っていった。
- ラン・スルー・ザ・バトルフロント(Ep.2, Ep.3)
- 生存を想定されていないはずの特別偵察に旅立ったスピアヘッド戦隊の5人は、ギアーデ連邦に保護されて生き延びていた。養父となったギアーデ連邦暫定大統領エルンスト・ツィマーマンの意向もあり、5人は連邦の平和な社会を体験し、彼の家で暮らす幼い少女フレデリカ・ローゼンフォルトとも交流を深める。しかし自らの居場所は戦場以外にないという意識を固くした5人は、やがて全員が連邦軍への従軍を希望する。
- 特別士官学校を卒業した5人は、連邦が新開発したフェルドレス「レギンレイヴ」を運用する実験部隊ノルトリヒトに配属され、各地を転戦する。そんな中、かねてからシンが予見していたレギオンの大規模攻勢が始まる。シンの異能によりどの部隊よりも早く即応したノルトリヒト戦隊の活躍もあり、連邦軍は辛うじて攻勢を撃退することに成功するが、電磁加速砲型の砲撃によりノルトリヒト戦隊が駐屯していたFOB14は消滅する。
- 時を同じくして、共和国を守る大要塞壁群グラン・ミュールが電磁加速砲型の砲撃により崩壊し、無防備な85区内にレギオンが侵入し始める。シンとの交流の中で大攻勢の予兆を知らされ準備を続けていたレーナは、全てのエイティシックスに対して共和国85区内への結集を要請し、絶望的な防衛戦に身を投じていく。
- 連邦では、現時点で生存が確認された全ての国家の首都を射程に収めることが可能な電磁加速砲型の脅威に対し、ノルトリヒト戦隊が単独で敵中突破したうえでこれを撃破するという作戦が立案される。人類の総力を挙げた陽動作戦の中、地面効果翼機「ナハツェーラー」によって空挺輸送されたノルトリヒト戦隊は電磁加速砲型に接敵し、戦隊全機が行動不能になる苦闘の果てにこれを撃破することに成功する。そして、共和国からの客員士官として連邦軍に派遣されたレーナと元スピアヘッド戦隊の面々は、ついに対面を果たす。
- アンダー・プレッシャー(Ep.4)
- 連邦軍西部方面軍の麾下にノルトリヒト戦隊の面々と、シデン・イーダら共和国防衛戦を生き残ったエイティシックスらによる機動部隊「第86独立機動打撃群(ストライク・パッケージ)」が設立され、レーナはその作戦司令官に就任する。レーナとシンたちは交流を深めるが、その中で段々と86区の劣悪な環境で心が擦り切れてしまったエイティシックスたちとレーナとの隔絶が浮き彫りになっていく。
- 機動打撃群に与えられた初任務は、共和国の旧地下鉄ターミナルに巣食うレギオンの生産拠点、自動工場型と発電プラント型の撃破であった。作戦は当初順調に推移していたが、1個戦隊が正体不明の敵を前に成す術なく全滅し、前線で調査にあたっていたレーナの親友で技術士官のアンリエッタ・ペンローズが拉致され、さらにエイティシックス以外誰もいないはずの戦場に共和国人が生き残っており、作戦は一時的に中止を余儀なくされる。
- それでも作戦は続行されるが、発電プラント型が撃破されると、戦場にいる全てのレギオンが一斉に知性型レギオン「羊飼い」と化す。損傷のない死者の脳構造を転用していた「羊飼い」は、生前の記憶を残しているがゆえに自己同一性の問題から量産が不可能だった。しかし、共和国人を大量に鹵獲したレギオンは、彼らの脳を用いた実験により「羊飼い」の量産方法を会得していたのだ。
- 全てのレギオンが知性化し更に戦闘が苛烈になる中、作戦目標を達成した機動打撃群は撤退を開始する。しかしその最中、シンは吶喊してきた近接猟兵型に吹き飛ばされて下層に落下する。そこで待ち受けていたのは、阻電撹乱型を身に纏い光学迷彩とし、シンでさえ対応できない超高機動とチェインブレードを武器とする新型レギオン「高機動型」であった。シンの乗機アンダテイカーは高機動型により破壊されるが、それを囮にしたシンはアサルトライフルで高機動型を撃破することに成功する。しかし、撃破された高機動型は中枢神経系を構成する流体マイクロマシンを吹き出して人の形を型取り、「さがしにきなさい」とメッセージを残して逃げ去ったのであった。
- 死よ、驕るなかれ(Ep.5)
