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TS衛生兵さんの戦場日記 | |
---|---|
ジャンル | ファンタジー・戦記 |
小説 | |
著者 | まさきたま |
イラスト | クレタ |
出版社 | KADOKAWA |
掲載サイト | ハーメルン・小説家になろう |
レーベル | ファミ通文庫 |
発行日 | 2023年7月29日 - |
連載期間 | 2021年12月14日 - 2024年10月30日 |
巻数 | 4 |
話数 | 207 |
漫画 | |
原作・原案など | まさきたま |
作画 | 耳式 |
出版社 | KADOKAWA |
掲載サイト | 電撃コミックレグルス |
レーベル | 電撃コミックスNEXT |
発表期間 | 2023年8月25日 - |
巻数 | 2 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 文学・漫画 |
TS衛生兵さんの戦場日記は、まさきたまによる日本のライトノベル、及びそれを原作とする漫画。小説投稿サイトハーメルンや小説家になろうで連載され、ファミ通文庫より2023年7月に書籍化された。電撃コミックスNEXTにて漫画版も発売されている。
概要
編集2021年12月、ハーメルンにて『TS衛生兵さんの成り上がり』というタイトルで連載開始。2023年1月より小説家になろうでも連載を開始し、2024年10月に本編が完結。2023年7月よりファミ通文庫にて書籍版が出版されている。書籍化の際、第1巻の内容には「成り上がり」要素が少ないという理由からタイトルを『TS衛生兵さんの戦場日記』に変更した。2023年8月より、電撃コミックレグルスにてコミカライズ版が連載、2024年2月には電撃コミックスNEXTよりコミカライズ版の単行本が出版されている。
「次にくるライトノベル大賞2023」にて単行本部門1位を獲得している。
あらすじ
編集- Ep.1
- 星歴2148年。サンマグノリア共和国は隣国ギアーデ帝国が投入した完全自律型無人兵器「レギオン」の侵攻に対し、同様の無人兵器「ジャガーノート」を投入。流血無き戦場を作り上げる事でその脅威を退けていた。しかし、その実態は多数派民族である白系種以外を人間と見做さない狂気の差別思想から生み出された「有人搭乗式無人機」だった。強制収容所に送り込まれ、レギオンとの戦闘を強制された有色種たちは、共和国85行政区の外へ追いやられた人型の家畜「エイティシックス」と蔑まれながら、絶死の戦場を戦い続けていたのだ。
- そんな中、白系種でありながら軍内で差別政策撤廃の活動を行う士官ヴラディレーナ・ミリーゼは「死神」と呼ばれるエイティシックス、シンエイ・ノウゼン率いるスピアヘッド戦隊の指揮管制を任されることととなる。彼らとの交流の中、レーナはシンが「死神」と呼ばれる所以を知る。シンは、レギオンがその中枢神経系の自壊を回避するべく取り込んだ死者の脳構造から発される絶叫を聞く能力を有していたのだ。当初はエイティシックスたちから一線を置かれていたレーナだったが、シンの異能を通してレギオンの叫喚を聞いた後も交流を辞めなかったことから、少しずつエイティシックスたちに認められていく。
- 過酷な戦いは続き、消耗しきったスピアヘッド戦隊はついに定数の半数を割り込むが、レーナが何度要請しようと補充は行われない。それに憤るレーナに、シンはある事実を伝える。激戦区を次々転戦させられ、それでも生き延びた歴戦のエイティシックスを処分するための「特別偵察」。最後まで生き残ったスピアヘッド戦隊のシンとライデン・シュガ、セオト・リッカ、アンジュ・エマ、クレナ・ククミラの5人は、絶死の戦場に旅立っていった。
- ラン・スルー・ザ・バトルフロント(Ep.2, Ep.3)
- 生存を想定されていないはずの特別偵察に旅立ったスピアヘッド戦隊の5人は、ギアーデ連邦に保護されて生き延びていた。養父となったギアーデ連邦暫定大統領エルンスト・ツィマーマンの意向もあり、5人は連邦の平和な社会を体験し、彼の家で暮らす幼い少女フレデリカ・ローゼンフォルトとも交流を深める。しかし自らの居場所は戦場以外にないという意識を固くした5人は、やがて全員が連邦軍への従軍を希望する。
- 特別士官学校を卒業した5人は、連邦が新開発したフェルドレス「レギンレイヴ」を運用する実験部隊ノルトリヒトに配属され、各地を転戦する。そんな中、かねてからシンが予見していたレギオンの大規模攻勢が始まる。シンの異能によりどの部隊よりも早く即応したノルトリヒト戦隊の活躍もあり、連邦軍は辛うじて攻勢を撃退することに成功するが、電磁加速砲型の砲撃によりノルトリヒト戦隊が駐屯していたFOB14は消滅する。
- 時を同じくして、共和国を守る大要塞壁群グラン・ミュールが電磁加速砲型の砲撃により崩壊し、無防備な85区内にレギオンが侵入し始める。シンとの交流の中で大攻勢の予兆を知らされ準備を続けていたレーナは、全てのエイティシックスに対して共和国85区内への結集を要請し、絶望的な防衛戦に身を投じていく。
- 連邦では、現時点で生存が確認された全ての国家の首都を射程に収めることが可能な電磁加速砲型の脅威に対し、ノルトリヒト戦隊が単独で敵中突破したうえでこれを撃破するという作戦が立案される。人類の総力を挙げた陽動作戦の中、地面効果翼機「ナハツェーラー」によって空挺輸送されたノルトリヒト戦隊は電磁加速砲型に接敵し、戦隊全機が行動不能になる苦闘の果てにこれを撃破することに成功する。そして、共和国からの客員士官として連邦軍に派遣されたレーナと元スピアヘッド戦隊の面々は、ついに対面を果たす。
- アンダー・プレッシャー(Ep.4)
- 連邦軍西部方面軍の麾下にノルトリヒト戦隊の面々と、シデン・イーダら共和国防衛戦を生き残ったエイティシックスらによる機動部隊「第86独立機動打撃群(ストライク・パッケージ)」が設立され、レーナはその作戦司令官に就任する。レーナとシンたちは交流を深めるが、その中で段々と86区の劣悪な環境で心が擦り切れてしまったエイティシックスたちとレーナとの隔絶が浮き彫りになっていく。
- 機動打撃群に与えられた初任務は、共和国の旧地下鉄ターミナルに巣食うレギオンの生産拠点、自動工場型と発電プラント型の撃破であった。作戦は当初順調に推移していたが、1個戦隊が正体不明の敵を前に成す術なく全滅し、前線で調査にあたっていたレーナの親友で技術士官のアンリエッタ・ペンローズが拉致され、さらにエイティシックス以外誰もいないはずの戦場に共和国人が生き残っており、作戦は一時的に中止を余儀なくされる。
- それでも作戦は続行されるが、発電プラント型が撃破されると、戦場にいる全てのレギオンが一斉に知性型レギオン「羊飼い」と化す。損傷のない死者の脳構造を転用していた「羊飼い」は、生前の記憶を残しているがゆえに自己同一性の問題から量産が不可能だった。しかし、共和国人を大量に鹵獲したレギオンは、彼らの脳を用いた実験により「羊飼い」の量産方法を会得していたのだ。
- 全てのレギオンが知性化し更に戦闘が苛烈になる中、作戦目標を達成した機動打撃群は撤退を開始する。しかしその最中、シンは吶喊してきた近接猟兵型に吹き飛ばされて下層に落下する。そこで待ち受けていたのは、阻電撹乱型を身に纏い光学迷彩とし、シンでさえ対応できない超高機動とチェインブレードを武器とする新型レギオン「高機動型」であった。シンの乗機アンダテイカーは高機動型により破壊されるが、それを囮にしたシンはアサルトライフルで高機動型を撃破することに成功する。しかし、撃破された高機動型は中枢神経系を構成する流体マイクロマシンを吹き出して人の形を型取り、「さがしにきなさい」とメッセージを残して逃げ去ったのであった。
- 死よ、驕るなかれ(Ep.5)
- 高機動型にメッセージを残したレギオン開発者、ゼレーネ・ビルケンバウムの手がかりを得るべく、ギアーデ連邦とロア=グレキア連合王国の協同により、手がかりになるであろうレギオン指揮官機「無慈悲な女王」の鹵獲作戦が立案される。機動打撃群は連邦側の実働部隊として連合王国に派遣され、レーナとシンたちは極寒の異国の地を踏む。そこで、レーナらは連合王国第5王子ヴィークトル・イグナロークと、死者の脳構造を制御系に用いたヒューマノイド「シリン」と対面する。
- 作戦が始動した直後、高機動型をはじめとするレギオン軽機甲部隊が電磁射出型によって空挺投入され、作戦司令部が置かれるレーヴィチ要塞基地はレーナらが立て籠もった地下の一部を除いて陥落する。
- シンたち作戦部隊は反転してレーヴィチ要塞基地の奪還を目指すが、天然の要塞を更に堅固にしたレーヴィチ要塞基地の攻略は困難を極め、籠城した司令部も、補給の乏しいシンたち攻略部隊も限界が近づいていた。そこで、ヴィーカはシリンと彼女らが駆るフェルドレス「アルカノスト」を突撃させ、その残骸をレーヴィチ要塞基地への到達を阻む空堀を越える足場とする。人間と酷似した見た目のシリンが、笑いながら次々と深い谷へ身を投じていくさまにエイティシックスたちは戦慄するが、それにより攻略部隊は要塞基地内への進出に成功し、巧みな連携と待ち伏せにより高機動型も撃破、要塞基地を奪還する。
- 明けねばこそ夜は永く(Ep.6)
- 最後には死ぬと分かっていながらも戦い抜くことこそを誇りとしていたエイティシックスたちは、先の作戦でのシリンたちの狂気的な姿と自分たちのあり方を重ねてしまい苦悩する。シンも自身のあり方について思い悩み続け、戦闘中にさえ一瞬気を取られた結果、重戦車型の攻撃を受け負傷してしまう。しかしそれでもシンは頑なに自身の悩みを打ち明けようとせず、自分では頼りにならないのかとレーナは思わず涙し、シンの病室から走り去った。
