国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン

2025年10月15日 (水) 15:23; ~2025-28907-80 (会話 | 投稿記録) による版 (新しいページ: 「'''国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン'''(こくみんのあんぜん・あんしんのためのふほうたいざいしゃゼロプラン)は、出入国在留管理庁によって行われている政策。 == 概要 == 2025年5月23日に出入国在留管理庁によって国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランが発表される。これは退去強制命令を受…」)(日時は個人設定で未設定ならUTC

(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)

国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン(こくみんのあんぜん・あんしんのためのふほうたいざいしゃゼロプラン)は、出入国在留管理庁によって行われている政策

概要

編集

2025年5月23日に出入国在留管理庁によって国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランが発表される。これは退去強制命令を受けた外国人の速やかな帰国を実現させるということが柱とされ、入管職員の護送を伴った強制送還の件数を3年後には倍増させ、退去強制命令が出されても日本に留まり続ける外国人の数を2030年には半減させるということが目標とされる[1]

日本政府はこれまでにルールを守る外国人は積極的に受け入れるようにしてきたことと共に、日本の安全や安心を脅かす外国人の入国や在留を阻止して確実に日本から退去させることにより円滑で厳格な出入国を管理する制度の実現を目指してきた。だが昨今はルールを守らない外国人にかかる報道が行われるなどで日本国民の間では不安が高まっており、ルールを守らない外国人を速やかに送還することが強く求められるようにもなり、この頃に法務大臣から法務大臣政務官に、誤用や濫用的な難民認定申請を繰り返している外国人を含めてルールを守らない外国人を速やかに日本から退去させるための対応策をまとめるように指示されていた。この結果として国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランとしてまとめられていたのであった[2]

2025年6月11日難民支援協会は、国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランというのは日本が加入する難民条約の精神に反し、日本国内で暮らす難民の安全を脅かすものであると抗議すると共に再考を求める意見を発表する。ここでは入管庁は計画では申請時に難民に該当しないと判断する件数を増やしたり、非正規に滞在している状態になっている難民申請者を国費で強制送還する数を3年後には倍増させることなどの目標に反対している。現在の日本の難民認定制度では本来は難民に認定されるべき人が認定されずに非正規滞在になっている実態があるため、この中で計画を実施するということは大きな問題であるということで反対している[3]

2025年7月22日日本弁護士連合会は国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランに反対する声明を発表する。そこでは、日本に滞在している不法滞在者というのはルールを守らない外国人であり、このような人々が国民の安全や安心に大きな不安を与えているという認識を批判する。日本に不法滞在者が存在しているのは、現在の日本には適正な保護が行われていないために在留資格を得られない外国人が多数いるという実態からとする。このため国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランでは、難民認定手続きや退去強制手続きに関する憲法国際人権法での重要な問題を解決させていない状態で、正当に保護されるべき外国人までも排除をすることになる政策となることが極めて問題であるとする。ルールを守らない外国人であるということを理由として日本国民の安全や安心に大きな不安を与えているとしていることについても批判する。多文化共生の姿というのは、物の見方や考え方や価値観が異なる人々が互いの文化の違いを認め合い、対等な関係を築きながら社会の中で共に生活をして行くことが求められるというものであるために、外国人だけがルールを守らないという理由だけで日本国民の安全や安心を脅かしている存在とすることは、外国人に対する差別偏見につながりやすく多文化共生の理念に反するとする。非正規滞在者の存在が治安悪化の原因であるという誤った認識を固定化させるともする[4]

2025年9月17日には東京弁護士会は国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランに抗議する声明を発表する。そこではルールを守らない外国人とは具体的にどのような外国人を指しているのかと、国民の安全や安心を脅かす社会情勢というのは何を根拠に判断されているのかという点について、前者は一応は国会で説明があるが後者は説明がされていないことから、国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランを策定する目的自体に大きな疑問を持つとする。加えて国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランがもたらす悪影響も計り知れないとする。ルールを守らない外国人という安易な否定的表現を政府が用いたならば、日本に在留する外国人全体が差別をされるようになるリスクがあるとする。そしてヘイトスピーチをはじめとする人権侵害を助長して、ひいては日本社会の分断へとつながって行くことを懸念する。そして日本の難民認定制度と難民認定率の下では、難民申請者を迫害の危険のある出身国に送還することを強行するリスクが大きく、難民条約や拷問等禁止条約でのノン・ルフールマン原則に違反する事態が発生するということを危惧する。国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランからは、人権や人道上の配慮を要する外国人を収容したり送還することを強行する恐れが増大するとする。これらのことから安全・安心のための不法滞在者ゼロプランはその策定の根拠自体に強い疑念がある上に、実施することで取り返しのつかない悪影響を及ぼす恐れがあるということから抗議がされていた。それに加えて東京弁護士会が今こそ必要としているのは外国人の人権の保障と共に多様性が尊重される社会であるために、適切な難民認定や人権や人道に基づいた在留特別許可推進からもある程度達成されるはずであることから、入管実務の改善と改革に注力することを求める。合わせて政府が率先して真の多文化共生社会の構築に向けた政策を打ち出すということを求める[5]

国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランが始められてから3ヶ月が経った時点である2025年10月には、係員が同行した上で国費で行う強制送還の数が、例年の同期に比べて増加している。この中には日本で育った子供が送還されていたり、親子が離れ離れになったというケースもある。強制退去処分が出ても自ら出国しないで送還も拒否している人には、護送官をつけて国費で送還するという形で帰国させるという最終的な方法が多く行われるようになっている。この方法で強制送還された人数というのは例年の約2倍に増加しており、内訳では国籍トルコが最も多い、強制送還されたうちの約3割は難民認定の申請中であった[6]

脚注

編集