- 高機動型にメッセージを残したレギオン開発者、ゼレーネ・ビルケンバウムの手がかりを得るべく、ギアーデ連邦とロア=グレキア連合王国の協同により、手がかりになるであろうレギオン指揮官機「無慈悲な女王」の鹵獲作戦が立案される。機動打撃群は連邦側の実働部隊として連合王国に派遣され、レーナとシンたちは極寒の異国の地を踏む。そこで、レーナらは連合王国第5王子ヴィークトル・イグナロークと、死者の脳構造を制御系に用いたヒューマノイド「シリン」と対面する。
- 作戦が始動した直後、高機動型をはじめとするレギオン軽機甲部隊が電磁射出型によって空挺投入され、作戦司令部が置かれるレーヴィチ要塞基地はレーナらが立て籠もった地下の一部を除いて陥落する。
- シンたち作戦部隊は反転してレーヴィチ要塞基地の奪還を目指すが、天然の要塞を更に堅固にしたレーヴィチ要塞基地の攻略は困難を極め、籠城した司令部も、補給の乏しいシンたち攻略部隊も限界が近づいていた。そこで、ヴィーカはシリンと彼女らが駆るフェルドレス「アルカノスト」を突撃させ、その残骸をレーヴィチ要塞基地への到達を阻む空堀を越える足場とする。人間と酷似した見た目のシリンが、笑いながら次々と深い谷へ身を投じていくさまにエイティシックスたちは戦慄するが、それにより攻略部隊は要塞基地内への進出に成功し、巧みな連携と待ち伏せにより高機動型も撃破、要塞基地を奪還する。
- 明けねばこそ夜は永く(Ep.6)
- 最後には死ぬと分かっていながらも戦い抜くことこそを誇りとしていたエイティシックスたちは、先の作戦でのシリンたちの狂気的な姿と自分たちのあり方を重ねてしまい苦悩する。シンも自身のあり方について思い悩み続け、戦闘中にさえ一瞬気を取られた結果、重戦車型の攻撃を受け負傷してしまう。しかしそれでもシンは頑なに自身の悩みを打ち明けようとせず、自分では頼りにならないのかとレーナは思わず涙し、シンの病室から走り去った。
- シンとレーナがすれ違い続ける中、連合王国が対峙するレギオンの拠点である竜牙大山の攻略作戦が始動する。一方、高機動型はレギオンの指揮系統から外れ、単独でシンを狙っていた。当初はシンがいる可能性のある場所として発令所周辺を単独で襲撃したが、シンの不在に気づくとすぐに竜牙大山に向かう。スピアヘッド戦隊に遅いかかかった高機動型はシンを部隊から分断し、シンに一騎打ちを挑む。超高機動戦への適応の末に恐竜の、あるいは人間に似た形状になった高機動型との激戦の末、シンは高機動型を溶岩に突き落として撃破することに成功する。しかし戦闘の余波により、シンはレギンレイヴの冷却系が追いつかないほどの高温環境に閉じ込められ、死を覚悟する。そこに突如「無慈悲な女王」が現れ、それを追ってきたエイティシックスたちによりシンは救助された。
- 戦いの中でシンとレーナは、互いにあり方が隔絶していても、それを受け入れたうえで互いに歩み寄っていくことを決意し、作戦の後に再会した二人は、屈託なく笑い合うのだった。
- ミスト(Ep.7)
- 竜牙大山攻略作戦において鹵獲された「無慈悲な女王」の調査と尋問は第三国であるヴァルト盟約同盟で行われることとなり、連合王国と機動打撃群の面々は休暇を兼ねて盟約同盟を訪れる。エイティシックスたちは久しぶりの平穏に思い切り羽を伸ばす。その一方で彼らは、互いに好意を抱いているのが明らかにも関わらず一向に関係が進展しないシンとレーナにやきもきし、結託して二人の仲を後押ししようとする。
- 一方、シンはレギオンの声を聞くことのできる異能者として「無慈悲な女王」の尋問に協力していた。あらゆる尋問に対し沈黙を貫いていた「無慈悲な女王」だったが、シンが丸腰で彼女の前に身を晒すとついにその口を開く。シンとの問答の末「無慈悲な女王」が告げたのは、全レギオンの停止方法であった。しかしそれには、すでに滅亡したギアーデ帝室の遺伝子照合が必要であり、やっと見つけた勝利の鍵がすでに失われていたという事実に皆落胆する。しかし、機動打撃群のマスコットのフレデリカが実はギアーデ帝国最後の女帝であることを知るシンは、その事実が知れ渡ったときに彼女がどうなってしまうのかを案じて無言を貫いた。
- 盟約同盟での最後の夜、礼儀作法の講習を兼ねたパーティーが開催され、エイティシックスたちはめいめいに華麗に着飾る。シンはレーナをテラスに連れ出し、そこでついに自らの想いを告白する。しかし感極まったレーナはそれに返答する前にキスをしてしまい、一瞬の後に自身の行いに気づいたレーナは恥ずかしさのあまり、告白の返事もせずに逃げてしまうのだった。