- シンとレーナがすれ違い続ける中、連合王国が対峙するレギオンの拠点である竜牙大山の攻略作戦が始動する。一方、高機動型はレギオンの指揮系統から外れ、単独でシンを狙っていた。当初はシンがいる可能性のある場所として発令所周辺を単独で襲撃したが、シンの不在に気づくとすぐに竜牙大山に向かう。スピアヘッド戦隊に遅いかかかった高機動型はシンを部隊から分断し、シンに一騎打ちを挑む。超高機動戦への適応の末に恐竜の、あるいは人間に似た形状になった高機動型との激戦の末、シンは高機動型を溶岩に突き落として撃破することに成功する。しかし戦闘の余波により、シンはレギンレイヴの冷却系が追いつかないほどの高温環境に閉じ込められ、死を覚悟する。そこに突如「無慈悲な女王」が現れ、それを追ってきたエイティシックスたちによりシンは救助された。
- 戦いの中でシンとレーナは、互いにあり方が隔絶していても、それを受け入れたうえで互いに歩み寄っていくことを決意し、作戦の後に再会した二人は、屈託なく笑い合うのだった。
- ミスト(Ep.7)
- 竜牙大山攻略作戦において鹵獲された「無慈悲な女王」の調査と尋問は第三国であるヴァルト盟約同盟で行われることとなり、連合王国と機動打撃群の面々は休暇を兼ねて盟約同盟を訪れる。エイティシックスたちは久しぶりの平穏に思い切り羽を伸ばす。その一方で彼らは、互いに好意を抱いているのが明らかにも関わらず一向に関係が進展しないシンとレーナにやきもきし、結託して二人の仲を後押ししようとする。
- 一方、シンはレギオンの声を聞くことのできる異能者として「無慈悲な女王」の尋問に協力していた。あらゆる尋問に対し沈黙を貫いていた「無慈悲な女王」だったが、シンが丸腰で彼女の前に身を晒すとついにその口を開く。シンとの問答の末「無慈悲な女王」が告げたのは、全レギオンの停止方法であった。しかしそれには、すでに滅亡したギアーデ帝室の遺伝子照合が必要であり、やっと見つけた勝利の鍵がすでに失われていたという事実に皆落胆する。しかし、機動打撃群のマスコットのフレデリカが実はギアーデ帝国最後の女帝であることを知るシンは、その事実が知れ渡ったときに彼女がどうなってしまうのかを案じて無言を貫いた。
- 盟約同盟での最後の夜、礼儀作法の講習を兼ねたパーティーが開催され、エイティシックスたちはめいめいに華麗に着飾る。シンはレーナをテラスに連れ出し、そこでついに自らの想いを告白する。しかし感極まったレーナはそれに返答する前にキスをしてしまい、一瞬の後に自身の行いに気づいたレーナは恥ずかしさのあまり、告白の返事もせずに逃げてしまうのだった。
- ガンスモーク・オン・ザ・ウォーター(Ep.8)
- 新たに確認された電磁加速砲型撃破のため、機動打撃群はレグキード征海船団国群へと派遣され、エイティシックスたちは作戦開始までの間、初めて見る海で思い思いに遊び回る。しかし未だ自身のあり方について考えられずにいる者たちと、前に進むことを選択した者たちの間で、エイティシックスたちの中には小さな断絶が生まれつつあった。
- 1ヶ月の間待ち望んだ嵐が到来し、船団国群に残存する主力艦全てをかき集め結成された合同艦隊「オーファン・フリート」は出港する。海上要塞「魔天貝楼」に陣取った電磁加速砲型の元に辿り着くまでの7時間を旗艦「ステラマリス」以外の全艦が囮となることで凌ぎ、オーファン・フリートはたった4隻になりながらも魔天貝楼に到達した。
- ステラマリスに輸送された機動打撃群は摩天貝楼に上陸し、狭い足場と光学迷彩を使用するレギオンに苦戦しながらも電磁加速砲型を追い詰めていくが、突如現れた原生海獣の攻撃により電磁加速砲型は一瞬のうちに沈黙する。その直後、海中から800mmレールガンを2門搭載した超巨大な艦船型のレギオン「電磁砲艦型」が現れる。同時に現れた高機動型の奇襲を受けてシンは海中に落下し、レーナやスピアヘッド戦隊の面々は一様に激しく動揺する。その動揺を隠せずにいながらもセオは単身で電磁砲艦型に飛び移り、後を追ってきたライデン、アンジュやブリジンガメン戦隊とともに、電磁砲艦型艦上の砲塔群の排除を開始した。
- 電磁砲艦型に斬り込んだレギンレイヴはセオ以外全機が振り落とされながらも機動打撃群はその武装を破壊することに成功する。しかし、制御中枢が生き残った電磁砲艦型は海中に潜航して逃去してしまう。そして、その身を挺して電磁砲艦型の最後の砲撃を阻止したセオは、コクピットに飛び込んだ砲弾片によって左手を失ってしまっていた。
- ヴァルキリィ・ハズ・ランデッド(Ep.9)
- 電磁砲艦型との激闘は機動打撃群に大きな犠牲を与え、シンやシデンでさえも動揺を隠せない。しかし電磁砲艦型が生き残っている現在、連邦軍に彼らを慮る余裕はなく、電磁砲艦型の逃走先の可能性があるレギオンの拠点全てを同時急襲する作戦が立案される。その一環として、シンたち第1機甲グループは大陸の西の果てに位置する「狂国」、ノイリャナルセ聖教国に派遣される。
- 機動打撃群は、大貴族の私兵である義勇機甲連隊ミルメコレオと、聖教国軍第3機甲軍団シガ=トゥラと協同し、電磁砲艦型が融合したと思しき新型レギオン「攻性工廠型」の排除作戦を行う。機動打撃群の空挺部隊が攻性工廠型を機能停止に追い込み、後は連邦軍が開発した試作レールガン「トラオアシュヴァーン」の射撃により破壊するのみとなったとき、突如として聖教国軍が連邦軍に刃を向ける。レーナたち旅団本隊は聖教国軍に包囲されるが、未だ攻性工廠型が健在である段階で行われた聖教国にとってあまりに利益の少ない裏切りに、レーナは違和感を覚える。
- レーナの感じた違和感の通り、聖教国は連邦を裏切ったわけではなかった。第3機甲軍団長のヒェルナは、かつて「家族全員をレギオンに奪われた悲憤を胸に戦う聖女」に仕立て上げるため家族全員を見捨てられ、その死を無線越しに耳にさせられていた。それでも神に与えられた運命に縋って戦い続けてきたヒェルナだったが、戦士階級「神戟」の払底により、聖教国がこれまで教義のために行ってこなかった教徒からの徴兵を決定すると、教えのために自分からすべてを奪った聖教国が命惜しさのために教えを捨てたことに失望。聖教国の裏切りを演出して他国からの支援を断ち聖教国を滅ぼすため、ヒェルナは単独でこの凶行に及んだのだった。
- しかし、聖教国への警戒から存在が伝えられていなかった知覚同調により連邦軍は聖教国との接触に成功。機動打撃群も攻性工廠型の撃破に成功し、ヒェルナの企みは潰えた。
- フラグメンタル・ネオテニー(Ep.10)
- シンが如何にしてエイティシックスたちの「死神」となったのかを描く短編シリーズ「フラグメンタル・ネオテニー」をはじめとする短編10編を収録。
- フラグメンタル・ネオテニー〈Pledge〉
- 11歳のシンは、新兵として東部戦線第35戦区第1戦隊“ハルバード”に配属される。そこの戦隊長であるアリス・アライシュはシンたち戦隊員と、金属片で作った墓標を最後に生き残った者が連れていこうと約束し、首の傷痕にトラウマを抱えるシンにそれを隠すためのスカーフを贈る。
- フラグメンタル・ネオテニー〈Misericorde〉
- 第5戦区第1戦隊“スティレット”戦隊長のイスカは、戦隊員の中の1人をスケープゴートに仕立て上げることで戦隊の結束を図っていた。帝国貴種の血を引くシンは、格好の的となって多くの嫌がらせを受ける。しかしそのイスカもある戦いで瀕死の重傷を負い、やってきたシンに拳銃の使い方と心構えを教え、シンによって介錯される。
- フラグメンタル・ネオテニー〈Varlet〉
- 戦隊がシンを残し全滅した戦闘の後、シンは擱座したスカベンジャーを見つける。異常に柔軟かつ自由な行動をし、シンに懐いたようなその奇妙なスカベンジャーを、シンは「ファイド」と名付ける。
- フラグメンタル・ネオテニー〈Brand〉
- 戦隊が全滅した後、シンは兄ショーレイの乗機の残骸から、骸骨の騎士を描いた彼のパーソナルマークを持ち帰る。それを見た整備班長のセーヤは、いつも自分以外の戦友を喪っているシンに対する当てつけのように「葬儀屋」(アンダーテイカー)と呼ぶが、シンはそれを自身のパーソナルネームとする。
- フラグメンタル・ネオテニー〈Undertaker〉
- シンはいつしか、「東部戦線の首のない死神」と呼ばれるようになっていた。シンが率いるエイティシックスたちは皆、死んだあともシンに連れて行ってもらえるのだからと、死地に赴くことを恐れていなかった。
- フラグメンタル・ネオテニー〈Culpa〉
- 激昂した兄に絞殺されかけて以来、シンはずっと自分がどうしていればあの事件は起きなかったのかと考え続けていた。アリスがシンにスカーフを贈ったときにかけた言葉が、シンを救う。
- トリアージタグ・ブラックのありふれた日常
- レーナが指揮管制官となる前のスピアヘッド戦隊。戦隊員の死に沈鬱な空気の漂う中、クジョー・ニコはそれを払拭しようと「お月見」を提案するが、当日は生憎の嵐となる。
- レテの畔
- 特別偵察に出てから半月あまり。スピアヘッド戦隊は、渡河するレギオンと嵐を前に立ち往生を余儀なくされていた。嵐が過ぎ去った後、シンたちは風呂の準備のための材料を求めて旧帝国領の街を訪れる。
- ファイド
- レギオン戦争が勃発する前、ある人工知能が開発される。製作者の息子に「ファイド」と名付けられたその人工知能は、エイティシックスたちの強制収容の後、戦場に連れ去られた製作者一家を探すため、自身の全データを「スカベンジャー」に移行して戦場を探し回る。
- 優しかった世界
- 完全自律型戦闘機械「ケイナイン」の開発に成功し、有色種の強制収容も行われなかったサンマグノリア共和国。レーナとアネット、そしてシンは、戦時でありながらも平和を謳歌していた。
- ディエス・パシオニス(Ep.11)
- 聖教国での作戦で鹵獲されたレギオン指揮官機の制御中枢、そこから連邦が得た情報の中には、レギオンへの停止信号発信の拠点となる帝国の秘匿司令部の位置情報も含まれていた。そこを奪取するための反攻作戦が計画され、人類の反撃が始まろうとしていたその時、レギオンによる大攻勢が再び始まる。
