県
このテンプレート(Template:Anotheruse)は廃止されました。「Template:Otheruses」を使用してください。
県(けん)とは、地方のための行政機関の一種。正字の縣は釣り下がる意。元は官庁を指したが、県の長の管轄する範囲も表すようになった。日本では地方自治法施行後、市町村を包括する広域の地方公共団体となり法人格をもつ。
概説
一般に領域国家は、領土を地方に分割して経済的軍事的な効率を得る必要がある。しかし軍事面では、大きすぎる分割は叛乱などの温床ともなり得るので、中央政府の支配力を越えない範囲に限定しようとする。最も簡単な区分は国と県の二階層である。軍事的な要素を重視した場合は、五人または五世帯まで幾層にも細分化される。封建国家では、与えられた領地を分割することで行政区画が深化した。
日本では古代中国の制度に影響を受け、
- 面的な名称には、国・州・藩・郡・町・村・坊・郷・里・荘または庄・区。
- 線的な名称には、道・街・条・里。
- 点的な名称には、京・都・府・庁・県・市・駅または宿。
- 人的な名称には、使。
が用いられてきた。江戸時代に能登国を能州と書くなど、雅称として漢風の名称が広まっていたため、「州>郡>県」の順に小さくなると受け入れられていた。明治維新後の廃藩置県と県の統廃合分置により、面的な名称としても受け入れられ、「州>県>郡」と理解されるに至った。一方で「郡>村」の伝統的な関係と合わせ、「州>県>郡>村」の順に小さくなるような行政区画を基本的と考えている。このため県は第2層の行政区画として扱われる。
漢字使用圏を除く外国の行政区画の訳語としてもこの順で用いられる。ただし、県の意味に「中央政府から派遣される地方官の治める範囲」とあるため、相当する区画がない場合は用いられない。また「国≒州」という理解から自治の権限が小さい場合、州を用いず県を用いる。
訳語
- prefecture(日本)
- province(イタリア)
- イタリア語のprovinciaに当たる。この語は、「中央集権国家の地方長官」と、「大き過ぎないが、一定の広さを持った地方」の、両方の意味を持つ。
- 原義はラテン語のprovinciaで、“pro”(親○、利益)と“vincere”(統制する)を合わせて、「ローマ帝国の統治に与する所」を意味していた(日本では「属州」と訳される)。特に、歴史地理学での「県」の訳語には、provinceが充てられる事が多い。
- department(フランス)
- フランス語のdépartementに当たる。フランスの州に当たるprovinceが廃止され、より狭いdépartementができた時に県に当たる区画となった。
- county(中国)
- 中国語の县に当たるが英語ではcountyと訳す。原義はラテン語で「軍事上や行政上の功績者の領地」
各国における県の歴史的役割
歴史的には、古代の中央集権国家において、中央政府から派遣される地方官の治める範囲として、県が設置された所が多い(例:中国の郡県制)。中央集権国家での県は、「中央政府の出張所」という色が濃く、面積が中途半端な大きさになっている所も少なからずある。
古代の中央集権国家が破綻すると、地方王国が濫立する時代が到来した。この地方王国の領土は、古代の県(日本で言えば令制国)を範囲とした所もある。
特に、近代国家の成立で行政が中央集権化されて以降は、港町や城下町や門前町といった様々な都市にある自治体が、対等に基礎自治体(市役所)として見なされているが、この基礎自治体を包括する単位として、新に県が設置された所もある(例:ナポレオン・ボナパルト政権期のフランス、廃藩置県期の日本)。
第二次世界大戦が終わると、第二次世界大戦まで中央集権体制だった国家では地方分権の機運が高まっている所もあるが、この国家では「補完性の原理」に則って、県を「基礎自治体(都市や村落)を補完する広域連合体」として位置付ける風潮も起こっている。
関連項目
|
|
|