- ガンスモーク・オン・ザ・ウォーター(Ep.8)
- 新たに確認された電磁加速砲型撃破のため、機動打撃群はレグキード征海船団国群へと派遣され、エイティシックスたちは作戦開始までの間、初めて見る海で思い思いに遊び回る。しかし未だ自身のあり方について考えられずにいる者たちと、前に進むことを選択した者たちの間で、エイティシックスたちの中には小さな断絶が生まれつつあった。
- 1ヶ月の間待ち望んだ嵐が到来し、船団国群に残存する主力艦全てをかき集め結成された合同艦隊「オーファン・フリート」は出港する。海上要塞「魔天貝楼」に陣取った電磁加速砲型の元に辿り着くまでの7時間を旗艦「ステラマリス」以外の全艦が囮となることで凌ぎ、オーファン・フリートはたった4隻になりながらも魔天貝楼に到達した。
- ステラマリスに輸送された機動打撃群は摩天貝楼に上陸し、狭い足場と光学迷彩を使用するレギオンに苦戦しながらも電磁加速砲型を追い詰めていくが、突如現れた原生海獣の攻撃により電磁加速砲型は一瞬のうちに沈黙する。その直後、海中から800mmレールガンを2門搭載した超巨大な艦船型のレギオン「電磁砲艦型」が現れる。同時に現れた高機動型の奇襲を受けてシンは海中に落下し、レーナやスピアヘッド戦隊の面々は一様に激しく動揺する。その動揺を隠せずにいながらもセオは単身で電磁砲艦型に飛び移り、後を追ってきたライデン、アンジュやブリジンガメン戦隊とともに、電磁砲艦型艦上の砲塔群の排除を開始した。
- 電磁砲艦型に斬り込んだレギンレイヴはセオ以外全機が振り落とされながらも機動打撃群はその武装を破壊することに成功する。しかし、制御中枢が生き残った電磁砲艦型は海中に潜航して逃去してしまう。そして、その身を挺して電磁砲艦型の最後の砲撃を阻止したセオは、コクピットに飛び込んだ砲弾片によって左手を失ってしまっていた。
- ヴァルキリィ・ハズ・ランデッド(Ep.9)
- 電磁砲艦型との激闘は機動打撃群に大きな犠牲を与え、シンやシデンでさえも動揺を隠せない。しかし電磁砲艦型が生き残っている現在、連邦軍に彼らを慮る余裕はなく、電磁砲艦型の逃走先の可能性があるレギオンの拠点全てを同時急襲する作戦が立案される。その一環として、シンたち第1機甲グループは大陸の西の果てに位置する「狂国」、ノイリャナルセ聖教国に派遣される。
- 機動打撃群は、大貴族の私兵である義勇機甲連隊ミルメコレオと、聖教国軍第3機甲軍団シガ=トゥラと協同し、電磁砲艦型が融合したと思しき新型レギオン「攻性工廠型」の排除作戦を行う。機動打撃群の空挺部隊が攻性工廠型を機能停止に追い込み、後は連邦軍が開発した試作レールガン「トラオアシュヴァーン」の射撃により破壊するのみとなったとき、突如として聖教国軍が連邦軍に刃を向ける。レーナたち旅団本隊は聖教国軍に包囲されるが、未だ攻性工廠型が健在である段階で行われた聖教国にとってあまりに利益の少ない裏切りに、レーナは違和感を覚える。
- レーナの感じた違和感の通り、聖教国は連邦を裏切ったわけではなかった。第3機甲軍団長のヒェルナは、かつて「家族全員をレギオンに奪われた悲憤を胸に戦う聖女」に仕立て上げるため家族全員を見捨てられ、その死を無線越しに耳にさせられていた。それでも神に与えられた運命に縋って戦い続けてきたヒェルナだったが、戦士階級「神戟」の払底により、聖教国がこれまで教義のために行ってこなかった教徒からの徴兵を決定すると、教えのために自分からすべてを奪った聖教国が命惜しさのために教えを捨てたことに失望。聖教国の裏切りを演出して他国からの支援を断ち聖教国を滅ぼすため、ヒェルナは単独でこの凶行に及んだのだった。
- しかし、聖教国への警戒から存在が伝えられていなかった知覚同調により連邦軍は聖教国との接触に成功。機動打撃群も攻性工廠型の撃破に成功し、ヒェルナの企みは潰えた。
- フラグメンタル・ネオテニー(Ep.10)
- シンが如何にしてエイティシックスたちの「死神」となったのかを描く短編シリーズ「フラグメンタル・ネオテニー」をはじめとする短編10編を収録。
- フラグメンタル・ネオテニー〈Pledge〉
- 11歳のシンは、新兵として東部戦線第35戦区第1戦隊“ハルバード”に配属される。そこの戦隊長であるアリス・アライシュはシンたち戦隊員と、金属片で作った墓標を最後に生き残った者が連れていこうと約束し、首の傷痕にトラウマを抱えるシンにそれを隠すためのスカーフを贈る。