- マスドライバーを使用して打ち上げられた弾道ミサイルによる攻撃と先の大攻勢を優に上回る規模での攻勢に、すべての国家の前線が大きく後退。船団国群は最終防衛線を失陥し、聖教国をはじめとするいくつかの国との通信も途絶する。そんな中、機動打撃群は共和国に取り残された連邦の救援派遣軍の撤退支援、そして共和国全市民の避難支援のため、再び共和国に派遣されることとなる。
- 祖国を捨てなければならない状況下にあっても不平不満の尽きない共和国市民はよそに、共和国市民の避難は順調に進む。しかしその途中で現れたレギオンは、機動打撃群よりも共和国避難民に襲い掛かり始める。機甲兵器としては弱体化してまで対人戦闘に特化したそのレギオンたちは、大攻勢の際に「羊飼い」となって共和国に復讐することを選んだエイティシックスたちの群れだった。
- 再び共和国85行政区内に侵入したレギオンの群れに避難民たちは恐慌状態に陥り、成す術なく虐殺されていく。この事態に際し、救援派遣軍司令官のリヒャルト・アルトナー少将は共和国市民の避難支援の打ち切りと、連邦軍残存部隊の撤退開始を決定する。しかし撤退の途中、砲撃で破断されたレールを前に避難民を乗せた最後の列車が立ち往生していた。そして、戦場に取り残された共和国市民を追撃するレギオンの存在をシンの異能が感知する。リヒャルトは、未来の連邦の外交的地位のため、連邦に共和国市民を見捨てたという汚名を着せぬため、本部連隊を直卒し、追撃してくるレギオンに対して決死の遅滞戦闘を展開する。リヒャルトたちの犠牲のもと、連邦軍部隊と最後の避難民は無事に連邦にたどり着いたのだった。
- ホーリィ・ブルー・ブレット(Ep.12)
- レギオンの第二次大攻勢によって他の戦線と同じく大きな後退を余儀なくされた連邦軍北部第2戦線は、今まで防衛の要としていた大河を失陥し、開闊地での戦闘を強いられていた。兵力不足という問題も抱える北部第2方面軍はそこで、部隊で治水ダムを破壊し人口の河川を形成することで天然の要害とする作戦を立案し、機動打撃群もその作戦に参加する。
- 一方、北部第2方面軍に所属する中隊長であるノエレ・ロヒは、自身の領民が次々と命を落としていく現状に心を痛めていた。そこでノエレは、自身の故郷にある原発から核燃料を盗み出して核爆弾を製造することを企み、部下とともに「ヘイル・メアリィ連隊」を名乗って原隊を脱走する。しかし原子力について何の知識も持たないノエレたちでは核爆弾の製造は出来ず、粗末なダーティー・ボムを作るにとどまる。純粋な機械であるレギオンにはダーティー・ボムは何ら被害を及ぼさず、しかし何の防護もなしに放射性物質に触れたノエレの部下は次々と急性放射線障害によって倒れていく。そのうえ、放射性物質とともに脱走したノエレらの対応のため、治水ダムの破壊作戦も延期を余儀なくされる。
- 放射線障害によって次々と人員を失ったノエレらは連邦軍の追撃部隊によって殲滅され、ようやく治水ダムの破壊作戦が実行に移される。レギオンは光学迷彩を纏った戦車型で攻勢を仕掛けるが、連邦軍は今までの戦闘経験から光学迷彩への対策を多々編み出していた。第4機甲グループによって凍結され秘匿されていたレギオンの主力部隊も殲滅される中、シンらもダムの堤体上に陣取る「重機工兵型」を破壊し、治水ダムの破壊作戦は成功する。
- ディア・ハンター(Ep.13)
- かつて共和国に改造され、人間爆弾「仔鹿(アクタイオン)」と化したエイティシックスが連邦の各地で市民を巻き込み爆死する事件が相次ぎ、真実を知らぬ市民の間には猜疑と憶測が広まっていく。レギオン側も狙って共和国人や少数民族への集中攻撃を強め、連邦の中では国民同士の軋轢が強まっていた。特に共和国人への反感は強く、レーナとアネットはその身柄を保護するために国軍本部に軟禁されてしまう。
- 一方、ユートは「仔鹿」の一人であるチトリと出会い、人間爆弾として活性化して死ぬ前に故郷へ戻ろうという彼女らの死出の旅に付き添うことを決心し、一人連邦軍から脱走する。
- 「仔鹿」の正体が市民に公表された矢先、一人の「仔鹿」が害意をもって群衆の中で自爆する事件が起こってしまい、共和国人への、そして避難民や少数民族に対する根拠のない悪意と差別が加速していく。そしてその結果厭戦感情の広まった前線の一部部隊が逃亡を始め、その綻びを突くようにしてレギオンが攻勢を開始する。逃亡が逃亡を呼び、火力支援を失った前線が崩壊し、それを援護すべき機甲部隊は道を埋め尽くす逃亡兵に阻まれて機動できない、という悪循環の中、連邦軍はどんどんと敗走を重ねていく。連邦軍が瓦解しかかっている現状を前に、全ての方面軍で予備陣地帯への後退が指示される。それは、連邦の生産力を支える生産属領を戦場に変え、継戦能力を自ら削ぐことを意味していた。
- 多大な犠牲を払いつつも、機動打撃群や温存されていた大貴族の私兵らの活躍もあり、戦線は一応の安定を見る。戦闘中行方不明となっていたダスティンとアンジュが再会を喜び合い、チトリと別れた後、レギオン支配域を一人で踏破したユートがリュストカマー基地に帰還する中、連邦軍はある非道な決定を下す。それは、不満が載積する前線の兵士を、それでも戦い続けさせるために、撤退を封じるための地雷原を設置するという、共和国86区のそれとまるきり同じやり方だった。
登場人物
編集声の項はテレビアニメ版の声優。
主人公
編集- シンエイ・ノウゼン
- 声 - 千葉翔也[1]、泊明日菜(幼少)
- 本作の主人公[2]。愛称はシン。パーソナルネームはアンダーテイカー、レギオン側識別名「バーレイグ」。サンマグノリア共和国時代は共和国軍東部戦線第1戦区第1防衛戦隊「スピアヘッド」の隊長を務め[3]、階級は大尉。小説1巻時点で16歳[4]。誕生日は5月19日。
- 黒髪に赤い瞳を持つ寡黙な少年で、感情の波が少なく物事に動じないマイペースさを持つ。常に空色のスカーフを首元に巻いており、「本当は首を失っているのでは」という噂の原因になっている。出身は共和国首都リベルテ・エト・エガリテ[5]で、アネットとは隣に住む幼馴染だった。しかし、幼い頃に強制収容所に送られ、そこで過酷な生活を送るうちに共和国在住時のことはほとんど忘れてしまっている。
- 共和国に渡った旧ギアーデ帝国代々の武門であるノウゼン家の両親を持ち、帝国貴族階級特有の、夜黒種と焔紅種の混血。両親と兄に可愛がられたため幼少期は優しく甘えたがりな性格だった。レギオンの侵攻と共にエイティシックスとして強制収容所に送られ、両親が戦死した後は収容所内の教会で白系種の神父に育てられる。母が死亡した時に些細な行き違いから兄のレイに首を絞められ、首に消えない傷跡を負う。のちにレイも戦死するとそれを機にシンも兵役に就き、以来4年以上戦場を生き延びて多くの仲間の死を見送ってきた。所属する部隊が次々に全滅する中を生き残ったため後述の異能と合わせて「死神」の異名を持つ。とあるきっかけから戦死者の機体の金属片に名前を刻む習慣を始め、仲間たちからは「我らが死神」と慕われるようになる。シンのジャガーノートには五七六名もの戦死者の機体の金属片が積まれていた。
- ギアーデ連邦への亡命を成し遂げた2巻以降では、特別士官学校を経て当初レギンレイヴの運用試験を行うノルトリヒト戦隊に所属し、第86独立機動打撃群の設立後は戦隊総隊長兼本部付戦隊スピアヘッドの戦隊長を務める。階級は少尉→中尉→大尉。
- 足音を消して歩く癖は一族特有のもの。日常生活全般で雑なせいか料理が下手で、戦隊では料理当番から外されていた。常に響く亡霊の声から意識を逸らすため暇な時はよく読書をしており、小説から哲学書まであらゆる書籍を読み漁る濫読家。
- 夜黒種の特性に加え、歴戦の経験からくる類い稀な操縦技術を誇り、戦場では機体の限界を試すようなかなり無茶な操縦をすることが多い。そのせいでジャガーノートの足回りを毎回壊すため、共和国時代は整備班の頭を抱えさせていた。これは連邦への亡命後も変わっていない。
- 名字の「ノウゼン」は、作者によればノウゼンカズラ(凌霄花)に由来する。また、同じ漢字で「凌霄君」と書くと鷹を意味するため、シンのもつ鷹のイメージにも引っ掛けている[6]。モチーフは『カオス レギオン』のジーク[7]。
- 『このライトノベルがすごい!』男性キャラクター部門では2019年版で5位[8]、2020年版で9位[9]、2022年版で8位[10]、2023年版で7位[11]、2024年版では10位を獲得している[12]。
- シンの異能
- 母方の血筋である焔紅種に稀に見られる精神感応の異能者であり、僅かながら血族の心の声を聞く異能を持っていた。レイに首を絞められた際に意識が集合無意識の深層、死者の領域に接続されてしまい、以後心の声を聞く異能は死者の声を聞く力に変質してしまう。死者の声はシンの意識の中で常にざわめきのように響き、シンと知覚同調で同調した者にも共有される。特に後述の「黒羊」等の声はおぞましい絶叫として響き、レーナ以前のハンドラーは皆この声に耐えられずに退役している。異能の知覚範囲は共和国の戦域を網羅するほど広大であり、これによってシンはいつでもレギオンの位置を知ることができる[注 1]。
- ヴラディレーナ・ミリーゼ
- 声 - 長谷川育美[1]
- 本作のヒロイン[2]。愛称はレーナ。共和国軍人で、弱冠16歳で少佐に上り詰めたエリート[3]。誕生日は7月12日。共和国第1区出身、元貴族階級の名家ミリーゼ家の令嬢で白系種の貴種である白銀種の純血。戦場で遭難した際にエイティシックスであるショーレイに助けられた経験もあり、エイティシックスへの迫害に心を痛めている。シン達スピアヘッド戦隊との一時の別れとなった特別偵察任務の後は、命令違反の罪[注 2]で大尉に降格処分させられるが、後任となるエイティシックス達と協同して大攻勢への準備を続けていた。この時期の苛烈な指揮ぶりから「鮮血女王」(ブラッディレジーナ)の異名を取る。
- 共和国解放後は共和国軍の客員士官として連邦軍に派遣されることとなり、大佐に昇進し第86独立機動打撃群の作戦指揮官を務める。