- フラグメンタル・ネオテニー〈Misericorde〉
- 第5戦区第1戦隊“スティレット”戦隊長のイスカは、戦隊員の中の1人をスケープゴートに仕立て上げることで戦隊の結束を図っていた。帝国貴種の血を引くシンは、格好の的となって多くの嫌がらせを受ける。しかしそのイスカもある戦いで瀕死の重傷を負い、やってきたシンに拳銃の使い方と心構えを教え、シンによって介錯される。
- フラグメンタル・ネオテニー〈Varlet〉
- 戦隊がシンを残し全滅した戦闘の後、シンは擱座したスカベンジャーを見つける。異常に柔軟かつ自由な行動をし、シンに懐いたようなその奇妙なスカベンジャーを、シンは「ファイド」と名付ける。
- フラグメンタル・ネオテニー〈Brand〉
- 戦隊が全滅した後、シンは兄ショーレイの乗機の残骸から、骸骨の騎士を描いた彼のパーソナルマークを持ち帰る。それを見た整備班長のセーヤは、いつも自分以外の戦友を喪っているシンに対する当てつけのように「葬儀屋」(アンダーテイカー)と呼ぶが、シンはそれを自身のパーソナルネームとする。
- フラグメンタル・ネオテニー〈Undertaker〉
- シンはいつしか、「東部戦線の首のない死神」と呼ばれるようになっていた。シンが率いるエイティシックスたちは皆、死んだあともシンに連れて行ってもらえるのだからと、死地に赴くことを恐れていなかった。
- フラグメンタル・ネオテニー〈Culpa〉
- 激昂した兄に絞殺されかけて以来、シンはずっと自分がどうしていればあの事件は起きなかったのかと考え続けていた。アリスがシンにスカーフを贈ったときにかけた言葉が、シンを救う。
- トリアージタグ・ブラックのありふれた日常
- レーナが指揮管制官となる前のスピアヘッド戦隊。戦隊員の死に沈鬱な空気の漂う中、クジョー・ニコはそれを払拭しようと「お月見」を提案するが、当日は生憎の嵐となる。
- レテの畔
- 特別偵察に出てから半月あまり。スピアヘッド戦隊は、渡河するレギオンと嵐を前に立ち往生を余儀なくされていた。嵐が過ぎ去った後、シンたちは風呂の準備のための材料を求めて旧帝国領の街を訪れる。
- ファイド
- レギオン戦争が勃発する前、ある人工知能が開発される。製作者の息子に「ファイド」と名付けられたその人工知能は、エイティシックスたちの強制収容の後、戦場に連れ去られた製作者一家を探すため、自身の全データを「スカベンジャー」に移行して戦場を探し回る。
- 優しかった世界
- 完全自律型戦闘機械「ケイナイン」の開発に成功し、有色種の強制収容も行われなかったサンマグノリア共和国。レーナとアネット、そしてシンは、戦時でありながらも平和を謳歌していた。
- ディエス・パシオニス(Ep.11)
- 聖教国での作戦で鹵獲されたレギオン指揮官機の制御中枢、そこから連邦が得た情報の中には、レギオンへの停止信号発信の拠点となる帝国の秘匿司令部の位置情報も含まれていた。そこを奪取するための反攻作戦が計画され、人類の反撃が始まろうとしていたその時、レギオンによる大攻勢が再び始まる。
- マスドライバーを使用して打ち上げられた弾道ミサイルによる攻撃と先の大攻勢を優に上回る規模での攻勢に、すべての国家の前線が大きく後退。船団国群は最終防衛線を失陥し、聖教国をはじめとするいくつかの国との通信も途絶する。そんな中、機動打撃群は共和国に取り残された連邦の救援派遣軍の撤退支援、そして共和国全市民の避難支援のため、再び共和国に派遣されることとなる。
- 祖国を捨てなければならない状況下にあっても不平不満の尽きない共和国市民はよそに、共和国市民の避難は順調に進む。しかしその途中で現れたレギオンは、機動打撃群よりも共和国避難民に襲い掛かり始める。機甲兵器としては弱体化してまで対人戦闘に特化したそのレギオンたちは、大攻勢の際に「羊飼い」となって共和国に復讐することを選んだエイティシックスたちの群れだった。
- 再び共和国85行政区内に侵入したレギオンの群れに避難民たちは恐慌状態に陥り、救援派遣軍司令官のリヒャルト・アルトナー少将は共和国市民の避難支援の打ち切りと、連邦軍残存部隊の撤退開始を決定する。撤退を開始した機動打撃群だったが、その途中、砲撃で破断されたレールを前に避難民を乗せた最後の列車が立ち往生していた。そして、戦場に取り残された共和国市民を追撃するレギオンの存在をシンの異能が感知する。リヒャルトは、未来の連邦の外交的地位のため、連邦に共和国市民を見捨てたという汚名を着せぬため、本部連隊を直卒し、追撃してくるレギオンに対して決死の遅滞戦闘を展開する。リヒャルトたちの犠牲のもと、連邦軍部隊と最後の避難民は無事に連邦にたどり着いたのだった。
大統領部隊表彰
大統領部隊表彰 대통령 부대 표창 | |
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大韓民国大統領による賞 | |
種別 | 部隊勲章 |
受章資格 | 朝鮮戦争において国連軍の一部として韓国の防衛に参加した部隊を含む、韓国軍および外国軍部隊 |
受章条件 | 韓国への卓越した貢献 |
状態 | 現行 |
大統領部隊表彰 (朝鮮語: -대통령 부대 표창) は、国防に関して卓越した貢献をした部隊に授与される、大韓民国の勲章。朝鮮戦争中の国連軍への貢献を鑑み、戦争中には全アメリカ軍部隊に大統領部隊表彰を受賞することが認められた。
公式には、「大統領部隊表彰」という名の勲章は存在しない。これは地方政府、軍部隊、病院などに授与される「大統領表彰」の一形態である。
着用形式
大統領部隊表彰は、韓国軍の制服では右胸に着用される。記章は幅35 mmで、金色のフレームで囲まれている。記章は白地で、中央に直径6 mmの太極模様が配されており、その両端には5 mmのハンター・グリーン、0.4 mmの白、0.4 mmのオールドグローリーレッド、0.4 mmの白、0.4 mmのハンターグリーンで構成されたストライブが配されている。この記章は追加のデバイスの着用が許可されていないが、朝鮮戦争退役軍人の写真の中には銅星を付けた例も見られる。
大統領部隊表彰を授与された外国軍人は、制服の右側 (例: アメリカ陸軍) あるいは左側 (例: アメリカ海兵隊、アメリカ沿岸警備隊、アメリカ空軍) に、他の勲章の略綬とともに着用される。
著名な受章部隊
朝鮮戦争
- 第1海兵師団 (アメリカ海兵隊) - 1950年10月26日から1953年7月27日にかけての、仁川上陸作戦、第2次ソウルの戦い、長津湖の戦いを含む作戦行動に対して
- 第58架橋工兵中隊[訳語疑問点] - 仁川上陸作戦、長津湖の戦いにおける第X軍団での架橋作戦実施に対して
- 第7歩兵師団 (アメリカ陸軍) - 3回受章している。最初は仁川上陸作戦で、2回目は1950年から1953年にかけての貢献に対して、3回目は朝鮮半島への1945年から1948年、1953年から1971年までに渡る駐屯に対して。
- 国連軍フランス大隊 - 米第23歩兵連隊麾下で2回受章
- イタリア赤十字軍団第68野戦病院
- トルコ旅団 - クムヤンジャンニの戦いにおいて、自軍の3倍の規模の中国軍を撃退した功績に対して
- 第65歩兵連隊 (アメリカ軍) - 2回受章している。1回目は議政府の戦いでの功績に対し、2回目は717高地の「鉄の三角地帯 (Iron Triangle )」と呼ばれる地域での功績に対して
- 第2飛行隊 (南アフリカ空軍) - 「この部隊は朝鮮半島の国連軍を支援するため南アフリカから派遣された。P-51を装備したこの部隊は、第8軍の支援を継続的に行った。隊員の勇敢さと献身により高い評価を得てきたが、パイロットの損失は大きかった。割り当てられたすべての任務を快くこなし続け、通常期待される以上のパフォーマンスを発揮している。」
- 第16野砲兵連隊 (ニュージーランド陸軍)
アメリカ空軍の装備品一覧
弾薬
火器
航空機
陸上車両
名称 | 画像 | 種別 |
---|---|---|
HMMWV | 装甲車 | |
R-5 | 給油車 | |
R-9 | 給油車 | |
R-11 | 給油車 | |
C300 | 給油車 |
制服
名称 | 画像 | 備考 |
---|---|---|
ACU | OCPを使用。ABUは2021年4月に退役した。 | |
フライトスーツ | 航空機搭乗員、ミサイル部隊所属兵はノーメックス製のオリーブグリーンまたはデザートタンの防火飛行服を着用する。 |
エイブル・アーチャー83