- 再会後、シンを異性として意識しているような描写が度々見受けられたが、一向に仲が進展せず原作7巻でようやく結ばれる。だがその後どう振る舞っていいか分からず逃げ回るなど、マイペースで滅多に物事に動じないシンをも振り回すほどの狼狽えぶりを見せた。
- 容姿が優れており、作中で白雪の美貌はガラス細工の繊細さ、繻子の髪と長い睫毛にけぶる同じ色の大きな瞳といった描写がされている。スタイルも良く、Twitterでの作者への質問の回答によると、作中比較ではシデン、クレナに続く三番目のバストサイズの持ち主。ガーターベルトを愛用している設定だが、理由は作者がガーターベルト好きのため[13]。映画『ブラックホーク・ダウン』のガリソン将軍がモチーフの一部になっている[6]。
- 『このライトノベルがすごい!』女性キャラクター部門では2019年版で2位[14]、2020年版・2023年版で共に10位を獲得している[9][15]。
エイティシックス
編集サンマグノリア共和国軍
編集本項に記載される旧サンマグノリア共和国軍人は特に記載が無い限り死亡が確認されている。本項に記載されていないエイティシックスについては第86独立機動打撃群を参照のこと。
東部戦線第1戦区第1防衛戦隊“スピアヘッド”
編集- マシュー・ナナキ
- 第2小隊隊員。シンにすら寡黙と言われる極端に無口な機銃手。この部隊で最初に死亡した人物。パーソナルネームはワルプルギス。
- ミナ・シロカ
- 第3小隊隊員。小柄で幼げな外見をしているが、前衛担当の一人である。近接猟兵型の突貫を受け死亡。2人目の死者である。パーソナルネームはアルテミス。
- クジョー・ニコ
- 声 - 村田太志[1]
- シンの3歳年上[16]。第4小隊隊員。ミナの死亡によって落ち込んだ部隊を盛り上げるために「お月見」を提案したが、それが嵐で中止となった日の出撃で自走地雷によって爆死。3人目の死者である。この時の逸話を描いた外伝「トリアージ・ブラックタグのありふれた日常」は彼の視点から語られる[17]。パーソナルネームはシリウス
- カイエ・タニヤ
- 声 - 白石晴香[1]
- 少年のような口調で話す気さくな少女。第4小隊隊長。4月7日生まれ[18]、階級は少尉。小説1巻時点で18歳[4]。戦車型によって機体を蹴り潰され死亡。スピアヘッド戦隊としては4人目の戦死者だが、レーナが着任してからは初の戦死者となっている。死体は砲撃で機体ごと破壊されるも、蹴り潰された際に切断された頭部が機外へ飛び出しており「黒羊」の素材として持ち去られた。その後も幾度と無く「黒羊」としてシンたちの前に現れ、星暦2150年4月の共和国北域奪還作戦では図らずもシンの助けとなった。パーソナルネームはキルシュブリューテ。
- トーマ・ソービ
- 声 - 福原かつみ
- 第1小隊隊員[19]。パーソナルネームはヘリアントゥス。クロトとともに電磁加速砲型の砲撃で混乱する戦闘の中で戦死する。
- クロト・ヒニエ
- 声 - 篠原孝太朗
- 第2小隊隊員。パーソナルネームはマンティコレ。
- チセ・オーセン
- 声 - 小野将夢[1]
- 第2小隊隊員[19]。パーソナルネームはグリフィン。趣味は模型製作[20]。電磁加速砲型の砲撃の余波で破片を喰らい戦死する。
- マイナ・ヤトミカ
- 声 - 風間万裕子[1]
- 第3小隊隊員[19]。パーソナルネームはマーチヘア。
- ルイ・キノ
- 声 - 植木慎英[1]
- 第1小隊隊員[19]。パーソナルネームはファーヴニル。電磁加速砲型の直撃を受け戦死。
- ミクリ・カイロゥ
- 声 - 貫井柚佳[1]
- 第4小隊隊員[19]。パーソナルネームはレウコシア。
- トウザン・サシャ
- 声 - 坂泰斗[1]
- 第4小隊隊員[19]。パーソナルネームはガンメタルスコーム。
- レッカ・リン
- 声 - 石上静香[1]
- 第6小隊隊員[19]。パーソナルネームはバーントテイル。森林での戦いでレギオンの攻撃により行動不能となり、ダイヤの救出行動も失敗したため、斥候型に首を刎ねられる前に拳銃で頭を撃ち抜き自決。
- ハルト・キーツ
- 声 - 山下大輝[1]
- 第1小隊隊員。お調子者で、部隊のムードメーカーの少年。特別偵察任務の2日前に戦死。スピアヘッド戦隊最後の死者である。パーソナルネームはファルケ。
- ダイヤ・イルマ
- 声 - 石谷春貴[1]
- 第5小隊隊長[21]。金髪碧眼で長身の青年。青系種の貴種である青玉種の血筋。階級は少尉。小説1巻時点で17歳[4]。後にレーナが飼うことになる隊舎猫を拾った人物である。パーソナルネームはブラックドッグ。
- アンジュとはお互いに好意を持っていた節がある。森林での戦いで行動不能になったレッカを助けるべく向かっていたものの途中、自走地雷型の襲撃によりジャガーノートが大破し自身は死にきれなかったため、シンに介錯された。
- ハリズ・センヤ
- 第3小隊隊員。パーソナルネームはキャタナイン。
- カリヤ・ロウガ
- 第5小隊隊員。パーソナルネームはラ・ベート。
- シュリ・ジリス
- 第5小隊隊員。パーソナルネームはデンドロアスピス。
- オーチ・アントン
- 第6小隊隊員。パーソナルネームはグラディアトル。
- イオ・ドーダンセー
- 第6小隊隊員。パーソナルネームはアルゴス。
北部戦線第1戦区第1防衛戦隊“スレッジハマー”
編集- 戦隊長
- 声 - 村上裕哉
- 2巻ラストで登場。大規模侵攻により右半身が潰れた状態で自機から脱出、迫り来るレギオンを目の前にプラスチック爆薬を炸裂させ、橋を落として進路を塞ぐと同時に自らも爆死した。パーソナルネームはブラックバード。
以下、第10巻に掲載の短編シリーズ「フラグメンタル・ネオテニー」の登場人物である。
東部戦線第35戦区第1防衛戦隊“ハルバード”
編集- アリス・アライシュ
- 戦隊長を務める黒髪の少女。階級は大尉。新兵として配属された幼いシンを気にかける。死んだエイティシックスたちの名を金属片に刻んで墓標とすることを始め、シンに傷を隠す包帯の代わりとして空色のスカーフを贈った。いわばシンのルーツ的な存在であるが、レギオンとの戦いで戦隊は全滅。唯一生還したシンが彼女の頭部の半分だけを持ち帰った。エイティシックスに墓を作ることは許されないため、遺体は同部隊整備班長のグレンによって基地から離れた聖堂の廃墟にある薔薇の花壇に埋葬された[22]。
東部戦線第5戦区第2戦隊“スティレット”
編集- イスカ
- 当部隊の戦隊長である。部隊の結束を図るため、戦隊の誰か、大抵は弱い者や少数民族などをスケープゴートに仕立て上げてきた。シンが所持している拳銃は元々はイスカのもので、死に損なった隊員の介錯に使用していた。帝国貴種の血を継ぐシンを新たなスケープゴートにしていたが、皮肉にも彼自身が重傷を負って自分で死ぬことができなかったため、その拳銃を以てシンに介錯された。
戦隊名不明
編集- エイジュ・ヌナト
- シンが従軍してから1年経った頃に所属していた戦隊の戦隊長で、金髪朱瞳の朱緋種の青年。階級は大尉。シンのパーソナルネームとして「バーレイグ」を提案し、その後死亡している。死体の行方は定かではない。本編中ではロア=グレキア連合王国での作戦中に後方指揮を行う「羊飼い」として登場する。
- セーヤ
- エイジュと同じ戦隊の整備班長。銀に近い金髪と紫の目を持つ。シンを除き、同級生だったエイジュ含め所属部隊が突然全滅したために当てつけで「アンダーテイカー(葬儀屋)」というパーソナルネームを提案したが、シンはそれを「相応しい」と受け入れ今に至る。また、本編には登場していないものの機動打撃群で整備クルーを務めている[23]。
東部戦線第27戦区第1戦隊“バイオネット”
編集- サイキ・タテハ
- バイオネット戦隊第一小隊副長。突貫戦法をとる戦隊長のシンを補佐する。彼も、そして彼らもまたシンを「我らが死神」と仰ぎ、最終的にはシンを除く全員が死亡した。
- サイキが登場した番外編"Undertaker"は原作第1巻の開幕に繋がる構成になっている。
ギアーデ連邦軍第86独立機動打撃群
編集第1機甲グループ
編集本部付戦隊“スピアヘッド”
編集- ライデン・シュガ
- 声 - 山下誠一郎[1]
- スピアヘッド戦隊副長を務める[3]。元第2小隊隊長。階級は中尉。黒鉄種。小説1巻時点で16歳[4]。誕生日は8月25日。出身は共和国第23区近辺で、全寮制の私立校を運営する白系種の老婦人に友人たちと5年ほど匿われていた[5]。スピアヘッド戦隊では誕生日を唯一覚えている人物である。また、作者の一番のお気に入りのキャラである[24]。パーソナルネームはヴェアヴォルフ。料理が得意。面倒見の良い兄貴分的存在で、度々「お母さん」と揶揄われている。
- ギアーデ連邦へ亡命後はノルトリヒト戦隊に所属し、後に設立された第86独立機動打撃群に所属する。敵のど真ん中に吶喊していくことの多いシンを援護するため、主砲を大型機関砲に換装したレギンレイヴに搭乗する。
- クレナ・ククミラ
- 声 - 鈴代紗弓[1]
- 元第6小隊隊長。飛び出しざまに戦車砲の基部への狙撃を成功させるほど射撃の腕に長けている。金晶種と瑪瑙種の混血。小説1巻時点で15歳[4]。誕生日は5月6日。幼少期に収容所送りになったため学校を知らず、学生生活に憧れを抱いていた。出身は共和国副都シャリテの衛星都市[5]。強制収容所に護送される日、共和国軍人に両親を嬲り殺しにされた過去を持つため白系種に憎しみを抱いており、1巻の前半ではレーナに対しても当たりが強かった。
- シンに恋心を抱いているが、シンからは手のかかる妹のように思われている。パーソナルネームはガンスリンガー。
- ギアーデ連邦へ亡命後はノルトリヒト戦隊に所属し、後に設立された第86独立機動打撃群に所属する。砲身を延長した長距離狙撃仕様のレギンレイヴに搭乗する。
- アンジュ・エマ
- 声 - 早見沙織[1]
- 元第5小隊隊員。淑やかだが戦闘では過激な一面も見せる。月白種と天青種の混血。小説1巻時点で16歳[4]。誕生日は10月2日。出身は共和国東の小都市[5]。白系種の血を濃く引くために強制収容所で虐待を受けており、それによって出来た傷痕を隠すために髪を長く伸ばしている。パーソナルネームはスノウウィッチ。料理が得意で共和国時代は隊でライデンと並ぶ腕前だった。
- ギアーデ連邦へ亡命後はノルトリヒト戦隊に所属し、後に設立された第86独立機動打撃群に所属する。ミサイルを使った面制圧を得意としており、主砲をミサイルランチャーに換装したレギンレイヴに搭乗する。ダスティンに告白され、紆余曲折を経て最終的に彼と恋仲となった。
- セオト・リッカ
- 声 - 藤原夏海[1]
- 元第3小隊隊長。クールで、少々口が悪い皮肉屋。愛称はセオ。翠緑種。小説1巻時点で16歳[4]。誕生日は4月20日。共和国南側の旧国境付近出身。絵が上手く、部隊のパーソナルマークの作成を手掛けている。パーソナルネームはラフィングフォックス。共和国時代では自由に絵を描けなかった。
- 彼のパーソナルマークは、スピアヘッドの前に所属していた戦隊の戦隊長であった雪花種の男性が用いていたものがモデルになっている。
- ギアーデ連邦へ亡命後はノルトリヒト戦隊に所属し、後に設立された第86独立機動打撃群に所属する。ワイヤーアンカーを駆使した機動戦を得意とする。
- 摩天貝楼拠点攻略作戦時に左前腕を切断する重症を負い、作戦終了後に正式に部隊を離れることになった。
- ダスティン・イェーガー
- グラン・ミュールの陥落後に機動打撃群に加わった、白銀種の元共和国民。レーナと同い年[25]。大攻勢が始まるまでは学生だったが、多くのエイティシックスの同級生が死ぬのを座視していた側だとして、その汚名を雪ぐために自ら志願した。実は幼少期に共和国へ移住した帝国移民一世であり、「敵国の生まれなのにも拘らず人種を理由にエイティシックスの烙印を押されなかったのはおかしい。ならば自分も戦う」というのが実際の志願理由である。パーソナルネームはサギタリウス。アンジュに気を寄せており、最終的に彼女と恋仲となった。
- グレン・アキノ
- アンダーテイカー機付の整備クルー。階級は軍曹。赤毛碧眼の青年で、弱いながらも父方の焔紅種の血を引くために人の感情を「見る」ことが出来る[26]。元はシンが初めて戦場に出た際の所属部隊の整備班長で、6巻において本編初登場となる。
- トウカ・ケイシャ
- グレンと同じく、アンダーテイカー機付の整備クルー。階級は伍長。シンの10歳年上。「わたくし」が一人称の女性で、青玉種純血の金髪と空色の瞳を持つ。彼女も以前はシンと同部隊の整備クルーで、部隊移動時にファイドがシンに付いていく手助けをした。グレンと同様に本編は6巻が初登場である。
本部直衛戦隊“ブリジンガメン”
編集元「女王の家臣団[注 3]」。
- シデン・イーダ
- 声 - 泊明日菜[1]
- シンたちが特別偵察に出て以降のレーナの部下で右腕的存在。筆者によると作中一の爆乳[27]。レーナと同い年[28]。パーソナルネームはキュクロプス。濃藍色と雪白のオッドアイと赤毛が特徴の女性。レーナのことは深く信頼しており、彼女のことを「女王陛下」と呼ぶ。シンとは非常に仲が悪く、本人曰く「遺伝子レベルで相性が悪い」とのこと。
- シャナ
- ブリジンガメン戦隊副長。シデンの1歳年下で砂漠褐種[29]。パーソナルネームはメリュジーヌ。
- 摩天貝楼拠点攻略作戦で貝楼の崩壊に巻き込まれて死亡したが、海に沈んだ死体の頭部を鹵獲され「羊飼い」となった。
第3戦隊“ノルトリヒト”
編集第4戦隊“サンダーボルト”
編集- ユート・クロウ
- 戦隊長。赤系種の無口で無感情な少年。
- 摩天貝楼拠点攻略作戦で電磁砲艦型の砲身に吹き飛ばされ、多数の骨折や外傷性の気胸などの重症を負ったものの奇跡的な生還を果たした。
第5部隊“リュカオン”
編集- レキ・ミチヒ
- リュカオン戦隊長。階級は少尉。登場時点で17歳[32]。東方黒種で黒髪黒目、象牙色の肌を持つ。語尾が「なのです」で終わる特徴的な口調で話す。パーソナルネームはファリアン。
第6戦隊“ファランクス”
編集- タイガ・アスハ
- 戦隊長。階級は少尉。共和国北域奪還作戦中はアネットの護衛を務めており、突如現れた高機動型によって全滅させられた。
第7戦隊“クレイモア”
編集- リト・オリヤ
- 戦隊長。瑪瑙色の髪と目を持つ[33]。シンとライデンと同じ部隊だったことがあり、共和国北域奪還作戦前に2年越しの再会を果たす。思っていることを考えなしに口にする癖がある。
第2機甲グループ
編集- ツイリ・シオン
- 元南部戦線第1戦区第1戦隊”レザーエッジ”戦隊長。グラン・ミュール崩壊後もレーナの指揮下に入らずに独自の防衛拠点を築いたエイティシックスらの隊長格でもある。長身と屈強な体つきゆえに揉め事になりがちだったため、それを避ける目的で女性のような言葉遣いをする。パーソナルネームはバルトアンデルス。
第3機甲グループ
編集- カナン・ニュード
- 元西部戦線第1戦区第1戦隊”ロングボウ”副長。鳶色の髪と銀縁の眼鏡が特徴。
第4機甲グループ
編集- スイウ・トーカンヤ
- 第1戦隊”スレッジハマー”戦隊長と第4機甲グループの総隊長を兼任する、朱色で長髪の少女。大攻勢で全滅した北部戦線第1戦区第1戦隊“スレッジハマー”の名を、第2戦区戦隊長だった彼女が引き継ぐかたちになっている。
サンマグノリア共和国
編集- アンリエッタ・ペンローズ
- 声 - 杉山里穂[1]
- 白系種の元共和国民。レーナの親友で、パラレイドの研究主任を務める技術大尉。16歳。誕生日は11月12日。愛称はアネット。レギオン側識別名「ミネルヴァ」。シンとは家が隣同士の幼なじみであった[注 5]。幼いころのシンからは「リッタ」と呼ばれていた。シンを救えなかったことに対して負い目を感じており、第86独立機動打撃群に志願したことにもそれが関係している。共和国解放後はギアーデ連邦へ赴き、第86独立機動打撃群では知覚同調班の主任を努め、階級は少佐になっている。
- お菓子作りが好きだが、幼いころは味見した父親が気絶する代物をシンに食べさせようとしたこともある。
- ヨーゼフ・フォン・ペンローズ
- アネットの父。知覚同調の研究を行い、その基礎を築いた人物である。良識を持つ人物だったが、研究に目を付けた共和国によって知覚同調を用いた非道な人体実験に無理やり従事させられ、完成直後に実験材料とされ死亡したエイティシックス達への贖罪としてレイドデバイスの同調率を最大に設定して自殺している。
- ジェローム・カールシュタール
- 声 - 三上哲[1]
- レーナの父の友人。階級は准将。50代の白銀種[34]。良識を持つ人物ではあるが、人種差別政策を行う故国に絶望と諦観を抱いており、現状を変えようとはしていない。理想を捨てないレーナに対しては度々厳しい言葉をかける。
- レギオンの大攻勢に際し、時間稼ぎのために歩兵部隊を率いて迎撃へ向かい戦死した。その戦場にて、変わり果てたヴァーツラフとの再会を果たしていた。
- レフ・アルドレヒト
- 声 - 楠大典[1]
- スピアヘッド戦隊の整備班長。階級は中尉。白髪混じりの黒髪にサングラスをかけている。髪を染めているが実は白系種であり、サングラスは白瞳を隠すためのもの。陽金種の妻とその娘の市民権を取り戻すために兵役に志願したが、負傷して前線を離れている間に妻と娘は戦死してしまった。大攻勢の際にプロセッサー達を逃がすため仲間の整備クルー達と共にレギオンを足止めし戦死した[35]。
- 基地陥落時に自決しようとするも家族を殺した共和国への憎悪を抑え切れず、レギオンの首狩りを受け入れ「羊飼い」となっており、第二次大攻勢で共和国への復讐を望む元エイティシックスの「羊飼い」達と共に85行政区へ侵攻する。
- ヴァーツラフ・ミリーゼ
- 声 - てらそままさき
- レーナの父。階級は大佐。共和国正規軍の数少ない生き残りで、有色種の強制収容に強く反対していた一人である。強制収用の際も徴収兵の蛮行を制止し、幼いクレナとその姉を助けていた。当時10歳だったレーナに戦場を見せるために偵察機(アニメ版ではヘリコプター)を85行政区外へ飛ばした際、対空自走砲型によって撃墜され死亡した。その遺体はレギオンに回収されており、レギオンを束ねる上位指揮官機ノゥ・フェイスと化す。
- マルガレータ・ミリーゼ
- レーナの母。白銀種。共和国市民の例にたがわずエイティシックスを忌避している。戦死した夫と同じ目に合って欲しくないという親心から、レーナには度々軍を辞めるように求める。大攻勢の際、戦車型に潰されそうになった子供を庇って死亡した。
- ショーレイ・ノウゼン
- 声 - 古川慎
- シンの兄。愛称はレイ。容姿はシンとは正反対で赤毛と黒目、眼鏡を掛けた温厚な青年。年の離れた弟のシンを溺愛していたが、母の戦死に激情を抑えきれず、やり場のない怒りをシンにぶつけてしまう。撃墜された偵察機から生き残ったレーナを助けたことがある。1巻の5年前(2143年)の冬に東部戦線で戦死しているが、その脳は「羊飼い」として重戦車型に組み込まれていた。パーソナルネームはデュラハン。使用していたパーソナルマークは首の無い骸骨の騎士。幼少期のシンのお気に入りだった絵本に登場する主人公がモデルになっており、剣をシャベルに変えてシンが引き継いだ。
- イヴォーヌ・プリムヴェール
- 共和国暫定政府内の補佐官[36]で、聖マグノリア純血純白憂国騎士団の首領である白系種の女性。ギアーデ連邦によりエイティシックスが保護された後も有色種への差別姿勢を貫き、共和国内で地位を確立する。
ギアーデ連邦
編集- エルンスト・ツィマーマン
- 声 - 内田夕夜[1]
- ギアーデ連邦の暫定大統領。連邦軍最高司令官を兼ねる。階級は元帥。小説3巻時点で50代[37]。10年前の市民革命の英雄であり、市民の支持を一身に集めている。大量生産品のスーツを常に身に着けている。