エイブル・アーチャー83(英語: Able Archer 83)は、1983年11月にNATOがヨーロッパで行った、核戦争の勃発を想定した軍事演習である。
概要
エイブル・アーチャー演習はNATO軍によって毎年行われる軍事演習であり、その目的はNATOとワルシャワ条約機構との緊張がエスカレーションし、アメリカがデフコン1を宣言して核攻撃を行う状況をシミュレーションすることであった。11月7日から5日間に渡って開催された1983年のエイブル・アーチャー演習は西ヨーロッパ全域のNATO軍司令部が参加し、ベルギーのモンス郊外に所在する欧州連合軍最高司令部(SHAPE)で統括された。この演習では前年までに見られなかった新しい要素が導入された。新しい型式の暗号通信、無線封止、政府首脳の参加などである。これらの要素は演習の現実味を増し、ヨーロッパへのパーシングII弾道ミサイルの配備予定と相まって、ソ連共産党政治局や軍司令部の一部がエイブル・アーチャー83が実際の核攻撃の予兆を隠蔽するための偽装であると信じるに至った。そのため、ソ連は核戦力や東ドイツ・ポーランドの航空戦力を臨戦態勢に置いた。核戦争の脅威は、アメリカ軍のレナード・H・ペルーツ中将がワルシャワ条約機構の軍事行動に反応しないよう助言し、演習が11月11日に終了したことで収束した。
この演習は、大統領情報活動諮問会議の1990年の報告書が2015年に機密解除されたことで注目を集めた。一部の学者は、エイブル・アーチャー83がキューバ危機以来最大の核戦争の危機であったと主張している。一方、そのような見解に異議を唱える学者も少なくない。
背景
RYAN作戦
エイブル・アーチャー83に関する核戦争の危機の最大の原因は、この演習の2年以上前に遡る。1981年5月に開催されたKGB高官とソ連首脳部の秘密会議において、ソ連共産党書記長レオニード・ブレジネフとKGB議長ユーリ・アンドロポフはアメリカがソ連への核攻撃準備を行っていると端的に述べた。
この脅威に対抗するため、アンドロポフはKGBとGRUの対外諜報部門がRYAN作戦を開始すると宣言した。RYANとはロシア語で「核攻撃」を意味する"Raketno Yadernoe Napadenie "の略であり、これはソ連史上最大かつ最も包括的な平時の諜報作戦だった。この作戦の下、諜報員たちは核攻撃の決定を下す指導者、攻撃を実行する技術者や軍関係者、核施設の監視を任務とした。RYAN作戦の目的は、核攻撃の予兆を察知し、それを未然に防ぐことであった可能性がある。
RYAN作戦が実施されたきっかけは不明である。KGB出身の亡命者の中で最も階級の高かったオレグ・ゴルジエフスキーは、RYAN作戦を「レーガンの攻撃的な言動とソ連のパラノイアの致命的な組み合わせ」によるものだと述べている。彼はブレジネフとアンドロポフを「非常に古い価値観を持ち、共産主義の教義に非常に影響されやすい」と評し、「レーガンが核のボタンを押し、ソ連を文字通り「歴史のゴミ箱に打ち捨てる」と信じていたと推測している。
CIAの歴史家ベンジャミン・フィッシャーは、RYAN作戦の誕生のきっかけとなったであろういくつかの出来事を指摘している。その一つが、レーガン政権が発足直後に開始した心理作戦(PSYOP)である。フィッシャーによると、別の情報源はゴルジエフスキーの証言を部分的に裏付けている。RYAN作戦にKGBと共に関与していたチェコスロヴァキアの諜報将校は、「ソ連の諜報員たちは1941年と1983年の歴史的類似性に固執していた」と述べた。彼はこの感情は「理性的なものではなく、本能的なもの」であり、ソ連の思考に深く影響を与えていたと考えていた。
心理作戦
アメリカによる心理作戦は1981年2月中旬に始まり、1983年まで断続的に続けられた。これには北極圏と極東ロシアのソ連領海に秘密裏に侵入する一連の作戦が含まれており、NATO軍艦船がソ連の軍事基地にどれだけ接近できるかを示すものだった。1981年、アメリカ、イギリス、カナダ、ノルウェーの海軍艦船83隻は空母ドワイト・D・アイゼンハワーを旗艦としてGIUKギャップを秘密裏に通過した。艦隊はソ連のレーダーや偵察衛星に探知されることなくコラ半島に到達した。この他にもバレンツ海、ノルウェー海、黒海、バルト海で同様の作戦が実施されており、クリミア半島沖にはアメリカの情報収集船が定期的に配備されていた。さらに、アメリカ空軍の爆撃機はソ連領空に直接飛び、領空侵犯直前で引き返すという飛行を実施していた。この行動は週に数度行なわれ、ソ連防空網の脆弱性を試験し、アメリカの核戦争能力を誇示する狙いがあった。