- ギアーデ連邦にたどり着いたシンたちの保護者となる。生まれなかった自分の子供をシン達に重ねている節があり、以前から保護していたフレデリカも含め子供らを守ろうとする気持ちは強い。普段は温和かつお茶目な中年紳士だが、その本質は「火龍」と表現される革命家でありかなりの理想主義者。普遍的な正義や平等を実現できないなら人類は滅んでしまえばいいという、ある種狂気的な信念を抱いている。
- フレデリカ・ローゼンフォルト / アウグスタ・フレデリカ・アデルアドラー
- 声 - 久野美咲[1]
- シンたちがギアーデ連邦で出会った少女[38]。小説2巻時点で9歳 [39](直後に10歳)。シンたちと同じく、エルンストによって養育されている。ギアーデ帝国最後の女帝だが、[40]その事実はエルンストと元スピアヘッド戦隊の5人、そして一部の連邦軍高官しか知らない。
- 帝室の血を継ぐものとして、見知った者の現在と過去を覗き見る異能を代々受け継いでいる。幼い容姿に見合わず古風な喋り方をするませた少女だが、シンからは妹扱いされている。
- 旧ノルトリヒト戦隊、後の第86独立機動打撃群のマスコット[注 6]でもあり、異能を用いて管制補佐を務める。
- グレーテ・ヴェンツェル
- 声 - 植田佳奈[30]
- レギンレイヴの開発者であり、レギンレイヴの試験運用を行う1028試験部隊とその隷下にあるノルトリヒト戦隊を監督する。小説3巻時点で27歳[37]。貴族階級の出身ではないが、巨大軍需企業であるWHI(ヴェンツェル重工)の令嬢。のち設立された第86独立機動打撃群では旅団長を務め、階級は中佐→大佐。上官としてシンたちエイティシックスと関わり、彼らの理解者となる。結婚直前の婚約者をレギオンとの戦闘で喪った過去があり、その直後は二人乗りのヴァナルガンドを単独で駆り、「黒寡婦蜘蛛」の異名をとっていた。パイロットとしても高い実力を持ち、電磁加速砲型撃破作戦では「ナハツェーラー」を、共和国市民避難作戦ではレギンレイヴを操縦する。
- ヴィレム・エーレンフリート
- 声 - 興津和幸[30]
- ギアーデ連邦軍西方方面軍参謀長。階級は准将。夜黒種の純血。小説3巻時点で27歳[37]。口の悪いリアリストで、使えるモノならどんなものであろうと使うというのがモットー。電磁加速砲型撃破作戦においてエイティシックスの投入を上層部に提案した人物だが、有用だから使うが使い潰したいわけではないとは思っている。グレーテに思いを寄せており、戦死した彼女の恋人とは友人兼恋敵の間柄だった。青年士官の頃は装甲歩兵隊の少佐として前線で戦う。常軌を逸した白兵戦装備で近接猟兵型と渡り合い、「人斬り庖丁」の異名をとっていた。
- リヒャルト・アルトナー
- 声 - 山本兼平[30]
- ギアーデ連邦西方方面軍第177機甲師団師団長。階級は少将。グレーテとヴィレムの陸軍大学同期で先輩にあたる。エイティシックスを若干危険視していたが、それは戦場しか知らない彼らの危うさや今後の人生を慮っての事であり、人間らしさを取り戻して行く彼等を影ながら見守っていた。共和国撤退作戦の指揮官として自ら殿隊の指揮を取り、全滅と引き換えに撤退の時間を稼ぎ戦死する。
- テレザ
- 声 - 芳野由奈[30]
- 金髪碧眼で細身のメイド。エルンストに仕えており、フレデリカの世話役も務める。連邦にたどり着いたシン達を温かくもてなし、
- イザベラ・ペルシュマン
- レーナの副官である20代半ばの女性。階級は少尉。赤髪と緑の目を持つ。学生時代のあだ名はミンチン女史[41]。
- ユージン・ランツ
- 声 - 田丸篤志
- 童顔に眼鏡をかけた穏やかな少年。没落貴族の出で白銀種の純血である。妹の学費を稼ぐため軍に志願する。
- ザンクト・イェデルの図書館で居合わせたシンと知り合い、特別士官学校の同期として友人になる。卒業後は第177機甲師団第141連隊第18中隊に配属。ヴァナルガンド中隊長機の操縦士を勤めており階級は少尉。
- 戦闘に参加した際レギオンの攻撃で下半身を失う瀕死の重傷を負い、シンに介錯された。仲の良かった彼の死は、多くの仲間たちと同様にシンの心に傷として残っている。
- 妹のニーナを溺愛しており、シンからはシスコン扱いされるほど。
- ニーナ・ランツ
- 声 - 朝日奈丸佳
- ユージンの10歳の妹。マルセルの告げ口からユージンを介錯したシンに糾弾の手紙を送り付けた。だが、モルフォ撃破作戦成功後にはユージンの墓参りを終え帰っていくシンの遠い後ろ姿に感謝を伝え、ユージンの死をある程度は受け入れられている様子が見られた。アニメ版では、シンが墓前に残した笑う兄と二人で一緒に撮った写真を見た後、去っていくシンに感謝を伝えるシーンとなっている。
- セイエイ・ノウゼン
- 現在のノウゼン家当主。シンとレイの祖父にあたる。かつてシンたち家族に骸骨の騎士の絵本を送ったことがある。連邦で再会したのちは残された家族として少しづつシンと交流を始めている。
- レイシャ・ノウゼン
- シンの父。ゼレーネと同様に人工知能の研究者である。妻の名はユウナ・マイカ・ノウゼン[42]。対立する家系の妻と結婚するため家出同然に共和国へ亡命する。ヨーゼフ・ペンローズとは大学の同僚であり知覚同調の共同研究者。ペンローズ家とは家族ぐるみの付き合いがあった。人間の友達になる人工知能を研究しており、ファイドの元となる人工知能とそれを搭載した犬型ロボットを開発した。開戦後は家族の市民権を取り戻すため兵役に応じ戦死。
- ゲルダ・マイカ
- シンの母方の祖母。帝国の大貴族であるマイカ家の女侯。
- エルウィン・マルセル
- 声 - 高梨謙吾
- シンやユージンの同期でヴァナルガンドのオペレーター。階級は少尉。シンがユージンを介錯したことに憤慨し、ニーナにユージンの死の様子を伝える。大攻勢の際に右足を複雑骨折したことで後遺症が残り、以後はヴァナディースにて第86独立機動打撃群作戦本部で管制官を務める。ロア=グレキア連合王国へも同行し、以後はシンと和解し共にニーナの面倒を見ている。
- ギルヴィース・ギュンター
- 義勇機甲連隊ミルメコレオの連隊長。焔紅種の貴族が行っている異能研究の一環で生まれた混血児。人と砲火を交えることを躊躇うエイティシックスたちに代わり、裏切った聖教国軍と対峙する。
- スヴェンヤ・ブラントローテ
- 義勇機甲連隊ミルメコレオのマスコット。焔紅種と陽金種の混血で、部分的ながら陽金種の異能を行使することができる。ブラントローテ大公からは手ひどい扱いを受けており、それ故他者から叱責されることを極度に恐れている。
ギアーデ帝国
編集- キリヤ・ノウゼン
- 声 - 上村祐翔[30]
- フレデリカの近衛騎士だった青年。愛称はキリ。シンの6歳年上[43]。シンの遠縁にあたる[注 7]。
- 革命勃発後の6年にも及ぶ内戦で正気を失っていき、フレデリカ処刑の発表を聞き連邦を憎悪したまま「羊飼い」として電磁加速砲型に取り込まれてしまう。近親者としてシンに同族嫌悪に近い執着を抱く。レギオンとしてのコールサインはペイル・ライダー。
- 電磁加速砲型撃破作戦にて、シン達スピアヘッド戦隊との死闘を繰り広げた末に機能停止に追い込まれ、シンを巻き添えに自爆する。
- ゼレーネ・ビルケンバウム
- 旧ギアーデ帝国帝立軍事研究所に努め、自律兵器の研究に携わっていた天才科学者。階級は少佐。公開ネット上にアップロードされていたマリアーナ・モデルをほぼ独力で改良し、レギオンの制御系を作り上げた。
- レギオン指揮官機「ミストレス」となっており、初期の命令から逸脱しようとしているレギオンを止めるべく、シンたちにメッセージを送る。人類からは「無慈悲な女王」と呼ばれる。
ロア=グレキア連合王国
編集- ヴィークトル・イディナローク
- ロア=グレキア連合王国第5王子。愛称はヴィーカ。レギオン側識別名「フヴェズルング」。18歳という若さで南方方面軍総司令官を務める。階級は中佐。イディナローク王家に代々伝わる「紫晶」の異能を継ぎ、驚異的な頭脳と引き換えに倫理観の欠如という弊害を負っている。母の死後、母の人格を再現する目的で彼女の脳から人工知能「マリアーナ・モデル」を作成する。
- レギオンとの開戦後は王族の倣いとして従軍するが、初陣で赴いた前哨基地で幼馴染のレルヒェリートが自らをかばって戦死してしまう。彼女との最後の約束を守るため、その脳から最初の「シリン」となるレルヒェを作成。以後は「シリン」の製造を行いその部隊を指揮している。戦場に出る際のパーソナルネームはガデューカ。指揮官用に通信機能を強化したバルシュカ・マトゥシュカを駆り、「シリン」の指揮をしつつAI補助が前提のマルチロックオンシステムをマニュアルで操る精鋭オペレーターとして戦う。
- ザファル・イディナローク
- 声 - 水中雅章
- ロア=グレキア連合王国第1王子、連合王国軍総司令官。階級は大将。10歳離れたヴィーカを気にかけている。幼少期のヴィーカが子猫の眼球をくり抜いた事件をきっかけに彼がそれ以上人の道を踏み外さぬように矯正を図り、価値観の違いを理解した上で家族として受け入れている。隻眼の猫は現在も居室で飼われている[44]。ヴィーカが第86機動打撃群に合流した際はレーナに「ヴィーカに許可してはいけないことリスト」を渡した。
- レルヒェ
- 「シリン」一番機。パーソナルネームはチャイカ。時々空気の読めない発言をする7歳児。脳構造のオリジナルは戦死したヴィーカの幼馴染レルヒェリートで、ヴィーカの思い入れから彼女のみデータのバックアップが存在しない。
- スヴェトラーナ・イディナローク
- ロア=グレキア国王の7つ上の姉でヴィーカの伯母に当たる。国王をファーストネームで呼ぶことのできる唯一の人物。
- ヴィーカと同じイディナロークの異能者で先代の「紫晶」だが現在はその力はヴィーカに移っている。ヴィーカが人工知能の専門であるのに対して誘導システムを得意とし、「無慈悲な女王」捕獲作戦ではヴィーカの要請を受けて自走自爆兵器「スロゥネ」を彼女の〝武器庫〟から提供した。
- ザイシャ
- ヴィーカの副官。ザイシャとは「仔ウサギちゃん」というニュアンスの、ヴィーカの付けた愛称。本名は第13巻時点でも不明だが、連合王国人以外には発音のしづらい長い名前だと述べられている。フレデリカより少し高い程度の華奢な体躯の気弱そうな少女だが、ヴィーカに代わり連合王国軍を率いることもあり、能力については申し分ない様子。聖教国では情報戦用に改造したアルカノストを駆って機動打撃群に帯同しており、その際のパーソナルネームはクローリク。
ヴァルト盟約同盟
編集- ベル・アイギス
- 声 - 橘U子
- 盟約同盟北方防衛軍総司令官を務める老齢の女性。青玉種。階級は中将。オリヴィアの祖母である。
- オリヴィア・アイギス
- ベルの孫。レギンレイヴ用の空挺装備である「アルメ・フュリウーズ」の教官。階級は大尉。女性と見紛う長い黒髪と美貌の持ち主。戦死した恋人を偲ぶため彼女と同じ香水をつけている。盟約同盟軍のエースで、近接戦闘でシンと互角に渡り合う実力者。黒珀種との混血で弱まっているものの、青玉種の異能である未来視で3秒先の光景を予知できる。常に未来が見える訳ではなく、意識して能力を使う必要がある。パーソナルネームはアンナマリア。
レグキード征海船団国群
編集- イシュマエル・アハヴ
- 征海船団国群合同海軍、征海艦隊「オーファン・フリート」の旗艦「ステラマリス」の艦長である翠緑種の男性。階級は大佐。豪放磊落ないかにも海の男といった性格。今は無きクレオ征海艦隊の司令官を父に持ち、オーファン・フリートの事実上の指揮官を務める。セオとの交流を通じて故郷を失った者の決意を彼に語った。
- エステル
- 「ステラマリス」副長の女性。階級は大佐。征海艦隊の慣わしから年下のイシュマエルを「兄上」と呼び、彼もまた彼女を「妹」と呼ぶ。
ノイリャナルセ聖教国
編集- ヒェメルナーデ・レェゼ
- 聖教国軍第3機甲軍団”シガ=トゥラ”の軍団長をわずか15歳にして務める少女。愛称はヒェルナ。開戦時に軍団指令所がレギオンの急襲を受けた際「レギオンに家族全員を殺されつつも果敢に立ち向かう、聖教国の抵抗のシンボル」に仕立て上げるためだけに指令所に居た一族を見殺しにされ、レギオンへの憎悪を持たせる為通信越しに惨劇を聞かされるという仕打ちを受けた過去がある。
- その過去故に愛国心を失い、それでもノイリャ聖教と神戟としての責務に縋りレギオンと戦い続けていたが、神戟が消滅寸前まで追い詰められた事を理由に聖教へ反する教徒からの徴兵を決定した聖教国へ失望。攻勢工廠型討伐の救援に来た連邦軍を攻撃し、支援任務を中断させる事で聖教圏を滅ぼそうと目論んだ。
その他
編集- 黒猫
- 元はダイヤが拾ってきてスピアヘッド戦隊隊舎で飼われていた猫。シンたちが特別偵察に向かった後にレーナが引き取った。シンたちは正式な名前を付けておらず、皆思い思いの名前で呼んでいた。レーナが付けた名前はテルモピュライで、愛称は「ティピー」。飼い主のレーナには懐いているが、シンの方により懐いており、二人が一緒に居る場合はレーナが置き去りになる。
大統領部隊表彰
編集大統領部隊表彰 대통령 부대 표창 | |
---|---|
| |
大韓民国大統領による賞 | |
種別 | 部隊勲章 |
受章資格 | 朝鮮戦争において国連軍の一部として韓国の防衛に参加した部隊を含む、韓国軍および外国軍部隊 |
受章条件 | 韓国への卓越した貢献 |
状態 | 現行 |
大統領部隊表彰 (朝鮮語: -대통령 부대 표창) は、国防に関して卓越した貢献をした部隊に授与される、大韓民国の勲章。朝鮮戦争中の国連軍への貢献を鑑み、戦争中には全アメリカ軍部隊に大統領部隊表彰を受賞することが認められた。
公式には、「大統領部隊表彰」という名の勲章は存在しない。これは地方政府、軍部隊、病院などに授与される「大統領表彰」の一形態である。
着用形式
編集大統領部隊表彰は、韓国軍の制服では右胸に着用される。記章は幅35 mmで、金色のフレームで囲まれている。記章は白地で、中央に直径6 mmの太極模様が配されており、その両端には5 mmのハンター・グリーン、0.4 mmの白、0.4 mmのオールドグローリーレッド、0.4 mmの白、0.4 mmのハンターグリーンで構成されたストライブが配されている。この記章は追加のデバイスの着用が許可されていないが、朝鮮戦争退役軍人の写真の中には銅星を付けた例も見られる。
大統領部隊表彰を授与された外国軍人は、制服の右側 (例: アメリカ陸軍) あるいは左側 (例: アメリカ海兵隊、アメリカ沿岸警備隊、アメリカ空軍) に、他の勲章の略綬とともに着用される。
著名な受章部隊
編集朝鮮戦争
編集- 第1海兵師団 (アメリカ海兵隊) - 1950年10月26日から1953年7月27日にかけての、仁川上陸作戦、第2次ソウルの戦い、長津湖の戦いを含む作戦行動に対して
- 第58架橋工兵中隊[訳語疑問点] - 仁川上陸作戦、長津湖の戦いにおける第X軍団での架橋作戦実施に対して
- 第7歩兵師団 (アメリカ陸軍) - 3回受章している。最初は仁川上陸作戦で、2回目は1950年から1953年にかけての貢献に対して、3回目は朝鮮半島への1945年から1948年、1953年から1971年までに渡る駐屯に対して。
- 国連軍フランス大隊 - 米第23歩兵連隊麾下で2回受章
- イタリア赤十字軍団第68野戦病院
- トルコ旅団 - クムヤンジャンニの戦いにおいて、自軍の3倍の規模の中国軍を撃退した功績に対して
- 第65歩兵連隊 (アメリカ軍) - 2回受章している。1回目は議政府の戦いでの功績に対し、2回目は717高地の「鉄の三角地帯 (Iron Triangle )」と呼ばれる地域での功績に対して
- 第2飛行隊 (南アフリカ空軍) - 「この部隊は朝鮮半島の国連軍を支援するため南アフリカから派遣された。P-51を装備したこの部隊は、第8軍の支援を継続的に行った。隊員の勇敢さと献身により高い評価を得てきたが、パイロットの損失は大きかった。割り当てられたすべての任務を快くこなし続け、通常期待される以上のパフォーマンスを発揮している。」
- 第16野砲兵連隊 (ニュージーランド陸軍)
アメリカ空軍の装備品一覧
編集弾薬
編集火器
編集航空機
編集陸上車両
編集名称 | 画像 | 種別 |
---|---|---|
HMMWV | 装甲車 | |
R-5 | 給油車 | |
R-9 | 給油車 | |
R-11 | 給油車 | |
C300 | 給油車 |
制服
編集名称 | 画像 | 備考 |
---|---|---|
ACU | OCPを使用。ABUは2021年4月に退役した。 | |
フライトスーツ | 航空機搭乗員、ミサイル部隊所属兵はノーメックス製のオリーブグリーンまたはデザートタンの防火飛行服を着用する。 |
エイブル・アーチャー83
編集エイブル・アーチャー83(英語: Able Archer 83)は、1983年11月にNATOがヨーロッパで行った、核戦争の勃発を想定した軍事演習である。
概要
編集エイブル・アーチャー演習はNATO軍によって毎年行われる軍事演習であり、その目的はNATOとワルシャワ条約機構との緊張がエスカレーションし、アメリカがデフコン1を宣言して核攻撃を行う状況をシミュレーションすることであった。11月7日から5日間に渡って開催された1983年のエイブル・アーチャー演習は西ヨーロッパ全域のNATO軍司令部が参加し、ベルギーのモンス郊外に所在する欧州連合軍最高司令部(SHAPE)で統括された。この演習では前年までに見られなかった新しい要素が導入された。新しい型式の暗号通信、無線封止、政府首脳の参加などである。これらの要素は演習の現実味を増し、ヨーロッパへのパーシングII弾道ミサイルの配備予定と相まって、ソ連共産党政治局や軍司令部の一部がエイブル・アーチャー83が実際の核攻撃の予兆を隠蔽するための偽装であると信じるに至った。そのため、ソ連は核戦力や東ドイツ・ポーランドの航空戦力を臨戦態勢に置いた。核戦争の脅威は、アメリカ軍のレナード・H・ペルーツ中将がワルシャワ条約機構の軍事行動に反応しないよう助言し、演習が11月11日に終了したことで収束した。
この演習は、大統領情報活動諮問会議の1990年の報告書が2015年に機密解除されたことで注目を集めた。一部の学者は、エイブル・アーチャー83がキューバ危機以来最大の核戦争の危機であったと主張している。一方、そのような見解に異議を唱える学者も少なくない。
背景
編集RYAN作戦
編集エイブル・アーチャー83に関する核戦争の危機の最大の原因は、この演習の2年以上前に遡る。1981年5月に開催されたKGB高官とソ連首脳部の秘密会議において、ソ連共産党書記長レオニード・ブレジネフとKGB議長ユーリ・アンドロポフはアメリカがソ連への核攻撃準備を行っていると端的に述べた。
この脅威に対抗するため、アンドロポフはKGBとGRUの対外諜報部門がRYAN作戦を開始すると宣言した。RYANとはロシア語で「核攻撃」を意味する"Raketno Yadernoe Napadenie "の略であり、これはソ連史上最大かつ最も包括的な平時の諜報作戦だった。この作戦の下、諜報員たちは核攻撃の決定を下す指導者、攻撃を実行する技術者や軍関係者、核施設の監視を任務とした。RYAN作戦の目的は、核攻撃の予兆を察知し、それを未然に防ぐことであった可能性がある。
RYAN作戦が実施されたきっかけは不明である。KGB出身の亡命者の中で最も階級の高かったオレグ・ゴルジエフスキーは、RYAN作戦を「レーガンの攻撃的な言動とソ連のパラノイアの致命的な組み合わせ」によるものだと述べている。彼はブレジネフとアンドロポフを「非常に古い価値観を持ち、共産主義の教義に非常に影響されやすい」と評し、「レーガンが核のボタンを押し、ソ連を文字通り「歴史のゴミ箱に打ち捨てる」と信じていたと推測している。