「これは本当に彼らに堪えた」と語るのは、元国務次官補(軍事援助・技術担当)のウィリアム・シュナイダー・ジュニアである。彼は、アメリカの飛行活動に関する機密の「事後報告書」を見た人物である。「ソ連はこの飛行が何を意味するのか全くわからなかった。編隊がソ連領空に真っ直ぐ飛んできて、ソ連のレーダーが次々とそれを捉え、部隊は警戒態勢に入る。そして、最後の瞬間に編隊は急旋回して帰還する、ということが繰り返されたのだ」
フリートEx83
1983年4月、アメリカ太平洋艦隊はフリートEx83と呼ばれる最大規模の軍事演習を北太平洋で実施した。この演習には薬40隻の艦艇、300機の航空機、23000人の人員が参加し、史上最も強力な艦隊が結成されたとも言われた。艦隊はアリューシャン列島からカムチャッカ半島に向けて反時計回りに移動し、ソ連を挑発した。これにより、アメリカ海軍情報局はソ連レーダー、航空機の性能や戦術の情報を研究することが可能となった。また、艦隊はペトロパブロフスク・カムチャツキーを母港とするソ連原潜の活動海域で活動した。4月4日には、エンタープライズとミッドウェイ搭載のF-14トムキャットが最低でも6機、千島列島の志発島にあるソ連の軍事基地上空を飛行し、模擬爆撃を実施した。これに対し、ソ連は報復措置としてアリューシャン列島上空の飛行を命令し、アメリカがソ連の領空を繰り返し侵犯したとして正式な抗議を行った。
アメリカ合衆国上院軍事委員会の公聴会で、海軍作戦部長ジェームズ・ワトキンス大将は(カムチャッカ半島において)「ソ連は丸裸の小鳥のようだ。彼らもそれを自覚している」とと述べている。
大韓航空機撃墜事件
1983年9月1日、大韓航空007便はソ連の領空を侵犯したために日本海、海馬島付近でSu-15に撃墜された。乗員乗客269人全員が死亡し、その中にはジョージア州選出の下院議員で、反共団体のジョン・バーチ・ソサエティ理事であるラリー・マクドナルドも含まれていた。
軍備増強
ロナルド・レーガン政権は発足当初からソ連に対し強硬姿勢をとり、ソ連の戦略的・軍事的能力を大幅に制限することを目指した。政権のこの姿勢により、アメリカ史上最大の平時の軍備増強が行なわれ、冷戦期最後の米ソ両国による非難の応酬が繰り広げられた。1982年6月8日、レーガン大統領はイギリス庶民院にて演説し、その中で「自由と民主主義により、マルクス主義とレーニン主義は歴史のゴミ箱に打ち捨てられるでしょう」と述べた。
1983年3月23日、レーガン大統領は戦略防衛構想(SDI)を打ち出した。スター・ウォーズ計画と通称されたこの計画により、レーガンは核戦争の脅威から世界を守るセーフティーネットを構築しようとしたが、ソ連首脳はこれをデタント時代の戦力均衡を崩し、宇宙空間にまで軍拡競争を拡大させる試みであると捉えた。ブレジネフの後継としてソ連共産党書記長となったユーリ・アンドロポフは、「いかにして核戦争を引き起こし、それに勝利するかという新たな計画を構想している」とレーガンを批判した。
SDIに対するソ連の批判にかかわらずアメリカは軍備増強を進めた。エイブル・アーチャー83の際にソ連首脳が最も脅威に感じていたのは、NATOが計画していた、パーシングII弾道ミサイルの西ヨーロッパへの配備だった。このミサイルは、ソ連が西部国境沿いに配備していた中距離弾道ミサイルRSD-10パイオニアへの対抗として配備される計画だった。しかし、パーシングIIはソ連のミサイルサイロや指揮管制施設などを破壊する能力を有していた。さらにパーシングIIは移動可能であり、どの発射地点からも短時間で発射でき、加えて修正機能付きの誘導装置を備えていたために、このミサイルは先制攻撃能力を持つと考えられた。その上、西ドイツにパーシングIIが配備された場合、ソ連領内に6分以内に着弾すると推測された。パーシングIIのこれらの能力は、ソ連首脳にパーシングIIから生き延びる方法は先制攻撃のみであると考えさせるに至った。CIAの歴史家ベンジャミン・フィッシャーは、「パーシングIIによる奇襲攻撃の恐怖」がRYAN作戦と直接結びついたとしている。