CIAの歴史家ベンジャミン・フィッシャーは、RYAN作戦の誕生のきっかけとなったであろういくつかの出来事を指摘している。その一つが、レーガン政権が発足直後に開始した心理作戦(PSYOP)である。フィッシャーによると、別の情報源はゴルジエフスキーの証言を部分的に裏付けている。RYAN作戦にKGBと共に関与していたチェコスロヴァキアの諜報将校は、「ソ連の諜報員たちは1941年と1983年の歴史的類似性に固執していた」と述べた。彼はこの感情は「理性的なものではなく、本能的なもの」であり、ソ連の思考に深く影響を与えていたと考えていた。
心理作戦
編集アメリカによる心理作戦は1981年2月中旬に始まり、1983年まで断続的に続けられた。これには北極圏と極東ロシアのソ連領海に秘密裏に侵入する一連の作戦が含まれており、NATO軍艦船がソ連の軍事基地にどれだけ接近できるかを示すものだった。1981年、アメリカ、イギリス、カナダ、ノルウェーの海軍艦船83隻は空母ドワイト・D・アイゼンハワーを旗艦としてGIUKギャップを秘密裏に通過した。艦隊はソ連のレーダーや偵察衛星に探知されることなくコラ半島に到達した。この他にもバレンツ海、ノルウェー海、黒海、バルト海で同様の作戦が実施されており、クリミア半島沖にはアメリカの情報収集船が定期的に配備されていた。さらに、アメリカ空軍の爆撃機はソ連領空に直接飛び、領空侵犯直前で引き返すという飛行を実施していた。この行動は週に数度行なわれ、ソ連防空網の脆弱性を試験し、アメリカの核戦争能力を誇示する狙いがあった。
「これは本当に彼らに堪えた」と語るのは、元国務次官補(軍事援助・技術担当)のウィリアム・シュナイダー・ジュニアである。彼は、アメリカの飛行活動に関する機密の「事後報告書」を見た人物である。「ソ連はこの飛行が何を意味するのか全くわからなかった。編隊がソ連領空に真っ直ぐ飛んできて、ソ連のレーダーが次々とそれを捉え、部隊は警戒態勢に入る。そして、最後の瞬間に編隊は急旋回して帰還する、ということが繰り返されたのだ」
フリートEx83
編集1983年4月、アメリカ太平洋艦隊はフリートEx83と呼ばれる最大規模の軍事演習を北太平洋で実施した。この演習には薬40隻の艦艇、300機の航空機、23000人の人員が参加し、史上最も強力な艦隊が結成されたとも言われた。艦隊はアリューシャン列島からカムチャッカ半島に向けて反時計回りに移動し、ソ連を挑発した。これにより、アメリカ海軍情報局はソ連レーダー、航空機の性能や戦術の情報を研究することが可能となった。また、艦隊はペトロパブロフスク・カムチャツキーを母港とするソ連原潜の活動海域で活動した。4月4日には、エンタープライズとミッドウェイ搭載のF-14トムキャットが最低でも6機、千島列島の志発島にあるソ連の軍事基地上空を飛行し、模擬爆撃を実施した。これに対し、ソ連は報復措置としてアリューシャン列島上空の飛行を命令し、アメリカがソ連の領空を繰り返し侵犯したとして正式な抗議を行った。
アメリカ合衆国上院軍事委員会の公聴会で、海軍作戦部長ジェームズ・ワトキンス大将は(カムチャッカ半島において)「ソ連は丸裸の小鳥のようだ。彼らもそれを自覚している」とと述べている。
大韓航空機撃墜事件
編集1983年9月1日、大韓航空007便はソ連の領空を侵犯したために日本海、海馬島付近でSu-15に撃墜された。乗員乗客269人全員が死亡し、その中にはジョージア州選出の下院議員で、反共団体のジョン・バーチ・ソサエティ理事であるラリー・マクドナルドも含まれていた。
軍備増強
編集ロナルド・レーガン政権は発足当初からソ連に対し強硬姿勢をとり、ソ連の戦略的・軍事的能力を大幅に制限することを目指した。政権のこの姿勢により、アメリカ史上最大の平時の軍備増強が行なわれ、冷戦期最後の米ソ両国による非難の応酬が繰り広げられた。1982年6月8日、レーガン大統領はイギリス庶民院にて演説し、その中で「自由と民主主義により、マルクス主義とレーニン主義は歴史のゴミ箱に打ち捨てられるでしょう」と述べた。
1983年3月23日、レーガン大統領は戦略防衛構想(SDI)を打ち出した。スター・ウォーズ計画と通称されたこの計画により、レーガンは核戦争の脅威から世界を守るセーフティーネットを構築しようとしたが、ソ連首脳はこれをデタント時代の戦力均衡を崩し、宇宙空間にまで軍拡競争を拡大させる試みであると捉えた。ブレジネフの後継としてソ連共産党書記長となったユーリ・アンドロポフは、「いかにして核戦争を引き起こし、それに勝利するかという新たな計画を構想している」とレーガンを批判した。
SDIに対するソ連の批判にかかわらずアメリカは軍備増強を進めた。エイブル・アーチャー83の際にソ連首脳が最も脅威に感じていたのは、NATOが計画していた、パーシングII弾道ミサイルの西ヨーロッパへの配備だった。このミサイルは、ソ連が西部国境沿いに配備していた中距離弾道ミサイルRSD-10パイオニアへの対抗として配備される計画だった。しかし、パーシングIIはソ連のミサイルサイロや指揮管制施設などを破壊する能力を有していた。さらにパーシングIIは移動可能であり、どの発射地点からも短時間で発射でき、加えて修正機能付きの誘導装置を備えていたために、このミサイルは先制攻撃能力を持つと考えられた。その上、西ドイツにパーシングIIが配備された場合、ソ連領内に6分以内に着弾すると推測された。パーシングIIのこれらの能力は、ソ連首脳にパーシングIIから生き延びる方法は先制攻撃のみであると考えさせるに至った。CIAの歴史家ベンジャミン・フィッシャーは、「パーシングIIによる奇襲攻撃の恐怖」がRYAN作戦と直接結びついたとしている。
ミサイル早期警戒システム誤報事件
編集1983年9月26日よる、ソ連のミサイル早期警戒衛星、コードネーム"Oko"がアメリカ領内からの大陸間弾道ミサイル1発の発射を告げた。その日当直に就いていたスタニスラフ・ペトロフ防空軍中佐は、地上の早期警戒システムがミサイル発射の兆候を検知していないことからこの警報を誤報であると断定した。彼がこの決断を下した理由としては、このシステムは新しく、以前にも誤作動を起こしたことを知っていたこと、本当にアメリカが全面核戦争を仕掛けてくるなら1発ではなく数千発のミサイルが飛来するだろうと思ったことなどがあった。その後再びシステムは数発のミサイルの飛来を検知したが、いずれもペトロフは誤報だとして無視した。
後の調査によって、システムが実際に誤作動を起こしていたことが明らかになった。誤報の原因は、監視衛星の軌道下にあった高高度の雲に太陽光が特定の角度で反射するという稀な条件が原因であった。
エイブル・アーチャー83演習
編集NATOが発表したシナリオには、エイブル・アーチャー演習に至るまでのシナリオが詳細に記されており、これはアメリカ統合参謀本部とイギリス国防省で使用された。演習では、NATOを表す「ブルー」勢力とワルシャワ条約機構を表す「オレンジ」勢力が設定された。シナリオでは、ユーゴスラビアがブルー勢力に転換した後シリア、南イエメン、イランでの代理戦争が激化。オレンジ勢力がフィンランド、ノルウェー、西ドイツに侵攻することが想定されていた。欧州連合軍最高司令部のグレゴリー・ペドロウ博士は、このシナリオを以下のように説明している。
演習シナリオは、11月4日(演習開始の3日前)にオレンジ軍(仮想敵)がヨーロッパ全域で戦闘を開始し、ブルー(NATO)が全面警戒を宣言するところから始まった。オレンジ軍は 11月6日に化学兵器の使用を開始し、同日中にはヨーロッパ全域で化学兵器を使用する。これらの出来事は演習が開始される前に発生したものとされ、単なるシナリオの一部だった。つまり、演習開始前の3日間で戦闘は始まっており、状況は悪化していた。このように設定された理由は、この演習の目的が通常戦から核戦争への移行プロセスをテストすることだったからである。オレンジ軍の前進、化学兵器の執拗な使用、第二梯団の迅速な投入により、欧州連合軍最高司令官は早くも演習1日目(1983年11月7日)に核兵器使用の政治的判断を求めた。
こうして、1983年11月7日、ソ連の諜報機関が核戦争の兆候を早期に検知しようとしているなかでNATOは演習を開始した。エイブル・アーチャーと名付けられたこの演習では、核戦争における統制プロセスがシミュレーションされた。しかし、当時の世界情勢や演習の特段リアルな内容から、一部のソ連首脳はこれが現実の核攻撃のぎそうであることを疑った。2月17日に発信したKGBの電報では、以下のようなシナリオが記されている。
ステート・オレンジ(36時間以内の核攻撃)に係る措置は可能な限り短時間で秘密裏に(演習や訓練などの名目で)行なわれなければならないことを鑑みると、戦闘警報システムは平時に奇襲的に核攻撃を行うために使用される可能性が高い。
また2月17日、KGB常駐作戦部はそのエージェントに対し、核攻撃の可能性を示すいくつかの兆候を監視するように命じた。それには「RYAN作戦に関する準備と実行に係る幹部、技術要員、RYAN作戦に関する決定の処理と実行に係る施設の人員、そしてそれらの施設の運用と連携に従事する通信スタッフ」が含まれていた。
エイブル・アーチャー83演習が実際の核攻撃を想定していたため、文書に記載されている人員は演習中 積極的に活動していた可能性が高い。より顕著だったのは、イギリス首相マーガレット・サッチャーと西ドイツ首相ヘルムート・コールが(同時にではないにせよ)演習に参加したことである。アメリカ大統領ロナルド・レーガン、副大統領ジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官キャスパー・ワインバーガーも参加する予定であった。
UCARO
編集UCARO(うかろ)は、ODKソリューションズ開発の大学横断型受験ポータルサイト。このシステムを採用した大学の受験手続は、出願から合否発表まで全てUCARO上で行なわれる。2022年時点で100以上の大学がこのシステムを入学試験に取り入れている。
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