ミサイル早期警戒システム誤報事件
1983年9月26日よる、ソ連のミサイル早期警戒衛星、コードネーム"Oko"がアメリカ領内からの大陸間弾道ミサイル1発の発射を告げた。その日当直に就いていたスタニスラフ・ペトロフ防空軍中佐は、地上の早期警戒システムがミサイル発射の兆候を検知していないことからこの警報を誤報であると断定した。彼がこの決断を下した理由としては、このシステムは新しく、以前にも誤作動を起こしたことを知っていたこと、本当にアメリカが全面核戦争を仕掛けてくるなら1発ではなく数千発のミサイルが飛来するだろうと思ったことなどがあった。その後再びシステムは数発のミサイルの飛来を検知したが、いずれもペトロフは誤報だとして無視した。
後の調査によって、システムが実際に誤作動を起こしていたことが明らかになった。誤報の原因は、監視衛星の軌道下にあった高高度の雲に太陽光が特定の角度で反射するという稀な条件が原因であった。
エイブル・アーチャー83演習
NATOが発表したシナリオには、エイブル・アーチャー演習に至るまでのシナリオが詳細に記されており、これはアメリカ統合参謀本部とイギリス国防省で使用された。演習では、NATOを表す「ブルー」勢力とワルシャワ条約機構を表す「オレンジ」勢力が設定された。シナリオでは、ユーゴスラビアがブルー勢力に転換した後シリア、南イエメン、イランでの代理戦争が激化。オレンジ勢力がフィンランド、ノルウェー、西ドイツに侵攻することが想定されていた。欧州連合軍最高司令部のグレゴリー・ペドロウ博士は、このシナリオを以下のように説明している。
演習シナリオは、11月4日(演習開始の3日前)にオレンジ軍(仮想敵)がヨーロッパ全域で戦闘を開始し、ブルー(NATO)が全面警戒を宣言するところから始まった。オレンジ軍は 11月6日に化学兵器の使用を開始し、同日中にはヨーロッパ全域で化学兵器を使用する。これらの出来事は演習が開始される前に発生したものとされ、単なるシナリオの一部だった。つまり、演習開始前の3日間で戦闘は始まっており、状況は悪化していた。このように設定された理由は、この演習の目的が通常戦から核戦争への移行プロセスをテストすることだったからである。オレンジ軍の前進、化学兵器の執拗な使用、第二梯団の迅速な投入により、欧州連合軍最高司令官は早くも演習1日目(1983年11月7日)に核兵器使用の政治的判断を求めた。
こうして、1983年11月7日、ソ連の諜報機関が核戦争の兆候を早期に検知しようとしているなかでNATOは演習を開始した。エイブル・アーチャーと名付けられたこの演習では、核戦争における統制プロセスがシミュレーションされた。しかし、当時の世界情勢や演習の特段リアルな内容から、一部のソ連首脳はこれが現実の核攻撃のぎそうであることを疑った。2月17日に発信したKGBの電報では、以下のようなシナリオが記されている。
ステート・オレンジ(36時間以内の核攻撃)に係る措置は可能な限り短時間で秘密裏に(演習や訓練などの名目で)行なわれなければならないことを鑑みると、戦闘警報システムは平時に奇襲的に核攻撃を行うために使用される可能性が高い。
また2月17日、KGB常駐作戦部はそのエージェントに対し、核攻撃の可能性を示すいくつかの兆候を監視するように命じた。それには「RYAN作戦に関する準備と実行に係る幹部、技術要員、RYAN作戦に関する決定の処理と実行に係る施設の人員、そしてそれらの施設の運用と連携に従事する通信スタッフ」が含まれていた。
エイブル・アーチャー83演習が実際の核攻撃を想定していたため、文書に記載されている人員は演習中 積極的に活動していた可能性が高い。より顕著だったのは、イギリス首相マーガレット・サッチャーと西ドイツ首相ヘルムート・コールが(同時にではないにせよ)演習に参加したことである。アメリカ大統領ロナルド・レーガン、副大統領ジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官キャスパー・ワインバーガーも参加する予定であった。
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